『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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九十三話

 

 辺境の街で開催されている『収穫祭』を愛している女性たちと楽しんでいるゴブリンスレイヤーは途中、どうしてもやらなければならない仕事があると女勇者に女賢者、女剣聖と別れる事になった。

 

「(『霊界(アストラル)』関係だろうけどな……)」

 

 勇者たちは『霊界』の脅威を取り除きにいったのだろうとゴブリンスレイヤーは推測する。何故なら、この収穫祭においては夜に天上にいる神々から力の一端を降ろし、豊穣と安寧を願うための儀式を行う事になっている。

 

 

 

 その儀式を担当するのは勿論、地母神の神殿の者達であり、今年の舞手はゴブリンスレイヤーが世話し、幾度か冒険も共にしている女神官である。

 

 罠の手伝いの際も途中で女神官は儀式の打ち合わせや準備をするからと抜けていたりするのだ。

 

 ともかく、そうした儀式をする際は『霊界』に干渉しやすくなるので勇者ならば霊界の脅威を退治しに行くのではと思ったのである。

 

 

「(頑張れよ)」

 

 勇者は勇者としてするべき事、自分は自分でするべき事をするべきである。ゴブリンスレイヤーは応援しながら、昼になった事で更に賑やかになった収穫祭を楽しんでいく。

 

 手品を見たり、途中で川を通って橋の下を通る一艘の船の乗客になっている美しい金髪を結い上げ、絹のワンピースという恰好の女騎士と平服の重戦士の姿を見たり、仲睦まじく歩いている槍使いに魔女の姿も見た。

 

 

 

 ともかく、思い思いに人々は祭りを楽しんでいた。

 

 そうして昼の時間は終わり、日が沈んで太陽が落ちると地平の彼方に転がっていき、薄い紫色の靄を伴って双子の月が天に上った。

 

 そうして、街は一時的に闇に包まれ……。

 

 

 

「始まったな」

 

 広場にして、円形舞台に用意された席に座ったゴブリンスレイヤーが口を開くと共に天灯が次々と天を目指して昇っていく。

 

 そうして舞台には肌の露出が多く、煽情的ですらある戦装束に身を包み、神器を模したフレイルを持った女神官が羞恥に頬を染めながら、姿を現した。

 

 神への祈りの言葉を述べながら、フレイルを振るっては舞い踊る神楽を行っていく。

 

 

 

「見事な舞だ」

 

「うん、凄く練習したのが良く分かるよ」

 

「彼女、頑張り屋さんですしね」

 

「ああ、とってもな」

 

「頼りにもなる神官さんだわ。もっと自信持っても良いくらいに」

 

 

 

 ゴブリンスレイヤーに牛飼娘と受付嬢、森人剣士に妖精弓手らが感想を言っていく。

 

 ともかく、女神官が神事を行っているのを見守り続けた。

 

 

 

 そうして女神官による神楽であり、神事が終わるとゴブリンスレイヤー達も観客達も拍手をした。

 

 神事が終わるとそれは祭りの終わりである。人々は皆、去っていくが……。

 

 

 

「ゴブリンスレイヤー、おいでなすったようだぜ……あんたの村の方は大丈夫なようだ」

 

「そうか」

 

 ゴブリンの襲撃を警戒してゴブリンスレイヤーは事前に信頼できる冒険者に見張りを頼んでいるし、辺境の街から少し遠いが自分の故郷である村人になど幾つか、狼煙などで連絡をする手段を用意していた。

 

 今回、それが使われたのだ。

 

 

 

「……いってらっしゃい」

 

「お気をつけて」

 

「ああ」

 

 そうして妖精弓手がゴブリン退治に動ける者達に声をかけるべく先に動き、後を追おうとするゴブリンスレイヤーと森人剣士に牛飼娘と受付嬢が見送りの声をかけた。

 

 

「ゴブリンスレイヤーさん、私も」

 

「助かる」

 

 神事を行った格好とフレイルを持ったままの女神官が神からの託宣(ハンドアウト)を受けた事で駆け寄って来た。

 

 ともかく、そうして舞台からゴブリンスレイヤー達は動き出す。これより冒険者としてすべき事を始めるのであった……。

 

 

 

 

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