『ゴブリンスレイヤー』と呼ばれた投擲手   作:自堕落無力

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九十四話

 

 暗黒の肌持つ闇人(ダークエルフ)には遥か遠き暗黒の彼方より混沌の神々より与えられた使命(クエスト)があった。

 

 その託宣(ハンドアウト)を思い返す度に闇人の全身は歓喜で震える程である。 

 

 神々より直接の託宣を賜るなどそう、頻繁にある名誉では無い。授かった者が冒険者ならば英雄として、混沌に与する者なら梟雄(きょうゆう)として名を馳せるだろう。

 

 死と栄光であり、名誉と伝説へと繋がる道、そこへ至るための鍵が託宣と共に闇人には渡されていた。

 

 それは禍々しく虚空を掴まんと手指と鉤爪を広げた奇怪な腕の彫像だ。

 

 そんな闇人は更に神からの加護とすら思える幸運を手にしていた。

 

 というのも洞窟奥の祭事場へと乗り込まれ、六人の女性の冒険者の一党に追い詰められた時、ゴブリンの群れが冒険者へと攻めかかり、致命的な一撃を決めた事で窮地を脱したし、自分は生き延びる事が出来た。

 

 こうして闇人はゴブリンを雑兵としつつ、奇怪な腕の彫像を使った儀式のために必要な生贄を集めるために行動を始めたのだ。

 

 状況自体も都合良く、今は秋の時期で村や町では『収穫祭』が行われて人々の機が緩む時期である。

 

 そして闇人が狙いを定めたのはとある辺境にある街であった。その街の前には牧場や村もあって本当に都合が良かった。

 

 

 

 こうして、闇人はゴブリンの群れを使ってまず村を襲わせたのだが……。

 

「な、何なのだ。あの村は……仕方ないか」

 

 村の周囲には用意周到であり、悪辣とすら言える巧妙な罠がいたるところに仕掛けられており、村自体も頑強な壁や塀まであり、どこの城かとすらも思ったほど。

 

 侵入は厳し過ぎるし、何よりゴブリン達が大勢犠牲になってしまったので諦めざるをえなかった。こうして、闇人は想定外に過ぎる被害を苦々しく思いながらも辺境の街を四方向からゴブリンの群れによる襲撃を仕掛けさせたのだ。

 

 

 

 数は大分、減ってしまったがそれでももう少しすると嵐が吹くのを察しているのでそれが助けになる事は確実だ。

 

「神々よ、今こそ授かりし使命を果たします」

 

 闇人は託宣を果たすと再度誓いながら、自分も辺境の街へと向かっていくのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 闇人の雑兵と化しているゴブリンの群れは辺境の街を目指して四方から進軍を行っていた。

 

 しかし……。

 

『GROBB!?』

 

あるところでは獣道に張られた一本の綱、ゴブリン達はその綱を切ると藪の中で物音がした。木の板が網に通して吊るされていた。

 

 ただの鳴子であり、こんなところに設置しても仕方ないものだったのでゴブリン達は人間の無様さを笑い、進軍を続けたがその瞬間、茂みから飛び出した大矢に貫かれる。

 

 原始的な大弩が仕掛けられていて、鳴子を吊っていた網によって引き絞られていたのだ。

 

 

 

 そうして慌てふためく討ち漏らしのゴブリン達を森人剣士に蜥蜴僧侶とゴブリンスレイヤーが切り伏せた。

 

 あるところでは木に寄りかかっていた人影を粗雑な槍で突けば、音もなく倒れ込んだ。

 

 錆びた兜が転がり、土嚢に白墨で描かれた顔を見て動揺した時に重石の外れた網が滑車を勢いよく走り、小鬼共の頭上から死が襲い掛かる。

 

 杭を丸く束ねて縛り上げた棘球が滑車の勢いのままに落下し、無慈悲にゴブリン達を薙ぎ倒したのだ。

 

 そうして戦装束の女神官が≪沈黙≫の術を唱えていたのを見て襲い掛かったゴブリン達だが、妖精弓手による弓の狙撃、森人剣士の剣舞で片付いた。

 

 そしてまたあるところでは底に幾本もの杭が仕掛けられている落とし穴が幾つもあり、目印と思わせる色石が置かれてもいたのでゴブリン達はその色石を避けたが、しかし、小石を避けても落とし穴に落ちた。

 

 

 

 色石はゴブリンたちを吊り上げる餌であっただけだ。そうして、落とし穴が何処にあるかも分からないので下手に動けないゴブリン達は仲間割れを起こす。

 

 そんなゴブリン達へゴブリンスレイヤーと鉱人道士は投石紐を使って礫を放って殺していき、側にいる蜥蜴僧侶は地面にある石を拾い、ゴブリンスレイヤー達に手渡していく。

 

「数が頼みのゴブリンを分散させるとはな……素人(ヌープ)が」

 

 ゴブリンスレイヤーはゴブリンの軍勢を操る指揮官に対し、侮蔑の言葉を送ったのであった……。

 

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