クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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唐突ですが、作者は原作のこと「オリジナル時間軸」等の表現をしてます。久しぶりに「オリジナル時間軸」の物語を読んでみたのですが…やっぱり最高ですよ。時折「アメリカ編以降のクラフト描写少なくなったのは気の所為かな?」的なツッコミしましたが、それでもこんな素晴らしい世界を創造して下さった「オリジナル時間軸の創造主」には感謝しかありません。

長々と失礼しました。


ロケット製造ロードマップ
バルセロナ


 皆さんどうもごきげんよう! わたしはマインクラフターのアレックス。3700歳の美少女ちゃんであ〜る! 自分で美少女って言うのは痛いが…事実だし仕方ないよね! 

 

 さて、今回はダイジェストで送っていこうと思う。全部が全部ではないが、ダイジェストで。省略してるつもりはないので、そこは安心して欲しい。それでは、前回のあらすじをしていこうか。

 

 ひとつは、「超合金の街」。デストロイヤーとの再戦に勝利した科学王国は、次なる目標である月面ロケット製造のため、その第一段階として【超合金の街】の建設を開始。技術開発部のマインクラフターによる超高速の整地・建築と、日米科学王国の科学者・職人たちによる精密技術が融合し、南米大陸に巨大な工業都市が出現した。

 

 その裏で軍事部のマインクラフターは、デストロイヤーの残骸を「お片付け」する作戦を決行。残骸を黒曜石の壁で隔離した後、TNTやウィザー、そして溶岩といったあらゆる破壊手段を用いて、その存在を完全に消滅させる。かくして、勝利の後の後始末は、軍事部らしい壮大な儀式をもって完了した。

 

 実に分かりやすい。流石はわたしだ。「超合金の街」が建てられた目的も語ろうか。「宇宙級素材の製造基盤構築」のため、「大規模製鉄所と合金工場を建設」「ステンレス、クロム(ヒトじゃないZO)、タングステンなどの高耐熱金属」「大出力発電(蒸気→水力→石油)」「工作機械、旋盤、精密工具生産」「飛行機・船・電力網・石油化学工場」。

 

 ここで作れる技術は「タービンエンジン」「大型ボイラー」「工業基地」。そして〜、「ロケット本体の骨格・耐熱部品の基盤完成」だ…!!! まだ完成してないが、それでも目標は達成してみせる!! 

 

 あっ、そうそう。実はペルセウス…アップグレードしちゃいました! ので、クラフトレシピを紹介しようと思う。【基礎構造:船体フレーム】たる主要素材は「鉄鋼インゴット × 512」「ニッケル × 128」「炭素繊維 × 64」「リグナム・バイタ(高密度木材)× 32」。

 

【クラフト工程】は「1.鉄とニッケルを高温溶解し、鋼板を作る(電気炉使用)」「2.カセキが鋼板をリベット打ちで接合」「3.船底にはリグナム・バイタを貼り合わせ、浮力と耐久性を両立」する。

 

【動力系統:ハイブリッド推進ユニット】の主要素材は「ディーゼル燃料(精製油)× 64バレル」「電動モーター × 8」「バッテリーセル × 32」「プロペラ軸(鋼製)× 4」。【クラフト工程】は「1.ディーゼルエンジンを主動力に据える」「2.船底に電動補助モーターを内蔵し、微速航行時は電気駆動で稼働」「3.回転軸をカセキが削り出し、技術開発部のアレックスがエネルギー効率制御をプログラム」。

 

 主機はロケットエンジンだ。プロトタイプだから、【主機:ロケットエンジン(レベル1)】となるだろう。必ず、改良に改良を重ねてレベル99にグレードアップさせてみせる。【主機の主要素材】は「鉄鋼インゴット × 128」「ニクロム線 × 16」「耐熱合金ノズル × 4」「液体酸素タンク × 2」「エタノール燃料タンク × 2」「プラチナ触媒 × 1」。

 

【クラフト工程】は「1.カセキが高温耐久素材からノズルを成形」「2.ニクロム線を用いて点火装置を制御回路に接続」「3.千空と助手クロムの設計をもとに、液体酸素とエタノールを混合燃焼する方式を採用」「4.エンジンは船尾中央に一基搭載、短時間の急加速や外洋離脱航行に対応」「5.燃焼時の反動を軽減するため、ガス偏向ベーンと姿勢制御用スラスターを配置」。

 

【通信・観測系:科学眼搭載】も捨てたもんじゃあない。【主要素材】は「レーダーアンテナ × 2」「ソナー発振器 × 2」「真空管 × 16」「ガラスブラウン管 × 4」。【クラフト工程】は「1.アレックスが音波・電波の統合観測システムを設計」「2.千空がブラウン管に映像信号を通し、レーダー+ソナーを連携」「3.結果、海上と海中の両方をリアルタイムで監視可能に」。

 

【居住区・研究区画】だってクラフトしてあるぞ。【主要素材】は「木材 × 256」「ガラス × 128」「石英 × 64」「布地(テント生地)× 64」。【クラフト工程】は「1.船内を居住区・実験区・格納庫に分ける」「2.採光用に石英とガラスを組み合わせた天窓を設置」「3.木の温かみと科学設備の冷たさを融合した科学の家が完成」。

 

【制御・操舵システム】も注目点に値する。【主要素材】は「レッドストーン回路 × 64」「銅配線 × 128」「真鍮ギア × 32」「コンパス × 2」。【クラフト工程】は「1.操舵輪は機械式+電気式のハイブリッド」「2.舵角はレッドストーン信号でモニタリング」「3.自動航行プログラムを構築。いわば航海AI」。

 

 そのニューペルセウス号に、わたしは乗っている。最高だとは思わんかね? 海を渡り空を知り、大地に帰る──科学の船。「ディーゼル・電動・ロケット」の三系統を統合した、世界初のハイブリッド船。レベル1ロケットエンジンにより、短距離飛翔や離陸航行が可能。耐久性・機動性・探査能力・科学力のすべてを結集した、科学王国の“究極のクラフト”。航空艦としても運用出来るなんて…ロマンだとは思わんかね? 

 

 

『ホワイマン様と直接対決。月世界旅行の第一歩っつぅ訳だ…!!』

 

 

 完成した際の名ゼリフも最高であった。…その最高な船に乗って大西洋を横断していた時、ホワイマンからのコンタクトがあった。あれは…そう、仲良く皆でモールス信号のお勉強をしていた時だった。

 

 

『死にたいのか』

 

 

 ご親切にモールス信号だけじゃなく、このわたしアレックスの音声でも。お礼に「あの時のレコード」を大音量で流したら、コンタクトは止まった。感動したのだろう。悲痛な叫び声で喜びを表現するくらい。人間味があってイイじゃないか、宇宙人かアトランティス人か云々で正体不明のホワイマン。

 

 あんな『お可愛いこと』する脅しをするくらいだ。手札たる機動要塞デストロイヤーや石化装置の全てが、『俺の財布は…ゼロなんだ…!!!』となって大慌てしてるに違いない。楽観的にも程があるだろうがね。もう勝てるんじゃね? せやで工藤という天使の声が耳に囁いたものよ…。

 

 

「本当に、俺たちは…!」

「信じられない…!? 3700年も経っていたのか…」

「それに、この香り…! なんて素晴らしいんだ!」

 

 

 そして時は現在。大西洋を越え、わたしたちニューペルセウス号がたどり着いたのは、スペインだった。復活液で石化から目覚めたばかりの現地の人々は、目の前で繰り広げられる光景に、未だ夢見心地といった様子で感嘆の声を漏らしている。

 

 彼らの視線の先には、我らが科学王国の至宝たる料理人フランソワがいた。彼女が振る舞うのは、この地の伝統に敬意を表したアヒージョとパスタらしい。

 

 

「うおおニンニクだ…!!」

「このオリーブオイルの輝き…! まるで宝石のようだ!」

「腹が…腹が鳴り止まらない…!!」

 

 

 さて、料理開始かな。ゴホン! フランソワの料理は、単なる調理ではない。それは一つの儀式であり、芸術であり、そして科学だ。まず彼女が手に取ったのは、この地で収穫されたばかりのニンニク。その一粒一粒を、まるで宝石を鑑定するかのように吟味し、僅かな傷や変色も見逃さない。選ばれたニンニクは、寸分の狂いもない薄切りにされ、その断面からは、食欲を刺激する芳醇な香りが立ち上る。

 

 

「おお…! なんという香りだ! これが、ニンニク本来の…!」

「ただ切っただけだというのに、もう腹が鳴ってしまいそうだ…」

「これが3700年ぶりの、文明の匂い…!!!」

 

 

 次に用意されたのは、こちらもスペインの大地が育んだオリーブから、科学王国の技術で圧搾された極上のオリーブオイル。それを、カセキがこの日のために鍛え上げた土鍋「カスエラ」に、静かに注ぎ込む。火にかけられたオイルが温まり始めると、フランソワは先ほどのニンニクと、乾燥させた鷹の爪を投入した。

 

 

「見てみろよ、あのオイルの透明度を。凄い!?」

「パチパチと、オイルが喜んでいる音!」

「この香だけでパンが何枚でも食べられそうだ!」

 

 

 ジワァ…という心地よい音と共に、ニンニクの香りが爆発的に広がり、鷹の爪のピリリとした刺激がそれに加わる。香りがオイルに完全に行き渡った、まさにその瞬間を見極め、フランソワは主役を投入する。それは、この近海で獲れたばかりの新鮮なエビと、マッシュルームだった。

 

 

「うわぁっ! なんて新鮮なエビだ! まだ跳ねそうだぞ!」

「マッシュルーム! そうだ昔、母さんがよく入れてくれた…!」

「音が変わった! 一気に力強い音に!」

 

 

 ジュワッ! という威勢のいい音。エビの殻がオイルの中で鮮やかな赤色に変わり、マッシュルームがオイルの旨味をスポンジのように吸い込んでいく。全ての食材が最適な状態で火が通るよう、フランソワはカスエラを巧みに揺らし、決して焦がすことなく、かといって火が通り過ぎることもなく、完璧な一点へと導いていく。

 

 仕上げに、岩塩と、刻んだばかりのパセリを散らす。緑の鮮やかさが加わり、料理は完成した。

 

 

「なんて美しいんだ…!!?」

「赤と白と緑が、黄金のオイルの中で輝いている…!」

「これが…くぅ〜、たまらん!」

 

 

 だが、彼女の仕事はまだ終わらない。アヒージョの隣で、もう一つの芸術が生まれようとしていた。パスタだ。大鍋に沸かされた湯には、たっぷりの岩塩が投入されている。まるで小さな海。そこに、杠と女性陣が協力して手打ちした、デュラム小麦のパスタが踊るように投入される。その横では、フランソワがソースの準備を始めていた。

 

 フライパンにオリーブオイルとニンニクを熱し、香りが出たところで、こちらも地元産の完熟トマトを手で潰しながら加えていく。トマトが煮崩れ、甘みと酸味が凝縮されたソースになっていく様は、まるで錬金術のようだ。

 

 

「手打ちのパスタだ! 生で見れるなんて!?」

「あのトマトの色を見ろ! 太陽そのものを煮詰めているかのようだ!」

「甘くて少し酸っぱい、最高の香りだ…! 懐かしい…」

 

 

 茹で上がったパスタが、湯から上げられる。そのタイミングは、秒単位で完璧に計算されている。アルデンテ、歯ごたえが僅かに残る、最高の状態。それが、すぐさまトマトソースの海へと飛び込む。フライパンの中で、ソースとパスタが情熱的に絡み合い、一体となっていく。最後に新鮮なバジルの葉を数枚ちぎって加えると、爽やかな香りが料理全体を包み込んだ。

 

 二つの料理が、復活したばかりのスペインの人々の前に恭しく差し出される。湯気の向こうで、彼らの瞳が希望の光に潤んでいた。

 

 

「どうぞお召し上がりください。海の幸と茸のアヒージョ、そして完熟トマトのポモドーロでございます」

「「「いただきます(グラシアス)!!!」」」

 

 

 美味しそうに食べちゃって…ジュルリ。わたしもいただきます! 

 

 まずはアヒージョから。一緒に焼かれたパンをちぎって、グツグツと煮えたぎる黄金のオイルにたっぷりと浸す。うわっ、熱っ! でも、これがいい! オイルを吸ったパンを口に運ぶと、ニンニクの香ばしい風味と鷹の爪のピリッとした辛味、そしてエビやマッシュルームから染み出た濃厚な旨味が、口の中いっぱいにジュワァっと広がる。

 

 なんだこれ、犯罪的に美味いぞ! 

 

 続いて、主役のエビを一口。プリッとした弾けるような食感の後に、凝縮された海の甘みが押し寄せてくる。マッシュルームは、旨味の爆弾だ。噛んだ瞬間に、閉じ込められていたオイルときのこのエキスが溢れ出し、幸福で頭がくらっとする。

 

 次はポモドーロだ。フォークでくるくると巻き付け、一気に頬張る。おお…! まず感じるのは、トマトの圧倒的な生命力! 太陽をたっぷり浴びて育った完熟トマトの、フレッシュな酸味と濃厚な甘みが、一切の雑味なく舌を駆け巡る。そして、手打ちパスタの力強い食感。絶妙なアルデンテで、噛むほどに小麦の豊かな風味が感じられる。ソースが完璧に絡みつき、バジルの爽やかな香りが鼻を抜け、後味をすっきりとさせてくれる。

 

 ああ、ダメだ。これは、わたしたちマインクラフターが普段食べているステーキやベイクドポテトとは、全く違う次元の食べ物だ。ただ腹を満たすための「食料」じゃない。これは、人の心を豊かにする「料理」という名の文化そのものだ。

 

 周りを見れば他のマインクラフターたちも、普段の大雑把な食べっぷりはどこへやら。目を丸くして、あるいは感涙にむせびながら、フォークとパンを必死に動かしている。彼らにとっても、衝撃的だったに違いない。

 

 

「美味い…! 美味いぞぉぉぉっ!!」

「生きててよかった…! 復活させてくれて、本当にありがとう…!」

「この味を知ってしまったら、もう昔の生活には戻れない! 俺も、あんたたちのために働くぞ!」

 

 

 わたしの号令一下、それまで静かに食事の余韻に浸っていた、白衣姿のマインクラフターたちが一斉に立ち上がった。彼らの目は、もはや料理への感動ではなく、次なる巨大クラフトへの期待と狂信的な輝きに満ちている。目的地は、ここからほど近いバルセロナ近郊。チェルシーの地質調査によって、高品質な【蛍石】の巨大鉱脈が発見された場所だ。

 

 

「え? 今、何と…?」

「技術開発部…? まだ食事を終えたばかりだというのに…」

「力を見せる、とは…一体何を始めるつもりなんだ?」

 

 

 次の瞬間、彼らの姿はエンダーパールの紫色の光と共にその場からかき消え、バルセロナの鉱脈予定地に寸分の狂いもなく再出現していた。

 

 

「¡¿Qué?! ¡Han desaparecido! (何だ?! 消えたぞ!)」

「テ、テレポートだと…!? そんなものはSF映画の中だけの話のはずだ!」

「ま、待て、落ち着け…! 何かのトリックだ…きっとそうだ…手品か何か…」

 

 

 ここからが、技術開発部の真骨頂。彼らの建築は、もはや手作業の領域にはない。インベントリから取り出されたのは、巨大な機械のパーツ群。それらが組み合わさり、大地に設置されると、轟音と共に一つの巨大な機械が起動した。Minecraft工業化MODでお馴染み、自動採掘機「クァーリー」の現実版だ。

 

 

「あの機械はどこから現れたんだ!? 輸送ヘリの一機も飛んでいなかったぞ!」

「まるで…何もない空間から生えてきたようだ…!」

「非科学的だ…! 我々の知る物理法則を完全に無視している…!」

 

 

 レーザーが照射され、採掘範囲が設定されると、機械は自動で地面を、岩盤に到達するまで寸分の狂いもなく、ブロック単位で削り取っていく。削り取られた鉱石や土砂は、アイテム輸送パイプの中を高速で流れ、後方に設置された巨大な倉庫チェストへと吸い込まれていく。手作業の採掘とは比較にならない、圧倒的な効率。それが、彼らの「科学」だった。

 

 

「見てみろ…地面が、完璧な正方形に…まるでCGのように削られていく…」

「信じられない効率だ。これほどの作業、我々の時代なら数ヶ月はかかるぞ…!」

「だがおかしい! 掘り出した土砂はどこへ消えているんだ!? パイプの中を流れる量と、掘削量が全く合っていない!」

 

 

 採掘と同時に、地上ではコンビナートの建設が始まっていた。パイプから吐き出された蛍石混じりの鉱石は、まず粉砕機にかけられ、次に水流式の選鉱ラインで不純物と分けられる。全てが自動化されており、人の手は介さない。

 

 

「工場の建設速度が異常だ…基礎工事もなしに、いきなり建屋が…」

「人間が一人も作業していない…! 全てが、あの奇妙なパイプと機械だけで完結している…!」

「不気味だ…効率的ではあるが、あまりにも人間味がない…」

 

 

 選り分けられた高純度の蛍石は、次なるプラント──【フッ化水素酸精製プラント】へと送られる。ここが、今回のプロジェクトの心臓部だ。

 

 

「待て…あのプラントの構造…まさか、フッ化水素酸を作る気か!?」

「正気か!? あれはガラスすら溶かす、史上最悪の薬品の一つだぞ!」

「我々の時代でも、何重もの安全対策を施して、命がけで製造していたというのに…!」

 

 

 超合金の街で生産された耐酸性の特殊合金で作られた巨大な反応炉がいくつも並び、それらがガラスとテフロンでコーティングされた複雑なパイプラインで結ばれている。そこに蛍石と別途クラフトされた濃硫酸が、レッドストーン回路によって精密に制御されながら注入されていく。

 

 

「あの赤い粉は何だ…? あれが制御回路だというのか?」

「コンピュータが見当たらない…! プログラムはどうなっているんだ!?」

「あんな…おもちゃのような回路で、致死性の化学プラントを制御するなど…狂気の沙汰だ!」

 

 

 加熱され、化学反応を起こし、発生したフッ化水素ガスが蒸留塔を駆け上がり、冷却されて液体となる。致死性の猛毒であるフッ化水素酸を、完全な閉鎖空間で、全自動で精製する。それは、旧世界の化学プラントをも凌駕する、狂気と精密さの結晶だった。

 

 そして、この超重要薬品を使い、次なる文明の礎が築かれる。

 

 

「成功している…だと…? 信じられん、あの杜撰な設備で…」

「彼らの科学は、我々の科学とは根本的に『理』が違うのかもしれない…」

「嗚呼、神よ…!!」

 

 

 隣接して建設されたのは、【光学産業ファクトリー】だ。内部は塵一つないクリーンルーム。そこで、フッ化水素酸が、石英ガラスの表面をナノメートル単位で溶かし、彫刻していく。これは、半導体の回路パターンを焼き付けるための「フォトマスク」の製造工程そのものだ。

 

 別の区画では、職人たちが精製された蛍石の結晶から、寸分の狂いもない【精密レンズ】を磨き上げている。カメラや望遠鏡、そして半導体製造に必要な露光装置の心臓部だ。

 

 

「半導体だと!? 鉱山からチップの製造まで…!?」

「国家プロジェクトレベルの事業を、ピクニックでもするかのように…!」

「素晴らしい…! 素晴らしい技術力だ! だが、だからこそ…恐ろしい…!」

 

 

 採掘から精製、化学合成、そして最終製品の加工まで。蛍石という一つの資源から、コンピュータと光学の未来を生み出すための一大コンビナートが、スペインの大地に屹立した。

 

 わたしはその光景を眺めながら、確信していた。

 

 石英ガラスは、光ファイバーになる。精密レンズは、星を見るための目になる。そして、半導体は、ロケットを制御する頭脳になる。これは、ただの工場じゃない。月へ行くための、確かな一歩なのだ。

 

 

「彼らは…救世主だ。我々を3700年の眠りから覚まし、食事と家を与えてくれた」

「ああ、そうだ。感謝しなくてはならない。だが…っ」

「あんたらヤバ過ぎるだろ!? 常識をどこに置いてきた…!!!」

 

 

 …だというのに、何故わたしたちマインクラフターをドン引きしてるのかね君たち!? 住宅だって建ててあげたんだから、その反応は無いだろう!? 失礼だと思わんかね? そこの僕も、お姉さんたちと同じ思いだろう? …泣かれた。




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