クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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ふっ、タバコは美味いわね(#夢)


アルミの街作り

「クククッ。マインクラフターの生態なんざ、とうの昔に理解してるつもりだったが。まさか『支配者』なんてワードが出てくるとはな。相変わらず面白え生物だ」

「フフッ。彼女らしいジョークだね。もっとも、創造という行為は、ある意味で世界を支配することと同義かもしれないが」

 

 

 皆さんどうもごきげんよう。わたしは、マインクラフターのアレックスだ。親しみを込めて、『世界を支配する女』と呼んでくれたm…いやいや嘘だ。嘘だ。冗談だ。ははっ、ちょっと疲れてるみたいだ。そんなことをしてしまったら荒らしだ。マインクラフターは創造を楽しむ、知覚種族なのだ。支配だとか征服だとか破壊だとか。そんな物騒なことをしてしまう荒らしに、成り下がってはならない。決して。

 

 

「支配なんざ興味ねえよな。テメーらが欲してんのは、ただひたすらに『新しい遊び場』だけだ」

「そうだね。そして、その遊び場を提供してやるのが、我々科学者の役目というわけだ」

 

 

 さて、ロケット本体クラフトまでの道筋は、どんどん近づいて来ている。いやァ、実に順調だ。ホワイマン大好きの石化装置パラパラ振らせて、人類石化させたりだとか。あの悪夢のような、機動要塞デストロイヤーの襲撃が無くて喜ばしい限りだ。

 

 "もしも"石化装置が降って来ても、まずマインクラフターが石化することは無い。"もしも"機動要塞デストロイヤーが襲来して来ても、迎撃は可能だ。次は海上の軍事部艦隊による砲撃も参加させれば、撃破は十分に可能だ。砲撃でマインクラフターは、経験値オーブと遺品をバラ撒き死ぬだろう。だがどうせ、何度でも再誕する。リスポーンだ。ふっ。創造主は最強なり。

 

 

「死すらも、リソースの一部として計算できる。実に効率的で、そして恐ろしい兵隊だよ」

「ハッ。違げえねえ。残機無限の特攻部隊とか、敵に回したら最悪のクソゲーだ」

 

 

 おかげで、スムーズに作業に集中出来ているというものだ。これもう余裕ですわ。勝ち確定ですわ。そう余裕ぶっこいているから、映画等のどの創作世界でも共通してフラグが訪れるのだ。これ以上はやめよう。口に出した瞬間に確定してしまう。フラグ建築してる時点で、既に手遅れな気もするが。まあいい。その時はその時だ。

 

 

「死亡フラグか。科学的にはただの確率論だが、物語として見るなら、実に興味深い法則性だね」

「ケッ。そんなオカルトじみた法則、科学の力でねじ伏せるだけだ。確率なんざ100億%こっちの勝ちに決まってらあ」

「フフッ。頼もしいね、Dr.千空」

 

 

 さて、次は宇宙まで飛ばす材料をゲットするためのステップ。オーストラリアでアルミの街作りだ。ロケットは鉄で作ってはならない。理由は、宇宙まで飛ばすには鉄は重すぎるから。

 

 Minecraftの鉄ブロックで作ればいい? それは却下だ。重量あるか不明ツッコミよりも、Minecraftのブロックってピストンがないと動かすことなど出来ないのだ。

 

 動かせるにしても、黒曜石などのブロックは動かすことは不可能だ。それは飛ばない。ハリボテだ。オブジェとも言う。

 

 

「重力に喧嘩売るにしても、限度ってもんがあるからな。鉄の塊なんか飛ばしたら、燃料がいくらあっても足りねえ」

「エレガントじゃないね。宇宙を目指すなら、羽根のように軽く、そしてダイヤモンドのように硬い素材でなくては」

 

 

 だが安心してほしい。技術開発部のおかげで、状況は変わった。軍事部の戦車だったり龍水の船だったり。Minecraftブロックを使った創作物は、すべてヌルヌル動くようになった。わたしたちは、ハリボテから脱却したのだ。実に素晴らしい進化だ。

 

 

「ああ。あの技術はマジでぶっ飛んでやがる。物理演算どうなってんだか知らねえが、利用できるモンは何でも利用するのが科学だ」

「マインクラフターという未知の変数を組み込むことで、我々の科学は飛躍的に進化した。実に興味深い研究対象だよ」

 

 

 ゴホン! …ではクラフトしていこうか。この広大なオーストラリアの大地で。銀色に輝く未来都市を。アルミの街作りを! 

 

 

「っしゃあ! ロケットの心臓部は出来た。次は身体だ。軽くて強ぇ『アルミの街』をぶち建てるぞ!」

「フフッ、腕が鳴るね。この赤い大地を、銀色の未来に変えてみせよう」

「おうよ。技術開発部の連中もウズウズしてやがる。一気に片付けるぞ!」

 

 

 今回のプロジェクトを指揮するのは、科学王国の二大頭脳たる千空とDr.ゼノだ。そして、実働部隊は我が技術開発部のマインクラフターたちと、一般のクラフターたちだ。

 

 オーストラリア北部の広大な赤土の大地。ここにはアルミニウムの原料となる『ボーキサイト』が、文字通り山のように眠っている。見渡す限りの赤だ。この赤土の全てが、ロケットの材料になるのだ。

 

 

「ボーキサイト。酸化アルミニウムを豊富に含む鉱石だ。この赤色は、不純物の酸化鉄の色だね」

「そいつを科学の力でひん剥いて、ピッカピカのアルミを取り出す。単純だが、途方もねえエネルギーが必要な力技だ」

「だからこそ、彼らの力が必要なのさ。マインクラフトという名の、理不尽なまでの生産力がね」

 

 

 まずは採掘だ。技術開発部のクラフターたちが動く。彼らがインベントリから取り出したのは、ツルハシではない。工業化MODでお馴染みの、巨大な露天掘り機『クァーリー』だ。

 

 ズズズンと重低音を響かせながら、巨大なフレームが大地に設置される。轟音と共にレーザーが照射され、採掘範囲が設定されると、掘削アームが動き出す。大地が正確無比な矩形に切り取られていく様は、まさに圧巻の一言。

 

 掘り出された赤土は、自動仕分けパイプを通って粉砕機へと送られる。ガリガリガリと凄まじい音を立てて、赤土があっという間に細かな粒子へと姿を変えていく。人の手は一切介さない。完全なる自動化だ。これが技術開発部の愛する工業化だ。

 

 

「ハハッ! 相変わらずデタラメな採掘速度だ。見てるだけで笑えてきやがる」

「フフッ、実にエレガントだ。無駄がない。彼らの『工業化』への執着は、我々科学者すら凌駕するかもしれないね」

「違いねえ。あいつらにかかりゃ、地球丸ごと掘り返すのも時間の問題かもな」

「それは困るね。ボクの農場がなくなってしまうよ」

 

 

 その隣では、千空とゼノが設計した巨大な化学プラントが建設されていた。粉砕されたボーキサイトから不純物を取り除き、純粋な酸化アルミニウムこと『アルミナ』を抽出するための施設だ。バイヤー法と呼ばれるプロセスだ。苛性ソーダのプールで煮込み、濾過し焼成する。

 

 その一連の工程を、マインクラフターたちは自動化ラインとして構築していく。液体パイプが複雑に絡み合い、蒸気が立ち上る。銀色のパイプと白い蒸気、そして赤い大地。そのコントラストが美しい。工場の心臓部が脈動を始める。

 

 

「バイヤー法の要は、温度と圧力の管理だ。そこはSAIのプログラムで完璧に制御する」

「化学反応は美しいね。不純物が沈殿し、純粋なアルミナだけが抽出される。まるで泥の中から宝石を取り出すようだ」

 

 

 アルミ作りで最も重要なのは、ここからだ。『電気の缶詰』と呼ばれるほどアルミの精錬には、莫大な電力が必要となる。そこで彼らが用意したのは、超巨大なホール・エルー法を用いた電解精錬システムだ。何十もの電解槽が整然と並び、その一つ一つに太いケーブルが接続されている。

 

 電力源はどうするか? ここで技術開発部のロマンが爆発する。彼らが持ち出したのは現実の火力発電所や原子力発電所ではない。Minecraft工業MODの禁じ手とも言える、『究極のソーラーパネル』のアレイだ! 

 

 

「ソーラーパネルか。持続可能でクリーンだ。何より、このオーストラリアの日差しを最大限に活用できる」

「しかも、あいつらのパネルは変換効率がバグってやがる。理論値無視のエネルギー供給…クククッ、おありがてえこった」

 

 

 オーストラリアの強烈な日差しを受け、無限に近い電力が生成される。青く輝くパネルが、地平線まで敷き詰められている。それが高圧ケーブルを通って、電解槽へと注ぎ込まれるのだ。

 

 ブーンという重低音と共に、電解槽の中で化学反応が加速する。溶けた氷晶石の中でアルミナが電気分解され、純粋なアルミニウムが槽の底に溜まっていく。ドロドロに溶けた、銀色の液体金属。それをゼノが「エレガントだね」と目を細めて見つめ、千空が「クククッ、これで勝ったな」とニヤリと笑う。おっふ光景に感謝。

 

 

「来たな。純度99.9%のアルミニウム。こいつがあれば、ロケットの船体は軽くて丈夫な最強の鎧になる」

「ああ。これで重力の鎖を断ち切る準備が整った。宇宙への扉は開かれたよ、Dr.千空」

 

 

 取り出されたアルミニウムは、すぐさま合金工場へと運ばれる。ここで銅やマグネシウムといった添加物を加えられ、軽くて強い夢の素材『ジュラルミン』へと進化するのだ。

 

 

「アルミニウムに、銅とマグネシウムを添加。時効硬化によって強度は鉄に匹敵し、重さはその三分の一。ジュラルミンだ」

「ゼロ戦にも使われた、伝説の合金だな。こいつでロケットの骨格を組み上げりゃあ、月までの片道切符が往復切符に早変わりだ」

「フフッ、片道では困るからね。ボクたちはまだ、この世界でやりたいことが山ほどある」

「おうよ。月でホワイマンに挨拶したら、さっさと帰ってきてラーメン食うんだよ」

 

 

 巨大な圧延機が唸りを上げる。銀色の延べ棒がローラーに挟まれ、薄く強く引き伸ばされていく。ロケットの外装となるパネル。燃料タンクの隔壁。そして、航空宇宙構造材としてのフレーム。それらが次々と形作られ、広大な倉庫に積み上げられていく光景は、圧巻の一言に尽きる。

 

 山のようなジュラルミンのインゴット。これだけの量があれば、ロケットどころか宇宙ステーションだって作れそうだ。

 

 

「素晴らしい生産力だ。これだけの資材があれば、月面基地の建設も夢物語ではないね」

「クククッ、気が早えなゼノ。まずは1機だ。最高の1機を飛ばすことに全力を注ぐぞ」

「もちろんだとも。だが、科学者の想像力に限界はない。君もそうだろう?」

 

 

 ちなみにこの工場で生産される燃料タンクの一部は、ちょっと特殊な仕様になっている。中身は空っぽだ。代わりに、中心部に『レッドストーンブロック』が鎮座しているのだ。そう…無限のエネルギー源である、レッドストーンブロックを動力とする物理法則無視のロマン枠タンクだ…!!!

 

 

「出やがったな、謎エネルギー。質量保存の法則をガン無視しやがって」

「フフッ。科学的には説明不可能だが現象として存在する以上、利用しない手はないね」

「まあな。推力にゃなんねえが、船内電力にゃ十分だ。電池切れの心配がねえってのはデカい」

「永久機関の実用化か。ノーベル賞がいくつあっても足りない発明だよ、これは」

 

 

 まあ、実際にはロケットの主推進剤としては使えないらしい。推力が足りないとか爆発力が欲しいとか、千空たちが難しい顔で議論していた。けれど姿勢制御用とか船内電力用とか、何かしらの役に立つだろう。何より365日エネルギーが尽きることがないって響きが、最高にイイよね。ロマンだよロマン。科学と魔法の融合だ。

 

 

「ロマンだかなんだか知らねえが、使えるモンは何でも使う。それがストーンワールドの科学だ」

「同意するよ。科学と魔法、そして日米の頭脳。全てが混ざり合ったこの混沌こそが、新世界の力なのだから」

「クククッ。面白くなってきやがった。行くぞ。月までひとっ飛びだ!」

「フフッ、準備は万端だよ」

 

 

 よし完成だ! 感激深いものだ。つい先程まで、ただの赤土の荒野だった場所に、今や銀色に輝く一大工業地帯が広がっている。煙突から上る白煙。工場の駆動音。行き交うゴーレムたち。ここから生み出されるジュラルミンが、人類を月へと運ぶ翼となるのだ。

 

 

「美しいね。この景色こそが、人類の英知の結晶だ」

「ああ。何もない石の世界から、よくぞここまで積み上げたもんだ。だが、これで終わりじゃねえ。ここからがスタートだ」

「そうだね。月への旅は、まだ始まったばかりだ」

 

 

 さあ、感傷に浸っている暇はない。ロケットにはまだまだ、必要な素材がある。金属だけでは宇宙には行けない。次は配管のパッキンからタイヤ、振動を吸収する緩衝材まで。地味だけど、絶対に欠かせないアイツを作る番だ。

 

 そう。ゴムの街作りだ。

 

 

「さて、次の目的地も、ロケット製造ロードマップにおいて重要な場所だ。頑張っていこうか」

「クククッ、当然じゃねえか! 行くぞ──」

 

 

 いざ、インドネシアへ! わたしは次なる目的地へと視線を向けた。待ってろよ、ゴムの木たち!

 

 わたしたちは止まらない。月に行くその日まで。人類全員を復活させるその日まで。

 

 さあ出発だ!




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