「皆様、準備は整いましたね。これより、ロケット打ち上げ前の最重要ミッション、食料生産プロジェクト『オペレーション・ライス』を開始します。目標は、最高品質のジャポニカ米の収穫です」
ロケットという巨大な鉄の塊を見上げ、感傷に浸っていた時間は終わった。わたしはインベントリからクワを取り出すと、高らかに振り上げた。日本の大地よ。久しぶりだ。これからお前を耕し黄金の海へと変えてやる。
科学王国の女性陣が一斉に動き出した。コハク。ルリ。スイカ。杠。南。ニッキー。ホムラ。アオイ。アマリリス。キリサメ。ルーナ。チェルシー。そしてフランソワ。全員が動きやすい服装に着替え手には農具を握りしめている。
「ああ! 体がウズウズしていたところだ! クワ一本でこの荒れ地を全部耕せばいいんだな? 見ていろ、一瞬で終わらせてやる!」
「農作業…石化王国ではあまり経験がありませんが、大地を整えるという意味では、戦場の設営と同じ。全身全霊で参ります」
彼女たちの瞳にはロケット完成の達成感だけでなく、これから始まる食の祭典への飢えとも言える期待が宿っていた。
「頼もしいですね。コハク様、キリサメ様は前衛で土の粉砕を。硬い岩盤だろうと、皆様の腕力なら問題ありません。さあ、突撃です!」
まずは田起こしだ。場所は発射台のすぐ近くに確保した、広大な湿地帯だ。わたしがクワを一振りすると、Minecraftの仕様により一瞬で土が耕され、整然とした畝が出来上がる。だが、それだけでは足りない。本気の米作りには泥、臭い作業が必要不可欠だ。
コハクが驚異的な身体能力で、荒れ地を駆け抜ける。彼女が振るうクワは目にも止まらぬ速さで雑草を断ち切り、固い土を粉砕していく。その背中を追うように、キリサメが投擲武器のような手つきで、肥料を撒き散らす。最強の戦士二人が、本気で農業に取り組む姿は圧巻だ。土煙が舞い上がり、大地が悲鳴を上げながらも喜んでいるように見える。
次に水を引く。技術開発部が設置した用水路から、清らかな水が田んぼへと流れ込む。ここからは代掻きだ。土と水を混ぜ合わせ、泥状にする作業だ。
「うっわ、すっげぇパワー…! 私らも負けてらんないね! ほらアオイ、泥んこ遊びの時間だよ!」
「うへぇ、マジッスか姉さん! この泥の中に入るんスか!? …ま、意外と気持ちよさそうだけど!」
ここで活躍したのは、力自慢のニッキーとアオイだ。彼女たちは自らの脚で泥の中に入り、力強く踏みしめていく。泥が跳ね上がり、彼女たちの顔や服を汚すが、誰も気にしない。むしろらその冷たい感触を楽しんでいるようだ。
「わーい、泥んこ! お兄ちゃんが見たらビックリしちゃうかな? でも、楽しい!」
「…凸凹、均す。私の動きなら、沈まない」
ホムラも身軽な動きで泥の上を滑るように移動し、凸凹を均していく。元体操選手のような彼女のバランス感覚は、こんなところでも遺憾なく発揮されていた。
そして田植えだ。ここからは繊細さが求められる。ルリと杠が並んで、苗を植えていく。ルリの手つきは慈愛に満ちており、一つ一つの苗に祈りを込めるように、優しく泥へと差し込んでいく。巫女としての所作が、農作業にも現れているかのようだ。
「ちょっとぉ! なんで私もやらなきゃいけないのよ〜! 私は医学生で、淑女で…きゃっ!? うぅ、ブーツが泥だらけ…最悪!」
「おやルーナ様、文句を言いながらも手つきが丁寧ですね。さて、土と水が馴染みました。次は田植えです。ここからは!繊細さが求められますよ」
「よしっ、手芸部の本領発揮だね! 縦横のライン、完璧に揃えてみせるよ。…ここを通して、次はここ!」
杠は手芸で培った驚くべき集中力と精密動作で、機械のように正確な間隔で苗を植え付けていく。彼女が通った後には、定規で測ったかのような美しい緑のラインが出来上がる。スイカも、小さな体を目一杯使って頑張っている。被っているスイカの皮が泥で汚れるのも厭わず、一生懸命に苗を運ぶ姿は健気で愛らしい。
「ん〜! ここの土、変態的にイイね! 湿地帯のミネラルたっぷり含んでるよ〜。これなら最高のお米が育つこと間違いなし!」
「すごい…杠ちゃん、まるで定規で測ったみたい。私も頑張らなきゃ。苗さん、大きく育ってね…」
「スイカもやるんだよー! 小さいから、足元までしっかり見えるんだよ! 苗さん、泥のお布団あったかい?」
「こうやって植えるんだね! なんだか、おままごとみたいで楽しいな。大きくなあれ!」
南とチェルシーとルーナは不慣れな手つきながらも声を掛け合い、励まし合いながら作業を進めている。足を取られて転びそうになりながらも、その顔には笑顔が絶えない。
「んもう、泥だらけになっちゃった! でも、頑張ってる私ってのも、健気で可愛くない? ねっ、そう思うでしょ?」
「思う思う! その泥ハネた顔、すっごく絵になるわよ、アマリリスちゃん! ああもう、シャッターチャンスだらけで手が足りない!」
アマリリスも美貌を泥で隠すことなく泥んこ遊びをする子供のように、はしゃぎながらも手際よく作業をこなしている。全ての苗が植え終わると、わたしはインベントリから白い粉を取り出した。マインクラフターの必殺技、骨粉だ。
「肥料の散布はお任せを。石化装置を投げる要領で…いざッ!!」
「ははっ、相変わらず凄い投擲だ、キリサメ! 肥料が均等に降り注いでいくぞ!」
これを撒けば作物は理を無視して、瞬時に成長する。だが、今回は少しだけ自重した。なぜなら、成長の過程こそが愛おしいからだ。それでも、少しだけ魔法をかけた。時間を短縮するために。
「わわっ! すごいすごい! どんどん伸びてく! 芽が出て、花が咲いて…うひゃー、一面真っ黄色になっちゃった!」
「美しいです。千空たちの科学の光景もすごいけれど、この黄金色の波は…心に沁みますね」
骨粉がキラキラと舞い落ちると青々とした苗が、一気に背を伸ばす。太陽の光を浴びて光合成が加速し、緑色が濃くなっていく。さらに時間を進める。
穂が出る。花が咲く。そして実る。労働の果てに、見渡す限りの黄金色の野原が誕生した。風が吹くたびに稲穂が波打ち、サラサラという心地よい音を奏でる。日本の原風景だ。コンクリートと鉄のロケットの足元に広がる、豊穣の海。科学と自然のコントラストが、目に焼き付くほど美しい。
「ええ。これぞ日本の原風景。さあ皆様、ラストスパートです。鎌を持ってください。収穫の秋です!」
収穫の時だ。
「待っていたぞ! 狩りの時間だ! 稲穂一本たりとも逃しはしない!」
「っしゃオラァ! どんどん刈って、どんどん束ねろ! 男連中に負けないパワー見せてやんよ!」
「リズムに乗ってくッスよー! ザッ、ザッ、ザッ! お、なんか楽しくなってきた!」
「はぁ、はぁ…意外と重労働じゃない…! でも、この充実感は何かしら。私、結構やるじゃない!」
コハクとキリサメが、再び猛威を振るう。カマを片手に稲穂の波間を疾走し、次々と稲を刈り取っていく。ザッザッザッという、小気味よい音が響き渡る。
「最高の一枚、撮れました! 背景にロケット、手前には黄金の稲穂とみんなの笑顔! これこそ『Dr.STONE』の表紙よ!」
刈り取られた稲を、ルリや杠たちが束ねていく。南が、それを写真に収める。黄金の中に立つ、泥だらけの美女たち。間違いなく、世界で一番美しい写真になるだろう。
「…脱穀機、回す。リズム、崩さない」
「わぁっ! 出てきた! 真っ白なお米だよ! キラキラしてて、真珠みたい!」
「とれたてのお米なんだよー! これでおにぎり作るんだね! じゅるり、なんだよ!」
脱穀と精米も千空たちが作った足踏み式脱穀機と、水車を動力にした精米機であっという間に完了した。
「あー疲れた! でも心地いいね! これ絶対美味しいよ。私の美貌もお米パワーでさらに磨かれちゃうかも!」
「皆様、お疲れ様でした。完璧な仕事ぶりです。この最高級の銀シャリを、最高に美味しく仕上げるのが私の役目。さあ、かまどの方へ参りましょう!」
真っ白な真珠のような米粒。銀シャリだ。手のひらに掬い上げると、ずっしりとした重みとひんやりとした感触が伝わってくる。これが、日本人の魂の源だ。
日は傾き、空が茜色に染まり始めた。いよいよ、メインイベントだ。料理の時間だ。指揮を執るのはもちろん、龍水の執事にして神腕のシェフであるフランソワだ。彼女は真っ白なコックコートに着替え、泥だらけの服を着替えた女性陣にテキパキと指示を飛ばす。
メニューはシンプルだ。最高の米を、最高に美味しく食べるためのおにぎり。そして具沢山の豚汁。漬物。まずは火起こしだ。カセキが作った巨大なかまどに薪をくべる。火の番はホムラだ。彼女は炎の扱いには慣れている。絶妙な火力調整で竃の温度を上げていく。
「きゃはは! 冷たくて気持ちいー! ねぇ見てルリちゃん! 水がキラキラして宝石みたい!」
「はい。一粒一粒に命が宿っていますものね。優しく優しく……」
米を研ぐのはルリとアマリリスだ。冷たい水で丁寧に米を洗う。力を入れすぎず優しくリズミカルに。研ぎ汁が澄んでいくにつれて米が水分を吸い輝きを増していく。
「最初の水は、米が瞬時に吸い込みます。糠の臭みが入らぬよう、サッと混ぜてすぐに捨てる。これが、『銀シャリ』への第一歩。その後は優しく、リズミカルに。研ぎ汁が白く濁らなくなるまで米同士が削れすぎない、絶妙な力加減で…そう完璧です」
フランソワが、浸水時間を厳密に管理する。一分一秒の狂いも許さない。全ては、最高の炊き上がりのために。
「ノンノン、キリサメ様。敵ではありませんから、慈しむように。繊維に沿って食感を残す大きさで、お願いします。コハク様は豚バラ肉を。脂身の甘みを引き出すために、あまり薄くしすぎぬよう」
その間に具材の準備だ。コハクとキリサメが、今度は包丁を握る。戦士の剣技は料理にも通ずるのか、野菜を切る手つきも達人の域だ。大根、人参、ごぼう里芋。硬い根菜類が、瞬く間に美しいイチョウ切りや乱切りになっていく。
ニッキーとアオイは、豚肉の下処理だ。脂身と赤身のバランスを見極め、食べやすい大きさにカットしていく。杠は漬物の準備だ。自家製の糠床からキュウリやナスを取り出し、手際よく刻んでいく。古漬けの芳醇な香りが、食欲を刺激する。
「スイカも! スイカもお手伝いするんだよ! 味見係なら任せてなんだよ!」
「私も私もー! 変態的に美味しそうな予感がビンビンするよ〜!」
「ふふ、頼もしい助手たちですね。では、調味料の計量をお願いします。さて浸水も完了しました。いよいよかまどへ。ここからは時間との勝負、そして科学です」
スイカとチェルシーはフランソワの助手として、調味料の計量や味見係を担当している。特に、味見係は重要だ。美味しい美味しいと目を輝かせる彼女たちの表情こそが、最高の品質保証だ。
「炊きますよ」
フランソワの静かな声と共に、かまどに羽釜がセットされた。かまどの隙間から、白い湯気が立ち上る。初めチョロチョロ中パッパ。赤子泣いても蓋取るな。
「蓋をしましたね? いいですか、皆様ここからは日本の古き良き呪文…いえ、熱力学の鉄則に従います。『初めチョロチョロ中パッパ赤子泣いても蓋取るな』。これは沸騰までの時間を徐々に上げることで、米の甘みと酵素アミラーゼを活性化させ、一気に沸騰させることで対流を起こし。最後に蒸らすことで、水分を芯まで浸透させる完璧なメソッドなのです」
「うおお燃えてきたぁ! っていうか実際に薪が燃えてる匂いたまんないね!」
「ちょっと待って今の光の加減すごくいい! 働く美女と湯気いただき!」
日本の伝統的な炊飯術をフランソワは完璧に再現いや科学的にアップデートして実践している。薪の爆ぜる音と湯気の噴き出す音が食欲のシンフォニーを奏でる。
「わぁ……フランソワさんが言うと、お米を炊くのがすごい実験みたい」
「な、なによこれ…単なるライスでしょ? なんでこんなに胸が高鳴るのよ…!?」
「おや? 香ばしい匂いが漂ってきましたね。これは鍋底の水分が飛び、米が直に熱され始めた合図…『お焦げ』のサインです。火を引いてください、ホムラ様。ここから15分、蒸らしの静寂です」
やがて、香ばしい匂いが漂い始めた。お焦げの匂いだ。これぞ、直火炊きの醍醐味だ。火を止め、蒸らしの時間に入る。この数十分が、永遠のように長く感じられる。
「豚汁も仕上がりましたよ。根菜の甘み豚のコク、そして日本の魂である味噌。おにぎりという『個』と、豚汁という『和』。この組み合わせこそが、最強のレーションにして至高のフルコース」
その間に豚汁が仕上がる。大鍋の中で具材が踊り、味噌が溶き入れられる。コクのある香りが湯気と共に広がり、おにぎりへの期待を極限まで高める。
「さあ、炊き上がりました。オープンです」
フランソワが重い木の蓋を持ち上げた。もわっと立ち上る大量の湯気。その向こうから現れたのは、宝石箱のように輝く白米の山だ。一粒一粒が立っている。ピカピカと光を反射し白く輝いている。蟹の穴と呼ばれる空気の通り道も、しっかりと出来ている。完璧だ。
「!!? なんだこの輝きは…!! これが米か!?」
「わぁ…! 一粒一粒が立っています。まるで真珠のようです…!」
女性陣から歓声が上がる。コハクもルリも杠も、全員が目を奪われている。
「素晴らしい炊き上がりです。カニの穴も、綺麗にできていますね。さあ熱いうちに木桶へ。余分な水分を木が吸い取り、適度な湿度が保たれます。皆様、手水のご用意を。塩を適量手のひらに」
熱々の御飯をフランソワが、大きな木桶に移す。余分な水分を飛ばし、酢飯ではなく、塩むすび用の適度な温度に冷ますためだ。
「熱っ熱いよぅ! でもすごくいい匂い……!」
「細かいことは気にすんな! ギュッと握って愛情込めればいいんだろ!?」
「力任せはいけません、ニッキー様。外はしっかり、中はふんわりと空気を包み込むように。口の中でほろりと解ける食感こそが、おにぎりの神髄。形は不揃いでも構いません。皆様の『手』の味が、最高のスパイスになるのですから」
ここからは全員参加だ。手のひらを水で濡らし、塩をひとつまみ。熱々の御飯を手に取り、優しく結ぶ。ギュッギュッではない。ふんわりと、空気を包み込むように。
コハクが作ったおにぎりは、大きくて武骨だ。ルリのおにぎりは、小さくて上品な三角形だ。スイカのおにぎりは、まん丸で可愛い。杠のおにぎりは、形が整っていて美しい。それぞれの個性が出た無数のおにぎりが、大皿に積み上げられていく。
具材も様々だ。梅干し。鮭。昆布。おかか。そして贅沢に焼き肉を入れた、爆弾おにぎりもある。
南が次々とシャッターを切る。笑顔で自分のおにぎりを見せ合う彼女たちの姿は、どんな宝石よりも輝いている。泥だらけになりながら自分たちの手で育て。自分たちの手で刈り取り。自分たちの手で握った米。これ以上の贅沢が、他にあるだろうか。
夜になり、ロケット発射台の麓で盛大な宴が始まった。男性陣も合流し、全員で食卓を囲む。真ん中には、山盛りのおにぎり。湯気を立てる豚汁の大鍋。色鮮やかな漬物。
「いただきます!」
全員の声が重なり、夜空に響く。わたしは、一番大きなおにぎりを手に取り、大きく口を開けてかぶりついた。
「うおおおおお!! 杠が握ってくれたおにぎり!! 五臓六腑に染み渡るぞー!!」
「あっつ! うめぇ! なんだこれ? 噛めば噛むほど甘味が出てきやがる!」
「シンプル・イズ・ベスト。塩と米素材のポテンシャルを、極限まで引き出した味です。さあ! 龍水様、千空様、ゼノ様も。ロケットを動かす前に、まずは皆様自身のエンジンを満タンにしてくださいませ」
熱い。でも美味い。口の中でほどける米粒。広がる甘み。塩加減が絶妙だ。噛めば噛むほど、日本という土地の味がする。雨の味。土の味。太陽の味。そして、皆の労力の味。
「はふはふ…美味いもんじゃのう。こうして食うと、苦労が報われるわい」
「だよな…。へへ、日本の味か。悪くねえ、全然悪くねえよ」
「ん〜〜〜ッ! コーラもいいけど、やっぱこれだよねぇ〜! 染みるわぁ〜、ジーマーで!」
豚汁をすする。野菜の甘みと豚肉の脂の旨味が味噌と溶け合い、五臓六腑に染み渡る。これだ。これなのだ。ロケットを飛ばすためのエネルギーは、燃料だけじゃない。この幸福感こそが明日へ進むための、最大の推進剤なのだ。
コハクが両手におにぎりを持って、幸せそうに頬張っている。ルリがそんな妹を見て、微笑みながら上品に漬物をつまむ。スイカが口の周りに、米粒をつけて笑っている。杠と大樹が顔を見合わせて、美味しさを共有している。南がカメラを置いて、食事に没頭している。フランソワが満足げに、皆の様子を見守っている。
ここにいる全員が家族だ。科学王国という、大家族だ。
「ハッハー! 欲しい!! この素朴にして究極の味世界中の人間に食わせてやりたいぞ!!」
「…フフッ。炭水化物と塩分そしてタンパク質。効率的な補給だ。だが…嫌いじゃないねこういう非合理な熱気も」
「クククッ100億%同意だ。食ったら即出発だぞ。エネルギー満タンで月までブッ飛ばすからな!」
わたしは、この光景を目に焼き付けた。これから行く場所には、空気も水も重力すらない。冷たく乾燥した、死の世界だ。だからこそ、この温かさを。湿気を。匂いを。味を。魂に刻み込んでおく必要がある。
宴は、深夜まで続いた。誰もが語り合い笑い合い、そして少しだけ涙した。ここまで来た道のりは、長かった。石の世界で目覚め絶望し、希望を見つけ仲間を集め、素材を探し世界を巡り。そして今、ここにいる。全ての苦労が、この一粒の米の味に報われた気がした。
わたしは空を見上げた。満月がぽっかりと浮かんでいる。あそこだ。あそこにホワイマンがいる。
待っていろ。日本の米パワーをチャージした、わたしたちは無敵だ。ロケットには科学とクラフトと、そしてこの銀シャリの魂が詰まっている。負ける気がしない。
わたしは立ち上がり土で、汚れた服を払った。お腹はいっぱいだ。気力も充実した。準備は万端だ。
さあ行こうか。人類未踏の冒険へ。月へ。わたしたちの旅のフィナーレを、飾りに行こう。
次回、久々のREI視点。