クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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な、内容だけど•••う、薄味じゃ、ないんだからね!


ケータイ

 皆さんごきげんよう。わたしは、マインクラフターのアレックス。

 同伴していたクラフターを除いて、司帝国まで出張しスパイ組にケータイ届けて来たゲンたち3人。なんと司帝国の、弓使いの男に発見されたらしい。

 当該クラフターは…うっ、自分が囮になるからと実行部隊を逃がした…君のことは忘れないゾ。

 

 

Hi! I’m Lillian Weinberg!(こんにちは、リリアン・ワインバーグです)

『おぉ!? 詳しくないオレでも分かるぞ! 歌う人だアメリカの! 知ってるのか? ニッキー!』

『バカにするんじゃないよ? 知ってるに決まってる』

 

 

 現在ゲンによる『偽リリアン作戦』がスタートされ、大樹たちスパイ組の監視役を仲間にゲットしようと試みている最中である。

 監視役はニッキーというのか、声からして華の女子高生なのだろう。さぞや彼女も杠と同等の美少女に違いない。

 

 

「ワターシは通訳のセバスチャンでーす」

 

 

 セバスチャンと自己紹介している彼だが、その正体は千空である。バレないかちょっと心配、おふざけしながらしてるもの。

 一方、リリアンの声はゲンが担当している。

 

 

「Hello? I'm calling from USA」

「この電話はアメーリカからでーす」

「Everyone in Japan, please listen to me」

「聞いてください、日本の皆さーん」

 

 

 これもう凄いのなんの…相当どころか『この声…本物!?』と信じてしまう程に。

 流石はメンタリスト兼マジシャン、そこに痺れる憧れるン。

 

 

「USA is back from the Stone!」

「アメーリカ合衆国は復興してまーす」

『ナ、ナニィィィィ!?!? き、ききき聞いたか3人とも!! 助かったぞ…オレたちは助かったんだァァァァ!!!」

 

 

 真剣なまなざしで電話の向こうの相手と話しているゲン。その表情は、まるで重要な交渉をしているかのようだった。千空はその様子を見逃さず、サッと翻訳として入っていた。

 彼の頭の中では言葉の意味が瞬時に変換され、ゲンの意図が正確に伝わるよう心がけているようだった。二人の連携はパーフェクトで、相手の反応を見ながら次の言葉を選ぶ姿は、まるで舞台の上で演じる俳優のよう。

 

 ゲンと千空はコーラの甘さを楽しみながら、夢について語り合っていた。互いの思いを共有する大切な時間で、彼らの会話は楽しいひとときとなるだろう。

 浮かべるその表情には、どこか遊び心が漂っているようだった。小声で冗談や軽口が飛び交い、まるで子供のように無邪気であった。

 

 ……こーら? …えっ、こ、コーラ飲んでらっしゃる? …嘘でしょ?? 

 

 

『リリアンなら宇宙船の席を購入して、宇宙にいた筈だよ?』

「yes! When I returned to Earth, I immediately turned to stone, and it was only recently that I woke up! …美味いネェ

「そう! 地球に戻ったら直ぐ石化しちゃってね、起こしてもらったのは最近なんだァ…クククッ

 

 

 …あ、あれれ〜? こ、この『偽リリアン作戦』って大事なやつですよね? ナニしてんの?? 

 …ハァ、全く…君達? それ……わたしも欲しいデス!

 

 

どうぞ〜

『わたしが…わたしが、どれだけリリアンの歌に救われたか! こんなゴツいわたしの学生生活がさ…あんたに救われたんだよ!』

 

 

 ありがとう。飲む…くゥ〜、犯罪的だァ〜、美味しいィ〜。

 

 

「わたしの笑顔が届いて嬉しいでーす、っとリリアンは言ってまーす」

『あんたになら、いくらでも手を貸すよ! 当然じゃないか!』

 

 

 コーラとは、素晴らしい飲み物である。

 

 あれは…そう、ある夏の午後だった。陽射しが強く照りつける中、まだ人間だった頃、前世のわたしは冷たいコーラを手にしていた。

 炭酸の弾ける音が心地よく、口に含めば甘さと爽快感が広がる。喉の渇きを癒し心を軽やかにしてくれるその飲み物は、ただの飲料以上の存在だった。

 思い出を架け橋のように、心に深く刻まれていく。コーラの一口が、自分にとって特別な瞬間を生み出すのだ。ひゃっほい。

 

 

『だけどもし誰かが、リリアン・ワインバーグを騙ってんなら──』

 

 

 科学王国はコーラをも復活させた。文明を復興させれば、自分の好きだった事が出来るのだ。

 とどのつまり何が言いたいのかと言うと…スパイ組を監視してる君も、きっと分かってくれる筈だ。

 

 

『──絶対に許さない…!!』

「「ガチな奴だこれ〜、ガチファン来ちゃったわァ、いきなり」」

 

 

 わ、分かってくれる、筈だ…うむ。

 どうやら、しょっぱなからガチファン族を引いてしまったみたいだ。ニッキーはリリアン・ワインバーグが『偽物じゃないだろうね?』と疑念を抱いているようで、申し訳なさそうに本物かどうか確認したい様子が伺える。

 

 

『どうしても、その…声が違う気がするんだよ。ほ、本物だったら本当にすまない!』

 

 

 確かにそれは、至極当然のことであろう。

 

 ガチファン族にとって特別なものであり、その真偽が問われることは…彼らにとって非常に重要な意味を持つ。リリアンの歌声に魅了された者達ガチファン族は、少しの違和感でも見逃さない鋭い感性を持っている。

 ニッキーは彼女の声が本物であることを証明するために、慎重に言葉を選びながら確認作業を進めたいようだ。

 

 

『これまでのCD総売上枚数は?』

 

 

 早速来た。

 

 音楽業界においてアーティストのCD総売上枚数は、しばしば話題に上がる。しかし本人がその正確な数字を把握している、というのは稀だ。

 選択肢として、誤魔化すことも可能だろう。数字はあまり気にしていない、といった言葉で流すことが出来る。また、あてずっぽうで『おそらくは〜』と答えることも考えられる。

 

 が、これではファンの信頼性が損なわれる恐れがある。効果的なのは、感情に訴えるアプローチだろうか。

 『売上枚数よりも、ファンの皆さんとの絆が何より大切です』といった言葉で数字の背後にある想いを伝えると、聴衆の心に響くことが出来る。わたしのハートはリリアンにゲットされてしまったから、それはよく理解しているつもりだ。

 

 だが相手は、ガチファン族だ。ただのファンではない。『失礼でしょう〜! もう怒るよ〜!』の『キレる』で質問に答える第三の選択肢が上げられるが…それをしてしまったら『偽物なんだね、あんた!』判定がグンと上昇してしまう。

 

 さぁどうするべきかと悩んでいると、第四の選択肢が上げられた。『当てる』である。

 これに対し、千空とわたしは『当てる』ため計算を始めた。ゲンは近い数字が出たら、ニッキーを誤魔化す。

 

 

【おかのした】

 

 

 現在ケーキを食べている、技術開発部のわたし(アレックス03)にも『当てる』の計算をしてもらった。

 

 

「We had a commemorative party a long time ago when we sold over 50 million copies, but CDs are no longer our mainstay so I don't remember... I'm sorry? Manager, isn't that right?」

「だいーぶ前に五千万枚突破の記念パーティーやったけーど、今CDはもう主力じゃないから覚えてないのでーす…ごめんね? マネージャー、そうだよね?」

 

 

 わたしの出番だ…ゴホン、かくかくしかしか…どうだ。

 

 

『あ、合ってる』

 

 

 フッ、キマった。

 

 

『じゃあ最後にもう一つだけ、この数字を言えたら信じるよ』

【フッ、最早作戦は成功したも同然だな】

 

 

 イケる、イケるぞ! 

 なんだ、意外と簡単じゃないか。これだったら、どんな質問が来ても答えられること100億%…!! 

 

 

『スリーサイズは?!』

「「ブッフゥゥゥゥ!!!」」

【…す、すりーさいず? すりーさいずってあの…『ウエスト・バスト・ヒップ』の『スリーサイズ』? …oh】

 

 

 答えられないかもしれないです…どうしましょ? どうにかしなければ…ッ。

 

 

【き、記憶で比較してみせる! え、え〜と、なんだったかな、リリアンのスリーサイズって…】

 

 

 思考の海に沈み、記憶の断片が波のように押し寄せ…ることはなかった。分かる訳ない! わたしは思考の海から浮上した…他にどうしろと? 

 

 

【分かったぞ! 88/65/85だ! …フッ、キマった…!!】

頼むぜ、ゲン!

任せてよ、千空ちゃん!

 

 

 頼む、頼むー!!! 

 わたしの心臓は早鐘のように打ち、手のひらは汗でじっとりと湿っていた。何か大切なものを失う恐怖が、自分の胸を締めつける。まっ、わたしって心臓、ないんですけど! ヨホホホ〜、ですわ! 

 

 

『プロフィールではもっとずっと細かった筈だよ?』

 

 

 違ったらしい。この場にいる全員が言葉を失い、そして…

 

 

【知らんわ! んなこと!!】

「Well, these are real numbers」

「今のはリアルの数字でーす…そりゃファンにはサバ読んでんだろ、プロだからよ!

 

 

 焦った。ま、まぁ、ファンでも流石に…。

 しかし、わたしはハッとした。そうだ、ニッキーは…ガチファン族だった!? 

 こ、これはもしかして、もしかしなくても…ッ

 

 

『あんたは、リリアン・ワインバーグじゃない…!!!』

【フッ…『偽リリアン作戦』は失敗したな…見破られてしもうたわ工藤】

 

 

 偽物だと断定されてしまった…フッ、正解である…流石はガチファン族だ。

 リリアンなら…ファンの夢を大切にするリリアンなら、決してファンタジーを投げ捨てることはない。彼女の存在は輝く星のようにファンの心を照らす。

 歌姫のスリーサイズで偽物だと見破ったニッキーの目は、真実を求めて光っているであろう。どういうことなのかと、今も詰めて来ているし。

 

 

「レコード、行くぞ!」

「!?」

【そうか…そういうことか、千空!】

 

 

 これ以上、ハッタリは通じない。ならば科学に賭ける、という訳か。

 それなら、あるいは…!! 

 

 

『おん』

『がく』

『なのじゃ!?』

 

 

 再生されたそれは双方にとっても、懐かしいメロディだった。まるで時間が戻ったかのように、心の奥は眠っていた記憶が次々と甦ってくる。

 

 

『あっ、嗚呼…本物だよ、この歌だけは…!!』

 

 

 そしてこれは双方に…否、ニッキーにとって最も意味あるものなのだろう。事実彼女は、すすり泣いていた。

 

 

『リリアンはもうこの世にはいない…そうなんだね?』

【うぅ…ぐすん、えぐっ、ふぇぇ…!!!】

 

 

 技術開発部のわたし(アレックス03)も泣いているが、ニッキー以上に号泣している。

 しかし忘れてはならない。この女は文明を復興させるという大事を忘れ、3700年間という永い時を得てようやく『あっ、ヤベ、忘れてた』の罪深〜い女なのだ。監視役は彼女を殴ってよいと思う。

 

 

「…ああ、そうだ」

『でも、あんたが復活させてくれた。この歌の中だけは、ずっと生きてる』

 

 

 リリアンの歌しかり、文明を愛してくれる人々がいる限り心の中で生き続ける。それはリリアンを含め未来に託した『人類最後の6人』を思い出すための架け橋となり、何らかの形で残されている限り、その存在を感じることが出来る。

 

 

「これは科学の質問だよ。あんたの力なら、他のリリアンの曲も復活させられるのかい?」

【フッ、そのための技術開発部、そのための創造主です】

 

 

 わたしは立ち上がる。人類文明の復興というロマンを掲げ、マインクラフターとしての責任を果たす決意を固めよう。

 創造の能力を持つ者として、失われたものを取り戻し、そして石化現象を引き起こした犯人ブッ飛ばすのだ。それこそが、創造主の使命である。

 

 

「アレックス、代われ」

【おっと、いよいよ出番がやって来たぞ…もう一人ののわたし(アレックス01)、復唱する準備を】

 

 

 千空からケータイの受話器を手渡された。受け取った瞬間、わたしは心を落ち着けて、話しかける準備をした…よし、準備完了。

 

 

Please repeat(復唱してください)

 

 

 じゃ、やってこうか…わたしは──

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 こうして、監視役ニッキーは科学王国サイドとなった。

 

 リリアンのガチファンなのだ。科学王国(技術開発部)の力に掛かれば、他のリリアンの曲も復活させることだって可能。それを言えば、彼女は喜んで鞍替えしてくれた。

 別に嘘は言っていない。既に技術開発部は他リリアン曲の復活に成功し、マイクラ製レコードで『いつでも』再生可能であるし…あっ、これたった今知りました。

 どうやら当該録音媒体は人類石化前《くらふたーのせかい》に持ち込まれたようで、マイクラ製レコードに保存出来ないかと試行錯誤したようだ…これも今知りました。

 

 そんなこんなで現在、打ち合わせが始まろうとしている。

 

 歌姫リリアン(あさぎりゲン)

 復興したアメリカ合衆国(本当は復興してないゾ)

 

 では、打ち合わせを始めていこう…いやァ、唆りますなァ。




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