クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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薄味かも•••。


救出作戦と奇跡の洞窟争奪作戦、始まる

 持て成された場所は、天然の牢獄だった。

 

 創造主は竹製格子の隙間から外を覗き込む。思ったよりも景色は開けていた。視界に広がるのは無機質な石の広場、その先には自然の緑がわずかに顔を覗かせている。まるで自由がそこにあると、錯覚させる風景だった。

 

 至るところに、例の村人達が配置されている。村人なのかどうかすら疑わしい、不思議な村人達。

 彼らは「武装村人」として、創造主が収容されたこの牢を監視している。ただし、彼らの装備は貧弱極まりない。防具もなければ、武器も石槍や粗末な弓矢程度。心配になるほどだ。

 

 いや、心配する必要もないか。これは牢獄であり、創造主自身が囚われの身なのだから。ワクワクしちゃいますね。

 

 自分の置かれた状況を改めて確認する。何もない。地味で、無機質で、ただただ空白が広がる。

 何もない。だが、創造主の胸に湧き上がるのは恐怖でも絶望でもない。むしろ、心の奥底から沸き上がるのは──奇妙な高揚感だった。

 

 

 おお、これは……中々、面白い。

 

 

 再び格子の隙間から外を覗く。変わらぬ平坦な岩場。派手な装飾もなければ、目を引くギミックも存在しない。ただ無骨な自然石と竹格子。それだけ。だが、それが良い。このシンプルさこそ、創造主の知的好奇心を刺激する。

 

 脱出装置もなければ、劇的な演出もない。だからこそ面白い。どうやって脱出しようか。その問い自体が、最高のパズルになる。

 

 創造主はポケットに手を入れ、何が残っているかを確認した。

 

 

 ……ん?

 

 

 取り出したのは『〜ハァンハァン語翻訳手帳〜』というタイトルが記載されている、一冊の手帳のみ。

 それ以外のアイテムは、すべて綺麗に消えていた。武器、防具、ツール、食料……跡形もなく。

 

 

 あれ? おかしいな。ロストしたのか?

 いや、リスポーンした記憶はない。なら、どうして?

 

 

 記憶を辿る。最後に覚えているのは、同志アレックスからこの『翻訳手帳』を受け取った場面。妙にしつこく、創造主のアイテムを回収していった彼女の姿。

 あの時は冗談半分だと思っていたが、今となっては明らかに意図的だったことが理解できる。

 

 

 ……彼女だったか。

 

 

 口元が自然と緩む。怒りでも苛立ちでもない。ただ、ふと浮かんでくるのは──「どうやってお返ししようか」という思考だった。

 いっぺん殺して、リスポーンさせてやろう! •••なんて同志想いな創造主なのだろう? フフ、自分が誇らしい。

 

 だが、ただ復活させるだけでは面白くない。せっかくだから、少し工夫を凝らしたい。 どうすれば、一番インパクトのあるリスポーンになるか?

 

 それを考えるだけで、不思議と楽しくなってくる。

 

 例えば──高所からのリスポーン。崖の端、ギリギリの足場の上でスポーン。バランスを崩せば、そのまま真っ逆さま。命の綱渡り。

 

 例えば──水中リスポーン。深い湖の底、酸素ゲージがギリギリの場所でポンと出現。浮上する間もなく、再びリスポーンのチャンスが待っている。焦りとスリル、ダブルで味わえるお得パック。

 

 例えば──四方八方からの一斉斉射リスポーン。多数の創造主たちによる、矢の雨という名のサプライズプレゼント。喜んでくれることであろう。

 

 考えれば考えるほど、アイデアが止まらない。なんて同志想いなのだろう、自分は。

 

 新たな目標が芽生える。アレックスへの「楽しいお返し計画」を温めつつ、この牢獄からの脱出も同時進行。どちらも、創造主としての腕が試される場面だ。ひゃっほい。

 

 

 ふふ……面白くなってきた。さて、ここからどう抜け出してやろうか。

 

 創造主は再び村人たちの動きを観察する。無駄に見えるこの単純な行動の中に、きっと突破口が隠れている。そして、その先にはアレックスへの「楽しいお返し」が待っている。

 

 

【※脱出は無しでお頼み申します。 by アレックス】

 

 

 ……あっ。楽しみが、一つ減ってしまった。

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 皆さんごきげんよう。わたしは、マインクラフターのアレックスである。

 我々科学王国は『偽リリアン説得大作戦』を実行した。

 

 リリアン。

 アメリカ合衆国は既に復興し、軍隊がこの地に救援に駆けつけている最中であること。

 

 リリアン(ゲン)はそれらを巧妙に伝えると、見事…次々と『科学王国民となる!』が続出。ひゃっほい。

 潜水艦でソナーマンしていた男も仲間にゲットした。まさか司帝国ナンバースリーが仲間になるとは、思わなんだ。

 

 聞くところによると司の思想や行動、人類浄化には否定的な考えを抱いていたそうだ。自身が属する帝国を揺さぶろうとする作戦に気づいた彼は、最初は警戒を示した。

 しかし千空が「無血開城」と明言したことで、彼はその言葉を信じ協力を決意。

 

 ソナーマンもまた、アメリカ軍が本当に救援に駆けつけている点に懐疑的だったのだが、わたしの言葉で信じてくれた。英語流暢すぎてビックリした。

 まぁ、嘘は言っていない…軍事部がアメリカ軍に成りきるのだし。それに前世わたしの育った国、アメリカであるし。

 

 

【こちら軍事部、準備完了…指示を】

 

 

 …さて、いよいよだ。

 

 アメリカ政府の人間と思われてる創造主の救出作戦、は軍事部が担当。

 奇跡の洞窟争奪作戦、は一般クラフター以下科学王国民と反司帝国民が担当。

 

 現時刻を以って、作戦遂行とする! 

 

 今日この日、科学王国のカードは揃った! 

 今日この日、科学王国は司帝国を無血開城し、彼らを科学王国民とする! 

 

 軍事部に達する! これより第一回、軍事部披露しましょう会を開始する! 

 

 

「全人類の命運が決まるのだ!」

「行くぞテメーらァァァァ!!!」

【総員…前進せよォォォォ!!!】

 

 

 マインクラフター…前進せよォォォォ!!!




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