相良油田
石油とは地下に埋蔵される、炭化水素化合物を主成分とする天然資源である。主に動植物の有機物が数百万年以上の永い年月をかけて分解、変質して生成されたものとなる。液体状で産出されることが多く、原油とも呼ばれている。
石油は科学文明において最も重要なエネルギー資源の一つだ。燃料としての利用に加えプラスチックや化学製品、医薬品、繊維などの原料としても不可欠。精製によってガソリン、軽油、灯油、重油、アスファルトなどに分離され、それぞれの用途に応じて活用される。
相良油田とは静岡県牧之原市──旧相良町を中心に広がる、日本の代表的な油田の一つである。江戸時代から油の湧出が確認されており明治時代以降、本格的な採掘が開始された。
特に1880年代から昭和初期にかけては最盛期を迎え、日本国内で重要な石油供給源の一つとなる程であった。最盛期には多数の油井が掘削され、地域経済の発展にも大きく寄与したのである。
ストーンワールドとなったこの世界でも、石油の存在は欠かせない。何故なら、船を動かすために必要だからだ。
【一般創造主が黒い水たまりを発見した。それは地表に染み出た黒い宝石…お目当てのお宝スポット、相良油田に違いない】
【技術開発部…採取を頼めるかな?】
【おかのした】
舞台は何者かの意思によって全人類石化、文明は滅び人工物の殆どが無くなった3700年後の世界──。
かつて日本の石油産業を支えた相良油田は、今や完全に自然へと還っていた。人の手が加えられた痕跡は一切なく、ただ自然の恵みが広がっていた。
だが、その地下にはブラックジュエル──石油が眠っている。
そして今、技術開発部と呼ばれるマインクラフター達が、この地を訪れた。
【これより、我々は石油を採取する】
【技術開発部、やるぞ】
全ては、ロマンのために。ひゃっほい。
【おい、見ろ! 地面から黒い液体が滲み出している!】
【間違いない…この地下には、まだ石油が眠っている…!!】
指差す先には、黒い水たまりが確認出来た。更に近づいてみると、かすかに油の匂いがした。
【同志達よ、やるべきことは分かっているな?】
【うむ】
【始めよう】
しかし石油があるのは確かでも、それがどれほどの量なのか。どれくらいの深さにあるのかは、分からない。
そこでまずは、地質調査を行うことにした。
【直接掘ってみよう】
クラフターは鉄のシャベルとツルハシを使って、地面を掘り進めていく。すると、Y=30付近で──
ブシュウウウウ!!
【うわっ!? な、なんだ!?】
【やった! 油層に到達したぞ!】
突然、黒い液体が地面の奥から吹き出したのである。
とはいえ、この方法では油層の正確な規模が分からない。そこで次にポンプを設置し、どれほどの量が採取できるのか試すことにした。石油を吸い上げられるかを、確認するのだ。
【ポンプを設置して、タンクを横に置く】
【エンジンを繋いで…よし、スイッチオン!】
ゴゴゴ…!!!
ポンプが稼働し始めると、黒い石油がパイプを通ってタンクへ流れ込んできた。地下に大量の石油が眠っていることが確認出来た、瞬間であった。
【黒い水たまりが相良油田…素晴らしい!】
【ああ! 石油がどんどん湧いてくるぞ!】
これで、採掘を行う価値が十分にあることが証明された。次は、本格的な採掘を始める番である。
【さあ、いよいよ本格的に掘るぞ】
【採掘機の出番だな】
技術開発部のマインクラフター達は掘削機を準備し、地下深くに眠る石油を採掘する計画を立てた。本格的な採掘に乗り出すことにしたのだ。
掘削機を作るためには、まず必要な素材を集めなければならない。が既に素材は用意出来ている。
鉄インゴット × 6で本体フレーム
レッドストーン × 1で制御装置
鉄のギア × 2で回転部分
鉄のツルハシ × 1でドリル部分
あとはクラフトするだけである。
【よし! クラフト完了】
【設置するぞ】
採掘ポイントを決め、採掘機を設置する。隣にはポンプを配置し、掘削した石油をタンクへ送るのだ。
【でも、これだけじゃ動かせないよな?】
掘削機を動かすには、動力が必要となる。
【燃料が必要だな。これだ】
【スターリングエンジンで動かす…だよな?】
【ああ、マニュアルだとそう書いてあるな】
エンジンに木炭を入れ、スイッチを入れる。
ゴゴゴゴ…!!!
ドリルが回転し、地下へと掘り進んでいく。しばらくすると──
【よし、油層に到達した!】
歓声の声が湧き上がった。次は採掘した石油をどのように精製所へ送るかを、考えなければならない。
【よし、石油の採掘は順調だ! 次はどうやってこれを運ぶかだな】
【輸送と貯蔵、であるな】
【であ〜る!】
技術開発部のクラフターたちは、採掘した石油を精製所まで運ぶ方法を考えた。
だが、文明崩壊から3700年が経ったこの世界には、パイプラインも道路も鉄道もない。すべての輸送手段を、ゼロから作る必要がある。
【まずは採掘現場に石油を貯める場所を作るぞ】
【であ〜る!】
【織田 信奈かな??】
採掘した石油をそのままにしておくと、溢れてしまう。そこで、タンクを作ることにした。
【え〜と、マニュアルだとタンクは『ガラスx4』で出来るとある】
【おお、意外とシンプルな材料で出来るな!】
なんて量産性が高いのだと、クラフターたちはスニーク姿勢して喜びを分かち合った。
タンクを複数設置し、石油を貯める準備を整える。するとポンプから黒い石油がタンクの中へと流れ込み、透明なガラス越しに黒く光る液体がどんどん溜まっていった。
【おめでとう! タンクに黒い液体が溜まった…!!】
【よし! これで貯蔵はオッケーだ!】
次の問題は精製所まで石油を運ぶ、輸送方法だ。
【バケツで運ぶのは、うん…インベントリありでもちょっと無理ではないか?】
【こんな時は『パイプを使って流すのがベスト!』とあるな】
【あなたが神か!!?】
採掘現場と精製所を繋ぐため、パイプラインを作ることにした。
【そういえば、精錬所…作ったけ?】
【…あっ】
そうであったと、思い出した技術開発部。相良油田で採掘した石油をそのままでは使えない。
そこで燃料として利用できるようするために、精製施設を建設することにした。文明が崩壊してから3700年が経過した世界では、既存の施設は一切残っていない。つまり、建材も設備もすべてゼロから作る必要がある。
【だが、それこそが我々の仕事だろう?】
【ザッツライ〜ト】
【意味わかってるのか?】
【全くわからんぞ?】
技術開発部のマインクラフターたちは、一から精錬所を組み上げるために動き出した。
【同志諸君…建設用の土地を整地するぞ!】
【おおー!】
【ここに石油のパイプラインを引くから…この辺りを整地しよう!】
まずは、精錬所を建てるために広大な土地を確保する必要がある。整地厨の出番である。
エンチャント付与ダイヤ製シャベルとツルハシを使って地面を均し、広々とした建設用地を確保。地面は頑丈な石レンガで舗装し、頑丈な土台を作る。
【精錬所は重量があるから、地盤をしっかり固めないと】
【という設定】
【空中に建造物作っても落下しませんしね、重力無視ですから…重力って何だろう?】
空中では作らない。作った奴はリスポーンという、大変素敵なプレゼントが待っている。
【精錬所の建材の用意だ】
精錬所には高温で石油を精製するため、耐火性の高いブロックが必要になる。そこで、マインクラフターたちは以下の素材を集めた。
石レンガ → 精錬所の基礎と外壁
鉄ブロック → 貯蔵タンクの枠組み
ガラス → 精製工程を確認できる窓
鉄柵 → 工業施設らしいデザイン
【これで!】
【ああ…精錬所の建設に必要な資材は揃ったな!】
設計図を作成し、いよいよ建設を開始する。
【これより、精製機のクラフトを始める】
【鉄インゴット × 4で枠組み。ダイヤのギア × 2で精製プロセス制御用。レッドストーン × 2で動力回路】
【作業台でクラフトだ!】
精錬所の心臓部となるのが、精製機。これを作らないことには、石油を燃料に変えられないのである。
【精製機の出来上がり、ってね】
【フフッ、これこそが! 石油を燃料に変えてくれるのだ!】
精錬所の中央部に精製機を設置。その横には、原油タンクと精製燃料の貯蔵タンクを並べた。
【動力を確保するぞ】
【精製機を動かすには、だからな】
スターリングエンジンだと出力が弱いため、燃焼エンジンを採用することとなった。
【鉄インゴット × 6、ガラス × 1、鉄のギア × 2、ピストン × 1】
【出来たぞ!】
これを精製機に接続し、精製した燃料をエンジンの動力源にするのだ。これなら、スムーズに動いてくれるであろう。
【燃料を作りながら、その燃料で動く…】
【最高のシステムかな?】
これで精錬所がフル稼働し、大量の燃料を精製できるようになった。
そしてマインクラフターたちは、最後に安全対策として以下を追加した。
煙突を設置 → 排気ガスの処理
ランタンとレッドストーンランプ → 夜間作業用の照明
作業台とチェスト → 修理・メンテナンス用のツール保管
【精錬施設の建築…完了!】
技術開発部のメンバーが歓声を上げた。
さて、次はパイプラインの設置となる。まず石油をタンクから取り出すために、木製液体パイプを作成する。このパイプは、石油の吸い上げ用に使われる。
【木の歯車 × 1、ガラス × 1】
【木の歯車ってどうやって…あっ、これか】
これをタンクの出口に接続し、石製液体パイプを繋げる。
【石の歯車 × 1、ガラス × 1!】
【パーフェクト!】
この石製パイプは、長距離輸送に適している。数十ブロック先の精製所までパイプを延ばし、パイプラインを構築。最後に、大容量タンクへ接続した。ちなみに大容量は鉄インゴット× 4と、ガラス× 4でクラフト出来る。
【エンジンをセットして】
【いざ、送油開始!】
パイプラインにレッドストーンエンジンを取り付け、スイッチオン。
ゴゴゴゴ…!!!
エンジンが振動し、タンクから黒い石油がパイプを流れ始めた。
【成功だ! 流れてるぞ!】
【ちゃんと精製所まで届いてるな】
こうして相良油田の石油は無事に輸送され、精製所へと運ばれることになった。次は、この石油を燃料へと精製するフェーズとなる。
【ついにここまで来たな】
相良油田で採掘した石油は、長いパイプラインを通って精製所に到着した。
次はこれを燃料として使えるようにするため、精錬所中央の精製機で精製が行われる。精製機は、かなり重要な装置である。これがなければ、石油を燃料に変えることが出来ない。
石油を精製機に流し込むために、パイプで接続。既に動力は確保されているので、燃料をセットしスイッチオンするだけである。
【スイッチオン】
ゴゴゴ…!!!
精製機が作動する。すると、黒い石油が透明な燃料へと変わっていく。
【おお、燃料になったぞ!】
【であ〜る!】
【スキンまで織田 信奈】
こうして相良油田の石油は精製され、燃料として使用できるようになった。
ポンプ、採掘機の動力強化も出来た。燃料が安定供給できるようになったことで、様々な工業化が可能となるだろう。
「技術開発部のアレックスです。どうです皆さん? これが技術開発部クラフターの力…凄いでしょう?」
「「「…」」」
ドヤ顔する白衣のアレックスを他所に、科学文明人は宇宙猫となっていたのであった。千空の『唆るぜ、これは…!!』と、ヤベーと興奮するクロムを除いて。
■□■□■□
皆さん、ごきげんよう。わたしは、マインクラフターのアレックス。
黒く濁った泥水——それが石油だなんて……完全に聞き逃していた。あんなに重要な情報だったのに、一体どうして?
耳掃除、サボってたかな…?
いや、待てよ。そもそも、わたしは創造主だ。耳なんて、常に完璧にクリーンなはずでは…?
「なぁ、
どうかしたか?
「…水車も発電機も通信機も、その他諸々…技術開発部で何とかなったんじゃないかって…そう思わずにはいられないよ」
フフッ、それはそれは……言わないお約束だってばよ。
「レベルアップ…しような…また千空からお叱りされとうないし」
であるな…。
わたしたちは深く息を吐きながら、静かにハァンと鳴らしたのだった。
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