科学王国戦略会議室
地上電波灯台とは、何なのか?
それは技術開発部と一般創造主たちによって、地上に築かれた通信の拠点である。建築に至るまでの過程は、彼らによって成し遂げられた。
資材の調達は迅速だった。
鉄鉱石をかまどで精錬し、ブロックとして積み上げる。鉄材が足りなくなれば、《くらふたーのせかい》のアイアンゴーレムトラップより調達した。
整地作業も瞬く間に完了し整然とした地面の上に、精密な設計に基づいた土台が築かれた。
そして、建築は一気に進む。
マインクラフターたちは、迷いなく鉄ブロックを積み上げていく。支柱となる鉄柱が組み上げられ、補強のための梁が加えられる。必要な部分にはガラスがはめ込まれ、内部の視認性を確保しながら、構造全体を美しく仕上げていった。
かつての文明では数か月を要したであろうこの建築作業も、彼らの手にかかれば数時間以内で完成へと至る。
最上部には、遠方まで電波を飛ばすための巨大なアンテナが設置された。それは大地にしっかりと根を張りながら、まるで空を突き刺すようにそびえ立つ。
この塔の目的は明確だった。
モーターボートによる海上試運転が行われた今、帰還するための確実な連絡手段が必要不可欠となった。海の向こうから正確な位置情報を得て、仲間と交信するために──この地上電波灯台は建築されたのだ。
通信設備の構築も、マインクラフターたちの手によって進められた。
塔の基部には発電装置が設置され、レッドストーン回路を用いた信号変換装置が組み込まれる。機械群が規則正しく作動し、電波の発信が可能な状態へと整えられていく。蓄電装置には安定したエネルギーが蓄えられ、送信機が動き出す準備を整えていた。
昼間の太陽がその塔を照らし、金属の表面が強い光を反射する。遠くからでも視認出来るその輝きは、ただの建造物ではない。それは人類が再び科学の時代へと踏み出したことを示す、象徴的な存在だった。
電波は、ただの通信手段ではない。かつての世界でGPSが担っていた役割を、この塔が担う。見えない信号が海を越え、航行する者たちに確かな位置情報を提供する。
この灯台の電波が届く限り、海上にいる者は自らの現在地を知ることができ、陸地の仲間と正確に連携を取ることが可能となる。漂流することなく、安全に帰還するために──この電波こそが道標となる。
それは、科学の復活を象徴する建造物。そして、マインクラフターたちが築き上げた、人類の新たな礎となる通信の拠点。
それが、地上電波灯台なのだ。
「海の遙か彼方に、別グループの方でもいるのでしょうか?」
「対処は中の会議の連中に任せるべきだ。実際の現場に立ち会った、おそらくは科学王国で最もキレ者の──六知将に」
その地上波灯台の隣には、急遽設置された科学王国戦略会議室があった──。
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科学王国戦略会議室は、文明の進化を体現するかのように建築された。壁面には未だに石と木材の名残がありつつも、鉄とガラスが組み込まれ、その発展の過程が視覚的に示されている。天井にはシーランタンが並ぶ。柔らかくも力強い光を放ち、知の拠点に相応しい空間を演出していた。
中央には円卓が鎮座し、その上には地図がホログラムのように浮かび上がる仕掛けが施されている。ガラスとカーペットを駆使し、視覚的な戦略ボードが形作られていた。円卓を囲むように、六知将の座席が並ぶ。
彼らの知が結集する場所に相応しく、それぞれの座席には専門分野に関連する装飾が施されている。石神千空の席には設計図とフラスコが並び、クロムの席には鉱石とツルハシが置かれている。
部屋の隅には研究資料を収めた棚が整然と並び、額縁には試験管や設計図が飾られている。奥にはレッドストーンのエネルギーが脈打つ機構が設置され、科学の力を象徴していた。壁面には六知将の肖像が旗やマップアートとして掲げられ、まるで彼らが会議の行方を見守るかのようだった。
そう、見守る…六将の一人である、このわたしは! 五人の男の御顔を拝んでいるのだ!
「改めて、ここまでの物語を整理してみようか」
科学王国のリーダー。修飾語に100億という言葉をよく使う、科学大好き少年! 石神ィィィィ、千んんん空ゥゥゥゥ!!!
発想力の天才。クロムゥゥゥゥ!!! 未知なる素材と技術を組み合わせ、新たな可能性を生み出す発想力の天才!
策略の魔術師。あさぎりィィィィ、ゲンゥゥゥゥ!!! 軽妙な語り口と鋭い洞察で、敵も味方も手玉に取る!
静かなる観察者。西園寺ィィィィ、羽京ゥゥゥゥ!!! その慧眼が世界の裏側までも見通す!
決断の覇王。七海ィィィィ、龍水ゥゥゥゥ!!! 迷いなき決断で、科学王国の未来を切り拓く!
そして創造主の…わたし! アレェェェックスゥゥゥゥ!!! 創造を極め、世界に新たな輝きをもたらす!
「ある日突然、地球に降り注いだ謎の光線で人類は全員石化した」
皆さんごきげんよう。わたしは、マインクラフターのアレックス。イケメンだよなァ、この方々は…尊さのあまりリスポーンしそうだァ。
さて、真面目モードに移行せねばな。現在、我々は今後の方針のための会議をしているとこである。
「フゥン! その黒幕がホワイマンかと思ったが」
「あはは、『ホワイマン』って名前付いたんだ」
「アレックスたち創造主以外が3700年間、生き続けてる筈もないからな」
あっ、龍水? そこの美女が黒幕かという視線やめてくだされ…イジワルな視線だなァ。
「ホワイマンは味方、つー線はねえのかよ?」
「敵っつう前提以外いらねえんだよ、考察に。もし味方なら『万全の準備し過ぎでした、良かったね!』で済む話だ」
ホワイマン…いったい何者なんだ!!
ということで…皆さん注目! わたしの『ホワイマンの招待』…間違えた…『ホワイマンの正体』について3つ考察した。
千空と同等、もしくはそれ以上の科学使い復活者説。
正直なところ、これは無いと考えている。何故なら、かつての世界においても、そしてわたしの前世においても、世界中の全人類を石化させる技術は存在していない。もしも、すら無い。
もちろん、技術開発部クラフターも同様だ。だから『テメーが黒幕だな』という視線はやめていただきたい。笑うな笑うな。
次に、かつて栄華を極めた古代人説だ。
古代人と聞けばアトランティス、と答える人間は多いのではなかろうか。アトランティスは古代ギリシャの哲学者プラトンが『ティマイオス』『クリティアス』で記述した伝説の大陸だ。
高度な文明を誇るが神々の怒りに触れ、一夜にして海に沈んだとされる存在。わたしが推している一説によると、『とある王族より兵器開発を依頼された、異世界からの召喚者』によってクラフトされた機動要塞で滅んだとされている。
最後に、宇宙人説だ。
これは端的…『地球の環境を守ります♡』…人類は温暖化してるやら環境めちゃくちゃにしてるやらで、石化させた?
とどのつまり、『古代人説か宇宙人説』のどちらかが説得力あると、わたしはそう考えます。
「だな。仮に黒幕が俺たち地球人だったとして、『環境がもう大変なので高度な文明に頼りました』で納得いく」
「つかまぁ、少なくとも好意的ではないでしょ。ジーマーで。だって『千空ちゃんのカマかけ煽りスルーして。アレックスちゃんのレコードで泣いたかも?』でモールス信号も切れて、なしのつぶてなんだから」
「叫んでたしな。クククっ」
たく、ホワイマンめ。最後までレコード聞いて欲しいものだ。とっておきなんだぞ? 損するぞ。
「正体不明。どこにいるかもどこから来るかも分からない、見えない敵か…ハハ、最高にキツいね」
「それだァァァ!!!」
「「「!!?」」」
「見えねェ敵を見てやるよ…科学の眼でなァ…!!」
ホワイマンよ。機会があれば次は…直で聞かせてやる…唆りますナァ。
待っていろ…レーダー開発して見つけてみせるからな!
思考力:石神千空
発想力:クロム
策謀力:あさぎりゲン
洞察力:西園寺羽京
決断力:七海龍水
創造能力:アレックス