クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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このような拙作なのにも関わらず、いつも読んでくださりありがとうございます。


科学の眼と耳

 レーダーとは何か? 

 

 レーダーとは電波を利用して物体の位置や距離、速度を測定する技術である。電磁波を発射し、対象物に反射して戻ってきた波を受信・解析することで、その存在を特定。主に軍事や航空、航海、気象観測などの分野で用いられ、現代の安全保障や交通インフラに不可欠な技術となっている。

 

 レーダーの基本原理は、エコーの反射に基づく。電波は光速で進むため、発射から反射波の帰還までの時間を測定する。これにより、物体までの距離を算出可能となる。更にドップラー効果を利用すれば、移動する物体の速度も測定可能だ。

 

 軍事では敵の航空機やミサイルの探知に、航空では飛行機の航路管理や管制に、気象観測では雨雲や台風の追跡に活用される。また、最新の自動運転技術にも応用され、交通の安全性向上に貢献している。レーダーは現代社会を支える『遠くを見る目』として、さまざまな分野で進化を続けている。

 

 ソナーとは、何か? 

 

 ソナーとは音波を利用して水中の物体を探知、測定する技術である。音波を発射し、対象物に反射して戻ってきた音を解析することで、その位置や距離を特定することが出来る。レーダーが電磁波を使うのに対し、ソナーは音波を利用する点が大きな違いだ。

 

 ソナーは主に軍事や海洋調査、漁業、潜水艦の航行支援に活用されている。軍事用途では敵潜水艦の探知や水中監視、海洋調査では海底地形の測定や沈没船の捜索、漁業では魚群探知機としての役割を果たす。

 

 音波は水中では光よりも遠くまで伝わるため、ソナーは視界が効かない深海や濁った海域でも正確な情報を得られる。また音波を発射して反射波を受信するアクティブソナーと、周囲の音を受信するパッシブソナーの2種類あり、用途に応じて使い分けられる。水中の『耳』として、ソナーは海の安全と探査の最前線を担っている。

 

 

《許可する。取り掛かれ、石神千空──期待している》

「04、Sound off(サウンドオフ)

「承知しました。全ては──ホワイマンを見つけ殴るために」

「せ、千空がそんな暴力的な言葉を使うなんて…お母さんは貴方をそんな風に育てた覚えはありませんよ!!?」

「ツラ貸せやゴラ」

 

 

 科学王国と技術開発部の挑戦により、今まさに科学の眼と耳が復活しようとしていた──。

 

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 

「ホワイマンを見つけ出すには、科学の眼と耳が必要だ」

 

 

 3700年という時を経て、かつての技術を取り戻しつつある。だが、ホワイマンの正体は依然として謎に包まれていた。レコードで泣いた、ということだけは…爆音で流されちゃあ誰だってそうなる。

 悲しきかな。科学王国の民は同情の欠片など、微塵も持ち合わせてはいなかった。あるのはただ、『ホワイマンをボコボコに♡』という心だけである。ホワイマンは全人類石化させて文明リセットしちゃったからね、仕方ないね。

 

 レーダーとソナー。

 

 陸と空を探るレーダー、水中を探るソナー。この二つがあれば、ホワイマンの痕跡をどこまでも追い続けることが出来るであろう。

 

 技術開発部はすぐさま動き出した。作業台に材料を並べ、ツルハシとレンチを手に取る。3700年ぶりに、人類の『眼』と『耳』を取り戻すのだ! ひゃっほい…地味にちょっとホラーだナァ、と創造主は苦笑いした。

 

 

「レーダーを作るには、まずマグネトロンが必要だな」

 

 

 千空が示したのは、銅と錫の合金から作られた真空管。内部にはフィラメントと陰極があり、高電圧をかけることでマイクロ波を発生させる。このマイクロ波こそが、レーダーの『眼』となる。

 

 クラフターたちは慎重にマグネトロンを組み上げ、冷却装置を取り付ける。次に電波を発射し、反射波を受信するためのアンテナを作る。金属製の導波管とパラボラアンテナを組み合わせ、指向性を持たせることで探知精度を向上させているのだ。

 

 

「これで電波を飛ばせる装置は完成だね」

「フゥン! だが反射波を解析する仕組みがなければ、意味がないぞ?」

 

 

 そのために作られたのが、受信回路とディスプレイ。まだ高度なディスプレイはクラフトできないため、ガラスのブラウン管を代用することとなった。

 

 

「電波を発射し、戻ってきた波の強弱を表示するシンプルな仕組みだが、十分に機能する」

「レーダーの完成だぜ!」

「千空ちゃんが作り方を教えてる、てのもあるけど…ゴイスーね〜」

 

 

 レーダーが完成すれば、次に取りかかるのはソナーだ。海の中は電波が届かない。そこで、音波を利用するソナーが必要となる。

 

 

「ソナーの肝は、超音波発振器だよね」

「そして反射波をキャッチするのが、ハイドロフォンってわけだねェ」

 

 

 羽京が手にしたのは、精密に加工された石英水晶。電圧をかけることで振動を生じさせ、それを増幅して音波として水中に放つ。この音波が障害物に当たり、反射波として戻ってくることで、水中の物体を探知できるのだ。

 

 

「音の強弱と遅れを測定すれば、水中の地形や物体の位置を割り出せるぜ」

 

 

 ソナーの発振器を組み立て、受信回路と接続する。ソナーの受信機は高感度の圧電素子を使用しているため、水中での音の伝播を正確に捉えられる。

 

 

「これで水中もバッチリってわけかよ! ヤベーなァ、ハハハ。ホワイマンの奴はこんな面白えーのを…ッ」

【どうかしたか? 村人。あいや、個体名があったか…どうかしたか? クロム】

「ウォ、ウォウォ? ウォウォ」

「なんて言ってんのか分かんねェけどよ…心配してくれてありがとな! ニシシ」

 

 

 クロムが涙を拭って満面の笑みを浮かべて、とある技術開発部クラフターはスニーク姿勢する。創造主と村人の友情が深まる中、科学の耳は今ここに再誕した。

 

 

「クククッ、まずはレーダーのアンテナを船尾に設置すんぞ」

「しっかり固定しねェと、波でブレちまうからな!」

 

 

 レーダーとソナーが完成し、いよいよモーターボートに取り付ける作業が始まった。金属製のフレームに固定し、電源回路と接続。続いてソナーの発振器を船底に埋め込み、ハイドロフォンを側面に取り付けた。

 

 

「ふふっ、懐かしいね。これからテストすると思うと、つい涙が出ちゃうよ」

「レーダーは空と陸を、ソナーは海の中を探れるわけだねェ」

 

 

 技術開発部のクラフターたちは、モーターボートの上で牛乳を飲む。特段、理由はない。ただ、ゾンビの肉を食べてしまっただけで。ちなみに織田 信奈スキンの創造主は、ゾンビ肉にハマってしまったらしい。

 

 

「ハッハー! ついに出発の時だな!」

 

 

 龍水が満足そうにフィンガースナップを鳴らす。千空たちが乗り込むと同時に、創造主たちもモーターボートに乗り込んでいく。いよいよ、テストする時だ。

 

 モーターボートのエンジンが低く唸りを上げる。波が軽く揺れるなか、試験航海の準備は着々と進んでいた。技術開発部のマインクラフターたちは最後の点検を終え、それぞれの持ち場へと散っていく。

 

 

「フゥン! 燃料、機関部、計器類…問題なし! 出航の準備は万端だな!」

 

 

 船首で腕を組んでいた龍水が満足げにフィンガースナップを鳴らした。その横ではクロムがワクワクとした様子で周囲を見回している。

 

 

「レーダーとソナーを試すってのは、マジで楽しみで興奮すんぜ!」

「まあ、道具は作っただけじゃ意味ねえからな。実際に動かしてみて、どこまで使えるか確かめねぇとよ」

 

 

 千空がそう言いながら、ボートの操縦席に座る。

 

 

「出すぞ、乗れテメーら!」

「ハッハー! エンジン始動」

 

 龍水が高らかに笑い、ボートがゆっくりと陸地から離れる。羽京は静かに海を見つめながら、すでに周囲の音を注意深く聞いていた。

 

 

「あはは。やっぱり音っていいね。波の音が心地いいよ」

「おっと、羽京ちゃん。ソナーがあるとはいえ、耳も頼りにしてるからね。何か聞こえたらすぐ教えてよ?」

 

 

 ゲンが軽くウィンクしながら言うと、羽京は微笑みながら頷いた。

 

 

「もちろんさ。人の耳も、なかなか捨てたもんじゃないからね」

 

 

 こうして、3700年ぶりの『科学の眼と耳』を使った探索航海が始まった。まずはレーダー作動し、科学の眼で海を視る。

 

 

「よし、まずはレーダーのテストからだ!」

 

 

 千空がスイッチを入れると、船尾のアンテナが回転を始め、微かな電子音とともに電波が四方に放たれた。

 

 

「さて、陸地や障害物がどんな風に映るのか…ブラウン管の映像、しっかり見とけよ」

「おおっ! スゲェな! ちゃんと反応してるじゃねぇか!」

 

 

 ブラウン管の表面にぼんやりと光点が浮かび上がる。陸地、遠くの島影、そして空を飛ぶ海鳥の姿までが反射波として捉えられていた。

 

 

「ま、基本的な動作はバッチリだな。これなら、もし何かデカいもんが空を飛んでたとしても、すぐに分かるぜ」

「ホワイマンがもし空にいたら、レーダーでバッチリ捕まるってことだしねェ」

 

 

 ゲンが軽く肩をすくめて言うと、千空はニヤリと笑った。

 

 

「まぁな。でも、まだホワイマンが空にいるかどうかは分かんねえ。だからこそ、この試験が重要なんだよ」

「ん?」

 

 

 その時だった。アレックスは見た。ブラウン管の端に、ほんの一瞬だけ奇妙な発光点が映ったのを。しかしそれは一瞬のことで、他の誰も気づかなかった。それを彼女は……とりあえず知らんぷりすることにした。

 

 

「嗚呼、ゾンビ肉ウメーなァ…うわハート減った」

「さて、次は水中だな。ソナー、起動すんぞ!」

 

 

 千空がもう一つのスイッチを押すと、船底の超音波発振器が作動された。水中へと、音波が放たれたのだ。

 

 

「音波が海底にぶつかって、反射波が戻ってくる。そのデータを解析して、海の中の様子を探るってワケだ」

 

 

 ソナーマンの羽京が目を閉じ、耳を澄ませる。

 

 

「…うん、確かに聞こえるね。超音波が跳ね返る音が」

 

 

 しばらくすると、ブラウン管に新たな影が映し出された。それを見たクロムが興奮気味に指さした。

 

 

「おっ? 何か映ったぞ!」

「どうやら魚の群れのようだね」

 

 

 羽京が笑いながら言うと、クロムは少し残念そうな顔をした。

 

 

「魚かよ…まぁ、ホワイマンが海ン中にいるとは思えねェしな」

「ふふっ、代わりにバカみたいにデッカいタコがいるかもしれないよ?」

「ハッハー! だが新鮮な魚が大量に獲れるというのは悪くない話だな!」

 

 

 龍水が満足そうに頷いた。こうして、ソナーも順調に機能していることが確認された。航海は順調に進み、レーダーとソナーの動作は完璧だった。

 

 

「この調子なら、レーダーとソナーの実用性は十分に証明されたな」 

「くっそー、ホワイマンの影を捉えるまではいかなかったかァ…!!」

「だが、レーダーとソナーが実用レベルに達しているのは間違いねェ。クククッ」

 

 

 試験航海を終え、モーターボートは陸地へと向かう。風が心地よく、船上では解析データが整理されていた。

 

 

「フゥン! ならば今後の航海はさらに有意義なものになるな!」

「ホワイマンを見つけるのも、夢じゃないねェ。バイヤー」

 

 

 龍水が満足げに頷き、ゲンは笑った。今回の試験で分かったのは、レーダーとソナーが確実に機能していること。それだけでも、大きな進歩だ。

 

 海を照らす科学の目と耳は、まだ発展途上に過ぎない。しかしこの技術が進化すれば、ホワイマンの姿を捉える日が来るかもしれない。あぶり出そう。陸にいようが空にいようが海にいようがだ。3700年の時を超え科学の旅は、まだ始まったばかりだった。

 

 

「地球の裏まで走破して、謎の敵ホワイマンを探し出す!」

「待っていやがれ、ホワイマン!!」

「向こうが絡んできてくれたおかげでよ。ようやく石化の謎にジワ迫り出来る…クククッ、最高な展開じゃねえか!」

 

 

 一方、ゾンビ肉を食べ過ぎたアレックスは気絶していた。ついでにピクピクして瀕死状態である。誰にも気づかれぬことなく、一行は順調に帰路に就くのであった。




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