クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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一方その頃、アレックス04は…


間話 アレックス04は踏み出す

 見渡す限り、波のようにうねる砂丘が連なり、吹き荒れる風が地面を削り取っている。アレックスは目を細め、サングラス越しに遠くを見つめた。彼女の前方には、風化した古代の寺院が静かに佇んでいる。

 

 

「やっと見つけた…」

 

 

 呟きと共に、アレックスは足を踏み出した。砂を踏みしめるたびに、ブーツの中へ細かな粒が入り込む。頭上の太陽は無慈悲に照りつけ、黒のスーツには汗がじんわりと滲んでいた。

 

 

「まっ、汗じんわり滲むことなんてないんだけどね!」

 

 

 寺院は、幾千年もの時を経た建造物のように見えた。赤みを帯びた砂岩で作られた四角い塔が二本、堂々とそびえ立ち、その中央には奥へと続く階段が口を開けている。入口はまるで神話の獣の口のように影を落とし、吸い込まれるような暗闇を湛えていた。 

 

 

「…さて、何が出るかな?」

 

 

 軽く肩を回しながら、アレックスは慎重に中へと足を踏み入れた。

 

 階段を降りるたび、微かな埃が舞い上がる。古びた石の感触が靴裏に伝わり、壁に刻まれた無数の碑文が、長い時の流れを物語っていた。

 

 静かに周囲を見渡しながら、一歩ずつ進む。松明を掲げると、オレンジ色の光が石造りの空間をぼんやりと照らし出した。古代の職人によって丁寧に積み上げられた石の壁は、今なお崩れる気配を見せない。

 

 しかし、彼女の目が向かうのは壁ではなく、床だった。細かく敷き詰められた石畳の一部に、僅かな隙間がある。慎重に膝を折り、手で触れる。

 

 

「なるほど」

 

 

 指先に伝わる感触が、微妙に異なる。この一帯の床だけが、わずかに沈み込む構造になっていた。巧妙に設計されたトラップの可能性が高い。

 

 アレックスはインベントリから石のハーフブロックを取り出し、慎重に床に置いた。音もなく沈み込む石。その瞬間、遠くで鈍い音が響き、壁のどこかが動く気配がした。

 

 トラップは作動したが、アレックスはすでに安全な位置にいた。楽しげに微笑むと、ツルハシを取り出し、床の一部を軽く叩く。

 

 

 ──カンッ。

 

 

 一撃で、床のブロックが消え去る。その下に現れたのは、鋭い鉄の槍が林立する落とし穴だった。

 

 

「うん! いい仕掛けだァ」

 

 

 感心しながらアレックスは手際よくブロックを積み、向こう側へと渡る。

 

 封印された地下は、まるで迷路のように入り組んでいた。左右対称に並ぶ石柱、天井から垂れ下がるツタ、壁に刻まれた象形文字──それらはすべて、かつてここに存在した文明の名残だった。

 

 歩を進めるうちに、空気が変わった。湿り気のある空気に、かすかな獣の匂いが混じる。アレックスは立ち止まり、視線を鋭くする。

 

 前方の暗闇に、わずかな動き。

 

 彼女はすぐに弓を構え、慎重に狙いを定める。矢を一本、ゆっくりと番えた。

 

 次の瞬間、闇の中から飛び出してきたのは──ゾンビだった。

 

 だが、アレックスは驚かない。むしろ楽しげに微笑むと、無駄のない動作で矢を放った。矢は正確にゾンビの額へ突き刺さり、鈍い音を立てながら倒れる。瞬間、腐肉とジャガイモをドロップして消滅した。

 

 

「よし、次」

 

 

 さらに二体、続けて現れる。アレックスは矢を放ち、確実に仕留めていく。最後の一体が倒れると、周囲は再び静寂に包まれた。

 

 彼女は矢を回収しながら、ゾンビが湧いた場所を確認する。そこには小さなスポナーがあった。

 

 

「なるほど。これが元凶か」

 

 

 アレックスはツルハシを取り出し、スポナーを破壊する。ブロック化したそれを回収し、再び探索を続けた。彼女のツルハシは特別なのだ。

 

 やがて、地下の奥へと進むにつれ、壁の装飾が変わり始める。単なる石造りの通路から、豪奢な金細工の装飾が施された回廊へと変化していた。

 

 そして、行く手には巨大な扉がそびえ立っていた。

 

 古びた金属製の扉は、重厚な装飾が施され、中央には鍵穴がある。アレックスはポケットから鍵を取り出し…そもそも鍵がないので普通にツルハシで道を切り開いた。

 

 その先には、かつて誰も見たことのない空間が広がっていた。

 

 広大な地下ホール。天井は高く、無数の松明が整然と並び、かすかな炎が揺らめいている。床には黄金のモザイクが描かれ、中央には祭壇のようなものがそびえ立っていた。

 

 

「スッゲー」

 

 

 アレックスは歩を進め、祭壇の上に置かれた箱を見つめた。ゆっくりと蓋を開けると──そこには、光り輝くアイテムが静かに眠っていた。

 

 

「素晴らしいですねェ」

 

 

 アレックスは祭壇の上の箱を見つめた。光り輝くアイテムが静かに横たわっている。手を伸ばし、指先で触れる。その瞬間、低い振動が空間全体に響き渡った。

 

 

「あらま?」

 

 

 遅れて、重々しい音がどこかで鳴る。床下から石が擦れるような音。壁の奥で何かが動いている。

 

 

「仕掛けが作動したのかしら? かし〜ら!」

 

 

 アレックスは一瞬、耳を澄ませた。振動は徐々に増し、天井の奥から微かな砂が舞い落ちる。視線を走らせると、回廊の入口だった場所が既に石壁で塞がれつつあるのが見えた。

 

 

「フサッシ!」

 

 

 封鎖される前に飛び込む。アレックスの動きに迷いはなかった。着地と同時に、背後で鈍い音が響く。振り返ると、完全に閉ざされた扉。もう戻ることはできない。

 

 

「ふっ、ぼちぼちな点数か?」

 

 

 だが、彼女の表情は冷静そのものだった。

 

 前方に広がるのは、幾重にも仕掛けが施された回廊。壁に並ぶ穴、床に埋め込まれたわずかな段差、そして奥へと続く不気味な闇。

 

 アレックスは軽く息をつく。

 

 

「なるほどねェ」

 

 

 視線を下げると、かすかに踏み跡が残っていた。人ではなく、何かが這ったような痕跡。それが導く先を目で追うと、薄暗い天井に奇妙な影が揺らめいていた。

 

 次の瞬間、無数の矢が壁の穴から一斉に放たれる。 

 

 

「はうちゃあー!!」

 

 

 アレックスは迷わず前に跳んだ。床を蹴り、勢いよく転がる。背後で矢が壁に突き刺さる音が続く。着地と同時に体勢を整え、一息で駆け抜ける。

 

 

「矢が収まり、静寂が戻る…てね! …おや?」

 

 

 天井を見上げると、細かい穴が開いていた。何かの気配がある。アレックスは弓を構え、狙いを定めた。

 

 次の瞬間、天井から何かが落ちてくる──クモだ。

 

 

「クモよ、目玉を…あっ、ダメ?」

 

 

 黒い体を持つそれは、糸を吐きながら素早く降下してきた。しかし、アレックスは動じない。

 

 

「ならくたばれやー!!」

 

 

 弓を引き絞り、一瞬のうちに矢を放つ。クモは音もなく床に転がり、そのまま動かなくなった。同時、糸のアイテムをドロップして消滅した。

 

 

「弓、今もなお最強なり…無限以外にもエンチャントすればよかった」

 

 

 ゆっくりと立ち上がり、奥へと視線を向ける。まだ終わりではない。

 

 通路の先には、広い空間があった。中央にぽつんと一本の柱。そしてその床は、不自然なほどに平坦だった。

 

 アレックスは慎重に近づく。足元を確認し、床の一部がわずかに沈んでいるのを見つけた。

 

 

「パターン青! 間違いありません! これは…落とし穴です!! きゃー、なんですって!?」

 

 

 彼女はツルハシを取り出し、試しに床を軽く叩く。

 

 カンッ──

 

 一瞬の間を置き、足元が崩れた。

 

 

「ホントにきゃー!!」

 

 

 アレックスは即座に後方へ飛ぶ。眼下には深い闇。下には鋭い棘が無数に並んでいた。

 

 

「ふ、ふふ! か、かかか完璧な作戦であった! …にしてもこれ、なかなか手が込んでるな」

 

 

 落ちたら即死は免れない。しかし、対策はある。アレックスはインベントリから砂利を取り出し、崩れた床に投げ入れた。

 

 

「アップデートかな??」 

 

 

 砂利はゆっくりと積もり、足場を形成する。慎重に降り立ち、次の安全な床へと移動する。

 

 進むたびに、新たな仕掛けが待ち受けていた。矢の罠、床の仕掛け、崩れる天井──だが、アレックスはすべて冷静に突破した。

 

 

「ふっ、わたしは常に冷静な創造主なのだよ?」

 

 

 やがて、最後の扉の前に立つ。

 

 古びた金属の扉は、中央に鍵穴が刻まれていた。彼女はポケットから鍵を取り出し、静かに差し込む。

 

 

「ないのでツルハシだ! えいや! ほいや! 司と結婚したい! 家事は全部お任せして、わたしは旅ゲフンゲフン…仕事のため外に…ふっ、輝かしい未来ではないかね?」

 

 

 扉の向こうには、外の世界が広がっていた。寺院の外へ出ると、既に夕暮れが砂漠を朱に染めていた。風が吹き、心地よい冷たさが肌を撫でる。

 

 寺院の外へ出ると、既に夕暮れが砂漠を朱に染めていた。風が吹き、心地よい冷たさが肌を撫でる。

 

 アレックスはジャケットの内ポケットからタバコを取り出し、ライターを弾いた。火が灯り、煙がゆっくりと夜空へと昇っていく。

 

 

「まっ、悪くない収穫だったな」

 

 

 手にした金のリンゴを軽く放り投げ、再びポケットにしまう。遠くで砂嵐がゆっくりと立ち上り、寺院を包み込むように舞っていた。

 

 

「さて、次はどこへ行こうか…日本の本土に行くのもありか?」

 

 

 アレックスは砂漠の地平線を見つめながら、静かに歩き出した。

 

 

「「「♪」」」

「団体様ご案内デース! 空に逃げればk」

 

 

 そしてこの日、小さなクレーターが形成された。




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