「こんな非常時でも、後宮の美少女選抜とやらは実施するのか?」
「これが美少女の、座り方…??」
「やるよ。モズがやらない訳ないもん」
皆さんごきげんよう! わたしは、マインクラフターのアレックス。統括のアレックス、とも同志たちに呼ばれているぞ!
無事、宰相の軍勢に占有されていたペルセウス1号より、ラボカーはこの手に取り戻すことが出来た。元戦国姫武将・現クラフターの織田 信奈と、彼女と同じく潜伏していた銀狼とスイカによって。
銀狼…君はGGRキャラではない…スイカと信奈と同じ、SSRキャラであったぞ。うん◯を再現し『く、臭!!? やっぱり化け物じゃねぇか!!』させた功績…大義であったぞ! 見直したぜ…。
「私も見直したわよ? やれば出来る男だ! ってね」
「信奈ちゃんのおかげで助かったよォ〜!!」
「こら…ったくもう、抱きつくのはやめなさいよね?」
信奈もこう言ってくれている。潜入のプロたるスイカの活躍も、忘れてはならない…透明のポーション無くても擬態最強と聞く…流石だぜ。そこに痺れる憧れルン!
「これ、もしかして…南国素材?!」
「クククッ、やるじゃねぇか! アマリリス、テメー」
「ココナッツ以外もあるわよ」
我らは今、アマリリスに案内された〈サファイアの洞窟〉に隠れている。海から吹き込む潮風が、淡い青光の鉱石を撫でるように通り抜ける。透き通った鉱床の反射で、内部はまるで万華鏡のような美しさを湛えている──〈サファイアの洞窟〉。
これもまた、ペルセウス1号の科学王国民を全員復活させるため。そして復活液を、無限に生産するに必要な「プラチナ」をゲットするためである。
「ラボカーのアイテムと合体させりゃ、ただの果物が科学であらゆるモンに生まれ変わる」
同志たちがいれば、無血開城で以って宝島の制圧可能だというのに…2号と3号船に向かわせた彼らは今何をしているのやら…。
「ビューティーコハクちゃん大改造計画…スタート!!」
「中々に大変なのだな? 『可愛い』は」
「コハク大改造 突貫工事だ。髪型が一番デカい。まずは、この留めっぱの封印を解く」
そんなんだから長命種の時間感覚となるのだ。その点、わたしは違う。ちゃんと村人と同じ時間感覚を持っている…君たちとは違うのだよ君たちとは。
「ボンバー!!」
「アホほどエグいな癖毛!?」
「千空ちゃんがそれ言う?」
「正解かもね? 結んでたの…あはは」
今は目の前に事に集中だ、集中。『ビューティーコハクちゃん大改造計画』の最中なのだから。
というわけで…やって行きましょう!
今回のミッションは、後宮の美少女選抜に向けた美容クラフトだ。その内容は──5つ。シャンプー、コンディショナー、口紅、香水、ラメファンデーション全ては、コハクを輝かせるために。彼女たちを一目見た者達が、皆こう言うように。
『おっふ! か、可愛い…!!』っと!
そのために必要なのは、科学の力──そして、南国素材だった。この場所にいるのも、洞窟内の湿度と温度が調合に適しているからだ。カゴの中には沢山もの果物、南国の恵みが詰まっている。そのすべてが、美しさを引き出す天然素材。
ベースとなるのは、ココナッツの油脂。中鎖脂肪酸を豊富に含むこの素材は泡立ちが良く、洗浄力も適度。水酸化カリウムを加えて鹸化反応を促せば、泡立ちの良い液体石けんになる。さらに、アロエのジェルを加えることで保湿力を強化。
香りづけには、砕いたバニラとパッションフルーツのエキスが使われた。防腐にはわずかに加えたエタノール。化学の力と自然の恵みの融合だった。
次に取りかかるのは、口紅だ。湯煎で溶かしながら、天然の色素──ザクロとビーツを煮詰めて抽出する。ベースに混ぜれば、ナチュラルで鮮やかな赤。乾燥を防ぐために、ほんのわずかにシアバターを溶かし込む。発色も保湿も、3700年前の一級品と遜色ない。
口紅の完成だ。光沢と自然な紅色、よきよきである。
ラメファンデーションのクラフトは、わずかな煌めきが美を際立たせた。
ベースには、ミネラル由来のファンデーション粉末──酸化亜鉛とカオリンを使用。肌への密着性とカバー力を高めるため、微量のグリセリンとシアバターを混合する。しっとりとした質感と自然な発色が生まれた。
そこに煌めきを与える“ラメ”として加えるのは、雲母の微粉砕。〈サファイアの洞窟〉から採取された繊細な鉱石を、丁寧にすり潰し偏光を帯びた粒子に整える。
屈折率が絶妙。これなら肌に乗せても、ギラつくことはない。光を弾くように、肌が上品に輝くのだ。
そして最後に──香水。
花弁から香りを抽出するには、古典的な冷浸法を選んだ。ハイビスカスやジャスミンの花びらを植物油に漬け込み、香りが移るまで静かに待つ。その後アルコールとブレンドし、精密ろ過。水分を飛ばし、精油のような香りの核を得た。薄めて拡散力を高めれば、香水の完成となる。
調合瓶に香りを注ぎ、蓋をして軽く振る。ふわりと甘く、柔らかな香気が洞窟の中を満たした。
シャンプー。
コンディショナー。
口紅。
香水。
ラメファンデーション。
これにて『ビューティーコハクちゃん大改造計画』に必要な美容クラフトは、すべて完了した。後宮の美少女選抜を合格する、コハクの“象徴”となるだろう。クラフトは終わった。
「どうやって果物から!? てか私も欲しいし!!」
「ハ! これを顔に塗れば、『可愛い』が科学で作れるのだな?」
「お化粧品の構えがどう見ても武器のそれだけど…!!?」
だが、それは美しさへの“始まり”であるのだ。
「コハク、テメー…」
「どうかしたか?」
「「「ピギャー!!?」」」
は、始まり、だよな? どこからどう見ても、口裂け女にしか…。
「コハクはどこにやったの? 妖め!」
「私だ私だ! コハクだ!」
「じー」
アンデッド特攻のエンチャント付与されたダイヤ剣を構えて、信奈が睨みつけるのも無理はない。当の元姫武将は面白がっているが。
「任せてちょうだい!」
だがしかし! 宝島ナンバーワン美少女、アマリリスだけは諦めなかった!
結果!
「ウフッ♡」
「「ズキュン!」」
「コハクが巫女様みたいになったんだよ!」
めっちゃ可愛くなった! おっふ!
陽の光をそのまま結晶にしたような、輝く金色の髪が風に舞う。長く艶やかなその髪は光を受けて柔らかく揺れ、自然のままに束ねられたその様は、野生と気品の両方を備えていた。
瞳は深く澄んだ青──南の海を思わせるその色は、一度見たら忘れられない鮮やかさを放ち、芯の強さと優しさを同時に映している。
陶器のように滑らかで、健康的な白い肌がほんのりと輪郭を彩る。しなやかに引き締まった身体は、日々の鍛錬によって形作られたものであり、動く度にしなやかな筋肉のラインが美しく浮かび上がる。華奢でありながら、どこか猛々しさを感じさせるその立ち姿は、見る者の心を奪わずにはいられない。
可愛くも、戦える乙女。
その美しさは化粧や装飾ではなく、彼女自身が持つ自然の力に根ざしていた。
もう一度言おう…めっちゃ可愛くなった! おっふ! 全然、違和感を感じない。これなら美少女選抜、合格すること間違いなしよ。
あははは…アーハッハッハッハー!!!
■□■□■□
「全員並べ! 美しい者は選ばれ後宮へ嫁ぎ、頭首様のモノとなる」
「ハハッ! これは大変名誉なことだぞ?」
ちなみに、わたしも美少女選抜に出ることとなりました。理由は『後宮ってナニソレ美味しいの? 知りたい知りたい!』だ。フッ、美少女選抜を合格すれば、後宮について知れるんだ…なんて頭がイイんだわたしは…ふふ。
【アレックス? 後宮ってのはね、その、ね? …子供を///】
分かっているよ、信奈。後宮についてもね。子供? …なるほど、言いたいことは理解した。子供ってのはキスで沢山すれば授かるんだろう? ふっ、前世のクソ父親と授業で習ったから理解しているさ。
【違うわよ!】
というのは冗談だ。ふふっ、イジっただけさ。大丈夫、しっかり認識している。
特定の条件が整うと子供を作ることが出来る──男女が子供を作るための基本的な条件は5つを、な。
一つ目は十分な住宅。ベッドが少なくとも2つ、空いている部屋が必要である。この部屋は、男女が生活できるスペースとして認識。部屋にはベッドとドア、十分な空間が必要である。
二つ目は食べ物の提供。食べ物を与えることで、繁殖行動を開始する。具体的には小麦、ニンジン、ジャガイモ、ビートルートのいずれかを少なくとも12個以上与える必要がある。これにより「繁殖モード」に入り、子供を作ることが出来る。
三つ目は群数以下ではないこと。この上記の条件が整っていれば、繁殖行動が可能なのだ。
四つ目は時間帯。繁殖は昼間、明るい時間に行われる。夜間や暗い場所では、男女は繁殖を行わない。
最後に、五つ目は心情。「良い関係」を持っている時にだ。つまり繁殖モードに入るには、「好感度」が一定以上ある必要がある。これには食べ物や良い生活環境が影響する。
これらの条件が満たされると男女は繁殖モードに入り、元気な赤ちゃんが生まれる。赤ちゃんは一定の時間を経過した後、大人となる。
ほら、しっかり認識してるだろう?
【どこが!!? 〈くらふたーのせかい〉の村人じゃないのよ!?】
あれ、共通じゃなかったっけ?
【違うわよ!!】
ならば、確かめるとしよう。わたし、統括のアレックスは…頭首とやらと繁殖モードします! 夜間でも出来るか…検証してみたいと思います!
「ん〜、イイじゃん! 今年も可愛い
【潜入理由…絶対それよね!? バカなの?! バカよね貴女!!】
嗚呼、楽しみだなァ。
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