•アレックス
•銀狼
•宰相イバラ
上から順番の視点で、やらせていただきます。では、本編へ参りましょう!
「おじちゃんねェ、皆にねェ? スッゴイ残念なお知らせがあるのォ」
皆さんごきげんよう! わたしは、マインクラフターのアレックス! 統括のアレックスとも呼ばれてる、16歳の美少女です! えっ、年齢詐欺だって? …イヤイヤ、ソンナコトナイヨ? ナニヲ仰ッシャリマスカナ…アハハ。
さて、真面目モードに切り替えねば。
我ら潜入組を含めた後宮の美少女一同は、某所に招集された。
「皆の中にねェ、侵入者がいるかもしんないのォ? だからねェ──あぶり出さなきゃいけなくなっちゃた」
この男──宰相イバラに! ではでは、おさらいも兼ねて解説しとこうっと。
宰相イバラ──その姿は、異様かつ妖艶。老いと醜悪、そして狂気が絶妙に混ざり合った宝島もう一人のトップ。その肉体は枯れ木のように細く乾いていながら、どこか不気味な艶やかさを漂わせている。
首から肩にかけては誇示するように鋭利な棘を模した肩当てを纏い、その下の白い衣は神官のようでもあり、処刑人のようでもある。紫がかったマントは彼の野心と支配欲を隠さず、風に揺れる度に、まるで血の香りを帯びているかのようだ。
異様な威圧感を醸し、見る者を言い知れぬ不安に陥れる。口元には常にニヤけた笑みが張り付き、ひとたび歪むと、まるで皮肉と嘲笑の化身そのもの。特徴的なポイントは陰湿な笑顔以外にも、先端がカールした黒い髭もそうである。
猛毒の触手のように狙った相手の心を絡め取る、その顔立ちは年老いても妙に艶っぽい。皺の奥に見える目はギラついており、決して年相応の衰えなど感じさせない。むしろ、年齢を重ねたことが彼の邪悪を磨き上げたかのようだ。
喋り方はねっとりと粘つき、さながら甘言と毒とが混ざった蜜を垂らすよう。軽薄な「おじちゃん」口調で美少女に近づきながら、その裏に隠した冷酷さと欲望は一切の容赦を許さない。
『おじちゃん、こう見えても宰相サマなのよぉ』を口癖してそう…それが、宰相イバラなのであ〜る!
わたしからする彼の第一印象は「美少女に目がなく守備範囲は広い」だ。事実ボクっ娘として潜入してる、銀狼を合格させたし。宰相イバラからは「ギンちゃん」と呼ばれている。選ばれまいと頑張ったのが仇っとなったか…大好き認定される…うぅ、おいたわしや銀狼…っ。
「この石像の男の仲間じゃないなら、壊すのなんて平気でしょ?」
わたしの視線は石像に向かう。彼じゃん、石化の龍水じゃん。その顔もまた…イイ! これだけで白米3杯は食べれる。
「うっ、うぅ…んっ…やあっ!!」
あっ、右手が切断された。あらま〜。
「くっ、なんと惨いことを…ッ」
「ダメダメダメっ、我慢してコハクちゃん…!!」
「コハクちゃん特攻しないで…!!」
まっ、どうせあとで組み立てるんだ。なにせ我々には復活液という、SSRな代物がある。ふっ、なんら問題はない。復活液、様々…キリッ…!!
「次、そこの…『ゼロワンちゃん』って云ったっけ?」
呼ばれた。わたしの番だ。
はい! ゼロワンです! 呼んでくださり、ありがとうございます!
「あっ、うん。げ、元気でイイことね」
ゼロちゃんとはこの後宮に潜入するにあたっての、仮初の名前。統括のアレックス01イコール、ゼロワン。ねっ、良いネーミングセンスでしょう? 元姫武将も笑ってくれてたし…ありがとう、信奈!
そうそう。ゼロワンと名乗るキッカケを作ったのは、アマリリスだった。なんでも宝島の百物語に、わたしの名前があるらしい。しかも有名度はトップ。いやぁ、人気者は困っちゃうな…
【へっくしょん!? 呼ばれたような? …気の所為か♪】
斧を渡された。わたしは、振るう体勢に入る。さぞや、切れ味よいことだろう。ゼロワン、いきます! ホイや!
「「「…?」」」
あれ? 中々思うようにはいかないな…ホイヤー!
「「「??」」」
な、なぜだ…なぜ一回で切断出来ない! あっ、そかこれ創造主だからマイクラ仕様かァ〜。なるほどねェ……ふざけるなァァァァ!!!
「ひっ」
「こ、怖ェ…!?」
「つ、次があるからねェ。ぜ、ゼロワンちゃんは戻ってね?」
楽しみだったんだぞ!! 破壊するのが! 初の石像破壊が、楽しみだったんだぞ?! ふざけるな…ふざけるなァァァァ!!! ナニ笑顔してんだよゴラ! ムカつくゥゥゥゥ!!!
……ふぅ、スッキリした。
「
「らしいといえばらしいけど、あははは」
「こ、殺されないよねボク!?」
コハクたちのもとに戻る。呆れられている潜入組に対して、笑顔で告げる。
まっ、演技だったんですけど!
「嘘だな」
「そうね」
「そんな訳ないよね??」
ちっ、騙されなかったか。
「次、コハクちゃん」
呼ばれたコハクは、わたしの前を通る。
「どうした! 壊せねぇのか? あ〜?!」
「っ」
「「!?」」
さて、君の腕前、見せてもらおうではないか?
「ふっ! うおー!! あ〜たたたた…たあっ♪」
頭を半分…えっ?? というか今、一瞬で龍水の元に瞬間移動したような…えっ??
「指示通り破壊したぞ…何か問題が?」
「ももも問題ありません!」
ポーション飲んでないよね?
エンダーパール渡してないよね?
「やだもう、コハクちゃんったら! こんな散らかしちゃって〜」
「ボクたちで片付けてるね!」
……やはり、コハクは人間ヤメている!! コハク、恐ろしい
そして時は流れて現在、夜である。月が綺麗で星はキラキラ。電気が無いため、星空がよく見える。
フフッ、いよいよだ…いよいよ、頭首様に呼ばれる日! まっ、選ばれるのはわ・た・しだが? 頑張ったからな、うん。
「言っただろう、途中までと? 呼ばれたのは銀狼、君だ」
だというのに、銀狼が頭首に呼ばれた。解せぬ…なんでやねん! どうしてや、銀狼! ガッデム!
■□■□■□
集落の頂点近くに位置する、最も高所に設けられた一際大きな家屋。そこは、頭首たる存在が居を構える中心拠点。頂点に立つその家屋は周囲よりもやや大きく、屋根の傾斜も鋭く設計されており、風雨を受け流すような機能美を兼ね備えている。その位置からは、島全体とその周囲の海を一望でき、まさに宝島の長にふさわしい視座が確保されている。
「銀r…ギンちゃんで〜す」
「うむ、入れ」
そこに銀狼──ギンちゃんという名で潜入している──がいた。
「あのその、成り行きでここに来たっていうか。ほ、本当は来るあれじゃなかったっていうか?」
「…」
「お呼びですか? 頭首様」
銀狼がここにいる理由はただ一つ。頭首に呼ばれたからだ。ラブラブなことされちゃう絶対本番だよと、銀狼は逃げたかった。しかし、逃げる訳にはいかない。自分はこれでも、男なのだ。コハクやアマリリスが犠牲にならなくていい。彼女らには、純愛でラブラブとなって欲しいのだ。だから大丈夫。犠牲なら、犠牲なら…っ。
(やっぱりやだァァァァ!!!)
(掘られたくないィィィィ!!!)
(僕は男だよォォォォ!!!)
でもやっぱり逃げたいと、切実に願う。
「いつもの通りに、ですか?」
「…ああ」
「かしこまりました…そんなに緊張しないで? ギンちゃ〜ん」
緊張します。凄いしてますと、後ずさる銀狼はブンブン頷いた。大の男に迫られてるのだから、当然である。うっかりと彼は男なんだと口走ってしまうが、イバラはそれが「唆った」のか満面の笑みで追いかけた。ちなみにイバラ、男であることは100億パーセント信じていなかった。
「いやー!!!」
「待て待て〜」
「待つ訳ないでしょー!?」
頭首の周囲をグルグルと鬼ごっこスタートして、2分。
「さ〜て、おじちゃんと練習しましょ?」
「ひぇ」
タッチされた銀狼はイバラに押し倒されて、練習されようとした時だった。外が騒がしくなったのを、彼の耳に入る。自分だけではない。イバラも同じだった。今しかないと、銀狼は「あれ」を撒き散らす。
それはパイナップルの容器に入れられた、酢酸エチル。吸うと頭をやられてクラクラする代物。目眩がしたイバラは思わず倒れ込み、撒いた銀狼はガッツポーズをする。
(やったー!! 今のうちに逃げ…ることは出来ないよね)
(ハァ、やだよ〜…でも男ですから? 頭首の顔だけね、拝むだけはしますよ!)
(そんぐらいしないと、美少女だけど美少女じゃないコハクちゃんに殺されちゃう!)
御簾の向こうに、静かに沈む影がひとつ。輪郭はボヤけながらも、そこに確かに“何か”が座していることだけは否応なく伝わってくる。動かず語らず、ただそこに在るだけで空気が張り詰め、誰もが自然と息を潜める。御簾の奥——その向こう側にいるのは、頭首。ただその影が映るだけで、姿は見えなくとも、絶対的な存在感がそこにあった。
(でも、なんでだろう?)
(なんで僕、こんなにも「ザワザワ」するのかな?)
何故かは分からない。ただ御簾を開けようとすると、どうしても「ザワザワ」してしまう。
(開ければ解決するよね!)
うんと頷くと銀狼は開けて──頭首の顔を拝めた。
その男の姿は、まさに“威厳”と“神秘”を具現化した存在かのようであった。肩まで届く淡金色の髪は陽の光を受けて静かに揺れ、まるで風にたゆたう聖木の葉のよう。
端整に整えられた顎髭は長く伸び、胸元で大きく巻かれながらも流麗な曲線を描いている。その形は偶然の産物ではない——むしろ意図的な造形美であり、見る者に「王たる者の品格」と「神聖不可侵の境地」を同時に印象付ける。
その顔立ちは穏やかでありながら、どこか人智を超えた深淵を湛えている。温かみある微笑は、宝島の村民を導く慈父の如く優しい。皺ひとつひとつに、年月と経験が刻まれ、それが何よりの威光となって彼を包み込んでいた。
「あ、あの〜と、頭首、様…ですよね?」
「…」
「えっ、ナニ怖いんですけど??」
けれど、どうしてだろう。温かみある微笑を頭首は、どうして無表情なのか。
その男の瞳は、どこにも焦点を結んでいなかった。まるで世界そのものが視界に存在しないかのように、虚空を見つめたまま瞬きすら忘れている。淡い光を宿すその双眸には、生の温度が一切感じられず、ただ「命令を待つ器」としての冷たさが漂っているよう。
顔色は不自然なほどに血の気がなく、まるで蝋人形のように蒼白で、肌の温もりまでもが剥ぎ取られたようだった。眉も動かず、口元にも感情の影は一切ない。喜怒哀楽、欲望、意志——あらゆる“個”を構成する要素は抜け落ちている、それは──
『そういう類は何と言うのか…マインクラフターのアレックスが答えよう!』
『そう、それは──』
「洗脳されてる!?」
「見ちゃったよね〜?」
洗脳状態の頭首だった。
■□■□■□
頂点に君臨するはずの頭首は、ただ御簾の奥で虚空を見つめるだけの存在となった。だが、それを「操り人形」として作り変えた男こそが、今やこの宝島を実質的に支配している。
──宰相イバラ。
その初老の男は、かつては島の武を競う祭において三連覇を果たした実力者でありながら、己の力が他者に及ばぬことを知っていた。力では勝てぬ者には、知恵と奸計。そう信じた彼は陰から陰へと這い寄り、そしてある日…出会ってしまったのだ。
それは忘れもしない夜。人気のない森の奥、朽ちかけた祠の脇に、奇妙な“門”が現れていた。黒い石で縁取られた門の中央には──常にゆらゆらと紫紺の光が揺れていた。火でも煙でもない、光と影が絡み合ったような異様な幕。それが“向こう側”へ通じていると、誰に言われるでもなく理解できてしまう、直感に訴える異常だった。
その揺らぎの中から、“あの方”が現れたのだ。
黒よりも深い影をまとい、顔というべきものはあるのかも定かでない。だが、そこには確かに二つ──白目すら持たぬ、ただ眩く発光する双眸が浮かんでいた。見られた瞬間、背筋が凍るような感覚に襲われた。声は発せられなかった。だが、その意思は確かに、脳に直接叩き込まれた。
【それを望むか。ふむ、面白い】
【では貴様に、これをやろう】
それは偶然ではない。イバラの心に巣食う、権力への執着。歪んだ欲望と冷徹な策略の波動を、“それ”は嗅ぎつけたのだ。あたかも呼応するように、異界からその姿を現した。
手渡されたのは、まるで薄氷で出来たかのような、透き通った不思議な容器だった。握ればカランと乾いた音がして、決して島のどの職人にも再現できぬなめらかな造形。中には、黒の液体が満たされていた。液は不気味なまでに澄み切っており、蓋を開ければ仄かな音と共に、香のような甘やかな煙が立ちのぼった。
イバラはそれを、頭首が常用していた香木。その中に、ほんのわずかな“仕込み”を加えた。それを数ヶ月にわたり継続し、耳元で「正しき言葉」として刷り込むように語り続ければ、「操り人形」へと変じる。乾いた木が異界の液体を吸い上げる様は、まるで血を吸う吸盤のようだった。彼はそれを日々焚き続け、煙に包まれた頭首の枕元で囁き続けた。
ただそれだけ。言葉と香を、交互に与え続ける。やがて一ヶ月、三ヶ月、半年──香の煙は部屋に染み込み、言葉は頭首の心に根を張った。
かつて島の誰より強き存在であった頭首は、ただ頷くだけの抜け殻へと変じた。誰もが敬う頭首は、最早ただの抜け殻。既に宰相としての地位を確立していたイバラは「おじちゃんの言葉は頭首様のご意思よ」と、島を動かす全権を掌握するに至った。
そして、あの夜。秘薬を受け取った直後、イバラはそっと後ろを振り返ったのだ。“門”はそこにあったものの、次の瞬間──ゆらゆらと波打つ紫の幕が、ジジジ…と音を立ててひび割れ、そして──初めから無かったように消えていた。
まるで世界の裏から滲み出た“なにか”。名前も知らぬ。だが、あの異様な白い双眸は、今もイバラの記憶に深く焼き付いている。
洗脳後、イバラは“メデューサ”を入手した。所有していたのは意思を持たぬ頭首で、本人より──奪った──いただいた。石化武器の表面には、どこの言語とも知れぬ文字列が瞬くように浮かんでいた。
イバラはそれを「ただの模様」と割り切ったが、どこかであの──ヒトの姿でありながらヒトではない──存在と、無関係ではないような気がしてならなかった。最も、関係してようがイバラからすれば知ったことではないが…。
石化武器を知る者は、自分とキリサメとモズの3人だけ。後者の「後宮の美少女大好き男」に関しては、互いに利用しているに過ぎない。
モズはキリサメと違い、洗脳状態であることを知っている。知っている上で──好きなだけ後宮の美少女と触れ合えるんだから、邪魔したら許さないよ──とイバラは黙認しているのだ。仮に攻撃されようなら、頭首の洗脳を知らないキリサメたち戦士が待ち受ける。そうなればモズは反乱者で、石化される運命を辿るのだから──。
悲しいことに、石化されるのはボクっ娘の美少女。お気に入りの部類ではあったが、真実を知ってしまったのなら、致し方ない。もうひとり小娘もそこにいるが、何ら問題はない…どの道、石化することには変わりないのだ…その娘もまた、反乱者の一人。
頭首家の屋根を見上げ、イバラは口角を歪めて笑った。目を細め、まるで滑稽な茶番でも眺めているかのような薄笑いだった。
「ふふ……あの場所に、わざわざ登るとは。見せ場を作りたいのかしらねェ? おじちゃん悲しいよ〜、涙が止まらないねェ」
「ふっ、はぁ!!」
嘲弄と共に、イバラは手を振る。合図を受けたキリサメが取り出したのは、紐に付けられた石化武器メデューサ。小さな鐘のような形をしたそれが、沈黙のまま放物線を描き、屋根へ向かって投擲された。
それは、ただの「装置」とは呼べぬ神秘を纏っていた。幼い子供の手でも収まるほどの小さな存在でありながら、重力すらも屈服させるような威圧感を放っている。絡み合うようにある三つの輪。まるで、古代文明の歯車機構のような緻密さであった。素材は金属とも石とも分からない未知の光沢に包まれ、青白く光るその表面には、古代言語にも見える無数の回路模様が刻まれていた。
一見すれば、装飾品のような美しさ。だがその造形は、明らかに「機能するもの」として設計されている。人工か自然か、それとも神の手によるものか──判然としないが、確実なのは「人類の技術では到達不可能な領域の産物」であるということ。
起動の瞬間は、突如として訪れた。
輪が、動いた。それはやがて高速に変わり、表面の紋様がまるで脈打つように明滅を始めた。青だった光が次第に美しいながらも、毒々しい緑へと変化する。
同時に、“キン”という甲高い共鳴音が鳴り響いた。そこから放たれたのは、不可視の──特定の種族にしか認知出来ない石化光線。空気を押し広げるように奔ったそれが、銀狼とコハクを正確に包み込む。
放たれる──石化の閃光。
一瞬にして全方向に広がる緑の光線。それは爆発でもなく、炎でもなく、ただ静かに、しかし容赦なく、あらゆる生命を石へと変えていく光線。
咄嗟の反応も許さぬ速さだった。二人の肉体は次の瞬間、音もなく石像へと変貌していった。
──銀狼とコハクは、石と化した。
「何事なの!?」
だがその直後だ。頭首家の屋根に、突如として白煙が発生したのだ。火も無いというのに、確かに煙はそこに“現れた”。まるで誰かが煙幕を焚いたかのように、淡くゆらりと広がってゆく。
イバラは目を細め、首をかしげた。石化による破片か? いや、そのような現象はあり得ない。あれは──。
煙が晴れると、そこには先程とは異なる光景が待っていた。屋根の上に、石像と化した銀狼とコハクが並んで立っている。だが、衣服は消え、ふたりはあらわな姿で石と化していた。
それを目にしたキリサメが、視線を下に落とす。イバラは、冷笑を浮かべて独り言する。
「ふふっ、あの煙、どうにも妙だねェ…」
「は、裸///」
「石像よあれ??」
石化は確かに成された。だが、それに先んじて現れた白煙の正体が、どうにも引っかかる。不可解な現象には慣れているはずのイバラでさえ、瞬間的に背筋を撫でるような感覚を覚えた。
「後始末をお願い、キリサメちゃん。無駄な動揺を招かないようにねぇ」
「わ、わわわ分かってます!」
「水飲んで落ち着いてね??」
イバラのその心の奥底には、得体の知れぬ“異質”への警戒が、わずかに芽吹き始めていたのだった。
一方その頃
「えっ、なんで急に石化したの二人? 怖っ!?」
「とりまインベントリに回収して、偽石像を置いた」
「透明ポーション使ったからバレなきゃいいんだけど」
「煙幕も偽石像も、わたしがやった訳だし」
とある美少女は後宮をあとにし、気絶してるアマリリスをお姫様抱っこして〈サファイアの洞窟〉へと向かった。
「は? え? アマリリスちゃん浮いてる??」
可愛い女の子に目がない宝島最強の武力男に、尾行されてることなど知らずに。
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