皆さんごきげんよう。わたしは、マインクラフターのアレックス。統括のアレックス、とも同志たちより呼ばれているぞ。
「いつになったらストーンワールドに戻るんだ? 統括」
戦いが終わると、わたしは一度〈くらふたーのせかい〉に帰還。高級レストランの中でステーキをいただいていた。店内の雰囲気も相まって、より美味しく感じさせる。あっ、
「質問に答えてもらおうか」
戻るから心配しなさんなって。これ食べたらな。
「それは何回聞けばいいんだ、三度目だぞ?」
溜息を無視して、わたしは目の前の肉を食す。う〜ん、美味。マイクラのステーキは、さながら高級レストランで味わう極上のステーキのよう。その厚みと光沢はらまるで熟成された肉のように輝く。食欲が唆るンゴ。
「──日本本土の発展は順調だ。インフラ設備は整いつつあり、街の建築も問題なく進んでいる」
口に運ぶとジューシーな肉汁が迸り、噛むたびに豊かな風味が広がる。まるで最高ランクの肉を食べているかのような満足感に包まれ、疲れも一瞬で癒される。シンプルながらも洗練されたこの見た目と味わいは、まさに贅沢な一品といえるだろう。高級ステーキを堪能しているかのような気分にさせてくれる、そんな特別な存在だ。
「湧き潰し対策も問題なし。敵性モブが湧く心配はゼロ。闇を恐れる必要はない、という訳だ」
赤ワインの芳醇な香りが鼻をくすぐり、一口含むと深い味わいが口いっぱいに広がる。その豊かな果実味と絶妙な酸味のバランスは芸術品のように洗練されており、飲む度に心が満たされていく。色は深紅に染まり、光を通すと宝石のように輝きを放つ。
「ちょいとばかし苦情はある。復活液で復活させた、とある大人だ。税金やら土地やらうるさい大人…牛乳バケツガブ飲みで黙らせたが」
その滑らかな舌触りと余韻の長さは、最高の一杯と呼ぶにふさわしい。どんな料理とも相性が良く、食事の時間を格別なものに変えてくれる。赤ワインの持つ奥深さと魅力を存分に堪能できる、至福の一杯だ。
「反抗的な態度であればどうするべきかと悩んだが、発展のため協力的なのはありがたい。やはり牛乳は偉大なり」
デザートも美味。フレッシュな苺とバニラクリームを重ねたタルトのいただき方は、まず美しい層を丁寧に切り分けることから始まる。サクサクとしたタルト生地の上に、甘くてジューシーな苺がたっぷりと敷き詰められ、その上に滑らかなバニラクリームがふんわりと重なる。
「話は変わる。
フォークを入れると、苺の瑞々しさとクリームの優しい甘さが一緒に口の中に広がり、絶妙なハーモニーを奏でる。苺の鮮やかな赤とクリームの純白が目にも美しく、見た目からも春の訪れを感じさせる。ひと口ごとに、フルーティな酸味とクリーミーな甘さが絶妙に調和し、心まで満たされる贅沢な味わいだ。まさに、春の陽気とともに楽しむのにふさわしい一品である。
「スティーブ、驚くべきことに人間語を話していたらしい。ウォウォ、ではなく。転生者だろうと、推測している」
この苺とバニラクリームのタルトは、芸術品のような美味しさだ。まず、サクサクとしたタルト生地の食感が、口の中で心地よく弾ける。次に、甘くてジューシーな苺のフレッシュさが、爽やかな酸味とともに広がり、春の訪れを感じさせてくれる。クリーミーなバニラの風味は、苺のフルーティさを引き立て、絶妙なバランスを生み出している。
「そんな彼は『人間のことはどう思っている?』と言って、旧現代人や現代人に熱い眼差しを向けてたそうな。クスクスッ、おかしな男だ。創造主も、人間に分類されるというのに』
口に入れる度に、優雅な甘さとフレッシュな酸味が交錯し、まるで春の陽だまりのような温かさと爽やかさを感じさせる。見た目も華やかで、食べるたびに心が弾むような幸福感に包まれる。これはまさに、至福のデザートと呼ぶにふさわしい逸品だ。
「話は終わりだ」
さて、次をt──ん?
カチリと小さな音が耳に届いた。視線を上げると
「統括」
わたしは席に座ったまま、何も言わなかった。答えを言葉にする必要など、なかったから。
間髪入れず、銃声が鳴った。額に何かがぶつかった感覚と、鋭い痛み。ハートが減る。身体が椅子ごとぐらりと傾き、床にドタンと倒れる。痛い。手を上げると、ぬるりとした感触が指先に絡む。それでも、不思議と心は静かだった。
「ストーンワールドに戻ろうか?」
銃をホルスターに収めた
「行くぞ」
やがて、
「棺に入ってろ」
死人扱いされてる…。
■□■□■□
暗闇に包まれた静寂の空間。その中心に『Sound Only』とある漆黒のモノリスが5基、暗闇に包まれた空間で威圧的なまでの存在感を放ち浮かび上がっていた。
モノリスにはとある秘密組織のシンボルの他、識別番号も刻まれていた。
[02]は軍事部を率い。
[03]は技術開発部を率い。
[04]は裁定部を率い。
[05]は海賊部を率い。
そして[01]は、全マインクラフターを統括する。
それらが円を描いて包囲されている中央には、黒いサングラスを掛けた男がいた。秘密組織パナソルに呼び出された男の正体は、先ほど宝島を同盟国とした石神 千空。科学王国リーダーの彼は中央に設定された椅子に座し、指を組み口元を隠していた。
「先に、ホワイマンからのコンタクトがあり」
「今、ホワイマンの通信が途絶された」
それは、vsウィザー&同配下のウィザースケルトン軍団。その戦いに勝利した科学王国と石化王国は祭りを開き、祝杯を上げていた時だった。日本本土のルリより連絡を受けていると…突如通信の遮断と共にノイズが走った。別の、同本土よりも強力の電波で。
「『1200000m 1second』…地球の直径とはな」
「合成音声のようだな、石神 千空よ? 当該音声の正体は、少女アレックスのようだが?」
「そのあと、肉声もあったようだな? 相手は直ぐ消え、直ぐ通信ごと遮断したようだが」
合成音声とは、コンピュータや電子機器を用いて人工的に生成された音声。これは人間の声の特徴を模倣し、自然な音声を再現する技術の一つであり、3700年前の世界においても音声合成技術の進歩によりその品質は飛躍的に向上していた。
合成音声はテキストを入力するだけで、それを音声に変換することが可能とする。ナビゲーションシステムや自動応答システム、電子書籍の読み上げ。更には障害者支援のための補助技術など、多岐にわたる分野で活用されているほど。
技術的には波形生成や音素の連結、深層学習を用いたモデルなど多様な手法が採用されており、これにより人間の声に近い自然さや表現力を実現。合成音声の発展は情報伝達の効率化やアクセシビリティの向上に寄与し、自分たちの生活をより便利で豊かにしてくれるもの。石化されていなれけば、より自然で多彩な音声表現が可能となることが期待されてる。
それがなぜ、彼女の声で?
「ホワイ? なぜ? これに尽きる」
「少女アレックスは何と言っていた? 石神よ」
問われた科学少年は、口を開く。
「『私は誓って、人類は滅ぼしてません!』『思ったこともありません! ちょぴっとはありますがありません!』…っと」
「「「…」」」
心臓バクバクするかのように、モノリスが明滅する。さながらそれは某小学生に操られる某イケオジ探偵から『犯人は貴方です!!』『な、なぜ分かった!?』の如し。沈黙していたモノリスだったが、千空の咳ばらいで活動を再開した。
「計測の基線長が短すぎて、差が見えませんでした…が、『相手は地上か大気圏っていうレベルではない』は分かりました」
千空は、パナソルに向けて説明を続けた。無表情な彼らは黙って、彼の言葉に耳を傾けている。周囲には機械音すらない。静寂だけが満ちていた。
自分たちが探している“敵”は、地上や大気圏にいるわけではなかった。少なくとも、簡単に探知できるような近場には存在しない。初期観測では、微細な差異も検出不能だった。
それは計測に使う基線長、すなわち測定地点同士の距離が短すぎたせいだ。しかし、千空は確信していた。これほどまでに観測誤差がないのなら、敵はもっと桁外れの遠方にいるに違いないと。
「敵がめっちゃ遠いってことではない。地球の自転で我々が動いて、数千キロメートルの基線長を確保すれば何とか見える距離でした」
千空は指先で地面をなぞり、地球の自転を示す円を描いた。
地球は絶え間なく自転している。それを逆手に取る形で観測の基点を広げ、精密な位置特定を試みたのだ。無限の虚空に紛れ込んだ存在を、ただの地上観測で補足出来る訳が無い。だが科学王国の技術と知識、そして創造主の叡智が、それを可能にしてみせた。
「つまり『無限の彼方とかでもない』…ということか」
それは絶望的な距離ではなかった。想像を絶するほどの異次元空間とか宇宙の果てとか、そんな手の届かない領域にいる訳ではない。地球の自転を利用し数千キロメートルの基線長を確保さえすれば、わずかな視差での観測出来た。そこから逆算し、位置を特定することは可能だったのだ。
敵は遥か彼方ではなく、こちらの手の届く範囲に確かに存在していたのだ。
「地球自身が回転することで、観測ポイントも移動する…まさか」
「逆探知の結果、敵の発信源は数十万キロ上空だと判明しました」
数十万キロメートル。その距離にある天体は一つしかない。地球から見上げる、あの孤高の天体。人類が幾多の努力を重ね、ついに到達したあの場所。そこに、敵は潜んでいたのだ。
上空、数十万キロ──
「そう、ホワイマンは──月面にいます。月の動きとリンクしているため、まず間違いないかと」
かつて、アポロ計画の宇宙飛行士たちが命懸けで到達し、わずかな時間だけ踏みしめた地。そして初めて、地球の超大国の国旗が立った日。地球から最も近い天体でありながら、なおも人類にとっては未知と畏怖の領域。
その孤絶した世界に、ホワイマンは居座っている。たった一人で、あるいは何かと共に。静寂と死の支配するあの地で、密やかに確実に、地球への干渉を試みているのだ。事実、「松風」なる男によれば『天からの悪夢』で島は恐怖で支配されていたと──。
かつて天に浮かぶ孤高の天体は、人類にとって憧れの象徴だった。だが、今は違う。その白い球体は、恐るべき敵意を孕んだ拠点へと変貌していた。そこに潜む敵を討つには、過去の常識を越える覚悟と技術が求められるだろう。
だがそれでも、パナソルは諦めなかった。
絶望に膝をつくことなく、計画を練り上げる。ホワイマンの存在を知った今、もはや迷いは許されない。未来を守るために、自分たちは動かねばならない。人類という種を、絶やさないために…。
暗闇の中、[02]が訝しむ。
「あり得るのか? そんなことが」
月面。地球から38万キロの彼方に位置する神秘的な空間。それはただの衛星ではなく、無限の可能性と人類の夢を象徴する場所。しかし、そこにはホワイマンという存在が潜むという驚愕の事実がある。人間の文明がいかに発展を遂げても、この冷たい空間に足を踏み入れることは簡単なことではなく、依然として謎に包まれている。
モノリスたちが吐き出す言葉には、混乱と微かな焦りが滲んでいた。そして、[04]が重く続ける。
「だがそんな場所では、我らには手も足も出ない」
科学王国の保有する全ての資源、知識、叡智を総動員したとしても。月への往還など、容易に成し得ることではない。
月は、ただ遠いだけの世界ではない。大気も水もなく、絶対的な孤絶が冷酷なまでに支配している。地球上で永きに渡り積み重ねられてきた科学の営為も、この無慈悲なる灰色の荒野ではあまりにも脆く…容易く無力と化す。
ロケットの打ち上げに成功するだけでも、もはや奇跡だった。原始の石の世界で「燃焼・推進・軌道計算」、そのすべてを正確に成し遂げなければならない。
打ち上げだけならまだしも──帰還となれば話は別だった。
ただ宇宙へ届くだけではない。
人間を生きたまま連れ帰るためには、さらに桁違いの技術と精密な制御が要求される。計算一つ狂えば、無情な宇宙に飲み込まれる。帰還を果たすということ、それはもはや神話の域に達する難業だった。
例えあの伝説的なクラフト能力を持つ創造主であったとしても、この宇宙の領域に挑むことは未踏の試みであろう。
冷徹な現実を前にモノリスたちの光彩は、微かに震えた。それほどまでに、月とは──
「無策で放置すれば、いずれ必ず滅ぼされる。技術開発部の出番だな」
冷ややかな響きを孕みながら、[03]が断ずる。この事態を前にしては、冷徹なまでの即断を選ぶしかなかった。
ただちに手を打たねばならない。さもなくば時の流れは緩慢にして確実に、脆くも儚くとも美しい人類の滅びへと傾いていく。
ホワイマンという、未知にして底知れぬ存在。その影が月面より静かに、しかし確実に地球を蝕まんとしている今、技術開発部クラフターの出番は必然であった。
モノリスたちは沈黙し、重い空気が支配する。次なる一手、それは未来そのものを左右する決断となるだろう。
「左様。召喚ではない別の手段で現世に顕現した、ウィザーの件もある」
「月面に潜むホワイマンがどのような手段を用いるか、予測不能だからな」
二つの言葉は、重く響いた。
ウィザ──―本来は特別な儀式によってのみ召喚されるはずの、破滅の権化。オーラを纏い、三つの頭部を振るう異形。その姿はまさしく悪夢の現出であり、文明すら跪かせる力を秘めている。
しかも、あの災厄は本来の召喚法ではない、異様な経緯によって誕生したものだった。イバラと呼ばれる存在が黒きポーションを飲み干し、泣き叫びながら変質して生誕されたもの。数秒のうちに肉体は崩壊し、空に浮かぶボス級アンデットモンスターが出来上がった。
通常であればソウルサンドとウィザースケルトンの頭を以て、召喚されるはずだった。それが、ただ飲むだけで──パナソルはクラフト方法が気になった──がそれは後にすることとした。
月面に潜むホワイマンが、いかなる禁忌に手を伸ばしているのか、もはや誰にも予測できない。通常の理を越えた存在が、別の手段で現世を侵す可能性りそれは、もはや異常事態という言葉すら生ぬるい。
「プリンセス・カグヤの物語なら地球はハッピーエンドだが、我々はバッドエンドにさせぬよう行動している」
月から地球へと、悲しき別離の末に還ったかぐや姫。あの物語が語るのは美しくも切ない終焉だ。
だが現実は、ただの物語などではない。
無限の虚空に潜む意思が、世界を滅ぼさんとする未来を回避するため、パナソルは冷徹な手を打ち続けていた。
「本来のシナリオでは『頭首は助からない』だが、“既に起きたこと”として『頭首は助かった』だ」
本来、定められていたはずの運命。絶望の淵に沈むはずだった存在が、奇跡的に救い上げられた。それはシナリオの破綻ではない。新たな可能性を創り出した者たちがいた。
科学王国、そして創造主。彼らの存在は暗き未来を歪め、かつ導き得る力を持っていた。
「『20年前、ソユーズの母は日本本土の浜辺で亡くなる』が『存命』している。これらは予定外であれど修正の範囲内、問題はなかろう」
小さなほころび。運命線に走った微細なズレ。だが、モノリスたちは怯まない。本来死すべき者が今なお息をしている事実さえ、彼らにとっては許容範囲内の揺らぎに過ぎない。
想定外は想定内へ。彼らは冷ややかな思考で、確実に修正を積み重ねていく。
「四十代とは思えない美貌…人間をやめているのでは? 少女アレックスと同じ創造主か?」
ふと、誰かが呟いた。永遠に若さを保ったかのような女の存在。常識を超えた美貌。その背後にちらつくのは、人間という枠組みを超越した何者か。
アレックス──かつて、奇跡の如く現れた創造主の名が思い起こされる。
時を超え、運命を塗り替える者。異なる世界から、こちら側にやってきた者。彼女だけでなく同等同列の者たちも、それに該当する。モノリスたちですら、完全に読み切れぬ存在。
だが、自分たちは認識していた。地球を守るためには創造主の力をも巻き込みながら、精緻な盤面を整えなければならないことを。
だからこそ、計画は必要だった。
「世界中から素材をかき集める、新世界 月面旅行プロジェクト」
[01]が、重々しく告げる。プロジェクト名は、あくまで柔らかい響きを持たせている。だがその実態は地球存亡を賭けた、生死を分かつ賭けに他ならなかった。
「実働部隊が必要だろう。月での戦闘は考えたくないシナリオ…ホワイマンがどんな存在かも分からないのだ」
圧倒的な未知。たとえ科学で支えたとしても、月という環境自体が人類に牙を剥く。空気も無ければ、重力も違う。生存そのものが挑戦となる、極地。
「であれば、マインクラフターと戦闘員の選定をせなばなるまいな」
「マインクラフターの選定はする必要はあるまい。また暴れるぞ?」
「戦闘員の選定だけ、だな」
中央の椅子に座す千空は、やがて組んでいた指を解き、静かに、しかし力強く口を開いた。
「テストの準備は整っております。あとは許可をいただければ、いつでも」
即答。迷いなど微塵もない。科学王国リーダーの石神千空にとって、これは“当然”の判断だった。モノリスたちは短く沈黙を挟み、やがて[01]が告げる。
「よろしい、許可しよう」
四方に配置された他のモノリスも、無言で賛同の光を灯す。それは、未来を託す意思表示だった。
「人類救済計画に繋がる重要プロジェクト。その遂行こそ、我らの願いである」
モノリスの声は、まるで天啓のように響く。3700年の静寂を打ち破り、再び人類の文明を月へと導くために。
その重責を科学少年はただ一人、受け止めた。
「分かっております」
千空はサングラス越しに見えぬ瞳を細め、どこまでも自然体で答えた。
「すべては、パナソルのシナリオ通りに」
その言葉が静寂の宇宙へと撃ち込まれた弾丸のように、絶対的な決意を空間に穿った。
新世界月面旅行プロジェクト──正式発動。唆りまくりのプロジェクトが今、始まった瞬間だった。
■□■□■□
ホワイマンが敵と決まった今、戦闘員に求められるのは考察ではない。統括のアレックスは訓練場中央にいる、彼らに向けて凛然と告げた。
「──諸君ら戦闘員の仕事は考察ではない」
広大な訓練場を見下ろす、ガラス張りの部屋。そこに並び立つのは統括のアレックス、軍事部のアレックス、そしてもう一人──石神千空だった。
統括のアレックスは静かに立ち、ワクワク瞳で戦闘員たちを見下ろしている。
軍事部のアレックスは端正な動作で小s、似顔絵を描いて随時記録していた。
千空は不敵な笑みを浮かべて、白いハチマキの位置を正した。
「これより、いずれ必ず訪れる決戦に向けた鍛錬をしてもらう。そう──戦闘技能テストだ」
軍事部のアレックスもまた、静かに言葉を重ねた。
「敵性モブが相手では消化不足だろう。私は諸君らには見合った、内容を用意した」
冷ややかに、しかし的確に選び抜かれた語彙だった。訓練場に立つ者たちは、いずれも歴戦の戦士たちだ。
コハク。
金狼。
銀狼。
キリサメ。
モズ。
松風。
氷月。
司。
羽京。
ホムラ。
アオイ。
「では、始めるとしよう──戦闘員オールスターvsマインクラフターを」
「人間vs創造主の戦闘技能テスト。クククッ、唆るぜ、これは…!!」
鋭い宣言と共に、訓練場の空気が張り詰めた時静寂を引き裂くように、轟音が鳴り響いた。
ズガァァァン!!
地面を揺るがす大爆発。一帯に巻き上がる砂塵が、視界を完全に奪った。
戦闘員たちは警戒する。砂嵐の向こう、何かが──近づいてくる。
やがて重たい空気を裂くと、ひときわ高らかな声が響き渡った。
「覚悟なさい! この私が来たわ!」
砂塵が風に吹かれて、ぱあっと晴れる。そこに現れたのは、一人の姫大名。
片袖脱ぎの湯帷子に黒の下着を覗かせ、虎皮の腰巻きを翻しながら悠然と立っている。火打ち石と瓢箪を腰に揺らし、荒っぽく束ねた茶筅髷が陽光を受けて煌めく。
少女は豪胆な笑みを浮かべ、堂々と一歩を踏み出した。その手には、ホットバーから取り出したエンチャント木剣。
「さあ、かかってきなさい! 尾張一の美少女が相手よ!」
かつては戦国覇者で、今ではクラフターとなった少女──織田信奈。
vsマインクラフター織田信奈が、今まさに始まろうとしていた。
■夜の祭りにて
スティーブ「これで失礼する」
海賊のアレックス「気をつけてなァ…ん?」
軍事部のアレックス「お〜、ここにいたのか5号」
海賊のアレックス「なあ、ちょっと聞きたいんだが」
軍事部のアレックス「?」
海賊のアレックス「ある時、普通だった目って…白く光ったりする?」
軍事部のアレックス「お前は何を言っているんだ??」
■怒る少女と微笑む少女
織田信奈「ナニあの登場の仕方? 死ぬかと思ったわよ私!?」
アレックス「ふふ、大丈夫だ、問題ない。キリッ!」
織田信奈「この女ァァァ!!!」