クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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でぇじょうぶだ。アメリカ編のこと忘れてないだ。宝島編はこの話で最後。間話は一つ挟むかもしれねぇが、次章アメリカ編なのは確定だべ。


【挿絵表示】


これはの、本作に登場する織田信奈のイラストだ。おいら、最高司祭アドミニストレータが引用したものだべ。

じゃあの、本編に入ろうだ……この口調、作者は初めてだナァ。


戦闘員オールスターvs織田信奈

 宝島の奥地。緑が鬱蒼と茂る中、ぽっかりと姿を現した広大な空間があった。

 

 木々をなぎ倒すことなく、あたかも自然と共に在るかのように配置された訓練フィールド。地面は固く叩き締められ、石と金属、そして木材が複雑に組み合わさっており、古代遺跡のような荘厳さと近代基地の実用性を兼ね備えている。中央には高い石柱が立ち並び、巨大なクレーター状の空間の中に、戦闘区域として設計された多層構造が広がっていた。

 

 壁面には蔦が這い、時折花が揺れているが、そのすぐ脇には精密なマイクラ風の鉄製トラップや罠、演習用ギミックが配置されており、異様な融合感を放っている。フィールドの各所には、リスポーン用の白いベッドが整然と配置されていた。 

 

 まるで「死」が前提の戦場——否、訓練場であると主張するように…当該ベッドは羊毛だけで出来たものであるため、リスポーンすら出来ないのだが。

 

 そして、その光景を一望できる高所に設けられた観戦ブース。ガラス張りのその部屋では、三人の人物がこの開幕を静かに待っていた。

 

 

「さぁて。始まるぜ、100億パーセントでよ。クククッ……唆りまくりじゃねえか、これはよ!」

 

 

 石神千空の声が響いた。ガラス越しに見えるフィールド中央、既に集結し始めた戦闘員たちを見やりながら、彼は不敵な笑みを浮かべる。

 

 隣では、エメラルドの瞳を湛える少女が腕を組み、じっとフィールドを見下ろしていた。オレンジの髪を揺らすその表情は静かで、どこか達観している。

 

 

「……織田信奈。別世界の戦国時代で天下統一し、その後は若くして病で死去、そして我らと同じマインクラフターとなった少女…姫武将、姫大名…ナンダソリャ??」

 

 

 アレックス01——統括アレックスが、静かに口を開く。その声にはどこか他人事めいた響きがあるが、それは創造主としての覚悟が裏打ちされた冷静さでも…あるのだ。

 

 

「ふふっ、信奈には期待してる。初戦なのだよ初戦? 私がどれだけ唆られてきたことか…君もそうだろう、石神千空?」

 

 

 アレックス02——軍事部のアレックスはガラス越しに拳を握ると、満面の笑みを見せた。その瞳にあるのは、統括とは違う種類の“高揚”だった。

 

 

「まっ、ぶっちゃけ、初手から全員本気。尾張一の美少女には、ちょっとキツいかも?」

「クククッ、だから面白いんじゃねえか。戦闘員オールスターVS創造主サマの戦闘技能テストだぜ? 100億パーセント唆らない訳がねェ」

「先の登場でTNTは、ちょっとやり過ぎたか。おかげでやり直す羽目となった…まぁあれって、信奈自ら自爆死したも同然だからな、うん。私は悪くない」

 

 

 その言葉が終わると同時に、広大な訓練場にサイレンのような音が響き渡る。低く重く、そして明確に「始まり」を告げるその音に、フィールドの戦士たちが、一斉に動き出した——。

 

 剣を構える者、弓を引き絞る者、槍を地に打ちつける者。各々がその身体に刻まれた闘争の記憶を呼び覚ますように、準備を整える。

 

 そしてその中心。今、ひとり立つ少女——織田信奈が、戦場に降り立った。

 

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 

 初手は——完全包囲。

 

 信奈がフィールド中央に立った刹那、八方より殺気が押し寄せる。戦場に満ちるのは、魔物でもなく、軍勢でもない。個が極まった“戦闘の天才”たちだ。

 

 

「ハ! 全く、創造主が相手とはな…面白い!」

 

 

 まず動いたのは、野性味溢れる金髪の少女——コハク。腰に下げた日本刀を抜き放ち、地を蹴る。一直線に信奈へ。

 

 キリサメもすかさず追随。両手に握るのは、アレックスがクラフトしたマイクラ鉄剣二振り。軽やかな足取りで信奈の斜め後方へと回り込む。

 

 

「信奈様が創造主でも、私は貴女に勝利してみせます」

 

 

 その言葉に、信奈の肩がピクリと震えた。空中へブロックを高速で積み上げながら、上空の観戦ブースをギロリと睨み上げる。

 

 

「遺憾ながらねッ! 誰があんな異常者の同類ですっての! この私を、あんなゾンビの腐肉食べて悦に入る変人どもと一緒にしないでくださる!?」

「千空も食べているだと!?」

「ハァ!!?」

 

 

 その“変人ども”——ガラス製の観戦ブースではアレックス01と同02と千空が、ちょうどゾンビの腐肉を皿に乗せて食していた。

 

 

「うっ…腐った肉、やっぱダメ…ウヘェ」

「同意見だ、軍事部のわたし…ミルクが美味い!」

「クククッ、100億パーセント不味い! だがこれで検証完了ってワケだな」

 

 

 三人の奇妙なティータイムを他所に、信奈の足元が爆ぜた。モズの投げた鉄槍が地面を削った。

 

 

「んー、信奈ちゃん可愛い顔して強いんだね……あとで家に来ない?」

「冗談じゃないッ! ってか、槍投げただけて地面削らせるなんで異常よ!」

 

 

 信奈は即座にホットバーからTNTを取り出し、リピーターで起爆遅延を設けてトラップを展開。爆風がキリサメとコハクの間合いを遮ると、間髪入れず高台ブロックを構築。塔の上から一気に視界を制圧する。

 

 

「こっちは“人間”なんてやめた連中に囲まれてるもの。好き勝手クラフトして、何が悪いっていうの!!」

 

 

 彼女は虎皮の腰巻を翻し、弓に火打ち石で点火した火矢——フレイムのエンチャントしてないため——をつがえる。天から降り注ぐような矢雨で、距離を詰めようとする銀狼を牽制。連射される炎の矢が、門番弟の進路を塞いだ。

 

 

「ひ、ひぃっ! これ、ちょっとやりすぎじゃない!? お兄ちゃーん!」

「銀狼、情けないぞ…!」

 

 

 金狼が日本刀を手に叫び、弟を庇うように前へ出た。そしてそのまま信奈の塔に突撃——が、落とし穴が口を開けていた。その足元が、抜けるようにして。

 

 

「落ちる時は、二人一緒に仲良くよ!」

 

 

 見事な落とし穴。トラップドアと偽装草ブロックで作られた巧妙な仕掛けに、石神村の門番兄弟は沈む。

 

 

「おぉぉぉお…!?」

「くっ!」

「さっすがに、そこの連携は甘いわね!」

 

 

 その瞬間、信奈の頭上で風が鳴る。既に別方向から、キリサメが跳躍していた。マイクラ鉄剣の二振りが宙を裂き、信奈の防御ブロックを切り裂く。

 

 

「切り裂く!? これを!?」

「信奈様。やはり、貴女様も“創造主”なのですね」

「あんた“人間”かどうか怪しいわよ本当!!」

「そ、そんな///」

「褒めてないし照れるな!!?」

 

 

 キリサメの短剣が閃く。信奈は咄嗟に塔を一段高く築き上げ、ブロックを足場にしながら上空へと逃れる。

 そこへコハクが続いた。瓦礫を跳ね飛ばし、鍛え上げられた脚力で信奈の高台に到達する。至近距離に入り込んだコハクと、ついに交錯する。

 コハクの日本刀が風を裂き、信奈のダイヤ剣が火花を散らす。互いに一歩も引かぬ斬撃の応酬。

 

 

「ハ! 正々堂々だ! 創造主といえど、容赦はしない!」

 

 

 信奈は一瞬だけ目を細めた。

 

 

「“正々堂々”…? この場にそんな言葉、持ち込まないで…勝った者こそが正義よ!!」

 

 

 言い放つと、信奈は回避行動に入り、塔を蹴って後退。だがその逃走先、地面が重く唸った。

 

 

「うん、俺の出番みたいだね」

 

 

 司が動いた。クラフトされた黒曜石の槍は腰にあるが、彼が使うのは“拳”のみ。全身から湧き上がる気迫が、地を震わせる。信奈の塔の一角に拳が叩き込まれた。その一撃で構造が歪み、塔が傾ぐ。信奈は空中に投げ出された。

 

 

「くっ…! バカな…傾くなんて…ッ」

 

 

 奈は重力に引かれて落下する彼女は即座にバケツから水を撒き、ウォーターバグで落下ダメージを無効化。ダメージを回避した。

 

 

「チート筋肉どもめ! このッ、物理偏重の化け物たち!」

 

 

 そんな彼女の叫びに、ふつくしいモズが迫った。

 

 

「ん〜、言葉がキツいねェ? …でもその必死な顔、もっと見せてよ、信奈ちゃん」

 

 

 信奈は最後の矢を抜き、視線を彼らに向けた。

 

 

「こっちだって、遊びじゃないのよ!」

「俺さ、信奈ちゃんが好きなんだよね。結婚しよう」

「おっふ///…じゃない!!!」

「首に刺したのに生きてる…ヤバいね、マインクラフターって奴は」

 

 

 軍事部と技術開発部の共同クラフトされた、煙幕を焚いて後退する信奈。距離を確保すると、この戦場に砦を建てた。

 

 石と鉄のブロック、レッドストーンで組まれた機構は訓練場の中央にそびえ立ち、まるで戦国の天守のごとく、威風堂々と空に浮いている。

 

 

「これだけの塔をたった一人で、たった何分かで出来た…異常よね本当。今更だけれど、空に浮くのも意味がわからないし…重力どうなってるよ、ったく」

 

 

 マインクラフトにおいて、ほとんどのブロックは重力に従わない。土台を崩されようとも、空中に堂々と残り続ける。故に、信奈の拠点もまた、浮かび続けていた…先の塔が司の拳で傾けられたのは、説明つかないが…。

 

 

「ふふ、見なさい! 足元を崩せば落ちる? ……甘いわね。この空中の塔は、あなたたち戦士じゃ届かないでしょう!」

 

 

 信奈は塔の上から叫んだ。ホットバーを見れば、ポーションにTNT、観察者ブロックにディスペンサー、あらゆる策が用意されている。

 

 だがその優位も、束の間だった。ヒュッ、と空を裂く風音。次の瞬間、塔の外壁に正確無比な一矢が突き刺さった。

 

 

「っ……どこから!?」

 

 

 信奈が振り向くより早く、また一矢。今回は塔の側面に設置されたトリップワイヤーを正確に断ち切り、仕込まれた矢トラップが無力化される。

 

 

「姫武将? 姫大名? 織田信奈? はは、初めて聞いたよ。俗に云う、“マルチバース”ってやつかな?」

 

 

 木立の影から、西園寺羽京がその優雅な姿を現した。弓を構えたまま、まるで戯れのような口調で信奈に笑みを向ける。

 

 

「あはは。君の建築、どれも見事だよ。でもね、マインクラフターの癖って、結構読みやすいんだね。防衛用の装置は、全部同じ規則で並べられている…そこが狙い目さ」

「な、何よそれ…!」

 

 

 確かに信奈は、理想効率を重んじる。レッドストーン回路は左右対称、ディスペンサーは必ず角に設置、落とし穴のトリップワイヤーは三マス間隔。自分としては遺憾ながら、統括のアレックスのを参考にして…。

 

 彼女の中で“最適解”だった配置が、ここにきて逆手に取られている。それを、戦士たちに突かれていたのだ。

 

 そこへ、別の声が割って入った。

 

 

「私は松風と申します、信奈殿。貴女の巧みな工作、見事でした」

 

 

 羽京の矢が信奈の動きを封じた刹那、真下に佇んでいた松風が音もなく跳躍。信奈の作った外部昇降用の足場を駆け登り、一閃。松風の日本刀が閃光のように走り、信奈が起動しかけたTNTを斬り捨てる。その一刀に、戦国の姫武将は舌打ちしながら跳躍した。

 

 

「こんやろう〜!」

「切り捨てごめん!」

「ぐっ…!」

 

 

 追い詰められた信奈がポーションを割る。移動速度上昇——だが間に合わない。

 

 逃げた先に、氷月がいた。黒曜石製の管槍を片手に、彼は実に冷ややかな視線で信奈を見据えていた。

 

 

「ちゃんとしてますね…無駄な動きですよ、信奈クン?」

「うっさいわね! 私は尾張一の美少女! 無駄な動きすら華になるっての!」

「それを華だと思う頭、脳が溶けてるんじゃないですか? まぁ〈くらふたーのせかい〉なる異世界で3700年も生きてれば耄碌…フッ、何でもありません」

「〜ッ!!!」

 

 

 信奈は身をひねり、ギリギリで槍の突きを回避。その身体が反動で傾いた瞬間、砦の縁から滑り落ちる。

 

 

「きゃっ…!」

「うん。これならどうかな」

「気軽に言うな!!」

 

 

 地に着地する寸前、司の拳が地を叩いた。地面が粉砕され、信奈が設置していた地上トラップの一部が爆ぜて機能不全になる。

 

 鉄壁の要塞はまだ浮かんでいる。だが、信奈自身は追い詰められていた。

 

 

「こ、これは…っ」

 

 

 そこへ——煙幕。くぐもった爆発音と共に、視界が白く染まった。視界が奪われたその瞬間、彼女に一閃。地を跳ねるように滑り込んできた、褐色の影と桃色の閃きだ。

 

 

「へっへー! 女忍者ナメんなっス!」

「アオイッ!? この小娘っ!」

 

 

 信奈は反射的にブロックで身を守るも、続けて背後から無数のクナイが突き刺さった。アオイの攻撃をブロックで防ぐ信奈の背後から、ホムラが鉄剣で斬り込む。その動きは極限まで洗練されており、信奈の防御が一歩、遅れる。

 

 

「アオイ、油断しないの。信奈まだ死んでないんだから」

「師匠! 了解っス!」

 

 

 ホムラの手際にアオイの跳躍が加わり、まるで影が舞うような奇襲が続く。体術、手裏剣、煙幕。まさに“女忍者”コンビの真骨頂。

 

 

 信奈は押されていた。動きが重くなる。息が上がる。ポーションの在庫も底を尽きかけていた。

 

 

(このままじゃ、本当に…)

 

 

 歯を食いしばる。手は震え、ホットバーの操作がもつれる。

 

 だが——その瞳に、諦めはなかった。

 

 

「…甘く見ないことね。こちとら、戦国を生き抜いた女よ?」

 

 

 信奈は、手持ち最後のアイテムを取り出した。TNT、レッドストーン、ディスペンサー、観察者ブロック。組み上げたのは——自爆式の連鎖装置。

 

 

「吹き飛びなさいっ!!」

 

 

 ——ドォン! ドォォンッッ! 

 

 

 轟音が訓練場を揺るがす。土煙が吹き上がり、爆炎が宙を舐める。自らも巻き込まれ、信奈は地に伏した。耳が鳴り、視界が回る。 

 

 

「っ……ッハ、ど……う……だ……ま……いっ……た……でしょ……?」

 

 

 だが。

 

 煙が晴れる。そこには、無傷の戦士たち。

 

 松風の衣は一糸乱れず、氷月は髪一本も焼けていない。司は腕を組み、羽京は弓をおろしている。ホムラとアオイは、いつの間にか塀の裏に回避していた。

 

 

「うそ……でしょう……?」

 

 

 創造主の力は、確かに強い。だがこの戦士たちの練度と連携は、それを凌駕した——

 

 

「敗北して、堪るもんですか!」

「真の最強を、その身に刻め。これぞ我が最強…アイ、アm」

「それあんたのキャラじゃないでしょ司!?」

 

 

 司のそれは、まさに一撃必殺。

 

 織田信奈の視界に、世界が裏返ったような衝撃が走った。

 

 

「く…っ、まさか、これほどの…っ!」

 

 

 信奈の腹部に直撃した、黒曜石の槍──司の渾身の一撃が、彼女の体を跳ね飛ばす。重力と慣性に逆らえず、信奈の体は土煙を巻き上げながら訓練場の地に激突した。

 

 湯帷子は裂け、虎皮の腰巻が翻り、気高き姫武将の体が泥に伏す。マインクラフトのホットバーが虚しく点滅し、手持ちのアイテムは拡散した。

 

 勝敗は、明白だった。

 

 霊長類最強の高校生、獅子王司。その称号に、偽りは無かった。

 

 無音の静寂を破るように、どこからともなく流れるモールス信号。

 

 ──織田信奈、敗北。

 

 織田信奈は敗れた。

 

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 

「っ……!」

 

 

 跳ね起きた信奈の瞳がまず映したのは、透明な天井。その先に浮かぶ青空だった。次いで視界に飛び込んできたのは、ガラスで仕切られた観戦ブースの壁。そして──ふかふかのベッドの感触。

 

 

「リスポーン、か…ふふ」

 

 軽く息を吐きつつも、その眼光には敗者の色はない。

 

 

「ぷはっ、負けちゃったね、信奈〜? いや〜、戦闘員オールスター強すぎ!」

「百戦錬磨とか言ってたのに、結局クラフター(笑)ってとこじゃない?」

 

 

 統括のアレックスと軍事部のアレックスは、くすくすと笑った。その横で、千空は頭をかきながら目を細める。

 

 

「ったく、やっちまったナァ、アレックス共…そうやって煽ると、痛い目見るぞ?」

 

 

 千空の呆れ混じりの声が耳に届く頃には、信奈は既にベッドから立ち上がっていた。虎皮の腰巻が揺れ、湯帷子の裾がさらりと翻る。彼女の瞳には、静かな炎が宿っていた。

 

 

「千空、正確には…プレゼント、よ」

 

 

 小さく指を鳴らすと、観戦ブースのドアが自動で開き、足音と共に現れたのは戦闘員オールスター——コハク、キリサメ、モズ、司、羽京、氷月、金狼、銀狼、ホムラ、松風、アオイ——。

 

 その全員が笑みを浮かべながらも、目だけは怖い目をしていた。その視線は、後退る二人のアレックスに向けられて。

 

 

「えっ…ちょ、ちょっと待って!? なんで全員武器持っている!!?」

「戦闘技能テスト終わったはずだぞ!」

 

 

 信奈はその様をじっと見つめ、満足げに微笑む。

 

 

「私が、負けて黙って終わると思ったの? 尾張一の美少女を舐めないことね! 戦闘員オールスター、アレックス共のフルボッコ準備よ!」

 

 

 アレックスたちの慌てる姿は、彼女の心に愉快にさせた。これはリベンジでもある。まだまだ創造主としては未熟だった自分を、厳重に収容されていたウィザー部屋に放り込んだことに対して。靴音を響かせて一歩、また一歩と歩を進めると観戦ブースの空気が緊張で凍りついた。統括のアレックスと軍事部のアレックスが。

 

 

「ハ! 創造主だろうと、命令なら従うぞ」

「信奈様の御意ならば」

「「百物語のアレックスよりもそっちを優先するのか!?」」

「申し訳ございません。優先順位に含まれておりません。降格です」

 

 

 コハクが抜刀し、キリサメが短剣を抜き放つ。

 

 

「マインクラフターって、血は流れるかな?」

「「ヤメてもろて」」

 

 

 羽京が苦笑しながら弓を構え、いつでも撃てるようにする。

 

 

「ん〜、やっぱ信奈ちゃん好きだわ。唆るねェ」

「ちゃんと観察して、命乞いを見ましょうか。ふふ」

「「ヒトの心はあるんか」」

 

 

 モズが笑顔で歩き出し、氷月が冷ややかに呟く。

 

 

「うん、このチャンスに感謝するよ」

「「恨みを買った覚えはないよね??」」

 

 

 霊長類最強の高校生は槍を構えると、門番兄弟も続く。

 

 

「貴様らに礼儀というものを叩き込んでやる」

「ええっ!? やるの!? ほんとにやるの!?」

「お覚悟を。統括のアレックス殿、軍事部のアレックス殿」

「「ほんとにやらないでもろで」」

 

 

 金狼と銀狼と松風は抜刀し、日本刀での切り捨てごめん態勢へ。

 

 

「ホムラ師匠! いっちょやっちゃうっスよ、!」

「アオイ、いくわよ」

「「いくな!!」」

 

 

 女忍者師弟がクナイで肉薄せんとする。全員、殺意マシマシだ。

 

 

「ちょ、ちょっと待って欲しい! 話を、話をしよう! あっ、ダメ…ソッカ〜」

「千空、止めてくれ! これはテストの範囲外だっ!!」

「おっと仕事の時間だ。行かねえとなァ」

「「ヒトを捨てたか貴様ァァァァ!!」」

 

 

 信奈は勝ち誇った笑みを浮かべ、手を高らかに掲げる。

 

 

「全員、ストレス発散なさい!」

「「「おう!」」」

「「ギャーー!!!」」

 

 

 アレックス01と02の絶叫が響き渡り、信奈はその様を暗黒微笑で眺めていた。

 

 

「ふふっ」

 

 

 瞳を細め気高き勝者の風格を纏いながら、ふわりと笑みを咲かせる。

 

 

「“負けてやんの”は、どっちかしらねえ?」

 

 

 こうして戦闘員オールスターvsマインクラフター織田信奈の戦闘技能テストは、幕を閉じたのであった。




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