クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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お待たせしました。体調が優れなく、投稿が遅れました。


アメリカへの船旅
深いハァンとポーカー対決の始まり


 地球のすべての人類が、〈くらふたーのせかい〉から帰って来たら文明滅亡してた件から3700年。文明が滅んでしまってる件のストーンワールドに復活した彼ら彼女らは、我らマインクラフターと共に科学を再誕させつつ、太平洋を横断出来る大型機帆船をクラフトするまでに至った。

 

 

「70日だ!」

「40日だ!」

 

 

 皆さんごきげんよう。わたしは、マインクラフターのアレックス。創造主とも呼ばれているぞ。

 

 

「アメリカまでのルートの話だね」

「クククッ、流石は潜水艦乗りサマだ。話が(はえ)

 

 

 フッ、乗り心地は最高かな。わたしだけに起きた『揺れないのに何故か船酔いする』異常性は無くなった何よりだ。本当、あれは一体なんだったのだろう。揺れないのに船酔いっておかしいと思いますハイ…くぅ、ビール最高。

 

 

「70日! 等角航路で行く! 大圏航路は現在地に応じて舵の切り方が変わり続けるんだぞ!?」

「40日 大圏航路だ! こちとら科学の船だ! 人工衛星が無くても精度イイGPS大先生があんだよ!!」

「船乗りとして現実的な話をしている! 違うか?!」

 

 

 進行状況のおさらいしとこっと。ペルセウス級の艦隊は分かれた。1号船はアメリカ大陸、他ペルセウス級はクラフターを乗せてアメリカ大陸以外へ。全人類70億を救うのだ。いくつもの船がコーンシティ建設予定地ことアメリカに向かうというのは、非効率的。ひとまずは各国土の発展を第一目標とし、その後は段階的に第二目標の全人類70億を救済する。

 

 一応、文明崩壊前の「この世界はこうだったんだよ〜」は全クラフターに共有し、再構築を頼んだ。創造を発揮するのだ、同志たちよ。

 

 デザイン云々で元通りどころか「個性的」になるかもしれない。…まっ、もしも苦情が出たら、その時はこう言っておけばよい。

 

 

 ──ごめん〜ね☆ マインクラフターだから許してちょうだいな♡ 

 

 

 フッ、我ながら素晴らしい伝え方だ。苦情が沈静化され、逆に感謝が湧き上がること間違いなし。100億パーセント、遠くない未来で必ず訪れるであろう。

 

 

「これ以上削ると言うのなら…千空! 貴様と闘わなければならん」

「クククッ、そうか…なら!」

「「やるしかねえな!!!」」

 

 

 …ところで、先ほどから気になっていたのだが。先ほどから何を争っているのだろうか? この二人は。わたしは、声をかけることにした。多分大事かなと思う内容を。

 

 千空? 龍水? 

 

 

「「どうした?」」

 

 

 視線が集まったな、言おう。

 

 まずこの船は気象条件や洋流、トラブルなどは起きない。ペルセウスの技術力なら、エンジン主体で進めば遅くとも17日で到着するぞ? 停泊やら寄り道やらしなければ10日で着く。だからまぁ、滑り込みセーフすることなく余裕で旧サンフランシスコに到着する。時期的に収穫時期ではないがイエローデント、コーンの成長は骨粉を使えば収穫だって可能だ。

 

 マインクラフターがいて良かったな。おかけで5月下旬に『アメリカ大陸…到着ゥゥゥゥ!!!』出来るからな。

 

 

「「…」」

 

 

 わたしは言い切った。これでその40日やら70日やら等が払拭されることだろう。

 

 

「「「いくらなんでも速すぎるだろ!!?」」」

「「…」」

 

 

 外野が騒がしい。わたしは今、彼らと話をしているのだ。ったく…さあ二人とも、これで理解と納得してくれたかな? 

 

 

「「ハァ〜〜〜…ポーカーするかァ」」

 

 

 筈なのだが、何故か深いハァンを漏らしていた。大変失礼な視線までも寄越して…いやこっちがハァンしたいんだが?? もうイイもん! ビール飲むもん! ゴクゴクゴク──

 

 

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 

 ペルセウス号——その操舵室に、今宵は異様な熱気が満ちていた。中央に据えられた特設のポーカーテーブルは深緑のフェルトが敷かれ、無骨なスチール脚で支えられている。周囲にはギャラリーが集まり、興奮気味に囁き合い、息を呑んで場の成り行きを見守っていた。

 

 さ〜てさてさて間もなく始まるぞ…ポーカー対決が! 実況はわたし! 3717歳の現役マインクラフター、アレックスが担当する!! 

 

 

「あはは、石化してないで3700歳は人間ヤメてるよね」

「スーパーお婆ちゃんじゃねえか。見た目は美少女だけんどよ」

「ワオ! でありますナァ」

 

 

 操舵室の天井からクルクル回転し飛び降りてきたのは、長いオレンジ髪を揺らす可憐な美少女。とどのつまり、わたしである。

 

 

「私の服を返せ、統括(01)

 

 

 場に合わせ、黒い背広姿である。拝借したもので、元々の服は裁定部のわたし(アレックス04)に押しつけた。すまんね。

 

 しっかし…か〜、犯罪的だァァハ〜!! くぅ、もう一本っ! 実況だろうが酔ってたって関係ない! クラフトするわけじゃないしね! これぞ祖国アメリカ! これぞアメリカ人! これz…ふへへへ〜

 

 

「そんなんで実況者が務まるのか? 解説もするんだぞ、統括(01)

 

 

 大丈夫ダッテ〜。ジャッキに注がれたビールを、わたしは勢いよく一口煽る。第三者の視点からすると、頬を紅潮させて異常なまでに高揚していると思うことだろう。

 

 

「司会を務めるのは私、北東西 南です。アレックスさん、今回は対決の進行が重要ですから、くれぐれも飲みすぎには注意くださいね?」

 

 

 フッ、飲まないバカが何処にいるというのだね? 注意なんぞする必要がないわ! ドドン…!!! 

 

 

「ふふっ、今日は華やかな勝負になりそうですね」

 

 

 金髪の美女が静かに笑みを浮かべ、観客へと優雅に手を振る。ドレス姿の南が発する妖艶な雰囲気が、室内の温度を一段階上げたように思えた。落ち着いたトーンながら、その美貌とプロの所作で観客たちの視線を自然と引き寄せていた。ちなみに、色気は武器にしない部類だ。

 

 その彼女に、わたしは殴られてしまった。ハートが一つ削れた。痛い。何も殴ることないと思う。ここ最近どいつもこいつも、遠慮っていうのが無くなっている。我クラフターぞ? すべての創造主を統べる者ぞ? どうかわたしに対する敬意を復活させて欲しい。嘆くわたしはビールをお代わりした。

 

 

「では開幕に先立ち、ディーラーを務めます。羽京です。公平かつ厳正に進行するから、協力をお願いします」

 

 

 黄色のベレー帽を被る羽京。穏やかで落ち着いた笑顔、優しさを感じさせる彼より、開始前の準備が出来たことが告げられた。既に席に座っている、科学少年がハァンと溜息を吐いた。あらやだイケメンじゃないのきゃー結婚したい。

 

 

「なんで服まで凝ってやがんだよ…今更だけどよ」

「ギャラリーにフォーマルなものだと見せつけるためだ。当然だろう?」

「そりゃな。だが、俺が気にしてんのは…ゲンと組んでやがる!! こんなもん、100億パーセントイカサマし放題じゃねえか!!」

 

 

 千空が憤るのも無理はないりゲンはメンタリストで、マジシャンでもある。龍水は余裕の笑み。なるほど、この男は100億パーセント勝ちに来ている。

 

 

「クククッ」

「!? 千空貴様、なぜ笑う…?」

 

 

 あっ、ゲンも龍水もふつくしいですね。おっふです。これだけどビール三杯はイケる…ひっぐ!!! 

 

 

「おお困った困った! 敵はタッグじゃあないか? ならば私が千空と組むのも問題あるまい?」

「コハクちゃん!?」

 

 

 光沢のある黄金色のノースリーブドレスを着用するのは、石神村出身のコハク。胸元は大胆に開いており、肩や腕で露出している。首には同色の細いチョーカーを巻いている。引き締まった体躯ながら女性らしい曲線も強調。表情は自信に満ちている彼女こそが、千空のタッグだ。

 

 う〜ん、けしからん格好だ。

 

 ギャラリーから歓声が上がった。わたしも歓声した。ありがとう、闇の女神アインドラ。こんな素晴らしい、少年漫画みたいな世界に転生させてくれて。こんなにも神に感謝したことは生まれて初めてだ。

 

 

「ギャラリーの歓声は統括(01)とは別物なのだが…ハァ」

「はっはーっ! イイぞイイぞ! こうでなければゲームとは呼べんッ!!」

 

 

 龍水がフィンガースナップを鳴らす。ゲンとコハクを見た羽京は苦笑いすると、手元のカードをシャッフルし始めた。始まるな。ビールを飲んでこっちもスタンバイだ。

 

 

「ではゲームの開始にあたり、プレイヤーにカードを配布します」

「最初の5枚は僕が配ります。以降、一勝負ごとの持ち回りです」

 

 

 それと共に、南が自分の口をマイクに近づけた。わたしもだな、そうしよう。

 

 

「ポーカー対決の基本的なルールについてご説明します。ポーカーにはいくつかのバリエーションがありますが…アレックスさん」

 

 

 わたしの出番か。ビールジョッキを置いて、わたしは説明する。一般的な『テキサスホールデム』のルールを。

 

 テキサスホールデムは、ポーカーの中でも特に人気のあるバリエーションで、プレイヤー同士の心理戦と戦略が魅力のゲームである。ゲームは通常、2人から10人のプレイヤーで行われ、各プレイヤーには最初に2枚のホールカードが配られる。これらのカードは他のプレイヤーには見えないため、各自が自分の手札をどう活かすかが重要なポイントとなる。

 

 ゲームの進行はまず小さなベットと大きなベットが設定され、プレイヤーはそれに基づいて賭けを行う。最初のベッティングラウンドが終わると、ディーラーはフロップと呼ばれる3枚のコミュニティカードをテーブルに表向きに置く。

 

 これにより、プレイヤーは自分のホールカードとコミュニティカードを組み合わせて役を作ることができる。続いて、ターンカードが1枚追加され、さらにリバーカードが公開される。これらのカードが全て出揃った後、最後のベッティングラウンドが行われ、残ったプレイヤーは自分のホールカードを公開する。

 

 最も強い役を持つプレイヤーが勝者となり、ポットに賭けられたチップを手に入れる。テキサスホールデムは、運だけでなく、相手の心理を読み取る力や戦略的な思考が求められるため、プレイヤーにとって非常に魅力的なゲームである。

 

 

「ポーカーのベッティングアクションにも種類があるそうですね? アレックスさん」

 

 

 わたしは頷いた。いかにも。『コールは前のヒトと同じ額をベット』『レイズは前のヒトのベット額に更に上乗せしてベット』『フォールドは勝負せず、ゲームから降りること』。そして『チェックはベットせずに自分の順番をパス、このラウンドでは自分より誰もベットしていない状態のみ使える』だ。

 

 

「ポーカーの役ですが『ロイヤルフラッシュ』<『ストレートフラッシュ』<『フォーカード』<『フルハウス』<『フラッシュ』<『ストレート』<『スリーオブアカインド』<『ツーペア』<『ワンペア』<『ハイカード』の順で強い、で合ってますでしょうか?」

 

 

 その認識で合ってるン…ダメだ、もう限界だ! わたしはビールを煽った…ウマい〜!! 

 

 

「ゴホン。先ほど『テキサスホールデム』についてアレックスさんより説明させていただきましたが、今回行われているものは『ファイブカードドロー』であります」

 

 

 ファイブカードドローについても、説明しないとな。基本的なルール、ハイドのランク等で特段『テキサスホールデム』と変わりはない。明確な違いがあるならば──最初の5枚のカードを配り、その段階でベッティングを行い、手札を交換し再度ベッティングし、最後に役の強さを競う──が『ファイブカードドロー』だ。そして、最初の親はじゃんけんで決める。

 

 

「めんごめんご〜、じゃんけんの邪魔かと思ってさ〜。我ながらドイヒーね」

 

 

 酔っているとはいえ、実況は忘れずにしなくては。ゲンは、ほぼ音を立てずにトランプの山札を崩した。慌てて山札を整え直すゲンを、コハクが素早く手を伸ばして掴んだ。彼女の青い瞳が、一直線にゲンを射抜いた。

 

 

「おお不思議ダナァ、ゲン? 何故か今、君が今カードを運んだように見えてしまったぞ? 今一番上のカードがハートのAでなければ勇み足だと認めよう」

「あらビックリ! ジーマーでハートのA! ゴイスーな偶然ね☆」

「ゲン? そのような行為はルール違反だよ。以後、カードへの不自然な接触は禁止とします。再発時は即、失格するからね」

 

 

 羽京の言葉に、ゲンは肩をすくめて笑ってみせた。場の空気が緊迫する中、何故かわたしは口元を拭って何故か立ち上がっていた。

 

 

「あっ、統括(01)が青い顔して倒れた」

 

 

 そして流れるようにバタンキュー。誰もが驚きの表情を浮かべたが次の瞬間、わたしが青ざめた顔で倒れたのを目撃してるのが分かる。周囲は騒然とし、すぐに笑い声に変わっている。ふむ…わたしの倒れ方に場の空気は一気に緩み、冗談めいた声が飛び交ったか。

 

 

「…ゴホン。火花バチバチですね! これは手に汗握る対決になりそうです…皆さま、心してご覧ください!」

 

 

 でもちょっとくらい心配してくれもイイんじゃない? REIだったら心配するだろ…多分。




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