クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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短め。内容は濃味。


ポーカー対決の実況(悪酔い)

 勝負開始の合図と共に、羽京の手から滑らかに配られていくカード。その一枚一枚が空気を裂くたび、場の緊張は一段と深まる。

 

 皆さんどうもごきげんよう! わたしはマインクラフターのアレックス。統括のアレックス、とも同志たちに呼ばれているぞ。

 

 現在は実況の最中である。龍水とゲン、千空とコハク。それぞれの手札が整うと、わたしはマイクを片手に実況席から吠えた。

 

 

 さあ、開幕のラウンドだ! この勝負、ただのポーカじゃあない! 信頼、欺き、見破り合い! これは——魂の読み合いだッ!! 

 

 

「まさに“人間の知性”の戦場ですね!」

 

 

 南が艶やかに微笑み、勝負の行方を見つめる。うん! おっふです! 結婚したいです! …が、今は実況に全集中。そのような邪念の異常性は牛乳で正常とするべし、だ。よし、異常は無くなった。

 

 

「レイズ!」

「コールだ」

「ほう」

「フルハウス」

 

 

 そういえば『まさに“人間の知性”の戦場ですね!』ってどういう意味だろう? しかし、わたしは解説も兼任している実況者。ここは知ってますよアピールしとこっと…ゴホン! 

 

 

「フルハウス」

「スリーカード!」

「ストレート」

「フラッシュ!」

 

 

 一進一退の攻防、前進したり後退したりしている! 

 

 

「レイズだ!」

「ここで賭け金大幅アップです! 果たして千空くんは受けて立つのか?!」

 

 

 ここで前のヒト、千空のベット額にさらに上乗せしてベットした! ゲンは沈黙し、龍水はニヤリと笑う! これは千空、ペルセウス1号船・船長がハッタリかどうか1ミリも読めないか〜!! このアレックス、この状態の彼らのお顔がふつくしい過ぎて尊死しそうだゾ!! 

 

 

「コールだ」

「何かふりかけたな? カードの山札に」

「砂糖、か…?」

 

 

 お〜と!? ここで砂糖をふりかけただと!? 

 

 

「コハク、ゲンの袖だ。クククッ」

「カナブン?」

「これでどうやってイカサマを?」

 

 

 なるほど。砂糖で目印した特定のカードに、そのカナブンという虫の触覚が反応する訳か! これは考えたな!! だがこっそり仕込むにしては、少々雑過ぎる。視線は逸らせていたが、指の動きまでは誤魔化せてはない。

 

 

「気になるならほら〜、一枚一枚チェックすればイイじゃない! 一枚一枚…よ〜くね?」

 

 

 だというのにこの男、なんてワル〜い顔をしているんだ…っ。いったい、何を考えている…? ……ハッ!!? この瞬間、全員の目が山札に殺到して…っ。

 

 

「ハッハー、チップ全力レイズだ!!」

「大レイズですー!!? これは凄い! 見事な陽動! ゲンくんの仕掛けが、まさか“囮”だったとは!?」

「くっ! カードをすり替えたな? ゲン貴様!」

 

 

 ゲンの狙いはこれか! ド派手でインパクトある登場のカナブンやら千空とコハクのカードチェック等で、全員の注目誘導…これが、これが…っ、魔術師の力だとでもいうのか!! 

 

 まさか、わたしの前世の世界にいた魔術師と同じく、瞬間移動や時間を操る能力も持っているとは!!? 

 

 

「持ってすらもいないよジーマーで?! これマジックだからねアレックスちゃん!?」

「ゲンくんの今までの仕込みはすべて、この一発で勝負決めるためだったようです!」

 

 

 違ったらしい。魔術師として生まれ変わった末に『人類を守る運命』も一緒であって欲しかったが、よく思い返してみるとゲンの場合『一般人』に分類されるな。わたしとしたことが…ぬかったわ!!!

 

 さて、実況に戻らねば。枝豆ウマイな。

 

 

「「フッフッフッ」」

 

 

 これは“スリー・オブ・ア・カインド”を装った、“フォー・オブ・ア・カインド”か? それとも四枚ともエースのフォーカードか? 全カードすり替え済み…どちらにせよ、“最強の手”が既に完成してある!! 

 

 さあ千空、どうする? 楽しませてもらうよ? 17杯目のビールを飲みながらなァ…!! 

 

 

「んじゃ俺も、全部賭けと行こうじゃねえか!!!」

「なんとオールインです! 千空くんがすべてのチップをベット!!」

「き、貴様どうして…?」

「全員の注目誘導、マジックの基本…っ」

 

 

 千空&コハクチームは三枚チェンジ! 目にも見えない速度でパパっと上から…ではなく山札の途中から抜いたァァァ! あっ、今は喋ってないですハイ。しかし、これを見破れるのはコハク以外だと司くらいではなかろうか!! 千空からの指示か〜? 

 

 

「まるまるハッタリの可能性がありますが…さあどうする? 龍水くん」

「フッ、フフフ…ハッハー! これは面白い! イイだろう、ここで決めるぞ!!」

 

 

 よし喋ろう。ゴホン。互いにオールインだァァァ!!! これは唆る! これは盛り上がる! 最高だぜェェェ!!! 統括のアレックスは19杯目のビールをお代わりだ!! 

 

 

「フォーカード!!」

 

 

 か〜、悪魔的に美味い〜!! さあ、龍水がフォーカードなら千空はどうだ〜? 

 

 

「クッフフ──ロイヤルストレートフラッシュだ」

「「な、なにィィィィ!!?」」

 

 

 ナニィィィィ!!? 最強だァァァァ!!? 

 

 

「千空くんチップ総取りだァァァ!! 勝負あり! 勝者…石神千空&コハク…!!!」

 

 

 ギャラリーは静まり返ると次の瞬間、爆発的な歓声が巻き起こった。おめでとう千空! おめでとうコハク! 祝福すr…ア、ヤバイ、ナゼカキモヂワルイ…うへぇ。

 

 

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 

 

 ポーカー対決は無事に幕を閉じ、船上の甲板では龍水の提案によりカジノが開かれた。参加者たちは緊張感を解きほぐし、思う存分に娯楽を楽しむ時間を過ごす。勝敗に関わらず皆の表情は満面の笑みで満ちており、今宵の夜は和やかな雰囲気が漂い続けることだろう。

 

 ゲームの興奮と交流の喜びが交錯し、船上の夜は一層華やかに彩られる。こうしたひとときは仲間たちとの絆を深める時間となり、皆にとって忘れられない思い出となった。

 

 

「牛乳飲めばよk…うへぇ」

「はいはい。出すものドンドン出そう。スッキリするから」

「背中を撫でてくれるなんて母親みt」

「あっ、虹色だ。きゃっきゃ」

 

 

 呆れるアレックス04に介護されている、悪酔いしたアレックス01を除いて。




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