クラフトは不滅である   作:最高司祭アドミニストレータ

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アレックス「この素晴らしい世界に祝福を!」
アインドラ「略して〜」
アレックス「このすば!」
アインドラ「よし!」


機動要塞デストロイヤー
呼称名「機動要塞デストロイヤー」


「デカい機械ダナ〜、わあ黒い」

「ああ、デカいね。まるで要塞だ。21世紀でさえも実現出来ていない、多脚移動要塞…おお! エレガントな見た目じゃあないか!」

 

 

 皆さんどうもごきげんよう! わたしは、マインクラフターのアレックス。統括とも呼ばれている、美少女でもあるぞ! 

 

 そんなわたし、ひとつ言いたいことがある。

 

 な、ナニアレー!!? 

 

 

 鋼鉄の巨躯に八本の機械脚を備えたその構造体は、あらゆる自然の摂理を拒絶するかのように地表を這い回る。関節部には複雑な油圧シリンダーと軸受けが重厚に組み込まれ、ギシギシと軋む音を撒き散らしながら、それぞれの脚が巨大な鉄杭のように地を抉る。

 

 頭部に相当する球形のユニットには、蜘蛛を思わせる八つの光源が対称に配置されており、白色LEDのような光を鈍く発していた。光は点滅せず、明滅もなく、まるで“見ている”という感覚だけを伝える不気味さに満ちている。眼球のように動くわけではないが、そこに視線があると直感させる圧を持っていた。

 

 その黒々とした外装は艶を帯びた金属光沢を持ち、荒天下でも反射を保っている。全体は無機質な漆黒に包まれているが、関節部や外殻の継ぎ目には赤熱したラインが走り、僅かに蒸気のようなものを吐き出していた。それは冷却か、あるいは殺意の漏れかは不明だが、常にどこかが脈動している。

 

 背部には塔のような直立した構造が設けられ、まるで甲冑を着た騎士の背にそびえる旗印のように空に突き刺さっていた。あらゆる面に装甲板が貼り重ねられ、装飾性を持たない完全なる“道具”の設計が徹底されている。

 

 巨躯の動きは遅く見えて、瞬時に間合いを詰めるだけの加速力を孕んでおり、まるでその金属の脚には慣性という概念が存在しないかのようだ。動くたびに空気が裂け、遠くからでも微かに鉄の悲鳴が届く。

 

 脚一本が家屋ほどの太さを持ち、爪先にあたる部分は鋭利な刃のように仕上げられている。打撃ではなく刺突、移動ではなく踏破。その設計思想そのものが、存在に対する拒絶の意志を物語っていた。

 

 機械仕掛けの、漆黒の蜘蛛型移動要塞。

 

 

「ホワイマンの差し金か?」

「ホワイマン? なんだい、それは。何かの略称かな」

「とぼけてんじゃねえよ、ゼノ。さっき言ったろ…俺ら人類を石化させた黒幕に決まってんだろうが」

「ふふ、すまないね」

 

 

 ちょいとナレーションしてみたが…本当に何なの、あの未確認移動要塞は。まさかとは思うが、佐藤カズマの異世界から転移した来た、なんてことは無いだろう。機動要塞デストロイヤー、の訳ないし…でも似てるんというか、そのまんまなんだよなァ。闇の女神アインドラが面白半分で持って来た、という線もありそうだ…迷惑過ぎる。

 

 

「ホワイマンの差し金と仮定するなら、明確な敵意があるね」

「3700年前に人類石化して来た時点で、敵意なんざ100億パーセントあるわ。おそらく──」

 

 

 この世界版、という線が濃厚やもしれない。となると科学版か。魔術的やら魔法的やらの異世界あるあるの〜、は無いと見て良いだろう。バリアとレーザーは確実、かな。断言しかねるが。

 

 

「なるほど。天空つまり月から石化装置を降らせることはもう出来ない、ということだね?」

「あくまで、だがな。でなきゃ、こんな面倒な方法で滅ぼそうとしてねえよ」

「…日本は大丈夫なのかな? あの機械仕掛けの移動要塞がひとつだけの保証はない」

「ルリからの話だと、影すら無いって話だ。…とはいえだ、警戒しないことには変わりねえ。創造主サマの軍事部が臨戦態勢で待機中だとよ」

「おお! それなら問題ないか」

 

 

 呼称面倒だし…よし! かの世界同様、機動要塞デストロイヤーでいいか。ほん〜と! 見た目100億パーセント同じだし! 

 

 ところでだ…止まってね? 何故だ? 不具合ないように思えるが…嗚呼、そういうことか。ふっ、理由が分かったぞ。

 

 

「おや? ヘリの小隊が機動要塞デストロイヤーとやらの前を飛んでるね」

「何しようとしてんだ? まさかファーストコンタクトならぬ、歓迎コンタクトしようとしてんのか…アホか??」

 

 

 軍事部所属のCH-54輸送ヘリコプターと護衛機たるブラックホークが、進行方向を妨害してるからだ! …さて、お祈りでもしとくか。おきょうしとこう。南無南無──。

 

 

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 

 

 

 ごきげんよう皆の衆。私は、軍事部のアレックス。02とも呼ばれている、ミリタリー大好きなただの女の子である。私は現在、歓迎ヘリたるCH-54輸送ヘリコプターに搭乗している。これも機動要塞デストロイヤーとやらに乗っているであろう、知的生命体にコンタクトするためである。おそらく相手はアトランティス人であろう。間違いない。

 

 理由なんぞないぞ? ただの直感、ただの決めつけ。深い理由なんぞ無い。どこから来た、すらも考えてすらもいない。まっ、正解してるっしょ。アトランティスの文字というか記号みたいなやつが、どこにあったか忘れたがあったし。

 

 アトランティスの兵器であることは間違いないのだ。21世紀人類が頑張ればクラフト出来そうな兵器でも、私は気にしない。ロマンたる存在が、この私の眼前にあるのだから。

 

 

 ──どうする同志? コンタクトするか? 

 

 

 そうだな。しようか。

 

 

 ──相分かった。

 

 

 このCH-54輸送ヘリコプターの腹には、意思疎通に使う電光掲示板をぶら下げている。デッカイぞ〜。軍事部と技術開発部の共同開発した、目で見て分かるコミニュケーション装置を取り付けてある。アトランティス語は知らんからな。言葉による会話が不可能ということから、用意されたという訳だ。この装置は明るい朝昼でも確認可能である、照明パネルだからな。問題ない。

 

 

 ──ホバリングを継続。

 ──コミニュケーションを開始する。ウェルカムパーティ作戦開始。

 ──了解。『ユーは何しに此処に』を行え。

 

 

 UH-60ブラックホークは、CH-54輸送ヘリコプターに付き従う。護衛として連れて来たのだ。私を守ってもらわなくてはな。ふふ。

 

 

 ──反応なし。繰り返す。反応なし。

 ──フェーズ2に移行する。ブラックホーク全機は機動要塞デストロイヤー上空に移動、突入せよ。

 ──了解。

 

 

 残念ながら、反応はしてくれないようだ。言語が違うからは当然だが、寂しいものだな。というわけで、コミニュケーション装置ではこう伝えた。『直接対話するから乗り込むね』と。プロトタイプの『翻訳のポーション』飲ませれば、こちらの言語を理解することだろう。

 

 もしかしたら死んでしまうかもしれない…ヤベー素材で作ったし。実証実験はしてなかったが、なるようになる。死んでしまったらその時は、不死のトーテムで蘇生すればよいだろう。何度でも何度でも、試せばいい。便利だよな、不死のトーテムは。

 

 

 ──降下しろ! ゴーg…うわァァァ!!? 

 ──爆発した! 繰り返す、1号機が爆発した! 

 ──攻撃を受けた模様! 2号機、墜落する! 

 ──な、なんだあれh…グハァァァァ!!? 

 

 

 ……どうやら、作戦は失敗したらしい。あっ、レーザーだ! きゃっきゃ…ダヒャァァァ!!? 

 

 

 

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ」

「おっ? スタンリーが出撃合図したのかな。戦車とガンシップが攻撃態勢だ」

 

 

 わたしは無実だ! ゼロワンは無実だ! だから千空…その目はやめてくれェェェェ!!!




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