よろしくお願いします   作:やかんづる

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第2話

野良仕事を終えた朝食の席で、杖と契約出来たお祝いをもらえた。が、少し厚切りのチーズ一切れとお祝いの言葉だけだった。

まぁ、仕方ないと思い切り、早速魔法を教えてもらう事にする。

 

先ずは適性をと調べたが、見事に全属性に適性が無かった。尤も、我が家では普通の事らしく、誰も落胆さえしない。薄ら寒くなる。

 

挫けそうな気力を振り絞り、コモンマジックを教えてもらった。

意外な事に、ライトやレビテーションは1日で、フライも7日で覚える事が出来た。転生特典だろうか。

(ロックやアンロックは、学園で初めて習う事になる。

ウチの領では、鍵をかける習慣が無いからである。

嫁入りして、世間を知っていた筈のおかんも、まるっと忘れていたそうだ。)

 

ちなみに、我が家は末っ子の僕を入れて7人家族だ。

 

おじい(58)は火、おばあ(56)とおとん(37)は水、おかん(38)は土、お兄(14)は風のドットで、お姉(12)はもう少しで水のドットかなと言うレベルだ。

シャドの血に満遍なく才能が無いのが実感出来る。

 

ただ、お兄は今年で14歳になったのだが、10歳でドットになれているので、「シャド家6000年のドットの呪いを解けるのではないか」と期待されている。

 

なんと、5代ぶりに、来年度の魔法学園入学も決定しているのだ。 だが、そのお兄でさえ、フライには15日もかかってようやく成功している。お姉は約1ヶ月もかかっている。

 

我が家には、学園へ同時期に2人も送れる財政的余裕は無い。

魔法学園の学費は無料だが、貴族として諸々と最低限の経費はかかるのだ。

 

ここで、お兄の度量の狭ければ、僕を虐めたり貶めたりしても不思議では無いが、お兄は、自分は学園の入学を辞退するから、僕を入学させるべきだと言い出した。

 

とは言え、既に入学手続きと各所への支払いは完了しており、今取り止めても、払い済みの代金は半分も戻らない。

 

かと言って、まだドットさえ遠く、6歳になったばかりの僕が、15歳になるお兄の代わりに入学出来る訳も無い。

つまり、お兄が学園に行かなくても、僕が学園に行ける事にはならないのだ。

 

元より、僕は原作に絡みたくなく、特にトリステイン魔法学園での大騒ぎには巻き込まれたくないので、お兄を尊敬している事を少し大袈裟に主張し、大好きなお兄の未来を閉ざしてしまったと後悔させないで欲しいと、それぐらいなら家を出ると訴えた。と言うより泣き落とした。

 

なんやかやで、なんとかお兄を翻意させる事には成功したが、お兄は僕の熱弁に感動し、自分が入学する前に、風の「ドット」として教えられる事は全て教え尽くしてみせると熱血してしまった。

 

 

結果的に、それはかなわなかったが。

 

 

 

お兄は、4ヶ月後に風の「ライン」になっていたからである。

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