よろしくお願いします   作:やかんづる

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改修中


第4話

それから二ヶ月、僕は新しい魔法を開発し、予備の杖と契約した。

 

ドット未満が何をと言う感じだが、新しい魔法と言っても「ディテクトマジック」を元に数語を変更しただけである。

どうせ、まだコモンしか使えないのだし。

 

この改良は、「対象物の魔力を視える様にする」に変えた事である。

元より、人間の視覚と言うのは優秀な感覚器官である。

ディテクトマジックは、「対象の魔力を感じる」魔法であったが、その為に、存在しない感覚器官自体を仮想的に構成させるていたのである。これは精度が低く、魔力をけっこう消費していた。

これを、既に存在する目という感覚器官に魔力を見える力を眼鏡の様に被せる事により、精度を上げた上で魔力消費量を減らせた訳である。

 

そのディテクト改で見た所、契約された杖には魔法陣と言うか、「魔法で出来た回路の様なもの」が付いているのが見えたのだ。

それは、結構不細工な代物で、例えるなら、目隠しして組み立てられた電気回路とでも言うのだろうか。

つまり、こんな物が良く動くなと思われる位のポンコツ回路なので、いくらでも改良出来る。

 

よし、とりあえず改造用に予備の杖と契約して俺Tueeeだ。

 

と、思ったのだが、そう簡単にはいかなかった。

考えてみれば当然だが、杖への魔法回路付与は、意識して行っている訳ではない。しかも、魔術回路を付与する為の確立された術式や手法も無い。それこそ手探りだ。

加えて、魔術回路を見えるようにし続けるだけでも、ドット未満の僕では、けっこう魔力を使ったのだ。

 

ただ、幸いな事に、魔術回路の修正作業自体は「意思と魔力の集中」だけで可能だった。

無意識下でなければ不可能とかでなくて

そんなこんなで、僕がなんとか予備の杖に「ドット」の回路を付けるのに二ヶ月もかかってしまったのだが、逆に言えば、杖との契約後僅か二ヶ月でドットになれたとも言える。

我が一族では終生のランク

しかし、何故、杖をディテクトで調べるなんて簡単な方法を誰も気が付かなかったのか。

杖は魔法使いの分身だからだとか、伝統だとか、そんな所だろう。単なるコロンブスの卵なのだろう。

まぁ、リードランゲージの謎に比べれはたいした事ではない。

作成時のイメージから、この魔法はCADに近いのだが、「キャドマジック」だと言いにくいので、「エディトマジック」と命名した。

正直、まだまだフリーソフトのCADどころか、子供のお絵描きソフト以下と言うレベルではあるが、この後、「複写・縮小・解析・操作・修正・付与・削除」etcの効力を加えて行く事になる。

 

ただ、少し気になる事があった。呪文を最適化しようとして、定冠詞らしき文言を省いたら呪文の効力が激減したのだ。

リードランゲージでその部分を翻訳しても、「一**」などと表示されるだけであり、この数語を外しても文章全体の意味は変わらなかったのだが、逆に、上手く配置すると効率が上がる事が分かり、何らかの文法的な問題だろうと判断した。

 

後日、何故もっと徹底して追及しなかったのかと、心底後悔することになるのだが。

 

この魔法をこれ程熱心に開発したのは、ハルキゲニアのメイジの魔力は、杖の魔術回路を通ってのみ、魔法として現実世界に発現するからである。

先程も例えた様に、魔力を電気とすると、杖の魔術回路をは電子回路、魔法が演算結果である。

 

何故、こんな初期からこんなに面倒な事を始めたかと言うと、おかんの魔術回路が他の家族のサイズが面積比で四分の一しかなく、同じ魔法をかけた時の魔力消費量も同じく四分の一ぐらいだったのに、威力は同レベルだったからだ。

 

つまり、魔法回路を縮小して杖に付加出来れば、簡単にサトー家の「ドットの呪い」の一因はこれではないかと考えられる。

なお、回路のサイズについては、数年後、隣の領地のドットメイジがおかんサイズの回路だったので間違い無い事が判明した。

ただ、いくら「ドットの呪い」が優勢遺伝だとしても、DNAによる遺伝としてはメンデルの法則に反する。

やはり、何か霊的・魔法的な原因が有るのだろうと思う。……呪いだわ。

 

先程も例えた様に、ハルキゲニアの魔法使いと杖は、自作PC初心者とその作品と言うのが比較的近いと思う。

契約出来たばかりの杖は、ほぼベアボーンのままで、OSを動かすのが手一杯。メモリも最小限でアプリも殆ど無い。ただ、パスワードにより他人はは使用不能だ。

作者はメモリを増設し、プログラムをインストールし、各属性を補助するボードを挿入して行く。

だが、取説は無く、手探りで組み立てるしかない。

 

例えると、杖のマザーボードのスロットに「水の演算補助ボード」が一枚挿さっている状態が、「水のドット」である。

又、空きスロットに他の属性のボードを挿すことは出来るが、ボードを使えるアドレスは指定されており、どれか一枚しか使う事が出来ない。

そして、アドレスは同じ属性を重ねることに依り増加する。これがランクアップである。

つまり、水のラインで火と土がドットの魔法使いは水と水、水と火、水と土のライン魔法は使えるが、火と土のライン魔法は使えない。(筈だ)

 

ところが、僕が観た処、同属性のボードをn枚挿すには、動作する為のメモリ(魔力量)がnの二乗必要であった。

ドットで必要なメモリを1とすると、ラインなら4トライアングルで9、スクエアで16必要なのだ。

ところが、サトー家の血族ではドットになるのに並のライン以上、ラインになるには、スクエア以上の魔力が要るのだ。

この「メモリ設定」はハルキゲニアの魔法の根本的な仕様である。

改変は不可能では無いと思うが、それは、先住魔法の一種とされてしまうであろう。

 

ちなみに、おかん水準換算だと、おじいとおとんはスクエア、おばあとおにいはトライアングル、おねえはライン級の魔力容量はある。

実は、おかんもトライアングル級で、マザーボードの一部に不具合があり、ボードの増設を認識出来ていないだけだったりする。

……現在、換算してドット以下なのは僕だけである。

既にお分かりとは思うが、僕が新しく杖と契約した訳は、杖の改造の為である。

使用中の杖を使ってその杖自体の改良するのは、流石に無理だと思ったからだ。

 

そして、当然と言えば当然なのだが、予備の杖に魔力を注ぐ様になって、元の杖に使われる魔力は半分以下になり、杖の成長は、極端に悪くなった。

魔法使いは杖を失えば無力になってしまうのに、予備の杖が流行らない理由が、これであろう。

 

だが、僕には「エディトマジック」があり、これは「コモンマジック」である。ドット以下でも問題無く使えるのだ。

 

途中

 

故に、記憶容量に余裕が有れば、プログラムを常駐させ、プログラム名を唱えるだけで魔法を起動させる事が出来る

その中には近・現代レベルの知識まで混じっていて、特に、農・林業や薬学絡みは凄まじかった。

 

既に養蜂やメイプルシロップの作成、間伐などが実行されていたのは知っていたが、僕が呪文の改良に夢中になっているうちに、いつの間にかペニシリン擬きの作成に成功していたと知った時は思わず噴き出してしまった。

 

新しくお姉が創った、「簡単に沢山作れる秘薬よ」と言われて、僕がディテクトをかけた処、

 

「ネーヤの秘薬 : ネーヤ・ド・シェドにより、世界で初めて作成された。

異世界で言う、抗生物質に相当するが、副作用は少なく、 あらゆるウィルス・細菌性の疾病や毒に有効。

ただし、ウィルスが原因でも、遺伝子が変異して癌になった場合や、先天性の疾病等には無効。

ジェド領内に大量に自生しているノフロ草から、ドットの水魔法で簡単に抽出可能である。

また、性質は極めて安定しており、常温・暗所でならば 長期保存が出来る。

静脈注射が望ましいが、内服薬としても使用可能。

用量は…」

等と表示されたのだ。

 

 

やっとディテクト出来たのに、転生知識出る幕無いやん。

 

ozが止まらない僕をお姉が不思議そうに覗き込んで来たので、お姉の凄さに圧倒されてしまった、と正直に答えた。

お姉は、微笑んで僕の頭を優しく撫でて、ジェドはまだ小さいんだからと慰めてくれた。

 

優しさにとどめを刺され、二番底に突き落とされてしまったのは秘密だ。

 

 

僕はひとしきりorzをした後、気を取り直して祭りを再開し、とある発見をする事になる。

 

 

なお、気付きだろうが、お姉は先頃ドットメイジになっている。

ちなみに、我が家は、経済的にも心理的にも豊かになりつつあり、この時のお祝いはメイプルシロップとバターたっぷりのホットケーキだった。

もちろん、、御相伴に預かりましたとも。

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