妖怪学校の転校生はじめました   作:ヴィルヘルム星の大魔王

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これは、退魔の力を持つ教師が百鬼学園に赴任してくる1年前のお話。



壱時間目 愉快!妖快!転校生!

 

 

 

  

 

 桜が舞い、出会いと別れの代名詞である春の季節を過ぎて、梅雨入りを迎えた6月。

 

 

 太平洋の小笠原諸島近くの上空に、一つの巨大な影が空を自由に翔んでいる。その影の正体は巨大な黄金色の龍だった。その龍の頭上に、高校生位の少年がポツンと座り込んでいた。

 

 

 

 その少年の見た目は、輝かしい銀髪で、一房だけ髪が黒く、精悍な顔つきが特徴的だ。そして、彼の個性を表す特徴の一つとして、目の色が虹のように色彩豊かであり、日付毎に目の色彩が変化するのだ。彼を知る人達から、彼の瞳はこう呼ばれていた。

 

 虹眼〈オールアイ〉と。

 

 

 今、彼が向かっている場所は、港から船で10時間は掛かる距離で日本の何処かにある孤島。その名も百鬼学園島。百鬼学園島は様々な妖怪が現代社会の人間と似たような生活圏を築いている特殊な場所であり、百鬼学園島内の山の頂上にある百鬼学園は、日本全国からやってきた妖怪の生徒達が通う妖怪学校として有名なのである。

 

 

 《ここから、場面が切り替わります》

 あ、こら!テロップ隠せ!バカ!

 

 

 なんか、変な電波を拾ったな…気の所為か。

 自己紹介をしよう。俺の名は六道理央。龍神・人間・雪女の三つの血を引いた混血児だ。

 

 いきなり誰だと聞こえたら、答えてあげるが世の情けって、まぁ…そこはいいや。要するに龍神と呼ばれる龍の神様と人間のハーフ。所謂、半妖だ。雪女の血を引いてると言ったが、父方の曾祖母ちゃんが雪女だからだ。

 

 家族が言うには、俺の身体に宿っている妖術は絶大であり、神を滅ぼす程の力を秘めているらしい。いつ暴走を引き起こすのかを懸念して、祖父が知人に頼み、妖術制御の為に俺が通っていた六道学園から百鬼学園に転校させたとのこと。

 

 そうこう説明している間に百鬼学園に近付いてきた為、俺はオトモの龍の海雲に減速するように伝える。海雲は減速を開始して、百鬼学園の門前に着陸態勢に入る、地上を見ると誰かがこちらに向かって手を降っている。

 

 「海雲、あの人の前に降りてくれ」

 

 「ギャオ〜!」

 

 海雲は、手を降っている人物の目の前に着陸した。

 俺は、飛び降りて、海雲を式神符に戻す。

 そして、目の前の人物と対面する。

 翁と呼ばれる能面を被り、和服に身を包んだ紫髪の男性だ。

 能面の男性は、俺に向かって自己紹介を始めた。

 

 「はじめまして六道君。ワタシは百鬼学園の学園長です。」

 

 「六道理央です。これからよろしくお願いします。学園長」

 

 

 俺は、学園長の不思議な妖気を感じ取り、何の妖怪なのかという感情を抱き、学園長の顔をジッと見た。

 

 

 「おや?私の顔に何か?」

 

 学園長は、小首を傾げて、頭上に?マークを浮かべる。

 

  

 「あの…学園長は何の妖怪ですか?」

 

 俺が質問すると、学園長は愉快そうに笑う。

 

 

 「妖怪ぬらりひょんですよ。では、今から学園長室に行きましょう。付いてきなさい」

 

 

 学園長は朗らかに笑いながら、俺を学園長室まで案内する。学園長室に入ると、眼鏡と赤いマフラーが特徴の男がいた。

 

 「お前が転入生の六道か。今日からお前の担任となる秦中飯綱だ。」

 

 「六道理央です。秦中先生、1年間よろしくお願いします」

 

 「ああ、退屈させない学園生活にするからな」

 

 「では、秦中先生。よろしくお願いしますね?」

 

 

    《また場面が切り替わるよ》

       寒いわこのノリ! 

 

 

 かまいたちの妖怪である一年弐組担任の秦中は、ホームルームの会を始める為に、教室に入る。そして、クラス名簿で生徒の名前を読み上げる。最後の一人の名前を読み終え、秦中はクラス名簿を教卓に置いた。

 

 

 「お前達、今日からこのクラスに新しい仲間が来る。」

 

 クラスに転入生が入ることにクラス全体がざわざわしている。

 

 「静かに!入ってきていいぞ」

 

 「失礼します」

 

 理央は、黒板前まで移動する。

 

 「黒板に名前を書いてくれ」

 

 秦中の指示で理央は、黒板にチョークで名前を書く。

 

 

 「今日からこの学校に転入しました。六道理央です。龍と人間のハーフです。よろしくお願いします」

 

 パチパチとクラスメイト達の拍手が鳴る。

 

 「よしじゃあ、六道は其処の空いている席に座ってくれ」

 

 

 理央が席に座り、皆の視線は担任の秦中に集中する。

 

 

 「1時間目は化学概論の授業だが、最初の10分間は、質問タイムとする。」

 

 『はーい』

 

 「よし、10分休憩の時間だ。遅れるなよ?」

  

 ホームルーム終了のチャイムが鳴り、各々は次の授業の準備、トイレ休憩、友人と談笑をする。理央も化学の教科書と筆記用具を出し終える。

 

 「ねえねえ!六道君!六道君!」

 

 理央の机の下から声が聞こえ、呼ばれた方向を向くと、2頭身の男子と金髪の男子がいた。

 

 「君は?」

 

 「オイラ!豆狸の狸塚豆吉!よろしくね!そして、こっちが」

 

 「佐野命だ。…よろしく」

 

 2頭身の男子は狸塚豆吉。金髪の男子は、佐野命

 

 「狸塚君と佐野君か。よろしく」

  

 「狸塚君じゃなくて呼び捨てでいいよ!」

 

 「…俺も佐野でいい」

 

 「そうか、よろしく佐野、狸塚」

 

 俺は嬉しくなり、微笑んだ。すると、狸塚が狸の姿に戻り、佐野の顔は少し赤くなっている。

 

 「よー!転校生の…六道か。俺は泥田耕太郎!泥田坊の妖怪だ!よろしくな!」

 

 すると、赤い髪と眼帯が特徴的な男子がやってきた。

 

 「泥田君か。よろしく」

 

 「泥田でいいぜ!六道!」

 

 「そうか、よろしく泥田」

 

 「泥田、そいつが例の転入生か?」

 

 泥田と自己紹介を済ませると、黒色の髪をした一つ目の少年がやってきた。

 

 「おっす!入道。紹介するぜ六道!コイツは入道連助だ」

 

 泥田によって名前を呼ばれた入道と理央は、互いに会釈を交わす

 

 「俺の名前は入道連助。隣の参組のクラスの人間で一つ目小僧の妖怪だよ。よろしく。俺のことは好きに呼んでくれ」

 

 「六道理央だ。龍と人間のハーフだ。よろしく入道」

 

 「…………おう!じゃあ俺も六道って呼ぶわ」

 

 挨拶を交わし終えた瞬間。予鈴が鳴り、廊下が少し騒がしくなる。入道は廊下を見て、理央の方に振り向く。

 

 「悪い、予鈴がなった。また会おうな」

 

 入道は、そそくさと自分の教室に戻っていった。

 

 1時間目の化学概論の授業が始まる。

 

 「よし、ホームルームで話した通り、今から質問時間だ。質問がある人は手を挙げろ」

 

 周りを見ると複数人の手が上がっている。

 

 「じゃあ、狸塚。」

 

 「はいはーい!六道君は狸好き?」

 

 「そうだね。狸好きだよ。狸合戦ぽんぽことか」

 

 「わぁ〜!狸合戦面白いよね!オレも狸合戦大好き!ありがとう!」

 

 狸塚は質問を終えた。

 

 「よし、次に質問がある奴は」

 

 またもや、手が上がる。

 

 「よし、次は蓮浄」

 

 蓮浄と呼ばれた生徒は、腕二本の他に背中に6本の腕がある美人な女子生徒だ。

 

 「蓮浄と申します。六道さんに質問です。龍とは主にどのような妖怪ですか?」

 

 「蓮浄さん、ありがとうございます。龍は、鵺のように様々な動物の特徴を持つ妖怪で、基本的に雨を降らす・雷を操る・天変地異を起こす・幸福を与える・不幸を与える・作物を豊作にさせる・水を操る・火を吐くなど様々な妖術を扱うことが出来ます」

 

 「説明ありがとうございます」

 

 蓮浄は、椅子に座る。

 

 「もうすぐ、10分だ。最後に次に質問する奴はいるか?」

 

 「はーい」

 

 「じゃあ、最後に泥田」

 

 理央と先程知り合った泥田が質問はする。

 

 「六道に質問だ。ズバリ!好きな女子のタイプを教えてくれ!」

 

 その質問に女子の半数は白い目を向け、男子は半笑いする。

 

 「好きな女子のタイプか。優しくて愉快な人だな。」

 

 「あと、彼女はいるか!」

 

 「彼女はいない。絶賛募集中だ」

 

 その答えに男女問わず数人の生徒が軽くガッツポーズする

 

(よっしゃリア充カップルじゃない!)

 

(まだチャンスがあるかも!) 

 

 

 「よし、質問時間は終わりだ。今から授業を始める」

 

 秦中は、黒板前に立ち、チョークで黒板に解説を板書する。

 

 「化学の基本は〇〇であり、つまり、妖怪が人間を驚かすには、△△が…」

 

 チャイムが鳴って、1時間目は終わり、2時間目は神酒凛太郎が担当する妖怪学。3時間目は数学。4時間目は科学。昼休みに理央は自作の弁当を食べていると、数人の生徒か少し食べてみたいと言われ、おかずを食べさせると食べた女子がorz状態になるなどの珍事件があったが、些細な事である。

 

 5時間目の現国、6時間目の総合を終えて放課後なり、

 理央は、現在、学校を案内されている。

 

 「ここは図書館。島内一番の蔵書数だよ」

 

 「ここは空き教室で、昼休みや放課後にカードゲームで遊んでるぜ」

 

 狸塚達の説明の途中に誰かが入ってきた

 

 「あれ?泥田達じゃん」

 

 「ゲッ!?柳田!」

 

 「げっ!って何だコラ。ここはオレが偶に実験で使う場所だよ」  

 

 一反木綿の柳田は、空き教室に来た理由を説明する。柳田は、理央を見ると胡散臭い笑みで話しかける。

 

 「君が転入生君か。俺は一反木綿の柳田。今後ともよろしく。あ、そうだ。これ、お近づきの印に」

 

 柳田は、緑色の試験管を理央に渡そうとする。

 それを泥田が止める。

 

 「おい待て、柳田。それは何だ?」

 

 「何って、これは範囲5mを爆発させる薬だよ」

 

 その発言に泥田達は柳田から離れる。

 柳田は、それをからかい、薬を落とすフリをする。 

 

 「待て柳田《バカ》!早まるな!」

 

 「やめんかペナント!」

 

 「おいバカ布!やめろ!」

 

 「笑いながらその動きやめろクソ布!」

 

 「その危険物をこっちに渡すか。そっと床に置け!」

 

 「絶対に嫌だね〜」

 

  

 『ふざけんな!布切れ!』

 

 理央達は、これから起こる大惨事を回避する為に柳田を説得する。だが、柳田はニヤニヤしながら、左右交互に薬を投げる。その時、ツルリと嫌な音が聞こえた。五人は幻聴だと信じたいが

 

 「あ、落っことしちった」

 

 

 「「「「「ギャアー!?」」」」」

 

 柳田の最悪の一言によって、それが現実だと思い知る。

 

 柳田の落とした薬が落下の衝撃によって爆発し、爆破の衝撃により窓ガラスが割れ、空き教室一帯が黒煙で覆われる。

 

 「さっきの音は何だ!なに騒いでんじゃこらあ!」

 

 秦中は、キレながら理央達がいる空き教室に入る。

 そして、空き教室の惨状を見て、秦中の眼鏡に亀裂が走る。

 

 柳田は真っ黒になりながらもケロッとしており、爆発を受けた理央と泥田達は、目を回して倒れていた。

 

 「お前ら…」秦中は右手を握り、ワナワナと震えた。

 

 その後、連帯責任で空き教室の掃除を行っうことになった。爆発の原因である柳田は、雑巾として入道達に交代で使われている。

 理央は、その光景を見て、担任の秦中にバレないように静かに笑う。

 

 「今の気分は、愉快妖快ってか?」

 

 理央は晴々とした気持ちで散らかった空き教室の掃除を再開した。

 

 「次は俺の番だー」

 

 柳田を手に持って、バケツに入れて絞りながら

 

 「初登場から俺の扱いひどくない?」

 

 柳田はボヤくが誰も聞く者はいなかった。

 

 

 

 

 

 学園長室にて、学園長は窓から見える百鬼学園島の風景を眺めていた。

 

 「初日から騒動とは大したものです。しかし、コレが吉と出るか。凶と出るか。今後が楽しみですね。」

 

 学園長は、翁の能面を外し、改めて景色を眺めた。

 

 「そして、1年後にこの学園に新たな風が吹くでしょう。いやはや、長生きはするものだ」

 

 

 学園長は、微笑みながら妖術でフッと姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

________________________

【おまけ】

 

 「とほほ。今回、僕一度も出てなかったな〜」

 

 「今回の話は、原作でいう『妖怪学校の生徒はじめました!』の時系列に当てはまるからな」

 

 「僕の出番は、まだまだ先なのかな〜?」

 

 「まあまあ、清明せんせー。次こそは清明せんせー出ますって…多分」

 

 「多分って何!?六道君!」

 

 「ごちゃごちゃうるさいな」

 

 「げふっ!ちょっ!背中蹴らないでよ!佐野君の鬼!ドSの貴公子!」

 

 「あ?」

 

 「痛い痛い!コブラツイストは痛いよ佐野君!

 僕の腕が折れちゃうよ〜」

 

 「佐野と清明せんせーのやり取りは面白いな。

  では、また次回にお会いしましょう」

 

 「「「次回!ようこそ百鬼学園へ!」」」

  

 _______________________

あとがき

 はじめまして、作者のヴィルヘルムの大魔王です。

 私は、ハーメルン歴3年の新人ですが、日々、ハーメルンで様々な作品を読んでいくうちに小説を書きたい欲が高まり、今回、初挑戦しました。

 『妖怪学校の先生はじめました!』は、私の好きなコメディ作品の一つです。

 小説書き新米の為、温かい目で見守ってくだされば幸いです。

 では、また次回。

 

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