「「「個性把握テスト!?」」」
相澤先生の指示通りに体操着に着替えてグラウンドに集まっていた。西嶋君は相澤先生に着いて行ってから戻ってこないし、何処に行っちゃったんだろう。
「少しお聞きしたいことがあります!」
「手短にな…」
「西嶋君は何処に行ったのでしょうか!」
「あいつは入学式に出てるよ」
西嶋君入学式に出てるんだ…だけど1-Aは西嶋君以外はグラウンドに居るんだけど、どうなんだろう。
「何故、彼は僕らと同じように個性把握テストを受けないのでしょうか!」
「あいつには、とある事情で雄英に来てもらった時に受けてもらった…これがその時の記録だ」
相澤先生がポケットから取り出した端末を操作してから僕らに見せつけるように画面を突き出した。
ボール投げ───5276m
50m走───0.78秒
握力測定───測定不能
反復横跳び───287回
立ち幅跳び───測定不能
長座体前屈───63cm
上体起こし───174回
持久走───1分05秒
これは本当に同い歳の記録なのだろうか。
僕以外にも同じように思っている人は居て、特にかっちゃんは悔しそうに表情が歪んで拳を強く握りこんでいた。
「個性ありで体力テストって面白そう!」
「個性思いっきり使えるとは流石ヒーロー科!」
他のクラスメイト達が何気なく言った言葉で相澤先生の雰囲気が変わった。
「面白そうか…なら、八種目のトータル記録が最下位の奴は見込みなしと見なして除籍処分にしよう」
「「「「はあぁぁぁ!?除籍処分!?」」」」
僕らにドデカい受難が待ち受けていた。
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数分前に戻りたい…。
入学式に出たは良いけど…1-Aで出てるの俺だけじゃん!
1-Aの列で俺一人だけ座っているお陰で隣の列の奴らや他の科の生徒達から視線の矢がグサグサと全身に刺さる。
一応、俺総代らしいから檀上に上がって渡された総代挨拶の台本を読まないと行けないし、これなら記録係でも良いからグラウンドに行くべきだったな…。
『続きまして新入生代表・西嶋拳斗君、檀上へお願いします』
司会進行をしている18禁ヒーロー・ミッドナイト先生に名前を呼ばれて檀上へ上がった。マイクの前に立って渡された台本を淡々と読んだ。
「これで挨拶を終わりにしますが───これは俺の完全なアドリブ。俺はこの3年間の内に雄英高校最強になる事を宣言する!以上!」
俺の発言にポカンとしている生徒達を他所に、さっさと檀上を降りて自分が座っていた場所に戻った。他の先生方の顔が引き攣っていたが、ミッドナイト先生だけは笑顔でサムズアップしてくれた。
入学式は難なく終わり、体育館から退場して1-Aの教室を目指して1人でトボトボと歩いていたら後ろから声をかけられた。
後ろを振り返ったらオレンジ髪の髪型がサイドテールの女子が居た。
「何であんた以外のA組は入学式に出席してなかったの?」
「俺以外は個性把握テストに行ってる。俺はそのテストを既に受けているから、俺は入学式に出ろって言われてな、俺だけ出席」
「そうなんだ。あ、自己紹介してなかったね。私は拳藤一佳、よろしく」
「俺はさっき総代挨拶の時に言ったが西嶋拳斗だ。よろしく」
1人で入学式出たら女の子と仲良くなった。
最初は視線集めが嫌だったけど、可愛い女の子と仲良くなれたから良しとする。拳藤は割と話しやすくて、教室行くまでの道中色々と話せて楽しかった。
「それじゃあ、私こっちだから」
「またな拳藤」
拳藤はB組へ俺はA組の教室にそれぞれ別れた。
「む!西嶋君入学式終わったんだな!」
「おお、飯田達も体力テスト終わったのか」
教室に入ったら飯田と数人のクラスメイト達が体力テストから帰ってきていた。
「緑谷君以外は何事も無く終わった。しかし、相澤先生には騙されてしまったよ」
「見込み無しなら除籍処分ってやつか?」
「初め言われたと「あれ、本気で言ってる奴だぞ」は?」
除籍処分の件は俺も言われたし、天喰先輩から裏は取れてるから見込みが無かったら除籍処分されてた事を伝えた。
「まあ、見込み有りって認められてるから大丈夫だろ。それより出久以外は何も無かったって言ってたけど出久はどうした?」
「彼は自身の個性で人差し指を自壊してリカバリーガールの所で治療を受けている」
「自身の個性で自壊…。出久は増強系の個性なのか?」
「彼は超パワーの個性だと思う。実技試験であの0Pt敵を手足を自壊させていたが吹っ飛ばしていた」
出久も俺同様にあの敵ロボを倒したのか…。
だが、少し不可解な事がある…個性は本来体と共に成長するものの筈、特に増強系は個性が肉体に合わせて力を制御すると父さんが言っていた。飯田の話を聞いて出久の宿っている個性は発現したばかりなのか、それとも…まあいいや、今考えた所で答えは出ねぇし、取り敢えず帰る事にした。
飯田も途中まで一緒に帰らないかって提案してきて、一緒に帰る事にした。飯田の帰り支度を待っていたら、リカバリーガールの所で治療を受けていた出久が戻ってきて、出久も一緒に帰る事になった。
「え、じゃあ見込み無かったら…」
「除籍処分だったんだろうな」
出久にも除籍処分の話が事実である事を教えたら顔面蒼白になってしまった。
「おーい!御三方〜駅まで!待って〜」
「君は…無限女子」
「無限女子じゃなくて麗日お茶子です!ねえ!私も一緒に帰ってもいい?」
別に麗日を断る理由なんて何処にもない、麗日も加わって一緒に帰る事になった。
「あ、西嶋君の記録見たよ!」
「50m走、持久走は俺の得意分野だったが、君の記録を超えることが出来なくてね。こんな悔しい思いをしたのは初めてだ」
「私はソフトボール投げで無限出して西嶋君を超えたよ!」
「た、確かに麗日さんだけだったよね…西嶋君の記録を破ったの」
麗日はソフトボール投げで俺の記録を超えたらしい。
俺もまだまだって事だな…これからも日々の鍛錬を頑張ろうと心に誓った。
「西嶋君の個性って聞いてもいいかな?」
「それは俺も気になっていた。見た目から増強系の個性に見えるが、スピードは俺より速い。一体どんな個性なのか不快でなければ聞かせて欲しい」
「ウチも気になってた!」
「俺の個性は───無いぞ」
「「「へ?」」」
「だから、俺は無個性だ」
「「「む、無個性!?」」」
当然と言えば当然の反応をされた。
「あの記録で無個性とは到底信じられない」
「まあ、飯田の言いたい事は分かるが事実だ。相澤先生から俺が何時テストを受けたか聞いたか?」
「とある事情で雄英に来てもらった時って言ってた!」
その日の事を簡単に話して、個性検査を担当したリカバリーガールからの診断と言えば三人は何とか納得してくれた。無個性を内緒にしてる訳じゃないから、もし、他のクラスメイト達から聞かれるような事があれば言っても構わないと伝えた。
「世の中不思議なことってあるんやね〜」
「個性ってもんがあるから、俺みたいなやつだって多分居ると思うぞ」
「西嶋君の様な人間がそうそう居るとは思えないが…」
俺の無個性告白のあとは普通に話しながら帰ったが、俺が無個性と言った時から出久の表情が暗くなっているような気がした。
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