「西嶋のコスチュームってシンプルだな」
「まあ、俺は殴るしか脳がないからなー。ゴテゴテにするよりはシンプルで動きやすい感じに全振りしたんだよ」
「しっかし本当に無個性なのか?その体見てると増強系にしか見えねぇぞ」
俺のコスチュームは紺色のワイシャツに白いネクタイ、下は黒いズボンというシンプルスタイル。正義マントを依頼したかったが⋯まだ俺に正義を背負うのは早すぎると考えて、ガープスタイルに近いコスチュームの注文をした。一応、防弾製の生地で希望出しているから防御力は一応ある。
「俺着替え終わったから先行ってるぞ〜」
他よりも早く着替え終わった俺は更衣室を出てグラウンドβへ向かった。
「あれ?西嶋君早いね!」
「そういう葉隠も早いんじゃないか?」
廊下を歩いている俺に葉隠が駆け寄ってきた。
「?他のコスチュームは透明なのに手袋とブーツは透明仕様にしなかったのか?」
「私のコスチュームは手袋とブーツだけだよ?」
「ん?」
聞き間違えでなければ今手袋とブーツだけがコスチュームだと言ったか?
「悪い、耳がおかしいのかもしれん…もう一度言ってくれるか?」
「西嶋君大丈夫?私のコスチュームは手袋とブーツだけだよ」
聞き間違えじゃなかった〜。
いやいや、年頃のましてや女子高生が全裸に手袋とブーツってやばすぎだろ…。
「痴女か?」
「ちょ、ちょっと!コスチュームはこれしか、な、無いけど痴女じゃないよ!」
「手袋とブーツだけって⋯災害が起きたらどうするんだ?葉隠が怪我したら何も無い所から血が流れるって子供が見たらトラウマ確定演出が起こるぞ?」
「う、確かに⋯」
「それに裸だけはやめとけ。探知系の個性が居たら間違いなくバレるし、捕まったら何されるか分からないぞ」
「う、うん⋯コスチュームの希望考えてみるよ」
俺の心配がちゃんと伝わってくれたのか、コスチュームの変更を検討すると約束してくれた。
「心配してくれるのは嬉しいけど!ち、痴女はデリカシー無さすぎ!」
「それしか言葉が思いつかなかったんだ、許せ」
「もう!そんなんじゃモテないよ!」
「はいはい」
ポコポコとオノマトペが付きそうな葉隠からの打撃を喰らいながら歩き続けた。俺が全く効いてない事に葉隠がプリプリしながら打撃を辞めて隣を歩いた。
──────────────────────────
「お、一番乗りは西嶋少年か」
「私もいますよオールマイト!」
「葉隠少女も一緒なのか」
グラウンドβに到着すると2つの箱と一緒に待っていた。その箱にはHEROとvillainと書かれていた。
「聞いてくださいよオールマイト!西嶋君ったらデリカシー無いんですよ!」
「悪かったって謝っただろ⋯」
さっきの出来事を葉隠がオールマイトに話したら、オールマイトはどんな事を言えば良いのか分からなかったみたいで、俺を近くに呼んで耳打ちをした。
「いや、おじさん…こんなデリケートでしかも年頃の女の子の格好について何て言えばいいんだい?コスチュームが手袋とブーツだけって⋯」
「此処は俺のデリカシーの無さについての注意で終わりにしましょう⋯」
とりあえず、オールマイトには葉隠側についてもらって俺への注意をすると言う形をとってもらった。葉隠はオールマイトが味方に付いた事に満足したようで、それ以上は何も言うことは無かった。
親切心で心配しただけなのに⋯女の子の心はわからん。
俺が女心について考えている間に他の奴らもコスチュームに着替え終わって、グラウンドβにやってきた。
「皆良いじゃないか!それでは全員揃ったことだし始めていこうか!」
「先生!ここは入試の時の演習場ですが、また市街地戦をやるのでしょうか?」
「いいや!もう2歩先に踏み込む!敵退治は主に屋外で見られるが、統計的に見れば凶悪敵の発生率は屋内の方が高いんだ。」
オールマイトの言う通り、人質を取っての立てこもり事件が結構多発しているのをニュースや新聞等でよく見ていた。
「監禁、軟禁、裏商売、このヒーロー飽和社会において真に賢しい敵は屋内に潜む。君たちにはこれから2人1組になってもらいヒーロー側と敵側に別れて屋内戦闘訓練を行ってもらう!」
「ケロ⋯。基礎訓練も無しに?」
「その基礎を知るための実践さ!ただし今回はぶっ壊せばOKのロボが相手じゃないのがミソだけどね!」
二人一組でチームを作るのは分かったけど⋯誰か一人余るよな?このクラス21人だし、まさか俺が一人ってなるパターンじゃないよな?
「勝敗のシステムはどうなりますか?」
「ぶっ飛ばしてもいいんすか?」
「また⋯相澤先生みたいに除籍とかあるんですか?」
「組み分けの仕方はどのような方法になりますか?」
「このマントヤバくない?☆」
どういうチーム分けになるか考えているとオールマイトが質問攻めにあっていた。新米教師のオールマイトに今の現状に手をこまねているのか少しアタフタしているように見えたから助け舟を出すことにした。
手を軽く叩くつもりだった筈が叩き方が良かったのかめちゃくちゃ響いて、ガヤガヤしていたのが一気に静かになった。
「お前ら、楽しみなのはしょうが無いがオールマイトの説明が終わってないんだから少し待て」
「ありがとう西嶋少年。それじゃあ、この戦闘訓練のルール説明をするよ!」
全員が静かになった所で戦闘訓練の説明が再開された。
ルールはヴィランチームが建物の中に核を想定したハリボテを何処かに隠して、ヒーローチームがそれを制限時間内に核を見つける又はヴィランチームを拘束したら勝利。ヴィランチームは制限時間内にヒーローチームに核を奪われない又はヒーローを拘束したら勝利というルールだ。
「俺から質問良いですか?」
「なんだい西嶋少年?」
「このクラスは21人。二人一組でチーム作るなら必然的に1人余るんですがどうするんですか?」
「その事だが西嶋少年⋯私と1対1をしてみないかい?」
どうやら俺は余り1に強制的になってしまうらしい。
しかし、俺はこの余り1になれた状況を嬉しく思った⋯オールマイトと1対1をやれる。ヒーロー界のトップとやれる機会なんてヴィランにならない限りそうそうに訪れない。
「「「「「「オールマイトと1対1!?」」」」」」
「良いっすね⋯その提案是非受けさせてもらいます」
オールマイトと1対1が楽しみすぎて自然と口角が上がってくる。ただ、爆豪、出久、轟からすんごい視線が突き刺さる。特に爆豪と轟に関しては敵意剥き出しで見ると言うよりは睨んでいるという表現が合っている。
「それじゃあ、最初は私と西嶋少年から始めるから他の人達はモニター室へ移動してくれ!」
オールマイトの一言でクラスメイト達がモニター室へ移動を始めた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。