1-Aがヒーロー基礎学を受ける1時間前…。
「昼休みに来てもらって悪いねオールマイト」
「いえ、それよりどうされたんですか校長先生?私はそろそろヒーロー基礎学の準備をしようと思っているのですが…」
「西嶋君について話をしたくて呼んだのさ」
校長の口から拳斗の名前が出た瞬間、オールマイトは表情が変わった。入学前に見せた拳斗の力は個性社会が始まって以来の前代未聞、その上拳斗の強さの底がしれない事に教師間では問題視していた。
「西嶋少年がどうされたのですか?」
「次の授業で西嶋君の力を測って欲しい。体力テストで魅せた記録を見て、雄英で西嶋君の力を測れるのにうってつけなのは君しか居ないんだ…」
「分かりました。彼の実力は私も気にはなっていたのでお任せ下さい!」
校長とオールマイトでヒーロー基礎学の授業内容が話し合われ、拳斗の実力確認とA組の実力を測れて一石二鳥の戦闘訓練が授業内容に決定した。
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オールマイトとの対戦になり、小型のインカムを耳に装着しながら俺とオールマイトはそれぞれ適切な距離をとる為にグラウンドβを適当に歩いて離れていた。
『テステス、聞こえるかい西嶋少年!』
「聞こえてますよオールマイト」
『お互いに良い感じに離れられたと思うんだけど、そろそろ始めないかい?』
「それは俺も思ってました。準備は出来てるんで何時でも大丈夫です」
俺もオールマイトも同じ事を考えていたらしく、十分に距離も離れた事で始めることにした。
『それではスタートだ西嶋少年!』
俺とオールマイトの対決内容は制限時間20分以内にどちらかが敵確保テープを巻かれたら負け、どちらも敵確保テープを巻けなかったら引き分けというシンプルな内容になっている。
「早速!!私が君の後ろに来た!!」
流石はオールマイトだ…結構離れている筈なのにもう俺の背後に現れた。
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モニター室。
1-A組の面々はモニターに映っている拳斗とオールマイトの対決が始まるのをソワソワしながら待っていた。
それもその筈だ…対戦カードが今年の入試1位に加えて無個性と現役のNo.1ヒーローだ、どんな戦いになるのか気になるのは仕方の無い事だ。
『早速!!私が君の後ろに来た!!』
「結構離れたのにスゲェーな!!」
試合が開始して数秒後にオールマイトが拳斗の背後に現れ、先制攻撃を仕掛けていた。流石はNo.1ヒーローと殆どのクラスメイト達が思っておる中で、爆豪勝己、緑谷出久、轟焦凍の三名は拳斗に注目していた。
背後から迫り来るオールマイトの拳を拳斗はまるで後ろに目が着いているような動きでひらりとオールマイトの拳を躱し、オールマイトへ拳斗は拳を当てた。
拳斗はそのままオールマイトを殴り、オールマイトは幾つかの建物を巻き込んで飛ばされた。
「う、嘘だろ…」
「オールマイトを殴り飛ばしやがった!!」
オールマイトが殴り飛ばされるという現実にクラスメイト達は騒然としていた。
「ねえ、デクくん⋯。今、西嶋君⋯」
「うん…。西嶋君、オールマイトを一切見ないで攻撃を避けたね」
「彼は一体何なんだろうか…。無個性と言っていたが、今の流れだけでも僕らが知っている無個性の力を遥かに超えている」
麗日、緑谷、飯田の三名は一連の流れで拳斗の異常性を改めて認識した。
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見聞色が働いてオールマイトの攻撃を最小限の動きで躱し、カウンターで右ストレートをお見舞いしてぶん殴った。
「いやはや、なかなか腰の入った良いパンチだった!」
「オールマイトもあの状態からガードするなんて…流石はNo.1ヒーローだ」
俺がオールマイトの攻撃を躱した事でオールマイトの体制は前のめりの状態だったのにも関わらず、その状態から俺の攻撃をガードしてダメージを最小限に抑えた。
「HAHA!若い子にはまだ負けないよ!って言っても君のパンチをガードしておじさんの手痺れちゃったよ!」
「なら、ギア上げていきますよ!」
「良いぞ少年!掛かってきたまえ!」
確保と言う勝利条件を忘れる事にして、今はオールマイトとの闘いを楽しむ事に決めた。
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オールマイトと拳斗は熾烈な戦いを繰り広げていた。
お互いの拳が衝突すればそこから衝撃波が生まれ、2人の近くにある建物の外壁にヒビが入り窓ガラスは割れていた。
「君の力はこんなものかね西嶋少年!」
「まだまだ行きますよNo.1!!」
どちらかの攻撃を喰らえば建物の2、3棟に大きな穴が空いたりとグラウンドβの被害が大変な事になっていた。
「こんなにも血肉が騒ぐ戦いなんて二年ぶりだな…」
「二年前に誰かと戦ったことがあるのかい?」
「まあ、当時の俺より強かった相手と戦わなきゃいけない状況だったんでね」
拳斗がボソッと呟いた言葉を拾ったオールマイトは拳斗に詳しい話を聞こうとしたが、それ以上の事は語ること無く再び拳斗はファイティングポーズをとる。
「無駄話は無しでやりましょうかオールマイト!」
お互いにコスチュームはボロボロになっていた。
拳斗は最初の奇襲された時のみ見聞色を使ったが、それ以降は見聞色も武装色も一切使わずに身体能力1つでオールマイトを相手にしていた。
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西嶋少年は強い⋯。
戦ってみて分かった事は彼はまだまだ強くなる可能性を秘めている。西嶋少年が攻撃する際、あの体力テストで見せた腕を硬質化させる力を使っていないみたいだが、私と殴り合えている時点で実力は1年生の中でトップ…否、1年生最強なのかもしれない。
「全く、最近の子は恐ろしいな!」
真正面から向かってくる西嶋少年を見ているとそう思わされる。
「No.1の壁は容易くは崩れないぞ少年!!」
「あんたを超えるヒーローに俺はなるんだ。その壁崩させてもらうぞ!」
「なら!これは私から君へのプレゼントだ!」
全く…緑谷少年と同じように、この先の未来が楽しみだよ西嶋少年。
「デトロイトォォーー!!」
「ギャラクシィィィーー!!」
【スマッシュ!!/インパクト!!】
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拳斗とオールマイトは互いに大技を繰り出した。
二人の大技がぶつかり合った瞬間、2人を起点として大きな衝撃波が生じ、砂塵が吹き荒れ大地が揺れ周りの建物が崩壊した。二人が作り出した揺れは雄英全体に影響を及ぼした。
「揺れてる揺れてるよ!」
「建物壊れるわ揺れるわ人間同士の戦いじゃねぇだろ!」
「二人はどうなった!?」
砂塵が吹き荒れているせいでカメラで2人の姿を確認出来ずにいた。2人の姿が見えなくなってから1分位が経ってようやく砂塵が収まり始め、徐々にカメラに砂塵以外の映像が見え始めた。
「え…ひ、引き分け?」
砂塵が収まり、カメラが再び映し出した映像には───両者が拳を振り抜いた状態で立っている姿が映し出されていた。
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「引き分けの様だね」
「みたいですね。時間内にオールマイトを捕縛出来なかったし、オールマイトも俺を捕縛してませんもんね」
残り時間は3分を切っていて、流石にこれ以上のやる気は出なかった。というか互いに必殺技出して相殺されてる時点で、この勝負は引き分けと決まっていた。
「保健室行くかい?」
「そうですね。ついでに着替えたいです」
お互いに怪我をしているということで保健室へ言うことになった。おれとオールマイトが保健室へ行っている間、セメントス先生が臨時で来てくれることになった。
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