「1A集合!!バスの席順にスムーズに座れるように番号順に二列に並ぼう!!」
「飯田君フルスロットル…」
「学級委員長として張り切ってるんだろ…」
俺達1Aはヒーロー基礎学でレスキュー訓練をする事になった。レスキュー訓練への場所へはバスで異動する事になり、飯田がホイッスルを吹きながら張り切って俺達をバスに誘導していた。
「くっ!まさかこういう席だったとは!」
飯田が張り切って俺達をバスに誘導したが…バスの席順が前方は横一列、後方が縦2列という席順だった。飯田の張り切りが空回りして肩を落としていた。
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レスキュー訓練演習場へ向かうバスの中、1Aの面々は隣に座る人に話し掛けたりと目的地へ着くまでそれぞれの時間を使っていた。
出久が蛙吹から個性がオールマイトと似ていると詰められたり、クラスの中で爆豪と轟の個性が派手で強い等と普段は話に出てこない他人の個性で盛り上がっていた。
「でも、やっぱりさ…」
誰かの呟きと共に1Aの視線が拳斗に集まる。
「ん?どした?みんなして俺を見つめて」
「いや、その、西嶋って何でそんなに強えのかなって」
「ケロ…、私も気になるわ。拳斗ちゃん、オールマイトと真正面で殴りあえる程の強さをどうやって身につけたの?」
「どうやって身につけたか…俺って5歳の頃から体鍛え続けてきてるんだよね」
「鍛えるだけであの体力テストみたいな記録を出せるの?嫌じゃなければトレーニング方法とか教えてくれないかしら?」
蛙吹は更に踏み込んだ質問をした。
「俺がしてきたトレーニングはランニングと筋トレ、山篭り、あとは廃材バッグだな」
「「「「「廃材バッグ?」」」」」
拳斗はポケットから取り出したスマホを操作して、母親に撮影してもらっていた廃材バッグを殴り続けている動画を全員に回し見させた。
「これ始めたの5年前なんだけどさ、父さんの会社で出た廃材を利用して頑丈に作ってもらった廃材バッグ。めちゃくちゃ硬いから殴ると痛い」
「それだけでそんなに強いのかよ…」
「5歳の頃から毎日休まずに鍛えてから10年経ってるんだよ。そんだけ継続し続ければ誰だって強くなるぞ?継続は力なりってヤツだ」
拳斗は体を鍛えると決めた日から一度も鍛錬を休んだ日は無かった。無個性の人間がヒーローになるには常人よりも多くの鍛錬を積むことが必要だと考え、拳斗は周りが自分の個性に浮かれている間も将来の夢を語っている間もひたすら自分を追い込んでいた。
拳斗が継続し続けた結果が何度も妄想していた覇気の習得を実現化させ、増強系個性と真正面からやり合える力を手に入れた。
「ま、毎日…」
「それくらいやれなかったら、今此処に居られねぇと思う」
拳斗が淡々と自分のことを話していて、蛙吹は軽率に聞くような事では無いと申し訳なくなった。他のメンバーも同じ様に思っており、自分達と拳斗との間に大きな差を感じた。
「お喋りはそこまでにしろ」
拳斗が話している間にバスは目的地に到着した。
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バスが停まった場所に大きな建物とその入口に宇宙服を着た先生、スペースヒーロー・13号先生が待っていた。プロヒーロー好きの出久と13号先生のファンらしい麗日の二人が目を輝かせて感激していた。
「皆さん待ってましたよ!早速中に入りましょう!」
【よろしくお願いします!】
13号先生の後に続いて建物の中に入った。
「うぉぉ!すっげぇ!!USJかよ!!」
「此処は水難事故、土砂災害、火災暴風、etc…あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です!その名も…」
【
施設入った時からスゲェ似てるとは思ってたから名前聞いても驚かなかった…それより著作権的にその名前にして大丈夫なのか心配になる。
「レスキュー訓練を始める前にお小言が一つ…二つ…三つ…」
13号先生からのお小言ってやつはそれなりにあるらしく、俺達への小言を考えながら指折りで数えていた。13号先生は俺達への小言を数え終わったらしく、俺達の顔を一通り見てからゆっくりと話し始めた。
「皆さんご存知だとは思いますが僕の個性はブラックホール…どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」
「ええ…。しかし、簡単に人を殺せる力です」
13号先生が語り始めたのは個性という力の危険性だった。
現在の個性社会が成り立っているのは個性の使用を資格制にしている事で個性を使用する人間を制限しているから成り立っているが、個性の使用は1歩間違えれば多くの人間を殺す事が出来る凶器である事を語った。
「ですが、この授業では心機一転!人命の為に個性をどう活用していくか学んで行きしょう!君達の個性は人を傷つけるのでは無く人を助ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな」
13号先生の演説はそう締めくくった。
流石は現役のプロヒーローだ…一言一言の言葉の重みが伝わってくる。
「!?」
13号先生の演説にみんなが感動している時だった…噴水広場の方から何かが来る気配を感じた。
「どうした西嶋?」
「相澤先生、13号先生、何か来るぞ!」
「何が───」
黒いモヤが噴水広場に現れ、そこから色んな奴がぞろぞろと黒いモヤから出て来る。俺、相澤先生、13号先生だけがこの緊急事態を理解出来ていたが、他の奴らは事態が飲み込めず演習の一環だと思って動こうとした所を相澤先生に止められた。
「これは演習じゃない…ヴィランの襲撃だ」
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