ヴィランの襲撃を受け、ワープの個性を持つヴィランによってぼくは水難ゾーンへ飛ばされた。水難ゾーンに飛ばされた僕を待っていたのは水中を得意とする個性を持つヴィラン達だった。
水中で身動きが取れない状況の僕にヴィランが襲いかかってきたが、間一髪の所を蛙水さんに助けられ水難ゾーンに止まっている船へ引き上げてくれた。
「ありがとう蛙水さん」
「ケロ、梅雨ちゃんと呼んで?」
「つ、梅雨「自分のペースで良いわよ緑谷ちゃん」」
「呼び方よりどうするんだよこの状況!!高校生活始まったばかりなのに何なんだよ!」
僕ら3人は水難ゾーンに浮いている船に乗っている。
船の周りには水中を得意とする個性を持つヴィラン達に囲まれていて、身動きが取れない状況だった。
この状況を打破する為に僕らは互いの個性を教え合い、そこから作戦を立てて実行した。
蛙水さん、峰田くんの協力で水中のヴィラン達を一網打尽にしてこの場を切り抜けることが出来た。
僕は相変わらず個性を上手く制御出来てないお陰で、指2本犠牲にした。
「大丈夫緑谷ちゃん?」
「痛むけど大丈夫だよ、それより岸へ向かおう」
僕らは岸へ移動を始めた。
岸に着いた僕らの目の前には───血濡れで腕が変な方向へ曲がっていたり、肘が崩れて脳みそ丸出しのヴィランに乗っかられている相澤先生の悲惨な姿が目に入った。
「あ、相澤先生が…」
「ケ、ケロ…惨すぎるわ」
相澤先生を助けに行きたいが実力的にさっき相手をしたヴィランとは大きく違うように感じ、行っても殺されるイメージしか湧かなかった。
「死柄木弔…」
「あ?黒霧か…お前一人だけって事は勧誘は失敗したか?」
「申し訳ございません」
「殺したか?」
「いえ…奴の実力は我々が想像してたものを超えておりまして、奴を殺すどころか生徒の1人に逃げられました」
ヴィラン達の会話から誰かがこの施設から脱出したみたいだ。僕の予想が正しければ、脱出したクラスメイトの誰かが助けを呼びに行ってるに違いない。
「はぁ…。勧誘する相手にはやられ、ガキには逃げられる…。黒霧───お前がワープゲートじゃ無かったら粉々にしてたよ」
手だらけの男…死柄木弔と呼ばれていた男がイラつき始め、首をガリガリと掻きむしり始めた。
「あ〜あ、ゲームオーバーだ。これからやって来るプロヒーローを何十人も相手できないし───帰ろっか」
ヴィラン達から耳を疑う言葉が聞こえた…帰る?こんな大規模な襲撃をしてゲームオーバーや帰るとかまるでこの襲撃をゲームの様な感覚で言っているように聞こえる。
「でもまあ帰る前に…生徒を殺してから帰ろうか」
ほんの一瞬…気を緩めた僕らの目の前まで死柄木弔が接近していた。死柄木弔は蛙水さんの顔へ手を伸ばした時、蛙水さんがバラバラに崩壊するイメージが見えた。
「かっこいいなヒーロー…」
死柄木弔が蛙水さんの顔に触れても何も起きなかった。
何も起きなかったのはボロボロの相澤先生が顔だけ上げ、個性を使って死柄木弔を睨んでくれていたお陰だった。
「蛙水さんから離れろ!!」
相澤先生が作ってくれた一瞬の時間を無駄にしないように水辺から飛び上がった。
「スマァァァッシュ!!」
蛙水さんから引き離す為に攻撃を仕掛けた。
人生で初めて人へ向かって個性を使ったお陰なのか、個性を使ったら折れているはずの腕が折れていなかった。
「お、折れてな「スマッシュって…オールマイトのフォロワーかい?」え、な、なんで!」
僕の攻撃は確実に死柄木弔を捉えたと思っていのに、目の前に相澤先生をボロボロにした脳みそ丸出しのヴィランが死柄木弔の前に立っていて僕の攻撃を受け止めていた。
「脳無…お前はそのガキを殺せ。俺はこいつらを殺す」
僕はこの脳無と呼ばれたヴィランに腕を強く掴まれ持ち上げられ、死柄木弔は再び蛙水さんに触れようと手を伸ばすのが見えた。
「蛙水さん!!」
咄嗟に叫ぶが脳無にやられそうになっている僕には何も出来ず、ただただ殺られるのを待つという絶体絶命の状況だった。恐怖で目を閉じてた僕は突然強い風が吹いたと思ったら誰かに抱かれている不思議な感覚を覚えた。
「に、西嶋くん!?」
「悪い出久、蛙水、峰田、助けに来るのが遅くなった」
脳無が僕を掴んでいた筈なのに、脳無はその場に居らず西嶋くんが僕を抱えて立っていた。蛙水さんの方に視線を向ければ死柄木弔の姿が無く、脳無と一緒に僕らから離れた場所で倒れていた。この場に来たのは西嶋くんだけでなく、障子君も来ていて相澤先生を回収して僕らの方へ来た。
「ウオォォ!西嶋!助けに来てくれたのか!」
「俺だけじゃなくて障子もだけどな?」
「ケロ…助かったわ西嶋ちゃん。いきなり目の前に現れてあの男と脳みそのヴィランを蹴っ飛ばしてくれたお陰で何もされずに済んだわ」
「さて、これからだが…俺が殿するからお前らこの場からさっさと逃げろ」
「「「「!?」」」」
西嶋くんがこの場に留まってヴィランを相手にしている間に逃げろと言われて驚愕した。西嶋くんの発言に驚愕したのは僕だけで無く、蛙水さん、峰田くん、障子くんも目を見開いていた。
「何を言っている西嶋!怪我しているお前を置いて逃げられるわけないだろ!」
障子くんの言葉に西嶋くんの体へ視線を向けると、片腕にワイシャツが巻かれていて血が滲んで真っ赤に染っていた。
「ケロ…何があったの西嶋ちゃん」
西嶋くんの代わりに障子くんが蛙水さんの疑問を答えた。
死柄木弔の横に居る黒モヤのヴィランと13号先生の戦闘中、13号先生のブラックホールが利用されて腕の皮膚が全て無くなったらしい。
「大丈夫ですか死柄木弔!!」
「痛てぇ…ヒーロー志望の子供に暴力を振るわれた」
「殺っていいのは殺られる覚悟がある奴だけだと言うだろ?人が楽しみにしていた授業を邪魔しやがって──────」
覚悟は出来てるんだろうなヴィラン共!!
「あ、コンテニューだ」
怒りを露わにする西嶋くんを見て、死柄木弔はニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべてそう言った。
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