第一話
ヴィラン連合襲撃事件の翌日。
雄英高校は通常通り開校され、校門前には何時もより教師達が配置され登校する生徒達を見守っていた。
襲撃事件の当事者である1-A組の生徒達も拳斗を除き、全員が教室に集まって居た。
「昨日は凄かったな...」
「オイラはもうダメかと思ったぜ」
教室に集まっている生徒達は昨日の事件の話をしていた。
特に峰田は昨日の光景と蛙水の柔らかい胸部について上鳴に話し、それを耳にした蛙水にしばかれていた。
「1番凄かったのはやっぱり西嶋だよな!」
「片腕血塗れなのに脳みそ剥き出しのヴィラン相手に完封したよね!」
昨日の拳斗の戦闘シーンを見ていた生徒達が拳斗の話題を出した。自分達もヴィランを相手にしていたが、拳斗は自分達が相手にしていたヴィランより更に格上を相手に勝利をする姿に同級生ながら尊敬をしていた。
「ただ、あの黒いモヤが言ってたけど...何で西嶋を連れて行こうとしたんだ?」
「これ...僕の考えなんだけど」
ヴィランが拳斗を連れて行こうとする理由に切島が疑問を抱いていると、緑谷が昨晩から考えていたヴィランが拳斗を狙う理由を話し始めた。
「脳みそ剥き出しのヴィラン...脳無なんだけど、ヴィラン連合が複数の個性を掛け合わせて作った改造人間だと言っていたんだ。もしかしたら、西嶋君は改造人間の素体にする為かもしれないって思ったんだ」
「改造人間の素体って...」
緑谷が立てた仮説が正しければ今後ヴィラン連合が攻めてきた時、拳斗が真っ先に狙われると誰もが思った。それと同時に自分達では拳斗に何があっても助けられるのか...自分達よりも遥か先に居る拳斗に自分達は力になる事は出来るのかと考えさせられていた。
「おはよう───何で朝から雰囲気が暗いんだ?」
「「「西嶋(君)(ちゃん)!!」」」
「俺も居るよ...」
「相澤先生復帰早ッ!!」
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朝から包帯を巻くのに苦戦していた。
リカバリーガールの治療のお陰で腕には既に薄い皮膜がはられ、腕が回復へと向かっている。
苦戦していた包帯も上手く巻け、制服に着替えて学校へ向かう。登校している途中ですれ違うご近所さんから腕を心配されたり、小学生のちびっこ達にカッコイイとか何か封印してるの?と色んなリアクションをもらった。
「おはよう西嶋。腕は大丈夫なのか?」
「・・・ああ、相澤先生か!」
学校に到着し教室に向かおうとする俺にミイラ男...否、相澤先生が声を掛けてきた。
「腕はもう皮膜はり始めたんで数日もすれば治ります。俺よりも相澤先生こそ大丈夫ですか?」
「リカバリーガールのお陰でほぼ完治してるが、あの婆さんが大袈裟に包帯巻いてこの姿になった」
「中々似合ってますね」
「今までで1番言われて嬉しくない褒め言葉だよ...」
相澤先生と他愛のない話をしながら歩いていたら、あっという間に教室に前に到着した。相澤先生から先に入るように言われ、中に入ったら何やら教室の空気が暗かった。
「腕は大丈夫なのか!」
「包帯で大怪我に見えてるが大した事ないぞ」
「次いでに俺もこう見えて大した事は無い」
「いや、先生は無理があるでしょ...腕折られたり肘崩れたり「それ以上言わなくていい」」
俺と相澤先生のやり取りを見て、さっきまで暗かった空気が四散して何時もの1年A組らしい空気感が戻った。これからホームルームを始めるという事で、俺が席に着いてからホームルームが始まった。
「さて諸君、君達にはまだ戦いが待っている...」
「戦い?」
「ま、まさかヴィラン「雄英体育祭が迫っている」」
「「「「「クソ学校っぽいのキタァァァァ!!」」」」」
雄英体育祭は雄英高校と日本のビックイベントの一つである。
雄英体育祭は現役プロヒーローがスカウト目的で大勢観戦に来る。生徒側もここで活躍した生徒・注目を集めた生徒は今後の進路で有利となるため、業界への個性アピールには最適の行事となっている。
「雄英体育祭は3回しか無い。此処でどう自分を見せるかで今後に関わる...気張れよお前ら」
「「「「「オッシャァァァ!!」」」」」
相澤先生の激励にクラスメイト達のボルテージが最高潮にあがった。雄英体育祭か...目立つには最高の舞台だが、プロヒーローからのスカウトには興味が無い。
だが、色んな奴の実力を知れるチャンスに口角が自然と上がった。
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放課後
雄英生達は今日1日の授業を終えて帰り支度を始めていた。
1年A組の生徒達は教室を出ようと扉を開けたら、教室の前には他クラスの生徒達で集まっていて帰れない状況になっていた。
「何なんだよ!帰れねぇじゃねぇか!」
帰れない状況に峰田が吠えた。
「お前ら邪魔だどけ!」
拳斗は堂々と歩き、拳斗の気迫に集まっていた生徒達は通り道を作った。開けられた道を歩こうとしようとした時、拳斗の前に紫髪の生徒が行く手を阻んだ。
「噂のA組...気になって見に来たが随分えらそうだな」
「誰だ?」
「誰って...俺、お前と同じ実技試験会場に居たんだが?」
「・・・分からん!悪いな紫もやし!」
「心操人使だ...」
紫髪の生徒───心操人使は拳斗に向かって、体育祭でのヒーロー科に落ちた者がリザルトによってヒーロー科へ編入できるシステムについて語り出した。
そして最後に心操人使が此処へ来た目的が他の生徒達がしている敵情視察とは違い、ヒーロー科...否、A組への宣戦布告の為にやって来たと宣戦布告を宣言した。
「おうおう!隣のB組のもんだけどよ!ヴィランと戦ったって言うから見に来たら随分調子に乗ってるな!」
隣のB組の生徒...鉄哲徹鐵まで参戦して場が更に騒がしくなった。
そんな中、拳斗が1歩前に出ると紫髪の生徒へ殴りかかった。拳斗の拳に対応出来る訳もなく、A組のメンバーは拳斗の行動に驚くが拳斗の拳は紫髪の生徒の顔面に当たりそうな位スレスレの所で止まった。
紫髪の生徒はその場にへたりこんだ。
「宣戦布告に来たと言う割には何故ガードする素振りも避ける素振りを見せない?」
「そ、それはいきなりで」
「さっき...ヴィランについて教えて欲しいって言った奴居たよな?お前が知りたがってる答えは心操が持っている。奴らはいきなり乱入してきて、いきなり危害を加えようとしてきた」
ヴィラン連合が襲撃した日、ヴィランは生徒達に挨拶もしなければ攻撃宣言等せずに襲い掛かってきた。ヒーローを目指す以上、理不尽というのは突然やってくる。
「大半はチンピラのようなヴィランばかりだが、相澤先生と13号先生に重症を負わす程のヴィランが三人居た。プロヒーローに重症を負わすヴィランが三人も居るんだぜ?」
集まっていた生徒達はガヤガヤと騒ぐのを辞め、拳斗の言葉に耳を傾けた。
「ヴィランと戦って調子に乗っていると思っている所悪いが、俺達は誰一人として調子に乗っている奴は居ねぇ。むしろ、ヴィランの襲撃を乗り越えた事に皆で喜ぶくらいだぜ?もしかしたら隣で話してた奴が物言わぬ肉塊になっていた可能性だってあったんだからな?」
宣戦布告に来た心操人使もB組の鉄哲徹鐵も拳斗の言葉と剣幕に何も言えず、黙ったまま俯いた。
「敵情視察、宣戦布告も結構!だがな、こうやってゾロゾロ集まって俺らを見ている暇があるなら自分のできることを増やしたらどうだ?」
「──────強個性で首席は言うことが違うな...。個性との相性が悪い試験で頑張って粘ったがダメだった奴の気持ちなんか...お前には分からねぇだろ?」
「弱個性、強個性...個性を言い訳にしてんじゃねぇよ。本当にヒーローになりたい奴は出来ない事より出来る事を増やしている。出来ない言い訳を考えてるなら出来る事を増やしてから出直せ」
拳斗は言いたい事を言い去って行く。
この場を去って行く拳斗に引き止められるモノは何も無く、全員が黙って拳斗の後ろ姿を見送った。
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