俺のゲンコツアカデミア   作:星天さん

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第二話

教室の前に群がっていた他の科の生徒達に道を開けてもらい、少し到着するのが遅れたが校長室に到着した。ノックをして、中にいる校長からの入室許可をもらって校長室に入った。

校長室には校長だけでなく、相澤先生も居て何だか穏やかな話ではなさそうな雰囲気を感じた。

 

「度々呼び出してすまないね西嶋くん」

 

「いえ、大丈夫ですけど...ヴィラン連合の話だったらこの間話した位の情報しか持ってないですよ?」

 

「今日呼び出したのはヴィラン連合の事では無く───君と公安について聞きたくてね」

 

校長は今日の昼くらいに公安から電話があったらしく、電話の内容が俺がヴィラン連合と対峙した事を口外しない事、近々行われる体育祭の宣誓を俺以外にする事を命令され、宣誓で俺が壇上に上がることがあれば即刻退場させるようにしろと命令もされたと言った。

 

「公安が出張ってくるって事は相当な事だ...。何か公安と因縁でもあるのか?」

 

「今から二年前なんですけど公安の人間と1度接触した事があったんです」

 

「どういった経緯で接触したのか話せるかい?」

 

「ここだけの話にしてもらえるなら話します」

 

校長と相澤先生に今から話す話を口外しないと約束してもらい、二人は了承してくれて公安と接触した経緯の説明を始めた。

公安と接触したのは遡ること二年前、武装色の修行に行き詰まっていた俺は気分転換をした方がいいって両親に言われて遠出をしていた。

 

遠出をしていた場所でウォーターホースと言うヒーロー、筋肉モリモリのイカレヴィランのマスキュラーが戦闘している現場に居合わせていた。

 

「!?二人がヒーローを引退するきっかけの事件...」

 

マスキュラーとウォーターホース達の戦力差は火を見るより明らかだった。ウォーターホース達がマスキュラーの片目を潰しているが、マスキュラーよりウォーターホース達の方が重症に見えていた。そんな光景を見て、俺のちっぽけな正義感が俺の体を動かしてマスキュラーとウォーターホース達の間に入っていた。

割って入ったはいいが初めて見る本物のヴィランにビビった...戦闘経験も何もかもが上のマスキュラーにボコボコにされて命の危機に直面した。

だが...命の危機に瀕している時、俺の感覚が研ぎ澄まされていった。マスキュラーの繰り出す殺意の籠った一撃に体が反応して、全ての攻撃を避けきる事が出来ていた。攻撃を避け切れる事で俺からも攻撃に転じる事ができ、マスキュラーの鳩尾に渾身の一撃を打ち込んだ。

マスキュラーは血混じりで吐瀉物を吐き出し、マスキュラーを殴った拳を見ると黒く鋼のような状態になっていた。

 

「それが今お前が使っている力というわけか」

 

「あの時は本気で死ぬかと思いましたよ。まあ、あの事件のお陰で今の俺になることが出来たので結果オーライっていうやつですね」

 

「ん!ん!それで?その後はどうなって公安と接触する事になったのかな?」

 

劣勢だった状態を優勢にひっくり返せ、マスキュラーを追い詰める事が出来たが後一歩という所で取り逃してしまった。初の戦闘に加えて極度の緊張とマスキュラーから受けたダメージの影響で、俺はその場で意識を失って気がついたら見知らぬ天井と号泣している両親が視界に映った。

 

「俺が入院している所に公安の者と名乗る奴らが来て、俺がマスキュラーと戦闘していた事の口外をしない事を約束して欲しいと札束と一緒に渡されましたよ...まあ、金は突き返しましたけどね」

 

「ウォーターホースの引退した事件に君が関わっていたとはね」

 

「俺は別にこの事を話すつもりは無かったんですけどね」

 

「現代の社会からしたら西嶋...お前は劇薬だろうな」

 

「それじゃあ、どうしますか?公安が出張ってくるという事は俺が体育祭への出場は認めないって事ですか?それとも退学にするつもりですか?」

 

「いや、退学にするつもりは無い。オールマイトとやり合える人間を野放しにしてヴィランになられでもしたら終わる」

 

相澤先生との話し合いは一々腹の探り合いをしなくて済むから楽だ。合理的を求め、無駄を嫌う先生の性格は俺にとって好ましい。

 

「公安からは学校側が意図的に世間の目に触れさせるなと言われた。俺らが注意しなければ行けないのが開会式と閉会式のみ...後はお前が何をしようが俺らに止める術はない。西嶋には悪いが、開会式と閉会式の参加だけ不参加にして欲しい」

 

相澤先生が俺に対して頭を下げた。

 

「こんなところでお前の未来を潰したくは無い...」

 

「頭を上げてくださいよ相澤先生...俺的には体育祭で好きにやれるなら別になんの問題も無いですよ。それに先生が頭下げる事でも無いでしょ?」

 

「何も出来なくてすまないね西嶋くん。僕も色々と考えたけどコレしか西嶋くんを参加させる方法が見当たらなかったんだ」

 

俺が開会式と閉会式の両式を出ないという事で、俺の体育祭への参加出来るようになった。

 

しかし...完全に出場させない方が世間の目に触れない合理的な判断の筈なのに公安は一体何を考えているんだ?

 

───とある県───

 

「ヘックション!!あーあ誰か噂してんのかな?」

 

空を飛びながらパトロールしているヒーローがクシャミをしているとかいないとか...。

 

─────────────────────────

 

話し合いが終わって外へ出たら夕日が沈みかかっていた。

さっさと夕飯の買い出しをして帰ろうとすると、俺の前に人影が立ち塞がった。

 

「出久?こんな時間に何してんだ?」

 

「西嶋くんが校長室で何か話しているってオールマイトから聞いて、西嶋くんが出てくるまで待ってたんだ」

 

人影の正体は出久だった。

出久は俺に話があるようで俺が校長室で話している間、ずっと校門の前で俺が出てくるのを待っていたみたいだ。

 

「遅い時間だが親御さん心配しないか?」

 

「今日は帰るの遅れるって伝えてあるから大丈夫だよ」

 

「込み入った話か?」

 

「うん...オールマイトから今日の昼休みに西嶋くんに色々話したって聞いてね。僕からも西嶋くんにお願いしたいことがあって」

 

「・・・とりあえず家に来るか?」

 

「いいの?」

 

「それ関連の話を誰かに聞かれたら大変だからな。俺の家で飯食いながらでも話そうか」

 

この場でするような内容ではなさそうだから、一旦俺の家でゆっくり腰を下ろして話を聞く事にした。出久に親御さんへもう一度連絡させ、友達の家で晩ご飯食べることを伝えさせた。

 

「先ずは飯の買い出しだけど、鍋にする予定だけど良いか?」

 

「うん!大丈夫だよ!」

 

家の近所のスーパーで鍋の素と食材を買い込んで家に帰った。

出久にはテレビでも見て待ってもらい、鍋の仕込みを始めた。テーブルにガスコンロをセットして、その上に鍋を置いて準備が完了した。

 

「さて、鍋が煮えるまで時間はあるし話を聞こうか」

 

「オールマイトから個性の話を聞いたんだよね?」

 

「ん?ああ、ワンフォーオールの事だろ?随分と重いもの受け継いだな」

 

「西嶋くんは...なんとも思わないの?」

 

「何を?」

 

「僕は元は無個性...西嶋くんみたいに何かを努力し続けてきた訳でもないのにオールマイトから個性を受け継いだ。本当は僕なんかより西嶋くんにワンフォーオールが受け継がれた方がって──────」

 

いきなりマイナス思考と言うか...自分を卑下し始めたからデコピンで黙らせた。

 

「前も言ったが貰えるとしても要らねぇよ。それに自分を卑下するのは勝手だが、お前のその発言はオールマイトに対しての侮辱にしかならないからな?」

 

「オールマイトを侮辱してなんか!」

 

「してるんだよ出久。オールマイトはお前になら託せると思って個性を託したんだ!お前を信じて個性を託したオールマイトに申し訳ないと思わないのか?」

 

出久は俺と自分を比べているんだろうが俺と比べた所で育った環境、周りに居た人間の環境が違うんだから比べても意味が無いと出久に言った。

 

「お前は俺と比べる時間があるなら個性と向き合え。お前は他のクラスメイト達と並んでいると思っているだろうが、スタートラインから1歩しか進めていない状態だ」

 

「それは...僕もわかってるよ」

 

「なら、後ろ向きな事考えてないで前に進む事だけ考えてろ。今のお前がしなくちゃいけない事だろ?」

 

「・・・そうだね。ごめん西嶋くん」

 

「謝るな。それより鍋が煮えたみたいだし食おうぜ?腹いっぱい食って雄英体育祭までの事を考えようぜ」

 

食事中は暗くならないようにヒーロー話をしていたら、出久のオタクが爆発して俺が知らないヒーロー情報とか楽しそうに話していた。

 

「ねぇ、西嶋くん」

 

「どした?そんな真剣な顔して?」

 

出久が箸を止めて真剣な表情で俺を見てきた。

急に改まって何なんだろうって思っていたら、出久がいきなり俺に頭を下げ出した。

 

「僕を!僕を鍛えてくれませんか!」

 

「お前を鍛えるって...俺個性持ってないんだが?」

 

「オールマイトが西嶋くんは現段階で1年最強だって言ってたんだ。西嶋くんの戦闘能力は僕が学ぶべきものが沢山あるって教えてもらって...僕は少しでも強くなりたいんだ!」

 

今日はよく人に頭を下げられるなって思った。

 

「体育祭が始まる前までだ」

 

「!!それじゃあ!」

 

「体育祭が始まる前までは付き合ってやる。だが、弱音吐いたりマイナスな発言をした瞬間に辞めるからな?」

 

「ありがとう西嶋くん!!」

 

期限付きだが、出久を鍛える事にした。

多分だけど、オールマイトは出久に俺の話をすれば俺の方に行くと思って話したんだろう。

 

「明日の放課後からやっていくから予定空けとけよ」

 

「うん!分かったよ西嶋くん!」

 




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