一誠達は、教会を後にし、旧校舎のオカルト部室に移動することになった。
始めて入る、オカルト部の中は一誠の予想していたよりかなり豪華絢爛な場所だった。イメージとしてはもっと空気の重いどんよりとしたものだと思っていた彼としては、中々肩身の狭いものだった。それに加え、一誠の目の前にはリアスと朱乃が座り、その背後には木場と小猫と―――未だに気絶している一樹。隣にアーシアが座っているという事が唯一の癒しだった。
「なるほどね……さっきの姿は、怪物に襲われたことから使えるようになって、その時に操作された記憶が戻ったって事ね」
一誠はリアス達に、自身がアーマードライダーの姿に変身できる理由と、誰ともわからない記憶の事を包み隠さずに話した。
「部長、その怪物ってまさか大公から依頼された―――」
「イッセーから聞いた特徴を照らし合わせると……はぐれ悪魔バイザーで間違いないでしょうね……」
「はぐれ悪魔?……は?グレモリー先輩たちも悪魔なんですよね?あの怪物も悪魔なんですか?」
一誠がそう疑問を口にすると、朱乃が補足するように『眷属』というシステムについて説明してくれる。少し難しい部分もあったが、大体は理解した一誠は額を抑えながら、彼女たちの方を見る。
「じゃあ、はぐれ悪魔っていうのは、グレモリー先輩みたいな『王』の駒を持つ主の支配から抜け出す事や、主を殺すっていう行為をした悪魔の事を言うんですよね」
「ええ、概ね間違いないわ」
「……じゃあ、はぐれ悪魔との戦いで出せるようになったコレが何なのかは分かりますか?」
バックルとロックシードを出現させる。
出現させたそれらをリアスに手渡し、診てもらう。
「――――これは、神器……ではないでしょうね……朱乃はどう思う?」
「見たところ神器とは違った現代的な機構をしているように見えますが……判断に困りますわね……」
「裕斗と小猫は、イッセーが戦っているところを見たのでしょう?」
「一部だけですが……力としては中級悪魔の上位ほどの力がありました。それに兵藤君自身の身体能力が高いから本来以上の力が出てると予想できます」
「………え?そんな身体能力とか大げさな……」
謙遜するように手を横に振る。一誠自身、武道の経験のない高校生なのだ。
レイナーレとの戦いに勝利を収めることができたのは、『戦いの記憶』のおかげというだけだ。
「それだけではないのは確かでしょう………それにしてもこのロックシードと……言ったかしらね?貴方はこれを用いて変身するのよね?」
「ええ、まあそうです」
「今、ここで変身できないかしら?」
「えと、分かりました」
ロックシードとベルトを返してもらい、変身する。
頭上から橙色の球体が頭を飲み込む様に落ち、一誠の全身にスーツが展開されると、球体が鎧の形に展開される。
一誠が変身する様子を一部始終観察していたリアス達の反応は様々だった。
「……侍っ、侍だわ!」
「ミカンが落ちてきたようでとっても面白いですわ」
「手に持った刀と、腰にある刀……二刀流なのかい?」
「……美味しそう」
「す、すごいです!!」
「い、いやあ、そんな見られると照れますよぉ」
一誠の表情は仮面に隠されて分からないが、しきりにそわそわして照れるように頭を搔いている事から、彼が照れているているのわ丸わかりである。
コスプレチックなスーツを着た少年が、しきりに照れているという光景はかなりシュールと言ってもいい光景だろう。
次第に和やかになる空気―――しかし、その空気にそぐわない声が部室に響く。
「何で兄さんがここに……」
レイナーレとの戦闘で気を失い、今しがた目が覚めた一樹であった。
ソファーから起き上がった一樹は鋭い目で一誠を睨み付けながら起き上がる。
「起きたか!傷は大丈夫なのか?」
「アーシアの手を借りて治したからもう大丈夫だと思うけど……どこか具合の悪いところはないかしら?」
「大丈夫です……」
「教会の中で起きたことは覚えているかしら?」
「はい、アーシアを助けに地下に下りて……僕の神器が変わったけどレイナーレには敵わなくて……それで僕が気を失う前に兄さんが現れて、その姿になったことまで覚えています」
「そこまで覚えているなら大丈夫ね」
リアスに対してにこやかに応対する一樹に、傷の具合を心配していた一誠は安心する。
暫しの状況確認が終わったところで一樹がリアスに対してある質問を問いかける。
「兄さんの処遇はどうするんですか?」
「俺の?」
「兄さんは人間で、特異な力を持っています。危険ではないんですか?」
「………」
確かに堕天使を打倒しうる力を持つ一誠は、堕天使勢力や教会勢力に渡れば危険だ。
本来なら記憶を消し去るか、排除するという選択肢を選ばなくてはならない。それ自体はリアス自身も眷属達も分かっていた。
だがそれを指摘したのが、話の本筋にいる一誠の弟である一樹であることが問題だった。
一樹の指摘は、解釈によれば『イッセーにこの場から消えてほしい』と存外に指摘しているようなものと考えられるからである。
「ねえ、イッセー。私の眷属にならない?」
「はい?」
「!!」
突然の申し出に仰天する一誠。眷属達は「やはりか……」と言わんばかりに表情をしながら一様にため息を吐き状況を見守っていたが、一樹は表情を崩さず依然として無表情を装っていたが――――
「くひっ……」
僅かに口角を歪ませていた。
リアスから、悪魔になることのメリットを聞く一誠。
その様子を見ていた一樹は、内心邪悪な思考を浮かべ、ほくそ笑んでいた。
自分のせいで若干の性格の差異があろうとも所詮はイッセー。
欲望には逆らえない、どうしようもない変態。
だから、お前はうけるだろう。
リアス・グレモリーの申し出を―――
一樹の視線の先で、アーシアを横目で見た一誠が勢いよく立ち上がる。
依然として変身しているせいか、かなりシュールな光景だが一誠は真面目にリアスと向き合い告げる。
「俺!悪魔になります!!」
一樹は小さく、小さく――――内から吹き出すような邪悪な意思を笑みに変え表に出した。
「くひっ……」
「……おかしいわね」
「どうしたんですか?」
「『悪魔の駒』が反応しない……駒が足りないわけでもない。何で……」
「………はい?」
それは願い。
愚かな、それはそれは愚かな願い。
『ボクなら、あの主人公よりうまくやれる』
『あー、はいはい。分かった分かった。じゃあ、もう言う事はねえよな――――』
『あ、待って!』
『何だ?』
『『兵藤一誠』に眷属悪魔になる資格を与えないで欲しいんだ』
転生者が壊したもの、それは世界。
もうこの世界は――――正しくは回ることはない。
~第一章【終】~
イッセーが眷属になれない理由がこれです。
これで正式なレーティングゲームには参加できなくなりました。ライザー戦などは正式とはいい難いので参加はできますが、シトリー戦は参加できません。
でも悪魔じゃないから三巻にて、違和感なくイリナとゼノヴィアに協力を申し込めますね。
後、『F』STORYの外道が「くひっ」と笑えば、不思議と違和感がないことに見直しながら気付きました(笑)
これで第一章は終わりですね。
予想外にすごい反響があったので、多分近いうちに第二章を更新できると……いいなぁと思っています。
仮面ライダーのクロスとあって、少々不安がありましたが、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。