感想返信できず申し訳ありません。
流石に量が多いので、感想蘭に出た質問などは後書きにて回答したいと思います。
太陽の光が差さない深い―――深い森の中。
不思議な形状の果実が蔓とともに木を覆い隠し、果てには地面に広がり他の木を侵食し、実を宿す。
慣れ親しんだ光景にも、初めて見る光景にも感じられる。不思議と今、いる場所には安らぎが感じられた――――
濃い霧が、視界を遮る。
ここはどこなのだろう。
俺は何でここにいるのだろう。
不思議な実――――それを木からいくつかもぎ取る。
見た事もない実だ。
でも、なんだろうか。
すごくうまそうなんだ。
「……ッ!」
目を開けると、そこは見慣れた自分の部屋の天井だった。
汗でべたつく、シャツの嫌な感触に顔を顰めつつも、額を抑える。
「何だ、今の夢」
変な森もそうだし、見た事もない実もそう、全てがリアルで幻想的な夢。
不思議な実を手に取り、口に運ぼうとしたらそこでぶつりと目の前が真っ暗になって目が覚めた。夢にしては余りにも性質が悪すぎる。
「………てか、今でも実の感触が残って……ん?」
まだ手に何か持っている。
え?さっきの夢じゃないの?と思い、恐る恐る自分の手を見ると、そこには『4つ』の色とりどりの錠前。
「………は?」
バナナとイチゴとパイナップル、そしてレモン。
手に収まり切れないソレが一誠の掌の上に乗っていた。
「は、はあああああああああああああ!?」
日が上がりかけた時間帯に、一人の少年の叫び声が家中に響き渡った。
結局、一誠は悪魔になることはできなかった。
体質かどうかはリアスでも分からなかったが、悪魔になれなくても一誠の持っている力は危険には違いないので、一誠はリアスの預かりとしてオカルト研究部の部員となった。
住む場所がないアーシアは、兵藤家にホームステイするという名目で住むことになったのだが……一誠の両親は、息子二人の心配な方を慕っている、アーシアの存在を大いに喜んだ。
その時を思い出し、イッセーは思う。
どれだけ自分は将来を心配されていたんだ!と。いや別にそう思うのは普通なんだけどね。
煩悩の塊といっても間違いじゃないですからね。
そんなこんなで始まった新生活。
といっても一誠自身の日常に関わると言う訳でもなく――――
「一樹は相変わらず先に行っちまったみたいだな……アーシアも一樹と一緒に行けば早く行けたんじゃないのか?」
「私はイッセーさんと一緒がいいですから」
「お、おお」
否、アーシアという癒しが日常に麗しを与えてくれていた。
彼女と一樹の中は良くもないし、悪くもない。一樹もアーシアの手前、一誠に対する暴言や小言を言わなくなったという、些細な変化が起こった。
まあ、彼女がいない時では態度が激変するのは変わっていないのだが……。
「……じゃあ学校行こうぜ」
「はい!」
うらやかな日差しをまぶしく思いながら彼は、アーシアと共に駒王学園に向かう。
「アーシアちゃん……とついでに兵藤もおはよー」
「おはようございます!桐生さん!」
「俺はオマケかよ」
教室に入ると同時に挨拶してくる桐生と女子達。
なんだか扱いがぞんざいな気がするが、これも親しき仲にもなんとやらというものなのだろう。今更気にする事でもない。
相変わらず、一樹はギロリとこちらを睨みつけた後に、クラスの女子との会話に花を咲かせていた。もうこれは慣れた。
それよりもだ。
「あっはよーうアーシアちゃーん」
「おはよう、アーシアさん。今日もブロンドが輝いているね!」
「あ、おはようございます。松田さん!元浜さん!」
この二人だ。
無駄にキリッとさせながら挨拶してくる、松田と元浜に律儀に挨拶を返すアーシア。その度に涙を浮かべ幸せを感じている二人を見て、微妙な気持ちになる。
もし立場が違っていたなら、自分もああなっていた自信があったからだ。
「………そういえば、イッセー。お前部活入ったのか?」
元浜が眼鏡をクイッと直しながら質問してくる。
イッセーとしては別段隠す事ではないので、普通に答える。
「え?ああ、そうだけど?」
「アーシアちゃんと同じ?」
「アーシアと同じ」
「…………フンッ!!」
「ぐふっっ!」
バコッとボディブローを食らう。
「な、なにしやがるこの眼鏡!!」
痛くはない、痛みはないけど、突然殴られてすごくびっくりした。顔を上げると眼鏡はふふんと鼻をならし、こちらに指を突きつける。良く見ると松田もイッセーの方に指を突き付けている。
「羨ましい!!」
「そうだ羨ましいぞ!!」
「………こ、この嫉妬にかられて親友までも殴るかこいつら……いいだろう。お前らに絶望をくれてやるぜ!!」
「「な、なにぃ!?」」
「いいか、松田、元浜。俺はお前らが決して越えられない壁で隔たれてしまった………」
慄く二人を前に立ち上がる。
何やら桐生が『アーシアちゃん見ちゃ駄目だよ、男の醜い争いだから』だとか、余計な事を言っている気がするが、今は無視しよう。
まずはこいつらに止めを刺そう。
「俺、アーシアと暮らしているんだ。一つ屋根の下でな。なあ、アーシア?」
「はい、イッセーさんの家で御厄介になっています」
「「!!?」」
絶句し、絶望するように膝をつく二人。
何かすごい罪悪感だが、何か勝った。
「嘘だ!ありえない!!」
「ば、バカな……。イッセーが、金髪美少女と一つ屋根の下で……?ありえない……世界の法則が崩れるぞ……?」
「お前らちょっと表に出ろ!!」
非日常に足を突っ込んだ今でも、俺の親友達は平常運転のようです。
放課後、一誠はオカルト部室にいた。
彼は人間なので悪魔の仕事というものは出来ないが、一応の監視という名目でオカルト部室へ赴いているのだ。
「これが朝、貴方の手の中に?」
「そうっス」
部室にいるのは朱乃とリアスと一誠。他の面々は、それぞれの契約者の所へ向かっている。結構、この場では手持無沙汰な一誠だが、今回ばかりは早朝、彼の元に現れたロックシードらしき物体を出してみた。―――これらのロックシードはオレンジロックシードやバックルと同じで、自由に出したり消したりできるようで、持ち運びという点では便利だった。
「確かに……貴方のオレンジと似てるわね」
「玩具、みたいですわ」
興味深そうにロックシードを触る、リアスと朱乃。
イッセーに教えられたとおりに、錠前を開くボタンを押してみても無反応。……壊れているのか。それとも―――
「イッセー、開いてみて」
「分かりました」
リアスの持っていたクリアな素材で作られている『レモン』のロックシードを受け取り、ボタンを押す。
「……ん?反応しませんよ?俺の集中力の問題ですか?」
「多分それは関係ないと思うわ。でもおかしいわね……他のロックシードを試してもらってもいいかしら?」
「え、ええ。分かりました」
反応しないレモンをテーブルに置き、代わりに『バナナ』ロックシードを拾い、ボタンを押す。
【バナァーナ!】
「鳴った!?」
「貴方しか使えないようね。多分、ここにある全部がそう……あなた専用って訳ね。試しに変身してみたらどう?」
「やってみます!」
ベルトを出現させ、バナナロックシードを嵌める。
「変身!」
【ロックオン!】
オレンジの時と同じようにイッセーの頭上にバナナを模した塊が出現する。頭上に出現したバナナに『おー!』と喜色の声を上げながら、バックルの小刀『カッティングブレード』を倒す。
【バナナアームズ! Knight of Spear!】
一誠の頭をバナナが飲み込み、鎧が展開される。
目立つのは両肩のアーマーと、両頭部から生える黄色の角。そして、一誠の手に持たれた黄色い装飾が施された突撃槍【バナスピアー】。
自身の新しい姿にイッセーは感極まるように―――
「うぉ―――!バナナァ―――!」
「腰の武器はそのままで、手持ちの武器が変わっているわね」
「恐らく、ロックシードによって戦闘手段が違うのではないでしょうか?」
「そうね。それにしてもKnightofSpear―……ね。ますます眷属にできない事が悔やまれるわ……」
今の姿はまさしく、騎士。
余りにも型に嵌った姿だが、リアスはその姿の一誠に物憂げなため息を吐くのだった。
「部長、他のも試してみてもいいですか!」
「ええ、構わないわよ。でも、周りの物を壊さないようにね?」
「分かりました!」
元気に返事する一誠に、微笑ましいものを感じたのか微笑を浮かべる朱乃は、未だに残念そうにしているリアスに言葉を投げかける。
「うふふ、イッセーくんまるで子供みたい」
「無邪気、ね………」
「部長?」
微笑ましいように一誠を見る朱乃とは違い、リアスは表情を鎮める。
「朱乃。あの子の力は、いずれは誰もが欲しがるわ。今は中級悪魔程の力でもね、あの話を受けたら、ライザーはきっと一誠を―――」
「私は貴方の『女王』。『王』の命令に従うのみ、ですわ」
「助かるわ、朱乃」
そう、一誠の力は未知であり強力。
尚且つ一誠自身の身体能力も常軌を逸しているというオマケ付きなのだ。彼と手合せした祐斗がそう言うのだ間違いと言う事はないだろう。
……本人はまぐれだと否定していたが……。
「イッセー君は、もっと自信をもっていいのに。謙虚というにも違う気がするし……」
「あそこまでくると、卑屈……と言った方が正しいかしらね」
自分を過小評価し過ぎている。
その原因は、恐らく彼の弟の一樹。もし彼の一連の行為が幼いころから続いているとしたら―――もうそれは呪いにも等しい枷になるに違いない。
そして、その枷は一誠の心の闇にも成り得る。
自分の感情を抑えられる生物など、この世にはいるはずがないのだ。どんなに優しくても、どんなに寛容でも、聖者のような心をもっていてもそれは変わらない。
積もり積もった苛立ちや怒りといった『激情』は、決壊したダムのように心を飲み込み、その原因となった者に向けられるだろう。
リアスには一樹がどんな理由で一誠を嫌悪しているかは分からない。「これは僕達兄弟の問題です」と言われればそれまでだろう。
だが、見逃していい問題ではない。
一誠は、もうリアス達にとって無関係の人間ではないからだ。
「なんとか、したいものね……」
最初に出たのはあの森です。
そして『レモン』はまだ使えません。
それと、このイッセー君を放置すると、闇落ちします。
では、感想蘭での質問を回答いたします。
あまり核心的な事はいえませんが、できるだけ答えたいと思います。
・ドライグはロックシード化するか?
オリジナルロックシードは作らない予定なので、出しませんね。
それにドライグと一樹には、ちゃんとした役割もあるので、難しいです。
外伝としてなら、出せるかもしれません。
・他のアーマードライダーは出るか?
特典を与えられているのは一誠だけなので出ませんね。
出したら出したで、滅茶苦茶になりそうですし……。
でも、これも外伝なら出せます。
・ヤンデレはいるか?
い、いません(震え声)
・弟はどうなるか?サーラン(地球外追放)するのか?
詳しくは言えませんが、サーランはしません。
コンセプトでも言ったとおりにこの物語は、主人公と『形』だけ同じことをしようとするどうなるか、というものです。
踏み台転生者のようには無駄死にはしませんね。
それにイッセーは一樹を絶対見捨てたりはしません。
・眷属悪魔が駄目なら、天使になればいいじゃないか?
・一誠が眷属悪魔になれないのは、禁断の果実のせいじゃないか?
合わせて答えます。
別段、隠す事じゃないので回答します。
一樹は、イッセーの悪魔化を阻止したかったので、神にそれを祈った。―――のですが、神はイッセーに『禁断の果実』を与える事により、転生機能を受け付けない体にした、と言う事です。
「お前、特に方法指定してないだろ?」という感じです。
・オリ主アンチになってる?
一樹を嫌な奴に描写しすぎましたね。
でも、彼もこの後の物語には必要不可欠なキャラなので、活躍……とはいきませんが、まだまだ出していきたいと思います。
そして最後には――――
・オカ研のメンバーは一樹の事をおかしいとは思わないのか?
イッセーに対する態度については訝しくは思っていますが、オカ研のメンバー―――特に小猫や朱乃は家族に関係する話は口出ししにくいので、迂闊に手が出せないという感じですね。
オカ研のメンバーの過去は重いものがありますから。
・イッセーはオーバーロードになるのか?
一応なる予定です。
・赤龍帝の籠手が一樹に宿っただけで赤ドライグはイッセーに宿っているのか?
ドライグも一樹に宿っていますね。
歴代赤龍帝と変わりのない一樹に対してかなりドライです。……ドライグだけに(ボソッ
・『F』の千奈はイッセーの事をどう思っているか?
普通に変態な兄として見ていますね。
悪感情はないです。
・変身時のアーマーはクランクから出ないのか?
一誠の変身の時は、空間に生成されるように出現します。
ヘルヘイムの中で変身した時と同じようなモノですね。
その理由は後々明かします。
とりあえずは、これで大体……です?
一樹の人気(悪い意味で)がすごいですね。
でも、鎧武の光実然り、一樹も意味があるキャラクターです。
次話もすぐさま更新致します。