兵藤物語   作:クロカタ

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少し中途半端に感じたので【悪】方を一話だけ追加更新。



外伝 兵藤物語【悪】 7

 コカビエル。

 白い魔法使い。

 フリード・セルゼン。

 白龍皇。

 

 数々の襲撃に晒された駒王学園。

 その危機、白い魔法使いが去ったその後、リアス・グレモリーは事後処理の為に校庭にやってきたソーナ・シトリーとその眷属達に、先程起こった事を説明に追われていた。

 

「―――それで、コカビエルはその白い魔法使いに?」

「……ええ、実力の違いを思い知らされた気分だわ」

 

 事実、白い魔法使いと自分たちの間にはあまりにも大きすぎる差があった。堕天使幹部という伝説上の存在を容易に滅する魔法と技能。

 

「……妙ですね」

「何が?」

 

 一通り離し終わったところで、ソーナは考え込むように腕を組み首を傾げる。

 

「その白い魔法使いの行動が……です」

 

 行動、リアスから見れば、二度目の邂逅だがどちらも強烈な印象を残したまま消えた。どの勢力に属しているか分からない存在、それが白い魔法使い。

 その行動原理も何を成そうとしているのか―――。

 

「何故兵藤一樹くんにそこまで怨嗟の念を抱き、貴方の婚約者であるライザーを痛めつけ、コカビエルという貴方達の【敵】を排除したのでしょうか……彼の行動はあまりにも貴方と関係があり過ぎている」

「分からないわ、でも彼は初めて会った時……私達……私の敵じゃない、と言った」

「敵じゃない……?」

 

 さらに分からないとばかりに目を瞬かせるソーナ。

 言っている事が滅茶苦茶だ、敵でないなら、悪魔に被害を出しているのは何故だ。ライザー・フェニックスを害する理由は何処にある?

 

「もしかして……貴方に惚れてたり?」

「……貴方も冗談を言うのね」

 

 割と本気……とは言えなかったが、逆に鵜呑みにされたら困るものがある。こういってはなんだが、白い魔法使い、彼には謎が多すぎる。今思い立ったありえない・・・・・結論もある意味で有力な説なだけであり最優なものではない。

 

「まずは分かる所から調べるのが得策でしょうね」

「というと……」

 

 異常な恨みを向けられている自身の眷属。

 その身に赤龍帝の力を宿す元人間。

 

「兵藤一樹、貴方の眷属について調べさせてもらいます」

「……」

「気に入らないのは分かりますが、我慢してもらいます。事態はもう貴方の手に負えるものではない。フェニックス家、強いては冥界すらも彼の存在を警戒しています」

「分かって、いるわ」

 

 自らの眷属の事を調べるなんて彼女にはできないだろう。眷属に優しいということはこれ以上ない美点だが、こういう場合には重荷にしかならない。

 正直、ソーナ・シトリーが見る兵藤一樹は自らの抱える力に見合わない実力を持つちぐはぐな少年。学園での『噂』も良い物、悪い物が明確に分かれており、そのどちらも大きな矛盾がある。

 

 片や品行方正で分け隔てなく優しい、兵藤。

 悪い方は、覗き、下劣な品性を持っていると言われている兵藤。

 

 明かに違う。

 少なくとも兵藤一樹は下劣には当てはまらない。……彼女の主観的に言わせてみれば、おおよそそれに近い物かもしれないが、少なくとも外面は違うだろう。だが噂というものは根も葉もない場所から出ない物である。何かしら生まれる原因があって、その当事者がいる。

 

 だからこそおかしいのだ。

 そう、明らかに正反対の噂がどちらも同じ程の認知度で流れる物だろうか?人間とは流されやすい生き物だ。見ず知らずの人の人物像なんてものは簡単に決まってしまう。悪い噂なら悪いイメージに、良い噂ならば良いイメージに……一度固まったイメージは簡単に払拭されることはない。

 それなのに、相反する噂が学園で飛び交うのはどう考えてもおかしいのではないか。

 ギャップとかでもマッチポンプでもない。一人の人間に対する噂としてあまりにも矛盾を抱え過ぎているし、なによりも共通点があまりにもない。

 

 

 

『兵藤って知ってる?あのエロ猿三人組の一人、あいつってかあいつら?更衣室覗いたり学園にいかがわしいもんとか持ってきてたりするじゃん?ありえねぇーよな。ああいう奴にはなりたくねーよ』

 

『噂によれば授業だってまともに出てねえらしいじゃん?……いや本当かどうか分からねぇよ?どちらにしろ、アイツには近づかない方が良いらしい……え?だって危なそうじゃんか』

 

『兵藤?ああ無理無理!もう名前を聞いただけで無理!え?何もされてないけど……だって品性下劣で近づいたらセクハラされるんでしょ?』

 

『早く何かしら対処して欲しいよな。最近なんて……ん?……そもそも兵藤の下の名前って一樹だっけ?』

 

『エロ猿三人の中で兵藤は一番ヤバイらしいよね。ホント、何で学校にいるんだか』

 

『どんな奴かは見なくても分かるでしょ……こんだけ噂になってるなら』

 

 

 

 悪い噂に至っては、まるで別の人間に対する酷評だ。

 ひたすらにこきおろし、面白おかしくかきたて、それがさも最低最悪な行為と言わしめんばかりに正論というこじつけを並べ、性格、人間性すらも否定し侮蔑するような―――そんな吐き気を催すほどの悪意が込められたもの。

 

 

「まるで元から兵藤くん以外の『誰か』が居た……としか思えない」

 

 

 ありえない、が可能性が無いという訳ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼の身に起こった事は、あまりにも不幸で、理不尽で、不条理な悲劇。

 その真実を知るのはごく一部――――被害者と加害者のみ。

 

 加害者は蹴落とした当事者を嘲笑い、偽物の物語に縋り―――。

 

 蹴落とされたものは偽物に縋る愚か者を殺し、愛していた者達を守るために前に進みだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、話を聞かせて貰おうか」

 

 白龍皇、ヴァーリ・ルシファーは目の前の存在、白い魔法使いに若干の警戒と共に興味を抱いていた。

 眼前の白いローブに包まれた仮面の魔法使いの扱う特異な魔法、伝説の名剣にも勝るとも劣らない槍。全てが謎に包まれてはいたが、一目見て分かった。

 この男は強い、と。

 

「うっほ、マジ銀色じゃん兄貴兄貴、やべーっしょ、白龍皇っつったら神ぶっ殺せるレベルの神器の一角だぜ!」

「んなこと知ってる。お前ちょっと黙ってろ」

 

 駒王学園を後にしたヴァーリは、一誠に指示された【町外れの廃工場】で彼等と落ち合った。どういう訳か高速で到着したヴァーリよりも早く到着していた一誠とフリードを疑問に思ってはいたが……。

 

「何処から話す?」

「何故俺が禍の団と繋がっている事を知っている?」

「知っているからだ」

「……」

 

 答えになっていない、白い魔法使いは勝手知ったるが如く近くの廃材へ腰を下ろしているが、一方のヴァーリは甲冑から覗かせた素顔を訝しげに歪め警戒している。

 

「まあ、それは話す。信じるかどうかは別だがな」

「え、え―――!!兄貴俺には教えてくれなかったのに!こいつに教えちゃうのォ―――!嫉妬しちゃ――――ってあれ?ちょ、ちょっと兄貴、何で今そのテレポーテーションする指輪をって、ちょ!?」

 

 横で喚くフリードを煩わしく思った、一誠はその場でテレポートの魔法を発動し、生じた光の渦にフリードを蹴り飛ばし何処かに転移させた。

 

「……いいのか?」

「ああ、後で回収してやればいい」

 

 こちらを一身に見つめるヴァーリを見る。今のヴァーリならば勝てる、覇龍を使われればリュウガを使わざる得ないだろうが……。ここで排除するのはそう難しくはない。

 

 だが、それはできない。

 

 ヴァーリはこの先の戦いで必要になる戦力だからだ。

 いくらライダーの力が強力でも、扱うのは自分一人だ。フリードは正直土壇場で裏切るかもしれないから、信頼できる仲間とは言い難い。記憶が正しいのならば、ヴァーリは意外と義理堅く、悪意がそれほどない男だ。

 まあ、それを打ち消すほどのバトルマニアだが……それは今は目を瞑ろう。

 

「白龍皇……いや、ヴァーリ・ルシファー、俺が今からするのは頼みだ」

「………」

 

 敢えてフルネームで語り掛ける。

 警戒されても上等。断られ攻撃されたならば、最悪排除すればいい。

 地を這いずり、泥をすすってでも一樹は殺し、兵藤イッセーが愛した人々を守る。

 

 

 

 

「俺を禍の団へ……お前の居るチームに入れろ」

 

 

 

 その為ならばテロリストでも何でもなってやる。

 

 その言葉を受け取ったヴァーリは、少しだけ呆気にとられたような表情になったが、次の瞬間には彼らしくない大きな声で笑い始めた。

 

「ははははは!!」

「何で笑うんだよ……」

「いや……お前ほどの実力者がわざわざ俺の傘下に入ろうとするとはな。理由を聞かせて貰ってもいいかな?」

 

 怪しい奴を入れる事はできない。

 言外にそう言われていると判断した彼は、ゆっくりと深呼吸しながらあらかじめ考えていた言葉を吐き出す。

 

 

 

「兵藤一樹を殺す為」

 

 

 

 そう、全てはこの恨みから始まった。

 友人、家族、存在、記憶、何物にも代えがたい幸せな日常、あるべき未来を奪った侵略者を殺す。絶望して絶望して絶望して絶望してから、この世に細胞のひとつ残らず消し炭にする。

 

「―――ほう、そこそ理由が聴きたい。アレは居ても居なくてもさして問題のない雑魚だ。禁手に目覚めても良くて上級悪魔に片足を突っ込んだ程の力、お前なら指一本でも惨殺することも可能なんじゃないか?」

 

「弱いのは当然だろ」

 

「……何が当然なんだ?」

 

 ヴァーリの言い分は最もだろう。

 兵藤一樹は雑魚だ。成長が早いと言われている赤龍帝の籠手を持っていたとしてもアレでは、宝の持ち腐れ。

 

「アイツはレイナーレも、ライザー・フェニックスも、コカビエルとも戦わなかったからな。譲渡の力も、基礎的な力も変わっていない。当然だ、全部潰してやったんだからな」

 

 レイナーレの一見はアザゼルから聞いている。ライザー・フェニックスもそれなりの事件になったから知っている。兵藤一樹への復讐を目的としているならば、白い魔法使いが関係していてもおかしくはない……のだが、どうにも言い方が不自然だ。

 

「未だに筋書き通りに行くと思っている……。もうあるべき方向から完全に違ってしまったっていうのに……」

 

 白い仮面から発せられるくぐもった声には若干の怒気とやり場のない悲壮感が感じられる。

 流石のヴァーリでも意味が分からなかった。だが彼が次に吐き出したその言葉に、ヴァーリは今度こそ目を見開くほどに驚愕する。

 

「ヴァーリ・ルシファー。俺は別の世界の赤龍帝だ」

「……何だと?」

「お前もいたし、アザゼルも居た。黒歌に美候にアーサーにルフェイも……俺の仲間も、友達も、父さんも母さんも……」

 

 衝撃的だった。

 アザゼルとの関連を指摘された事ではない。まだ誰も知るはずがない、仲間の存在を目の前の男が知っている事にだ。禍の団に組みしている、という所までは少し驚くだけのことだろう。

 

「待て、容量が得ない……。何故、俺の仲間の名を知っている事はともかく平行世界の赤龍帝だと?そんな妄言を信じると思うか?」

 

「……正確には別の世界じゃない。この世界の正しい赤龍帝の保持者が俺だ」

 

「それこそ信じられないな。お前の言っている事が嘘じゃない証拠がどこにある?」

 

 そう冷たく言い放つヴァーリだが内心かなり混乱していた。あまりにも突拍子も無い話、だがこの男の言葉には嘘だとは思えない何かがあった。

 

「証拠なんてない。いや、正確にはあったか……もう皆忘れちまったからな」

 

「忘れた?」

 

「言葉の通りだよ。皆忘れちまった。親友も両親も俺のこと知ってる皆が俺のことを忘れた……一人を除いてな」

 

「―――それが兵藤一樹とでも言うのか?バカバカしい」

 

 辛辣なヴァーリの言葉を受け、ゆらりと立ち上がった彼は同じ目線でヴァーリを見据え少しだけ笑みを漏らしバックルに手を添え、そのまま消し去った。

 体に纏われたスーツが光と共に消滅する。

 

 光が収まると共に現れたのはヴァーリにとって見覚えのある顔だった。

 瓜二つ、髪型こそ違えど体系も顔も身長もほとんどが似通っている。兵藤一樹と同じ顔、同じ声で目の前の青年が卑屈な笑みと共に口を開いた。

 

「これが俺だ」

 

「……」

 

 悲しみと絶望が混ぜられたような、言葉で言い表せないような瞳をしている。一体どんな仕打ちを受けたらこういう目になるのだろうか……。

 もしかするならば兵藤一樹という一人の存在を恨み続けることが今のこの男を支える要素に成りえているのかもしれない。もし、目の前の男の言っている事が真実だとするならば、歯痒い思いにかられた……戦って見たかった。あのような歯牙にもかけない者ではなく、赤龍帝という力に見合った者と―――。

 

「……お前の知っている赤龍帝は……強かったか?」

 

 気付けばそんな言葉を吐き出していた。

 完全に信じた訳じゃない、がどうしても聴きたかった。あの出来損ないではなく、目の前の男が赤龍帝だったのなら、一体どうなっていたのか。

 

 互角とまではいかなくとも、戦えたのではないのか?

 それともこれまでの赤龍帝保持者とは違う成長で自分と渡り合ったのか。

 

 ヴァーリの言葉を目を瞑り反芻した一誠は、儚げな笑みを浮かべる。その顔は怒りや憎しみに支配されたようなものではなく、昔を思い出すかのように、それでもって何処か優しげなそれを思わせるものだった。

 

「お前みたいな才能は無かったけど……皆の力とか、色々なものの力を借りて……お前を目標に強くなっていたよ」

 

「そう、か……」

 

 信じられるものではない。

 だがそれが嘘とも思えないのも事実。可能性の話で圧倒的な力と才能を持つ自分を目標に強くなろうとする者が居た、等と言われれば……。

 

「お前の名は?」

 

「ん?」

 

「名前は、と聞いている」

 

 一誠の言葉を聴いたヴァーリは途切れ途切れながらも彼にそう問うた。一誠は少し悩むようにした後、若干の苦笑と共に自身の名を言葉にする。

 

「兵藤……兵藤一誠だ」

 

「兵藤一誠、か……いいだろう、お前を仲間にしてやる。だがそれはお前に同情した訳じゃない。お前が復讐を成し遂げたその時―――」

 

 

 ―――俺と全力で戦ってもらおう。

 その言葉に彼は一瞬だけ呆けたような表情を浮かべたが、次の瞬間に何がおかしいのか笑い出す。

 

「やっぱりお前はお前だな。当然か、俺がいなくてもお前は、そう……ヴァーリだったんだからな……いいぜ、全力で戦ってやるよ。それが俺を禍の団にいれる条件か?」

 

「ああ、メンバーとの顔合わせは先だが……」

 

「俺の事は教えて構わない。アレには顔を見せればバレることだし……それに、俺の事を覚えている奴はこの世界の何処にもいないからな」

 

 交渉が巧く言って安心したのか、安堵の息を吐きながら廃材に座った一誠。そんな彼を見て、ヴァーリはこれからするべきことを考える。

 

「―――分かっていると思うが、不用意な行動はするなよ?」

 

「分かってるよ、俺だって必要じゃなければあまり動きたくないんだ……今日だって、本当はお前との接触が目的だったんだからな……」

 

 コカビエルはあくまで、自分を呼び込むための釣り針だったという訳か。しかし、何か違和感を感じる。もっといい方法があったのではないか、という物もあるが―――。

 

「じゃ、俺はあのお調子者を連れ戻さなくちゃいけないから、今は解散としようぜ」

「……ああ、そうだな。詳細は追って連絡する」

「そうしてくれ」

 

 疑問を抱くヴァーリを余所に、再び白い魔法使いへの変身を遂げた一誠は、テレポートの魔法を発動させ光の渦の中へ消えて行ってしまう。残されたヴァーリは、取り敢えずグリゴリ本部へと戻るため、光翼の展開と共に空へ飛翔する。

 

 

 

 

 

 

 

『ヴァーリ』

「……どうした、アルビオン」

『あの男、信用できるのか?』

「嘘はついているだろうな……間違いなく兵藤一樹だけの復讐が目的じゃあない」

 

 復讐に理解があるヴァーリはなんとなくだが一誠の行動を理解していた。

 これ以上ない絶望を、これ以上ない痛みを、生きている事を後悔させる仕打ちを与えたい。復讐を抱くものならば当然の思考だ。それは生半可な仕返し等とは一線を画し、どうあっても話し合いで解決できるものではない。

 

「だが兵藤一樹への復讐心は本物だろう。それだけの憎悪が感じられた」

 

 復讐を諦める者、許す者、妥協する者は総じて復讐者ではない。

 そんなものは結局自分の幸せしか考えていない奴だ。諭されたくらいで、同情されたくらいで、止められたくらいで収まるような、何処かであったような陳腐な復讐劇は見るに堪えない。

 

「兵藤一誠はわざわざコカビエルを殺した。兵藤一樹により絶望を与えるならばグレモリー眷属を皆殺しにさせる光景を見せる事だってできた筈なのに……」

 

 その場合、ヴァーリが止めに入るだろうが―――可笑しい事には変わりがない。ヴァーリに取り入る為にそんなことはしなかった?いや、兵藤一樹への復讐を狙うのならば、グリゴリでも良かった筈。

 

 自分ではなく、アザゼルに取り入りたいなら、独断で行動したコカビエルを戦闘不能にさせ土産として持って行けばそれで事足りる。あれほどの実力を持っているならば、コカビエル程度を完封するのも簡単だろう。

 

 平行世界の赤龍帝というならばコカビエルの行動は知っている筈。兵藤一樹を殺させない為?いいや、そんなわざわざ助けるような中途半端な事をするような男ではない。

 

「別の世界……本来の赤龍帝……まさか」

 

 兵藤一樹が悪魔に転生したときと同じように、兵藤一誠の言う赤龍帝も悪魔に転生していたのではないのか?それを仮定するというのならば、兵藤一誠の話を信じてしまう事になるが―――そう考えると驚くほどに、話しが噛み合ってしまう。

 

 

 

 

 【聖母の微笑】を抜き取ろうとしたレイナーレ達を始末―――

 

 リアス・グレモリーと婚約していたライザー・フェニックスへの襲撃―――

 

 駒王学園を襲撃したコカビエルを撃退―――

 

 

 

 

 ヴァーリ・ルシファーは兵藤一誠を知らない、が、彼の推測が真実だったならば、間違いなくそれは悲劇と言っても変わりのないものだろう。

 兵藤一誠という存在の暗躍を知らない兵藤一樹にとっては喜劇だろうが―――仲間であったはずの(・・・・・・・・・)者達から敵視され、攻撃される、そんな道を歩もうとしている一誠にヴァーリは執念にも似た意思を垣間見た。

 

「……調べる必要があるな……」

 

 鎧の中で僅かに口角を歪ませたヴァーリは事の真相を見極める為、さらに速度を上げ暗闇を切り裂くように光翼を広げ空を突き進む―――。

 




復讐といえば、ガン×ソードというロボアニメの主人公が印象的でした。
ああいう笑顔が素晴らしい感じの主人公は好きです。


今回は禍の団に入る流れ、みたいなものと、ソーナの考察のようなものを入れてみました。
 一応補足しておきます。
 外伝は一誠が諭されて復讐をやめるみたいな流れはありません。本編ではカズキを許す一誠ですが、【悪】は絶対に一樹を許しません、どんなことがあっても絶対に復讐します。一樹絶対許さねぇマンです。


今回の更新はこれでお終いです。


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