ダンジョンにうちは一族が潜るのは間違っているだろうか 作:かやたひや
「フィンやはりお前俺を舐めているだろう…?」
中庭に下り模擬戦の準備を終えたフィンを見るとその手には木剣しか持っていなかった。
「君のことは決して侮ってないよ。けど今の君には木剣で十分さ。もちろん君は真剣で構わないし、魔法も写輪眼を使ってもいいよ」
口元に軽い笑みを浮かべながらフィンは木剣を構えた。
「後悔するなよ!フィン!」
写輪眼を発動しフィンに接近をした。
(正面から攻撃しても間違いなく見切られる…なら!)
剣が届く間合いに入るとアサヒはフィンの視界から消えるように背後に周りフィンに目掛けて剣を振り下ろした。
(捉えた‥!)
「うーん、素直だね。スタイタスで勝る相手の死角を取り一撃で勝負を決めようとするのは」
捉えた思えた一撃はフィンによって完璧に防御されていた。
アサヒは防御された事により一度距離を取りフィンの出方を待とうとした。
「おや?距離を取るのかい?なら今度はこっちから行くよ」
今度はフィンが接近をしさっきのアサヒとまったく同じように背後を取った。
(後ろ‥!)
「フィン、あんたの動きは俺の眼で見えてるぞ!」
「そうだね、ならスピードを上げるよ」
そう言うとフィンは接近した状態で右に左に上に下にと縦横無尽に攻撃を重ねていった。
(くそっ!写輪眼でも追いきれねぇ‥!)
初めの方はフィンの攻撃についていけたアサヒだが一合二合と剣を重ねるたびに増えていく隙を的確に付いてくるフィンの攻撃に対し写輪眼の見切りでも追いつかなくなっていた。
(一度体勢を整えなければ)
打ち合いの中でアサヒは敢えて大きな隙を見せそこをついてきたフィンの攻撃の勢いを利用し一度後ろに飛び下がり、下がっている最中に印の結びも完了させた。
「【火遁 鳳仙花の術】」
術も使いながら確実にフィンとの距離を確保したアサヒはどのようにフィンに一撃をくらわせるかを考えていた。
(正面からは論外、かといってただ死角を取ってもフィンには読まれる‥虚をつかなければ)
「おや?もうスタミナ切れかい?降参するのかい?」
「降参なんてするわけがないだろう、行くぞフィン!」
アサヒはポーチからクナイを3本取り出し牽制をしながらフィンに近づき接近戦に持ち込んだ。
「また接近戦かい?それでは僕は攻撃は当たらないよ」
「言ってろ!」
再び二人の剣戟が始まったが、やはりフィンが圧倒的に優勢でありアサヒは徐々に防戦一方となってしまっていたが、これはアサヒの狙いでもあった。
(まだだっ‥、待て最大の隙をっ!)
繰り返された剣戟の中でフィンがアサヒの剣を叩き上げアサヒの胴体がガラ空きになった。
「これで終わりだよ」
フィンはそう告げ最後の一撃をアサヒに叩き込もうとした。
(ここだっ!)
アサヒはフィンの一撃を…‥わざと受けた。
「ボフンっ!」
フィンの攻撃を受けた瞬間アサヒの体と入れ替わるようにして丸太が煙をだし現れた。
「?!」
フィンは捉えたと思った攻撃を回避されたことに驚き、フィンの親指が疼いた時変わり身の術によって攻撃を回避したアサヒが背後から剣を突き出していて、この模擬戦で初めてフィンの表情に焦りが生まれた。
「おれの勝ちだフィン!」
アサヒは確信した、この攻撃に確実に当たると、勝負に勝ち俺の道を邪魔するものはいなくなると。
しかし攻撃が当たる瞬間フィンは膝を脱力し攻撃を紙一重でかわし、逆にカウンターをアサヒにくらわせた。
「ここまでだね、良い考えだったよアサヒ」
フィンは攻撃を受け地面に伏せているアサヒに向け言葉をかけた。
「本当に最後の攻撃は危なかった。僕も紙一重だったよ」
「はぁっ、はぁっ、世辞はいい‥アンタが実力を出し切ってないことは分かってる…」
フィンからの労いを受け取れないと言い、そして模擬戦全体を通してフィンとの第一級冒険者との実力差をはっきりと感じていた。
「くそっ!」
「その様子だと分かっているようだね。今の君は他の多くのLv.1の冒険者と比べても実力は上だ、それは断言できる」
「技と駆け引きも駆け出し冒険者にしては優れている。そう駆け出しにしてはね」
フィンの言葉をアサヒはただ聞いていた。
「けど今のままの君ではダンジョンに潜ってあっさりと死ぬことになる。復讐心にかられガムシャラに進んで行けるほどダンジョンは甘くない」
「いくら君がうちは一族、写輪眼を持っていたとしても技と駆け引きが足りないままでは格上の相手に相対した時に必ず負ける」
「そして君の倒したい相手は同じうちは一族、ましてや君の兄だ。今のままじゃ何年かかっても倒すことは出来ないよ」
フィンの言葉は正論だった、ならどうすれば良いのかと思った。
「ならどうしたら良い!このまま一族を皆殺しにしたアイツを殺すには!」
「『未知』を『既知』に変えることだ」
あっさりとフィンは答えた。
「相手を知ることで相手の行動を予測することができるし、知識があれば不測の事態にも対処することができるようになる」
「多くを学べばそれは技にも駆け引きにも活かすことが出来るようになる」
フィンの言葉はこれまで何十年にも渡りこのオラリオで生き抜き頂点に立った者の重みがあった。
「僕やガレス、そしてリヴェリアも初めから強かったわけじゃない。沢山の鍛錬や冒険そして多くを学んできたんだ、そうだろリヴェリア?」
フィンは途中からこの模擬戦を陰から見ていたリヴェリアにそう聞いた。
「フィンの言う通り学ばなければならないものが山ほどあった。身に付けなければならないものが無数にあった。それは今も変わらない」
今の自分より圧倒的な実力を持つ二人が知識の重要性、『未知』を『既知』に変えることの必要があることを告げた。
「アサヒ…君の悲願は僕の野望やリヴェリアの目的以上に険しいものだ」
「それをやり遂げるなら僕やリヴェリアが行ってきたことを僕たち以上に取り組まないといけない?」
「ああ、分かっている」
理解していた。アサヒ以上の実力を持つ二人を超えるためにするべき事を。
「理解はしてくれたみたいだね。しばらくダンジョン探索は許可できないけど、今日のような模擬戦は時間があれば僕やガレスが付き合おう」
「君が望む必要な技と駆け引きも教えるよ。だからリヴェリアの座学と併せて心も強くなってほしい」
フィンはそう言うと次にリヴェリアの方を向いた。
「さて、リヴェリア?下の者に敬われる立場のものとして、何かいっておくことはあるかい?」
フィンの言葉を聞いたリヴェリアは眉を下げながらアサヒに近づいた。
「アサヒ…『教師』としての私は、お前以上に未熟らしい」
「手探りばかりで、どう接していいかわかっていなかった……先に学ぶべきは私のようだった」
「熱くなり過ぎていた。至らない身ですまない」
リヴェリアの言葉を受けアサヒはリヴェリアも自分と同じく未熟であったんだと分かった。
「俺もすまなかった」
アサヒも謝罪をし続けて意志をもった眼でリヴェリアを見た。
「強くなるために俺にいろいろ学ばせてくれ」
リヴェリアにそう頼むとリヴェリアは微笑んだ。
「ああ、共に励もう」
そう告げるリヴェリアと共にホームの中に入っていった。
」
多分リヴェリアはアサヒの教育実践によってアイズに教育する時は原作以上に上手くアイズの教師を務めれると思います………多分