チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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お気に入り数や投票数がかなり伸びていてびっくりしました。
素人作品ですが、色々な方に本作を楽しんでいただけているのならありがたい限りです。


10話 真水確保のための下準備を進めよう

リアート村での作物回収も無事完了し、食料増産計画は一旦一区切りついた。

俺は再び勉学や訓練をメインに据えた日々を過ごしているが、並行して泉に頼らない真水作りの計画も練っている所だ。

 

リアート村に持ち込んだソルガムとヤシの木だが、どれも無事生育と収穫に成功したことがシューベトに提出された栽培記録から確認できたのでほっと一安心である。

リアート村周辺の地域はデルカル大陸でも特に痩せた土地ではあるが、前に提供したさつまいも等も含めて上手く生育箇所を広げていけばリアート村の食料事情は改善に進むだろう。

また、リアート村での作物運び込みで食料事情改善に関連したミッションをいつの間にかクリアしていたので、再び相当な量の転生特典用ポイントが貯まっていたのはとてもありがたかった。

 

ちなみにレフガトの泉南部の荒地でもヤシの木は問題なく栽培できたそうだが、ソルガムはまだ生育が安定しないため、予想通り試行錯誤を要するみたいだ。

農家ではなく、屯田制による勇士の栽培だからいきなり成功とはいかないのもしょうがない。

むしろ転生特典で呼び出したヤシの木が凄いと言うべきなんだろうな。

 

さて、現在計画中の泉に頼らずに行う真水作りだが、いきなり大規模に真水を精製するのは厳しいので、あくまで真水を作る手法を確立するのを優先する方針で行こうと思う。

泉なしでも水を得られる手法をきっちり残しておけば、デルカル大陸最後の泉も枯れ果てる未来が万が一来てしまった場合の備えとなるからね。

確立した手法をどこまで広げるかは真水作りに割けるコストも含めて父上や母上と相談した上で、という所かな。

 

具体的にどのような形で水を得るかは、現時点では2通りを考えている。

 

1つ目の方法は氷を採取して水として使用する、というものだ。

デルカル大陸には地下に氷の洞窟がいくつかあるらしく、その洞窟から氷を切り出して水として使おうというシンプルな方法である。

氷の洞窟の位置はミッションで確認しており、現時点では2つほど候補が見つかっている。

1つはシューベトからは南東、リアート村からは北西に位置する霧の森に存在し、もう1つはジーヴ村北西辺りに位置している。

霧の森にある洞窟の方が大規模であるが、マップを確認する限りでは非常に深い位置に潜る必要がある上、町から離れていることから氷の持ち出しに難儀しそうなので、今回の目的には合わないだろう。

対してミッションで確認できたジーヴ村北西に位置する氷の洞窟への道のりは、態々洞窟を訪れようとしない限りまず通ることはない上、地図にも載ってない獣道ではあるものの一応ジーヴ村まで真っ直ぐいけるものである。

洞窟自体も霧の森の方よりは底が浅く内部構造もなだらかのため、氷を運び出しやすい利点もある。

氷の切り出しを試すならジーヴ村方面の洞窟に決まりだろう。

 

もう1つ考えている方法は、前世でのサバイバル知識を検索した際に見つけた原始的な蒸留装置を作り、海水を真水と塩分に分離するというものである。

まず大きな鍋を2つ重ね、より大きい方に海水を入れて、蓋等で鍋を密閉する。

次に蓋の部分は海水や氷等で可能な限り冷やしておく。

その状態で鍋に火をかけると、熱で気体になった水が蓋の部分で冷やされ、海水の入っていない小さい方の鍋に真水として貯まっていくのである。

氷の洞窟ではなんと常温でも溶けることがない氷も採取できるらしく、サバイバル式蒸留装置の冷却は前世よりも簡単に出来ることが見込まれる。

こういう所はファンタジー万歳だね。

装置に必要な鍋や蓋についてはシューベトの復興作業時に仲良くなった工房の職人さんに頼めばきっと力になってくれるだろう。

 

半透膜のような性質を持つ膜か塩分を吸着する物質があればもっと楽に海水から真水を分離できそうだが、調べた範囲では現状見つけられていない。

簡易的なピストンはこの世界にもあるので、見つかれば逆浸透を利用した真水抽出もできるようになるかもしれない。

魔物の素材やこの世界特有の鉱石等をなるべく集めておき、時間ができたらその性質を調べて真水化に転用できないか試してみるのも一興だと思う。

 

ただ、思い描いている蒸留装置を作る場合、埠頭に面したジーヴ村が最も海水を容易に入手できるため、氷切り出しの件も併せて真水作りに最も適している場所はジーヴ村となる。

そのため、真水作りはどうしてもジーヴ村を中心に活動する必要があるだろう。

 

実際にジーヴ村で真水作りに取り組むにはこれまで通りリーガル父上とエステル母上の許可を取る必要があるが、その他にもいくつか課題がある。

 

まず探索箇所となる氷の洞窟は上層部なら通常の衣服でも活動は問題ないようだが、深度が深くなると超低温環境になるため、専用の防寒装備がないとまともに行動できなくなるようだ。

普通の氷の切り出しは上層部で何も問題ないのだが、俺が蒸留装置で使いたい溶けない氷は氷の洞窟上層部では入手できないようなので、防寒対策を考える必要が出てきた。

 

が、これについては速攻で解決した。

というのも、懇意にしている大陸渡りの行商人達に防寒装備について尋ねた所、昔ウルパ大陸から流れてきた特別な防寒着が何着かあるらしい。

ただ、そんな強力な防寒着を必要とする人が全然おらず、倉庫で埃を被っていたとのことである。

在庫の3着を纏めて買ってくれるなら半額にするということなので、まあいいかと防寒着『ランブリオ』を3着購入した。

……持ってこられた服のサイズが子ども用・男性用・女性用とバラバラだったけどね。

行商人の方は昔の品で内訳まで覚えていなかったらしく、物凄く申し訳無さそうにしていたから文句は飲み込んだ。

そもそも内訳を確認しなかった自分のミスでもあるからなぁ。

最悪女性用は防寒着の補修素材に使ってしまえばいいとしよう。

 

次に必須ではないがあった方が良いと思えたのは、氷の切り出しに使う工具だ。

氷を切り出す際、自分なら剣で氷を両断すればそれで済むかもしれないが、例えば一般の勇士が防寒着のいらない洞窟上層で氷の切り出しをすると考えると、負担を減らすために専用の工具がある方が助かるはずだ。

シューベト町の武器職人に工具について相談した所、氷用の鋸を作るのを提案されたのでじゃあそれで……と言おうとしたが、その場に居合わせた老いた職人が自分の話も聞いてほしいと言ってきたので、町の武器職人に断った上で場所を移して一応話を聞くことにした。

 

ザルエルと名乗った老武器職人はより優れた工具を作ってみせるから自分に発注してくれないかと頼んできたが、正直工具では極端に差が出ないと思い始めは断った。

でもザルエルさんは割としつこく頼み込んできて俺はちょっと困ってしまい、そこまで違うものが作れるのならと割と無理難題を言ってみることにした。

具体的には工具として扱う以上戦闘用の武器ほど切れ味はなくてもいいから、氷を楽に切れるよう半永続的に熱を宿した刃を作ってほしいと言ったのだ。

流石に無理ですよね、と立ち去ろうとしたが、なんとザルエルさんは大声で「できらぁっ!!」と言ってきたのである。

「マジか……というかノリがいいなこのお爺さん……」と内心思いつつもそこまで言うならと試しに作ってもらうことにした。

……あくまで熱意に負けたからで、お約束を分かっているのが理由では無いはずだ。

 

ザルエルさんに工具の材料として求められたのは炎熱の力を宿した自然発生するゴーレム・ラバラックの素材で、最も重要な器官である角と体を構成する岩石を可能な限り回収して持ってくるよう頼まれたのである。

ラバラックはシューベト南東の活火山、カルダリア山中腹から行ける『カルダリア洞窟』にいるのだが、炎のゴーレムが出るぐらいだから洞窟は所々溶岩が流れている。

つまり、氷の洞窟と真反対の環境となる探索箇所が増えてしまっているのである。

何だかお使いクエスト染みてきており、カルダリア山がシューベトから通える距離とはいえちょっと面倒くさい気がしたが、ザルエルさんへの発注依頼がかなりの量のポイントを貰えるミッションとなってしまっていたので放り出すのも勿体無くなってしまう。

しょうがないので何とかこちらもこなすと心に決めたのだった。

 


想定外のミッションが追加されてしまったが、今回探索予定の各洞窟は砂漠とは方向性は異なる形で危険度が非常に高いため、転生特典による装備・能力獲得で更に準備を整えるため、俺は秘密基地に足を運んでいる。

 

まず、探索箇所として追加されたマグマ流れるカルダリア洞窟でも探索しやすいよう、水の力が込められた外套を取得した。

今持っているマントでもある程度対応できるかもしれないが、これでマグマの流れが酷い箇所があっても問題なく行動出来るだろう。

 

次に、洞窟等で崩落等が発生しても脱出しやすくするためワイヤーアクションの技能を取得した。

合わせてかなりの距離を伸ばせる上絶対に切れないワイヤーフックとフックを引っ掛けるための頑丈なハーケンをセットで獲得している。

あと、ハーケンは投げて壁等に突き刺すこともできそうだったので、必要ポイント数が格安だった投擲技能も序でに取得している。

訓練場をちょっとだけ改装してワイヤーフック等の使い方を練習してみた所、概ねペル⚪︎ナ5R等で使われていたアクションが可能になる感じで、中々使い勝手が良さそうだった。

 

……そして最後に、ワイヤー等でも助からない本当に緊急時の備えとして魔法を取得することにした。

バベリア大陸で魔女狩りが流行しており、いずれデルカル大陸でも魔女狩りは起こるだろうことが予想される中、俺は以前から魔法を取得するリスクと利点を天秤にかけ悩んでいた。

これまでの調査から転生特典で取得したものは魔力探知されない可能性が高いことと、何より身の安全には変えられないことから俺は結局魔法の取得に踏み切った。

 

覚えた魔法は当然ながら大体のゲームにある「一瞬でダンジョンから脱出できる魔法」である。

魔法を覚えた直後、予想通り魔法関連のミッションが大量にリスト化されたのを確認したので、ポイント獲得のためにこれからは魔力も鍛えた方が良いな……。

 

危惧していた魔力探知についてもすぐに確認したが、シューベト城の魔力探知機では自分が全力で魔力を出しても丸っきり反応しなかったのは本当に助かった。

ダメ押しで外部に魔力を漏らさないための装備となるリストバンドも一緒に取っている。

念には念を入れる意味で取得したリストバンドは特典一覧の中で最高級品だ。

高級品だけあってどれだけ自分の魔力が上昇しても絶対に魔力を漏らさない上、前獲得した重力負荷バンドのように魔力的な負荷もかけられ、魔力循環・放出・圧縮等もサポート可能な多機能版でもあるので、これなら魔力方面の修行や戦闘補助も可能だろう。

最終的にはリストバンドの効果を全部自分でできる方が良いが、それは訓練をしながら目指せばいい。

まあ、魔法を使わないといけないぐらいに追い詰められた状況にならないよう立ち回る方がずっと大事だろうけどね……。

 

高級品のリストバンドを買った割にはまだポイントは余っていたので、既に魔法を覚えてしまった以上もう幾つ魔法を覚えても誤差であると判断し、これまた大体のゲームにある初級の攻撃魔法と補助魔法、そして「一度行った場所に瞬間移動できる魔法」を追加で取得した。

これで魔法関連のおすすめ特訓方法も脳内で開けるようになったので、魔力の訓練内容で困ることはない。

 

ワイヤーアクションと魔法はどちらも秘密基地の外では訓練が不可能なので、しばらく秘密基地での滞在時間は新規取得した能力の習熟に全て注ぎ込むことにする。

自分の選択の結果ではあるけど、魔力関連の制御は全身全霊で取り組まないといけないからなぁ。

納得いくレベルになったら真水作りの件を父母に切り出すとしようかな。




ジーヴ村北西の氷の洞窟はオリジナル設定となります。
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