チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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13話 ドラゴンの育成に着手しよう

リーガル父上とエステル母上にカルダリア洞窟探索の顛末を報告した。

うん、ドラゴンの卵の件は当たり前だけど仰天されてしまったね。

ラバロードに強襲されたことも何か言われてしまうかと思ったが、フレア……マグリックドラゴンの幼体に懐かれて連れ帰ったという説明で大体吹っ飛んでしまった。

全力で父上と母上にフレアを育てたいと頼み込み、父母にきちんと責任もって面倒を見ることを誓って何とか養育許可は貰えたから良かったんだけど、何故か父上は俺がフレアを育てることにかなり好意的だったんだよな。

アンシエントドラゴンにシューベトが襲われている以上、説得は難航すると思っていたんだけどなぁ。

……もしかしてアンシエントドラゴンの対抗馬として期待されてるのかな?

 

何にせよ許可を貰った以上この子のために環境を整える必要がある。まずは住む場所だ。

しばらくは水の外套内をフレアの仮住まいにして問題ないが、この子の身体がどの程度の速度で育つか分からない以上、外套で包めないくらい体が成長した時の寝床をどうするか考えないといけない。

これは素直に父上に相談したが、妙にフレアの育成に乗り気な父上が「シューベト正門前の窪地で橋を掛ける予定地以外なら好きにして良い」と言ってくれたのでありがたく使わせてもらうことにする。

窪地にある邪魔な木と石をパパッとどけてフレアの寝床用スペースを仮で空けておく。

後は身体の大きさに合わせて整備する範囲を広げていけばいい。

フレアも外で寝るのは問題ないみたいだしね。

もし寝床が硬いということになったら地面に藁か牧草を敷くことにしよう。

 

次に考慮するのはフレアの食料だが、どうもフレアが空腹で食料を必要とする頻度がこちらの想定より大分低くなりそうなのである。

というのも、フレアに最初に干し肉をあげて家に連れ帰ってから相応の時間が経過しているのに、フレアに空腹か尋ねてみてもこの子は首を横に振っている。

フレアとの繋がりを辿って感じ取った感覚から大雑把に逆算しても、1・2週間ぐらい何も食べなくても大丈夫そうな気がするんだよな。

この妙な燃費の良さはあの干し肉の効果なのか、フレアを連れ帰るための試行錯誤中に色々取ってしまった異世界技能の影響なのか、それともマグリックドラゴンの生態故なのかちょっと分からない。

絆を結んだこの子を使って生態実験するのは言語道断だしなぁ。

 

可能な範囲の調査として、フレアに食べられそうな食材をちょこっとずつ食べてもらって直接味等を確認してもらった所、食材の好みは大体分かった。

肉類が最も好みに合っていて、魚はその次に気に入っている。

ナッツなどの木の実類も割といけるみたいだ。

野菜や穀物も一応食べられるみたいであるが果物は微妙そうで、牧草は流石に首を横に振っていた。

雑食も大丈夫だが概ね肉食という感じだろうか。

 

面白いと思ったのは、フレアはお腹を満たすだけでなく味を楽しむ嗜好品としても食事を捉えることが既にできていた所だ。

始めて食べさせたあの特別な力を持つ干し肉の味をまた感じたいってフレアは思っているみたいだからね。

マグリックドラゴンが特別賢いのか、それとも俺との繋がりか異世界技能がそうさせているのか。

現状確かめる術はないけどやっぱり気になってしまうな。

まあとりあえずは栄養の偏りに気をつけつつ体の大きさに合わせてフレアが受け付けた食料を町で購入していけばいいだろう。

養育に使う食料は転生特典用ポイントでも格安で獲得できるみたいだから安心だ。

 


住環境と食料事情は一応目処が立ったので、フレアを養育する上で今1番の問題に取り組むことにする。

それは何かというと、フレアの身体から漏れてしまう炎のコントロールだ。

これを早期にどうにかしないと危なっかしくて水の外套から外に出せない。

口から出る分はある程度抑えられるようだが、体から湧き上がる炎がどうにも上手く操作できないらしい。

フレア自身も体から出る火に自分が炙られて暑そうにしており、本人、もとい本竜も何とかしなければならないと強く思っているため、訓練のモチベーションは充分だ。

 

炎のコントロール訓練については、安心と信頼の秘密基地で実施することにした。

自宅や町で火の扱いを誤って小火騒ぎを起こす訳にはいかないからね。

秘密基地なら破壊不可機能が既にあるから火事の心配もごく僅かだ。

他者を基地に招くのは初めてだが、フレアは将来のパートナーになり得る子だし、基地や魔力等の俺が隠しておきたいことは他の人には内緒にすることを了承してもらっているから良しとする。

 

訓練に入る前に、ラバロード撃破分とザルエルさんの依頼達成でたくさん溜まった転生特典用ポイントを使い、フレアが将来行う特訓用に秘密基地の設備を追加しておく。

今回はモン⚪︎ター⚪︎ァームに出てくる宿舎付きトレーニング場に加え、由来を思い出せないが戦闘訓練に使用できるシミュレータをそれぞれ秘密基地に追加した。

どちらもフレアが炎のコントロールをある程度できるようになってから使用することになるだろうけどね。

 

トレーニング場は正に言葉通りの用途に使うつもりであり、フレアの基礎スペックを引き上げるのに必ず役立つだろう。

ちょっと驚いたのはこのトレーニング場、仮初とはいえど室外の空間を大規模に秘密基地へ追加しているにも関わらず、要求されるポイント数が大分少なかった。

もしかしたら関連技能である異世界の能力を取得したおかげで必要なポイントが抑えられているのだろうか?

……そういえば取得した初級魔法と同じ異世界の中級魔法は、必要ポイント数が最初にリストで確認した時より幾らか下がっていた気がするな。

別々の異世界由来の技術であれば必要ポイント数を抑制できない代わりに重ねれば効力が上がり、同じ異世界由来の技術なら転生特典用ポイントを抑えて獲得できるって塩梅なのかなぁ。

念のためこの法則性は覚えておこう。

 

戦闘シミュレータの方は始めメカメカしいイメージを想定していたが別にそんなことはなく、実際には装飾が施された薄緑色の立方体が出てきたので、適当な台座に乗せて秘密基地の訓練場に配置されている。

基地機能で模擬戦闘ができそうなものを検索した際、他の追加機能より幾分価格が安くなっていたので今回これを購入してみた。

もしかしたらこの立方体も自分が既に取得した異世界技能のある世界由来のものかもしれないね。

流石にプレイした全てのゲームを細かく思い出すことができず元ネタが浮かばなかったけど、このシミュレータも便利そうだ。

立方体に触れて自分がこれまで見たり戦ったりした相手のイメージを思い浮かべると、仮想空間らしき所で指定した相手と模擬戦闘でき、戦闘フィールドの設定・相手の数やその他ハンデなども割と自由に調整可能だ。

フレアに戦闘経験を積ませるにしても、デルカル大陸中の魔物を手当たり次第に撃破させるなんてやり方はどう考えても色々な人達の迷惑になるので、このシミュレータを使って俺も一緒に経験を積み上げていこうと思う。

 

ちなみにトレーニング場とシミュレータはどちらもポイントを使って更に機能拡張できるようなので、フレアの成長を見ながら拡張を検討していこうかな。

 

さて、それでは本題であるフレアの炎のコントロール訓練に取り掛かるとしよう。

ザルエルさんが試作品を完成させるまでの残り6日は、現実時間の就寝時は基本秘密基地で過ごす。

シューベトの町外れにもこっそり秘密基地の入口を追加したので、町を回る際の隙間時間にも基地で特訓可能にしている。

就寝時と隙間時間を合わせれば、時間の流れを遅くできる基地機能により約3週間の訓練期間は基地内で確保できる。

 

炎のコントロール訓練への意欲はバッチリでも、どう訓練すればよいかまではフレアもまだ分かっていないようなので、この子と繋がっている感覚を活かしつつ取得した異世界技能を元に一緒に訓練方法を模索してみよう。

 


……概ねどうすればいいか分かった。

フレアの体から炎が溢れてしまうのは、体内で炎熱エネルギーを生み出す器官と思しき箇所近辺に発生したエネルギーが溜まりきってしまっており、器官から炎熱エネルギーが発生する度に溜めきれなかった分が炎として体から外に漏れ出てしまうようだ。

異世界技能によって生まれた感覚と合わせ、考えられる対応策は3つ出てきた。

 

簡単にまとめるとこんな感じだ。

①炎熱エネルギーを産む器官の活動を抑制する

②一箇所に溜まっていた炎熱エネルギーを体内で循環させる

③一箇所に溜まっていた炎熱エネルギーを体内の別位置に分散して集めておく

 

この内①は発生するエネルギーを直に抑えることで何らかの悪影響が出る恐れがあるので今回は選択しない。

②と③の複合案を採用してフレアの特訓を進めることにしよう。

 

心の繋がりを通してフレアに対応策を伝えた所、まずは自力でやってみたいということで訓練場で体内エネルギーの操作を練習させてみることにした。

 


休憩を挟みつつ半日ほど練習させてみた所、フレアは③のエネルギーを別の位置に蓄積させるのがかなり上手であることが分かった。

特に翼と尻尾の先端に結構な量の炎熱エネルギーを移すことに成功し、体から漏れる火は大分小さくできた。

思いつきではあるけど、翼と尻尾に貯めたエネルギーを使って翼からジェットみたいにエネルギーを放出して高速移動したり、尻尾を叩き付けるのと同時にエネルギーを解放して高威力の攻撃にしたりできそうな気がするな。

 

え、フレアは今のアイデア試してみたいの?

もっと体を大きくしてしっかり鍛えてからにしないと多分体を痛めるだけだからまだダメだよ。

 

いけない、若干脱線したから話を戻そう。

コントロール訓練で③の手法は上手くいったが、②のエネルギーを体内循環させる方式でフレアは苦戦している。

フレアと繋がっている感覚からの予想になるが、フレアが自分の体を完全には把握しきれず、炎熱エネルギーの循環が中途半端になっているようだ。

特に手足にエネルギーを回す時に躓くことが多い。

まあ産まれたばかりなんだからしょうがない所もある。

寧ろ翼と尻尾先端に炎熱エネルギーを移して収束できているのが驚異的だと考えるべきだろう。

 

だがフレアのモチベーションはまだまだ高い。

今のうちにとっかかりは掴ませてあげたいが……そうだ、俺が秘密基地でやっている魔力制御の訓練方法。

あの感覚を伝えてあげればいけるかもしれない。

 

フレアと心を繋ぎ、俺が魔力を全身に行き渡らせ、手足の先まで含めて魔力を体内で循環させる感覚を繰り返しフレアに共有していく。

異世界の剣術を学ぶ過程で身につけた闘気という生命力をベースにした力でも同じ事は出来るのだが、今回はこの世界で使われているのが確実な魔力の方で感覚共有を行っている。

ついでなので全身に行き渡った魔力を一瞬で一箇所に集めたり放出したりする感覚も伝えておく。

フレアはエネルギーの収束は得意そうなので何かの参考になるかもしれない。

 

……うん。フレアのエネルギー循環はさっきよずっとよくなっている。

体から漏れ出る火も残り僅かだ。

ダメ押しでフレアと心を繋いだまま、俺の魔力を流してまだ炎熱エネルギーの循環が上手くいっていない所を後押しし、そのまま魔力を誘導体のようにしてフレアの全身に炎熱エネルギーを循環させてあげる。

上手く勘所を見つけてくれるといいけど……。

あ、エネルギーが流れるのを楽しむのもいいけどしっかり感覚を掴むんだよ。

君は俺の魔力という補助輪なしでこれをできるようにならないといけないんだからね。

 


秘密基地内の時間で大体10日ほど訓練を続け、遂にフレアは俺の魔力による補助なしで体内で炎熱エネルギーを循環させることに成功した。

回しきれない分は翼と尻尾先端に収束できており、もう体から炎は漏れていない。

気づいてなかったがフレアの炎のコントロールはミッションとなっており、このミッションをクリアしたことでまた沢山の特典用ポイントを獲得している。

ポイント量からして相当難易度が高かったらしく、単独でやらせていたらどれだけ時間がかかったか分からなかったな。

ただ、この手の制御訓練は継続することが大切なので、これからもエネルギーコントロールの訓練を続けるようフレアと約束した。

 

ちなみに炎のコントロールという課題をクリアしたお祝いも兼ねて、フレアが食べたがっていた例の絆を結ぶ干し肉をポイントで購入してプレゼントしてあげた。

 

思い出補正があるのかもしれないが気にいったんだね、その干し肉。

喜んでいるフレアの姿を見てそんなことを思った。

 


今俺達は秘密基地内の部屋にて休憩中で、俺はゲームを遊んでおり、フレアは渡した干し肉をゆっくり味わいながら俺のゲームプレイを見ている。

フレアはドラゴンが出てくるゲームを見たがっていたので今D⚪︎Dの1作目と2作目を今遊んでいる所だ。

この子はゲーム内の言葉や音楽にも興味深々で、セリフの意味を心を通じて尋ねてきたり、気に入った音楽を繰り返し聴きたがったりしていた。

休憩時間中もこの世界で人間が使っている言葉の意味や発音を心の繋がりを通して教えてあげていたけど、この分だとこの世界と前世の人間の言葉をどちらも使えるドラゴンになりそうだなぁ。

音楽の方も、MIDIとかギターとかバイオリンは前世で扱っていたから弾いてあげるとフレアも喜んでくれるかもしれない。

後でポイントを払って購入しておこう。

 

あと、ゲーム内に出てくる赤い竜と黒い竜をフレアは気に入ったみたいだった。

形態変化して強くなる所を見て、自分もできるようになりたいって思ってたな。

……ポイントで購入できるリスト内にあるんだよなぁ、仲間にした子を形態変化させてスペック向上させる能力。

こちらをじっと見つめるフレア。

意図は分かるんだけど……。

懸念として、フレアを仲間にするために取った3つの異世界能力はどれも適用するとフレアを強化できるという点がある。

全部オンオフ可能だけど、この3つに加えて形態変化の能力を重ねたら、異界法則の重複が4重になって出力がえらいことになりそうなんだよなぁ。

ただフレアのモチベーションにもなるから完全に却下するのも躊躇われる。

とりあえず、俺のアイデアを実行する時と同様、肉体の成長とトレーニングによる強化がしっかりできた後にし、加えて俺が許可した時以外は形態変化を使わないという条件で認めることにした。

 

休憩後のトレーニングにやる気を出しているフレアを見ると、強くなること・出来ないことができるようになることに楽しみを見出せるのは俺にも似ている気がする。

ただ、フレアが考えなしに力を振るうことがないよう気をつけてあげないといけないね。

周りを傷付けるのもそうだが、過度な力は災いが自身にも返ってくるからなぁ。

力を発揮しすぎてこの子の四肢がもげたりするのはごめん被りたい。

 

あ、フレアにイメージが流れてしまった。

うん、脅かしてごめん。

それでも、言わなきゃいけないことだからね。

力は自分がきちんと扱い切れる範囲にしないと冗談抜きで今のイメージ通りになるから気をつけるよう伝えると、フレアはしっかり頷いてるし感情も納得しているから問題ないだろう。

あとは言語を教えてあげること以外に、周りのことも気遣ってあげられるよう情操教育もしていけばいいかな。

 

それじゃあ、残りの時間はトレーニング場でフレアの訓練を試してみようか。

何を始めにしてみたいかをフレアに聞いてみると、飛行訓練とブレスでの的当てとのことだった。

こういう所はやっぱりドラゴンのイメージ通りなんだと思いながらも、俺は要望通りの訓練ができるようトレーニング場の準備を整えに行くのだった。

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