チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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16話 氷の洞窟で氷の切り出しと素材集めをしよう

今日はジーヴ村出張2日目、初めて氷の洞窟を探索する日である。

今日の目標は洞窟上層部にて氷の切り出しが可能か実際に試すことと、洞窟下層部までのルート確保だ。

つまり、防寒着を必要としない箇所に限定して氷の洞窟内を探索をすることになる。

 

朝食を食べた後、孤児院の皆に見送られれつつ出発となった。

 


切り出した氷を乗せるための台車を俺が引っ張りながら氷の洞窟への獣道を進んでいく。

サーチさんとベリータさん、そしてとうとう肩に乗せるのは無理なぐらい大きくなったので台車に乗っているフレアと一緒に警戒しつつ進むが、この道には魔物もおらず、小さな野生動物が通るぐらいだ。

危険な相手と遭遇することなく、氷の洞窟入口に到達できた。

 

ここまで台車を移動させるのに少し斜面を崩して道を整えたりしたが、普通の人でも来ることは可能そうな場所だ。

 

それでは洞窟上層部を探索しよう。

 


「内部構造は非常に単純ですね。分かれ道があってもすぐ行き止まりになります」

「少なくともこの階層は魔物の気配も全くなし。ただ、氷の張っている箇所がそこかしこにあるので足元には気を付けてくださいね、アドリアン様」

 

氷の洞窟というだけあって気温が低く、氷で足を取られないよう注意する必要があるが、上層部についてはそれ以外には特に注意事項がないぐらい単純な地形だった。

勇士の小隊行動では進みにくいのはカルダリア洞窟と変わらないけどね。

道のりも台車が普通に通れるぐらいの幅があり、氷の上を通る時だけ気をつければいい程度である。

 

この分だと、ワイヤーアクションや緊急離脱用の魔法とかも過剰な準備だったかな……。

まあ人生のどこかしらで役に立つと信じ、一旦置いておこう。

まずは探索に集中だ。

 

分かれ道の行き止まりには土を含まない氷の壁が張り出している箇所がそこかしこにあるので、氷の切り出しは分かれ道の行き止まりで行えばよさそうだ。

手頃な氷の壁を見繕って持参した炎の鋸を使って氷の切り出しを進めていく。

うんうん、凄く簡単に切り落とせるな。

色々大変だったけど、ザルエルさんはちゃんと仕事をしてくれている。

サーチさんやベリータさんも試しに氷を切ってもらったが、2人とも氷を易々と切り出せていた。

鋸の熱が冷えたあたりで鞘に鋸を収め、切り出した氷をあらかじめ台車内に用意していた藁に包んで台車へ載せていき、無事切り出しは完了した。

 

そしてもう一つの目的地である下層部への入り口だが、こちらも簡単に発見できた。

というのも、

 

「うっぐ……。この突き刺すような冷気……。この先に入口があるのは間違いないですね」

「さ、寒っ!!これは防寒着がないとちょっと進めないわね……」

 

明らかに現状の装備では進むことが叶わないレベルの冷気が噴出している箇所があったからだ。

厳密には俺はマントのおかげで行動不能とまではならないが、それでも著しく行動を制限されるのは間違いない。

まともに行動できるのは自身の炎熱で己を温められるフレアだけになるだろう。

防寒着ランブリオを装備しなければこの先には進めない、ということだ。

 

サーチさんとベリータさんが冷気の噴出口付近で寒そうにしているのを見かねたフレアが2人の傍で炎を出して温めてあげている。

 

「あら、フレア君ありがとう。君って本当に頭がいい子ね」

 

『ああ。たくさん学んでいるからな』

 

「…………え。今、この子、人間の言葉を話した……?」

 

おおっ!!とうとう話せるようになったんだ!

 

『アドリアンから毎日沢山教えてもらっているからな。どうだ、私の言葉はおかしくないか?』

 

「大丈夫。ばっちりだよフレア」

 

『それは、何よりだ』

 

サーチさんも呆然としている。

 

「確かに、年経たドラゴンは人の言葉を見事に操ります。しかし、これほど若い竜が人語を使いこなすとは……」

 

この子は賢さパラメータが他と比べてえらい高くなってるからなあ。

フレアが文字や子ども達の計算も理解できるくらい賢い子であることを2人に説明していく。

 

「うーん。アドリアン様は規格外だけど、連れているドラゴンも規格外ね……」

 

とベリータさんが呆れたように言う。

 

『それは、誉め言葉か?』

 

少し呆れが入っているけど、一応そうだね。

通常とは外れているって意味もあるかな。

 

『通常とは外れている……。まあ、アドリアンと一緒なら別にいいか』

 

ちょっと予想外なことはあったけど、とりあえず今日の目標はほぼ達成した。

後は無事に戻るだけだ。

ほら2人とも、一旦帰りましょう。

フレアも帰りは台車から降りてついてきてね。

 


何事もなく地主さんの貸家付近に戻ってきた。

あとは地主さんの倉庫にある水を貯める壺に持ってきた氷を砕いて詰めて終了である。

 

サーチさんが氷を調べた所、土を含まない箇所をきちんと採取しており、飲料・農作に問題なく使用できるということだったので安心だ。

ジーヴ村全ての水を賄うことはできずとも、サブの水を得る手段として氷の切り出しは十分使えるだろう。

体調がましであることを確認して地主さんにも報告したが、地主さんと地主さんの使用人も水の当てができたことについて凄い勢いでお礼を言っていたなぁ。

 

 

今日は早めに探索が終わり、時間に余裕があるので3人で防寒着ランブリオを試着して動きに支障がないか確認していく。

ふむ、ごくわずかに可動域が狭くなるが戦闘に支障は出ない程度だ。

まず問題ない、と言っていいだろう。

 

『大丈夫だ。氷の洞窟に出現する敵であれば、おそらく私の力が有効だ』

 

そうだね。

かなりの時間飛行していられる上、達者に炎のブレスを吐けるからフレアも戦力に数えられる。

頼りにさせてもらおう。体も大きくなったしね。

 

『アドリアンを私の背に乗せて一緒に空を飛ぶのはもう少し先だな。楽しみにしていてくれ』

 

心を繋げられるから分かっちゃうか。……ありがとう。

 

んー、まだ時間が余っているな。孤児院の手伝いでもしようか。

 


使用人さんに手伝いが必要か確認した所、日用雑貨を購入して来てほしいということで俺はジーヴ村の商店に向かっている。

店への道すがら、何とパディさんとばったり会ってしまった。

ちょうど家に帰る所だそうで、今日は娘さんのフィリアちゃんも連れているようだ。

フィリアちゃんも身体的特徴と魔力を保持していることから神族みたいだね。

さすがに昨日今日ではお互いさほど進捗はないので普通に挨拶をし、ちょっとだけ世間話をしてお別れとなった。

ちゃん付けはやめてほしいとのことでフィリアちゃん改めフィリアと呼ぶが、彼女はお父さん大好きっ子って感じだった。

パディさんは穏やかな人格者という印象だったし、娘さんに慕われるのも分かる気がするな。

 

 

頼まれた日用雑貨を購入して孤児院に戻ろうとすると、今度は巡回任務中のヘクター教官とソード 兄弟に出会った。

なんだかよく知人に会うなと思いながらも、教官に現状を報告していく。

リーガル父上が俺のことを気にしてジーヴ村まで来ていただいているのだから、ちゃんと近況を伝えておかないとね。

 

パディさんの時と同様皆で世間話に花を咲かせるが、教官は俺に一つ大事な報告があるという。

 

今回はリアート村の出張時より長期となる見込みのため、エステル母上が俺のことを心配しているということで、リーガル父上がジーヴ村へ俺の様子を見に来るそうなのだ。

父上がジーヴ村を訪問するのは今日から4日後を予定しており、行き違いを防ぐために当日の予定を確認してほしいということだった。

明後日が氷の洞窟深部の探索だから、常温で溶けない氷の採取が順調であれば4日後はちょうど海水から真水の抽出を試す日になりそうだな。

想定される予定をヘクター教官達に共有すると、父上への報告のため教官達はシューベトに戻るのでこの場ではお別れとなった。

サーチさんとベリータさんにも父上が来訪する件を伝えておこう。

 


今日はジーヴ村出張4日目だ。

孤児院の子達と過ごす日を挟み、氷の洞窟の探索日となった。

 

昨日のフレアの人気ぶりは凄かったな……。

言葉が話せて温厚なドラゴンが子どもから人気が出るのはよく分かるんだけどね。

1番年下の子を背中に乗せて、ほんの少しだけゆっくり低空飛行してあげていたのも効いてるか。

 

さて、今日からフレアは直接付いてきてもらうけど大丈夫か?

 

『大丈夫だ。走っても飛んでもそちらの移動速度より速い。アドリアンが全力を出せば話は変わるがな』

 

素早さが高いからそれもそうか。

後、サーチさん達がいるから全力ダッシュはないよ。

 

フレアと雑談しているうちに、サーチさんとベリータさんも準備できたみたいだな。

全員防寒着は装備済みだ。

それでは氷の洞窟深部へ向かおう。

 


「冷え込むのは確かだが、これなら動けるな」

「前回とは大違いねー。この防寒着、凄いわね」

 

装着した防寒着はきちんと効力を発揮しており、俺達は無事氷の洞窟深部に踏みこんでいた。

洞窟深部はざっと見た限りだが、構造は上層部とさして変わらない。

上層部ほどではないがそれなりに広い道幅で、分かれ道があっても直ぐ行き止まりとなる。

そしてそこかしこに普通の氷より澄み切った色合いの氷がある。

これが俺の探していた常温でも溶けない氷だろう。

見つけ次第溶けない氷を集めていくが、深部には上層部には存在しない障害があった。

 

「アドリアン様、それなりの数の魔物がいます。恐らく氷カタツムリとゴーレムのシュヴィーツでしょう」

 

氷カタツムリはこちらの体力を奪い取り、シュヴィーツは氷柱のように鋭い手による攻撃が脅威となる。

 

だが、カルダリア洞窟ほど見通しが悪くない上、どちらの魔物も一撃で屠れる俺がいるため、曲がり角での奇襲にさえ気をつければさほど脅威ではない。

いや、一撃で相手を倒せるのは俺だけじゃなかった。

 

『邪魔だ』

尾の一振りでシュヴィーツの胴体が砕かれる。

 

『消えよ』

ブレスで氷カタツムリが殻ごと焼却される。

 

そう、今日はフレアも戦闘に参加しているからなぁ。

訓練と体の成長で相応にステータスが伸びたフレアによる障害の排除速度が早いこと早いこと。

異世界技能によるフレアの強化は全てオフにした状態でこれなのだから頼もしい限りである。

年齢の割に強すぎる気がしないでもないけどね。

 

ただシュヴィーツの素材である氷柱のような腕は溶けない氷の替わりとしても使えるみたいだから、腕はできるだけ回収していこう。

 

そうして魔物の排除と溶けない氷の採取を両立しながら着実に探索を進めていき、洞窟最奥にいた大きな氷ゴーレムも俺が一刀両断して撃破した。

氷ゴーレムから採取できた大きな氷の結晶体は溶けない氷よりもより冷やす力が強そうだったので、これも忘れずに回収する。

よし、蒸留装置を冷やすための氷は十分以上に集まった。

後は怪我に気をつけつつジーヴ村に戻ろう。

 


無事にジーヴ村に戻ることができたな。

念のため回収した氷や素材を日光に晒してみるが、溶ける様子は全くない。

これなら問題なく蒸留装置に使用できるだろう。

これで真水作りに必要なものはほぼ集まった。

あとは明後日の朝食後辺りに埠頭で海水を回収し、借りている家付近で焚き火でも焚いて蒸留できるかを実証すれば良いだろう。

 

(……アドリアン)

 

おや、フレアが心の繋がりで会話しようとしている。どうしたの?

 

(秘密基地で訓練できないか?今日の戦いで得た感覚を体に馴染ませたいのだが)

 

ストイックだなぁ。

分かった、ジーヴ村の外れに秘密基地の入り口を作ろう。

フレアに関連するミッションを詳しく確認してなかったけど、「仲間にしたドラゴンのステータスを⚪︎⚪︎まで上げよう」みたいなミッションをクリアしていたおかげで転生特典用ポイントは十分以上に余裕がある。

隙間時間にもっと訓練しやすくなるよう基地内の時間経過を遅くする機能の倍率も強化しておくか。

 

(ありがとう、アドリアン)

 

どういたしまして。俺も訓練に使うしね。

 

おっと、巡回任務で来たのだろうヘクター教官とソードさん・ブレイドさんが遠目に見えるな。

3人と話す体で村に行こうか。

フレアには村の入り口付近に移動しておいてもらおう。

 

俺達の探索結果やシューベトの様子等を教官やソード兄弟と話した後、3人を村の入口まで送っていった俺はフレアと合流し、人がまず来ないだろう場所に移動する。

そして周囲に人がおらず見られていないことをしっかり確認した上で秘密基地の入口を設置した。

 

秘密基地に入って直ぐに転生特典用ポイントを支払って基地機能を拡張し、基地内の1日を外の30分に相当する設定を可能にする。

これなら現実世界の5分・10分でも十分な訓練時間が確保できる。

また、フレアの体が大きくなると秘密基地に行き来しにくくなると思ったので、

身につけると任意で体を小さくできるアクセサリーをポイントで取得してフレアに装備させる。

秘密基地に行く時フレアにこのアクセサリーで体を小さくしてもらって鞄にでも入って貰えば、フレアを簡単に基地に連れて行けるようになる。

体が大きくなりすぎてフレアが基地内にある俺の部屋で遊べない、ということもないだろう。

体の大きさを戻したい時はフレアがアクセサリーにそう念じればいいだけみたいだから安心だ。

 

さて、後はフレアの希望通り訓練してから孤児院に戻ろうか。

基地内時間で3・4時間ぐらいだがそれでも十分だろう。

 

 

こうして俺達は基地内での訓練を済ませ、孤児院に戻って夕食を取り、また孤児達の相手をして就寝するのだった。

 

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