チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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31話 加護の詳細を確認しよう

古代神達の加護を受け取った日の夜、夕食を済ませた俺は自室に鍵を掛けて秘密基地へ移動している。

ただ、加護を通して古代神達に俺の活動を確認される可能性があるかもしれないという点が、俺にはどうも気になっていた。

普段の生活は見られても良いが、転生については可能な限り伏せておきたい。

転生特典に直結する秘密基地内の出来事については、古代神達(の意識)に基地への入室許可を出すつもりはないので考慮しないでよいものの、秘密基地があるという事実と基地の入り口を利用した転移もできれば内緒にしたかったので、多少小細工を施した。

 

といってもやったことは単純で、秘密基地に入る直前と基地を出てから暫くの間、魔力を納めた内的世界をより自分の心の奥深くに沈めるだけである。

元々魔力を格納する領域は瞑想時の精神状態を元に作っているため、瞑想の深度を深めれば自然と魔力を格納した領域を(イメージ上ではあるが)心の奥側に移動できる。

より自分の奥側に加護の領域を入れておけば、外部とのやり取りはぼんやりとしたものにしか認識できない……と思う。

これで駄目ならもうスパッと諦めよう。

例え俺の行動の全てを古代神達に見られていたとしても、よっぽど変な行動を取らない限り、古代神達が俺を直接掣肘してくるとは思えないし……。

 

……あれこれ考えているうちにフレアが基地に来た。

 

『来たぞ、アドリアン。古代神達の加護について確認するのだろう?私も気になるので一緒に見させてくれ』

 

フレアも同席を求めてきたので、フレアと一緒に加護について調査を開始することにする。

 

魔力の漏洩を防ぐリストバンドを外して自前の魔力を呼び起こし、同時に加護の魔力も体に付着した状態へと戻していく。

 

まずは加護の魔力が今の状態でどのくらい柔軟に運用できるか軽く調査してみよう。

 

 

……結論から言うと、「貰った加護の魔力は自分の魔力も込みでまとめて使用することも、それぞれ個別に使用することも可能」と、非常に自由度が高いというものだった。

俺の魔力制御能力が相応に伸びていることも原因かもしれないが、各古代神の魔力を混ぜて魔法を発動させることもできるし、1つの加護の魔力だけで魔法を使うこともできる。

 

ただ、古代神の魔力毎に波長が違うせいか、加護の魔力毎に魔法の効果が一律ではなかった。

古代神マリーの魔力は回復魔法の使用時に強い効果を示し、古代神モレルの魔力は攻撃魔法の威力を引き上げている。

古代神レフガトは自分や他者を強化する支援魔法の他、余り使用することはないが体力や魔力を譲渡したり吸収したりする魔法の効果が高くなっているように思える。

 

『加護の魔力は、元の古代神のイメージに合う魔法の効果を引き上げると見做してよさそうだな』

 

概ねフレアの言う通りだろう。

ただ、性質の異なる魔力タンクが3つ増えているとも言えるので、もう少し運用しやすくしたいんだけど……マルチタスク技能でも特典で獲得しとこうか。

無くてもある程度はできると思うけど、あった方が習熟しやすいだろう。

そうそう、転生特典用ポイントが偉業達成ミッション×2でだだ余りだし、ついでに自分の訓練場・フレアのトレーニング場・シミュレータも最高の状態まで引き上げておこう。

 

せっかく特訓について意識が向いたんだし、次は加護の魔力を鍛える時はどんな具合になるかを訓練場で見てみようかな。

 

 

……加護の魔力を訓練するのも魔力の運用と同様、つまり、ほぼ自由自在だ。

自前の魔力と纏めて鍛えることも、加護の魔力を個別に鍛えることもできる。

こちらも王立図書館にあった古書の記載通りということだ。

基本は全ての魔力を纏めて訓練し、マルチタスクの練習時は加護の魔力を各々別メニューで鍛える感じにすれば丁度良さそうな気がするな。

今後の魔力関連の特訓メニューを更新しておこう。

 

『古代神の性質が加護の魔力にはあるとは言え、基本的には文献通り自由にできる魔力が増えたという扱いで良い、ということか。……そういえば、加護の魔力は体の外側に付着しているが、アドリアン自身の魔力のように内部に取り込めないのか?』

 

それは俺も考えていた。

実際に加護の魔力を使う際は、体内に定着させた方が効果を発揮できそうだからね。

身体強化や魔力剣に魔力を回す時や自分の魔力と合わせて魔法を使う時は特に。

 

実際に加護の魔力を体内に定着させられるか試してみた所、1つだけなら余裕で、2つ以上は自分の魔力を界面活性剤のようにして加護の魔力を上手く包むような形にすれば問題なく体内に取り込めた。

こういう風に魔力を運用できるのは、日々の魔力制御訓練のおかげだろうな。

 

おお、加護の魔力を全て体内に取り込んだ状態だと、魔力の出力は勿論、身体能力も大幅に向上していることがはっきり感じ取れる。

流石3人分の神の加護、という所なのだろう。

 

『すまない、アドリアン。私が言っておいてなんだが、加護の魔力を体内に取り込む形で使うのは問題もあったようだ。鏡で顔を見てくれ』

 

鏡?

手鏡を取ってきて自分の顔を見た所、フレアの指摘する問題について俺もすぐ理解できた。

3人の古代神の加護を直接体内に定着させた俺の顔は、横2本線の文様(マリー)長方形の文様(モレル)アイラインのような文様(レフガト)と、古代神全員分の赤い文様が浮かんでいたからだ。

なるほど、これは秘匿性という意味では大問題だな……。

どれだけ魔力を隠蔽しようと、この見た目で神族の魔力持ちだと一発でばれる。

そういえば魔力を受け取った人間は魔力を渡した神族と同じ文様が浮かぶって図書館の書籍にも書いてあったよ……。

体内から加護を丁寧に引き離し、再度体の外側に付着させた状態に戻すと、顔の紋様はあっさりと消えていった。

加護を体内に定着させる方が強力であるにも関わらず、体の外側に付着する形にして加護を渡したのは、魔女狩りが発生してしまったデルカル大陸でも見た目で魔力持ちとばれないように、という古代神達なりの気遣いだったのかもしれないな……。

 

ただ、加護をどう運用しようとこれが神族の魔力である以上、最終手段相当の力になるな。

少なくとも魔女狩りが終了するまで、余程追い詰められない限り自前の魔力と同様に加護の魔力も秘密基地内だけで訓練・運用するのは確定だ。

……なんだかんだ言いながらも加護を排除せずに基地での訓練に組み込んでる辺り、俺は育成要素が増えているのを間違いなく楽しんでいる。

やっぱり俺って現金な奴だよね……。

 

さて、加護の魔力の基本的な仕様はこれで確認できたけど、最後に加護から特別な力を引き出せないかシミュレータで見てみよう。

古代神の加護なんだから、特殊効果も何かしらありそうだし。

 

 

……確認した所、想定通り加護特有の力が存在していた。

いずれの加護も古代神達が司る要素に合致した強力な効果を引き出せるのを確認できた。

ざっくりまとめると、古代神マリーの加護は自分と味方に対しての治癒効果、古代神モレルの加護は与ダメージの上昇と被ダメージの減少、古代神レフガトの加護は自分へのバフに加え、自分か他者の復活という効果を発揮した。

どれも素直な効果で扱いやすいんじゃないかな。

まあ今は基地の外で使うような事態には陥らないようにしたいけどね。

 

とにかくこれで加護の検証は終わったし、実際に加護を運用する際に戸惑わないよう訓練と模擬戦闘を、と思ったが、その前に明日以降の休暇をどう使うかをフレアと決めておこう。

浄化剤も出来たし、フレアとの約束を果たすのにいいタイミングだ。

 

『ありがとう。バベリア大陸のドラゴンバレー行きに付き合ってくれるのだな』

 

その通り。

昼食は折りたたみ鍋でも持っていってビーフシチューでも作ろうかな。

野外の食事は家とはまた違う楽しみがあるからね。

キャンプセット一式と材料を忘れずに持っていこう。

バベリア大陸のドラゴンバレー訪問をこんな呑気に予定組みしている人間なんてまずいないだろう、なんてどうでもいいことを考えつつ、明日持っていく荷物を頭の中で整理していく。

 

『基地の外で私の形態変化を使用するのは初めてだな。高機動形態は見た目には大して変化がないとは言えど、絶大な速度が出るようになる。もう制動を誤ることはないが、それでも万が一に備えて再度飛行練習をしておこう。……アドリアンも一緒に訓練してくれるか?私だけでは乗り手に負担のかからない飛び方は出来ない』

 

了解。今日の訓練はやる事がお互い明確だ。

予め決めていた基地から出る時間まで訓練を積んでいくとしよう。

 

そうして俺とフレアは時間いっぱいまで加護を使用した訓練や模擬戦、そして高機動形態での飛行訓練をこなしていくのだった。




勝手に設定・加護スキル
<マリーの治癒>
1戦闘につき、2回のみ使用可能。
戦闘開始から2ターン後に使用可能。
味方全員のHPを50%・MPを10%回復し、戦闘不能以外の全ての状態異常を治療する。

<モレルの強化>
1戦闘につき、1回のみ使用可能。
戦闘開始から3ターン後に使用可能。
4ターンの間、与えるダメージを2倍にし、受けるダメージを1/4にする。
効果発動から4ターン目のみ、与えるダメージを更に2倍にする。

<レフガトの祝福>
1戦闘につき、以下2つの効果を1回ずつ使用可能。

①自分か味方が戦闘不能となった際、最大HPの30%で復活させる。
 戦闘開始から0ターン後に使用可能。
 
②生命力を活性化させ、自身の全ステータスを戦闘終了まで1.5倍にする。
 戦闘開始から6ターン後に使用可能。

※全ての加護はターンを消費せず使用可能
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