チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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全部は無理でも、書けそうな所は原作主人公の視点も差し込んでいければいいなと思ってます。
魔女の泉3か魔女の泉3 Re:Fineをプレイした方からは、本作の彼女がどう見えているか気になりますね。


40話 アイールディの物語 その1

魔女の私は今日も勇士達から隠れながら、霧の森で過ごしている。

少し前にあった人間の男の子、アドリアンとのやり取りを何とはなしに思い出しつつ、霧の実を食べてお腹を少し膨らませる。

……最近修練に集中してたからあまり実が残ってない。

今日は霧の実を集めに行こう。

そう思って家の外に出たけど……。

おかしい。家の外に置いてある、人間が来た時に大声を出してくれる「うにゃうさぎ」がない……。

 

「ぴゅ!ぴゅる!」

 

頭の上のフェイリアが西に反応している。

私の魔力を感じ取ったらしい。

急いでうにゃうさぎを探しに行くことにする。

道中で霧の実も集めておこう。

 

 

霧の森を探してもうにゃうさぎは見つからなかったが、霧の洞窟に私の魔力が流れている。

それに、洞窟内に新しいイノシシの足跡が霧の洞窟の奥まで続いている。

多分、イノシシがうにゃうさぎを盗っていったんだ。

そのまま魔力の流れを追いかけると、あの男の子が入ってきた穴の向こうに私の魔力は続いていた。

……心配だけど行ってみよう。

もし人間の村に繋がってたら、穴を塞がないといけない。

……でも、そうしたら、アドリアン、ここに来なくなるかも。

…………どうしよう。

 


狭い穴を通り抜けると、普段見ない木々が目に入る。

霧の森の外まで来ちゃったみたいだ。

でも、魔力反応からうにゃうさぎもきっと近くにある……あれ?

周囲を見ると、5日前に会った男の子・アドリアンが地面にシートを敷いて座っており、焚火で鍋に火をかけていた。

 

「やあ、アイールディ。こんにちは」

 

彼ならイノシシのことを知っているかもしれないから、ちょっと聞いてみよう。

 

「イノシシなら向こうに走り去っていったけど、この人形を置いていったよ。もしかして、アイールディの持ち物かな?牙で傷ついているみたいだから、直してあげないといけないけどね」

 

あっ!うにゃうさぎ!

お礼を言いつつアドリアンからうにゃうさぎを受け取ると、確かに一箇所、それも声を上げる部分が傷ついている。

でも、もしうにゃうさぎがアドリアンに反応して声を上げていたら、アドリアンは私が魔女だと気づいていたかも……運が良かった。

 

「どういたしまして。丁度昼食を作っているから、良かったら一緒に食べてく?」

 

昼食……あ、アドリアンは食事を用意してたんだ。

人間の食事……興味がある。

今日はあまり霧の実を食べてないからお腹も空いているし。

アドリアンはシートの端に座り直し、私に座るよう勧めてくれたので、促されるまま腰を下ろす。

 

アドリアンは木の器に食べ物……料理というものをよそって木匙と一緒に私に渡してくれた。

既にアドリアンも料理を口にしているから変な物じゃないと思い、よそってもらった物を口にする。

 

……とっても美味しい。

1つ目の料理は酸味のある実がとろっとした何かと絡んで、不思議な香りと一緒に舌の上を広がっていく。

2つ目のスープも甘味のある何かとお肉の味わいが染み出してるし、スープに入っているお肉そのものも美味しい。

魔法調合で作って飲んでるトカゲのスープと全然違う。

料理と一緒にくれたパンという食べ物も、噛んでると甘みが出てくる。

 

「室内や格式のある場所だとマナー違反でやったら駄目なんだけど、料理の液体にパンを浸して食べても美味しいよ」

 

ここはただの野外だからやっても大丈夫、と笑っているアドリアンの言葉に従い、パンを貰った料理に浸して口にしてみる。

……本当だ。パンがもっと美味しくなった。

 

夢中で匙と口を動かしていくと、直ぐにお皿が空になった。

もう少し食べれそうと思ったら、アドリアンは「少しならおかわりあるよ」と料理の残りをお鍋からよそってくれたので、結局そっちも食べきっちゃった。

……お腹だけじゃなくて、何か別の物も満ち足りたような気がする食事だった。

 


料理を食べ終わった後、アドリアンは、ココアって飲み物を飲みながらお話しようって誘ってくれた。

……初めての、友達との、おしゃべり……。

飲み物も、アドリアンが用意してくれるものだから、きっと美味しいものだろう。

私は何を話そうかな、何を聞いてみようかなって考えながら、お湯を沸かすアドリアンのことを見ている。

 

少し時間が経った後、お湯に茶色い粉を溶かしたココアという飲み物をアドリアンから受け取って口にする。

これも、甘くて美味しい……なんだかホッとする……。

あ、そうだ、初めてアドリアンに会った時、聞こうと思ってたこと……森で何を探しているのかを聞いてみよう。

 

「ああ、俺はどんな病気でも治せる物を探しているんだ」

 

アドリアンは答えてくれたが、そんな都合のいいものはある訳ないと思う。

ココアを飲みながら思った通りの言葉を口にすると、アドリアンもそれが夢物語なのは分かっていたらしい。

生命力を補充できる物が見つけたい物だそうだ。

 

……霊石を、アドリアンは探してるんだね。

当然心当たりはあるけど……私の()()は人形を目覚めさせるのに使うから渡せない。

でも、何のために使うんだろう。

探検家はお宝を探すものだと思うし、お金をいっぱい手に入れたいのかな。

そう思ってアドリアンに用途を聞いてみると、全然違う理由だった。

 

「俺の母親の病気を治してあげたいんだ。10年ぐらい前に生死の境を彷徨うぐらいに弱ったことがあってね。1度は復調したんだけど、少し前からまた病状が出てくるようになってしまったんだ……」

 

お母さんの病気が、理由だったんだ……。

霧の森は魔物がたくさんいて危ない。

それは外の人間も承知しているはず。

それでも森へ探索に来たんだから、アドリアンはお母さんが本当に大事なんだね。

 

そう思っていると、西方面には言い争っている勇士達がいるから今は近づかない方がいいことを、空のコップを片付けながらアドリアンが教えてくれる。

……あれ?アドリアンは人間だよね。

どうして勇士を避けるんだろう。

 

「いや、仲の良い勇士もいるんだけど、一部の勇士からは嫌われているんだ。別に悪いことをしている訳ではないんだけどね……」

 

アドリアンはそう回答した。

……凄く、よく分かる。

私は生まれた時から魔女だから……何も悪いことをしていなくても、嫌われてしまうから……。

 

……でも人間が勇士に嫌われるって、何だか悪いことしてそうだよね。

悪いことをやってないか、アドリアンに色々聞いてみたけど全部違ったみたい。

 

 

食事の片付けを終え、荷物を背負い直したアドリアンは、まずは洞窟を探検するらしい。

 

「アイールディ、お話に付き合ってくれてありがとう。またね!」

 

そう言って、アドリアンは霧の洞窟に入っていった。

 

……アドリアンのお母さんの病気、何とかしてあげたいけど……霊石を起動できるのは魔力を持つ者だけ。

霊石を使ったら、私が魔女だとばれてしまうかも……。

 

それに、アドリアン、洞窟に入っても大丈夫かな。

魔物もいるし、危ない目にあってないかな……。

…………気になるから、ちょっと様子を見に行こう。

 


アドリアンを探しながら洞窟を進む。

 

……あれ?洞窟に居座る大きな人食い植物が居なくなっている……?

あの植物、かなり手強いから急いでいる時は避けるんだけど、どうしたんだろう。

でも、居なくなっているなら、アドリアンがあの植物に食べられることはないということだ。

その事実にちょっと安心しながら洞窟を捜索していくと、洞窟の地下に降りられそうなロープを見つけた。

私がうにゃうさぎを探しに来た時はなかったから、きっとアドリアンはこのロープで降りたのだろう。

私もロープを伝って地下に降りていく。

 

 

ロープで降りた先には空間移動の魔法陣があったので、移動先として登録する。

周りを見ると、一方の更なる地下に降りる穴からは物凄い冷気が噴き出している。

こっちは人間だと寒さで凍え死ぬだろうから、アドリアンは行かないはず。

もう一方の、西方面へ伸びている道を選んで進んでみる。

 

……!アドリアンが、トカゲみたいな魔物達に襲われそう。

剣としても使える木霊の杖を抜き放ち、アドリアンの所まで走っていく。

 

「え、アイールディ……?こいつら襲ってくるよ!戦えそうなら身を守って!」

 

アドリアンは、私の目から見ても余り強そうじゃない剣を抜いて構えている。

……魔法を使わなくてもこのぐらいの魔物達なら倒せるから、アドリアンが危なそうなら助けてあげよう。

 

 


アドリアンは私が思ったよりも強かった。

トカゲの魔物がこん棒で殴ってきても、アドリアンが剣を振るうと見当違いの方向にこん棒がすっ飛ぶ。

そのままアドリアンは返す刀で魔物の後頭部を軽く叩いて、魔物を気絶させていた。

私もトカゲの魔物に杖で連撃を叩き込んで沈めたけど、アドリアンの剣はなんだか水が流れているようで、私の剣技よりも綺麗に思えた。

 

「怪我はない?……大丈夫そうだね。でも、どうしてここに?」

 

アドリアンが聞いてくるので、「何となく」って答えておく。

実際凄い理由があるわけじゃなく、アドリアンのことが何だか気になって来てみたのだから、合ってると思う。

アドリアンは「ええ……?」と不思議そうにしていたけど。

 

でもこの先にはこんな風に魔物がいる。

まだ戻らないのかアドリアンに聞いてみたけど、彼はこのまま進むみたい。

……きっとお母さんのためだから、なんだよね。

 

「この先は危ないかもしれないから、君は一旦戻った方がいいと思うよ」

 

そういうとアドリアンは洞窟の奥へ進んでいく。

……でも、やっぱり、アドリアンが危ない目に遭わないか、気になる。

 

そう思いつつ、アドリアンの歩みに合わせて私も洞窟の奥に行く。

アドリアンが止まると私も止まる。

何回か同じことを繰り返すと、アドリアンは私の方を振り向いた。

 

私と一緒なのが、嫌じゃなければ……。

そう思いながらアドリアンのことを見ていると、アドリアンは「一緒に行く?」と私を誘ってくれた。

……友達と、一緒に探検……。

何となく、心の中に暖かいものを感じながら、私はアドリアンの傍に駆け寄った。

 

 


アドリアンとお話しながら私は洞窟の奥へ進んでいく。

道中もう一回トカゲの魔物に襲われて私がこん棒で叩かれそうになったけど、アドリアンが剣で割って入って魔物自身にこん棒をぶつけていた。

 

不思議な剣技だったのでどういう技なのか聞いてみると、相手の力を利用する「カウンター」って技なんだって。

技術は必要だけど、自分の力をさほど使わないから力の強い相手にも対抗しやすいらしい。

……私には、ちょっと難しそうかな。

剣で素早く叩いていくのは得意だけど。

アドリアンも「このままその連撃を磨いていけば十分強くなれそうだよ」って言ってるし、私はこれまで通り剣術練習をしていこう。

 

このまま進んでいくと、石造りの祭壇みたいな所から、とても眩い光の柱が上に向かっているのが見える。

 

直後、私の存在が、全て光の柱に吸い込まれていくような脱力感を感じた。

いけない……ここにも魔物がいる……アドリアンが私を魔物から遠ざけてくれた……でも、強そうな魔物が出て来てる……!

 

「アイールディ。すぐ後ろが来た道だ。逃げられそうなら逃げるんだ!」

 

アドリアンが私の盾になる位置に立って剣を抜いている。

だ、駄目。あ、あの魔物は強い……逃げるなら、アドリアンも……。

そう思うもろくに体と口が動かず、戦闘が始まってしまった。

 

アドリアンが剣を振るうと、トカゲの魔物達がぶつかり合って動かなくなる。

その後巨大な魔物とアドリアンが剣を激しく交えていく中、朦朧とする意識で何とか援護をしようとするも、私は脱力感に耐えきれずに意識を落としてしまった。

 


気が付くと、私は地上に、それも今まで一度も来たことがない場所にいた。

 

「大丈夫?」

 

アドリアンが心配そうに私のことを見ている。

どうやってあそこから……。

 

そう尋ねてアドリアンの回答を聞くと、巨大な魔物が撤退するまで粘った後、あの地下領域に置いてあった魔法陣に私を抱えて乗ると地上に飛ばされたそうだ。

 

「多分、あの場所は君と相性が良くないみたいだから、理由がない限りは近づかない方が良さそうだね」

 

ともアドリアンは言っていた。

私も……そう思う。私の全てが吸い込まれそうで怖かった……。

 

それと、私達が飛ばされたこの場所は、古代神というかつてデルカル大陸に奇跡をもたらした神の力が今なお残る「レフガトの泉」というそうだ。

泉は周辺地域を豊かにしているけど、泉の領域を離れてしまうと砂漠に近い荒地になってしまうので、そういった荒地では「救荒作物」っていう荒地でも育つ作物を植えるようにしているんだって。

デルカル大陸にはレフガトの泉の他にも2つ泉があるけれど、そっちは既に枯れてしまっているってアドリアンが言ってたから、枯れた泉の近くの村ではその救荒作物を育てる必要があるみたい。

 

あと、アドリアンは霧の洞窟までの行き方を教えてはくれたけど……でも、全然道が分からない。

霧の森まで連れてってほしいってお願いしたけど……。

 

「ごめん、本当にごめん。すぐに行かないといけないんだ!北に行って、途中で右に曲がれば霧の洞窟に辿り着けるよ!」

 

そう言ってアドリアンは立ち去ってしまった。

 

……せっかく森の外に来たし、アドリアンの去っていった「シューべロード」を散策してみようかな。

そう思いながら、シューべロードの方に目を向けると、北西方面から赤い大きな魔物が飛んでくるのが見えた。

あれは、霧の森にいない生き物……ドラゴンかな。

……あれ?あの赤いドラゴン、アドリアンが去っていった方向に降りてきている……。

 

凄く嫌な予感がしたので、シューべロードに向けて走りだす。

私はシューべロードに辿り着くも、アドリアンがドラゴンの上に乗せられて攫われてしまうのを目撃してしまった。

 

ア、アドリアン……!助けてあげないと!!

北西方面にドラゴンが飛び去ったことをきちんと見ているので、シューべロードを全速力で走って北上する。

どこかで西に曲がらないと……。

あっ!こんな時に勇士の人!

年を取った勇士が歩いてくるので、木の陰に身を隠す。

 

「今日もいい天気だ。……そう思わないか。魔女よ」

 

穏やかな声をかけてくるこの勇士は、私に気づいている……!

 

ただ、この人の話を聞くと、自分は神族の血を受け継いで魔力を感じ取れただけらしく、他は人間と変わらないそうだ。

それに、シューベト軍をもうやめてしまっているから、魔女の私を捕まえることもないと言っていた。

それなら……。

 

「あの、アドリアンのこと、知ってる?さっき、赤いドラゴンに誘拐されて」

 

このおじさんにアドリアンのことを話してみよう。

 

「……なんと」

 

「目が青くて黄色い髪。……私、助けてあげたいの。私、アドリアンに助けてもらったから」

 

驚いているおじさんに理由を話す。

ドラゴンの行先とか、知っているといいんだけど……。

 

「いや、いや、心配はいらないよ。ドラゴンは確かに恐ろしい生き物だが、その赤いドラゴンだけは例外だ。君が見た赤いドラゴンは、彼ととても仲良しなのだよ」

 

おじさんが笑いながら言っている。

……え、そうなの……?

 

「ああ、間違いないとも。赤いドラゴンの用事が終わったら、そのまま彼はドラゴンに家まで送ってもらうだろう。あの赤いドラゴンは他のドラゴンと違い、人間や神族とも交流する。もし機会があれば話してみるといい」

 

「そう、なんだ。良かった……」

 

本当に良かった。

あのドラゴン、遠目ではあるけど、何となく強そうな気がしたから……。

 

でもドラゴンと仲良し?

……アドリアン、ドラゴンと一緒に暴れたりしたのかな?

 

「ドラゴンと暴れる?ははは、彼は物を奪ったり壊したりするより、誰かを助けたり周りに色々なものをあげられる人だよ。彼に助けられたというのなら、君も分かるんじゃないかい?」

 

……確かにそうだ。

あの泉の地下では私はアドリアンに助けてもらっている。

彼が居なければ、多分私は身動き出来ないまま、赤い大きな魔物に殺されていた。

他にも料理とココア、あと、名前。

私はアドリアンから色々受け取っている。

私の命の件があるから、ちょっと受け取りすぎなくらいだと思う。

 

「こうして人間を心配する神族もいる。この大陸にも、まだまだ希望が残っていると思えるよ」

 

そういったおじさんは、もし生き残るためのスキルを学びたいなら、自分はシューべロードでよく散歩しているから訪ねにきなさいって言い残して去っていった。

 

……悪い人間ではなさそうだから、時間のある時に話を聞きにいってもいいかもしれない。

とりあえず、アドリアンは大丈夫みたいだし、今日はもう帰ろう。

そう考えた私は空間移動の魔法を使い、家に帰った。




原作プレイ済みだと言うまでもないかもしれませんが、
おじさん=退役したヘクター教官です。

勝手に設定:アイールディが転生アドリアン君(ゲスト・手加減)と一緒の戦闘時

・アドリアンの体力は「?」と表記される
・アドリアンの基本ステータスは、敵を含めた戦闘参加メンバー内で最大のステータスを参照して変動する
・攻撃を受けてもアドリアンの体力バーは0にならない
・ランダムで攻撃を庇って無効化しながらカウンターを行う
アイールディの体力が0になる攻撃はアドリアンが必ず庇うので、ゲストでアドリアンが参加する戦闘では敗北しなくなる
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