チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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43話 泉の根幹部を再度調査しよう

霧の森で得た素材を使った煎じ薬は、僅かではあるがエステル母上の体調を持ち直させたので、霧の森の領域を探検した成果は一応得られたと言えるだろう。

ただ、完全な治療には遠く届かないのはやはり歯痒さを感じる。

 

煎じ薬を渡した翌日以降、防寒着ランブリオを着用し、まだ探検してなかった霧の洞窟からいける氷の洞窟を探索してみたが、こちらも生命力を補充するのに役立ちそうな素材はなかったし、出現する魔物もジーヴ村方面の氷の洞窟とほぼ同じだった。

ただ、ジーヴ村方面との違いとして、かなりの地下深くだったので脱出にワイヤーアクションが必要だったのと、ダンジョンボス相当の巨大な氷の怪物が洞窟の奥にいたという所があった。

……あっという間にボスを倒しちゃったけど。

 

ミッションで確認した所、ダンジョンボスは「クレバス」というモンスターで、恐らくカルダリア洞窟のラバロード辺りと同格なのだろう。

以前ラバロードを始めて倒した時に貰えた転生特典用のポイント量と同じぐらいだったし。

ただ、偉業達成時のポイントと較べると本当に微々たる量であるに加え、黒い魔力の浄化で進行している「デルカル大陸の黒い魔力を浄化しよう 」・「バベリア大陸の黒い魔力を浄化しよう」っていう歩合制ミッションのおかげでポイントがドカドカ入っているからなぁ。

秘密基地に更なる拡張機能や設備を色々追加してるけど、それでも全く使いきれないくらいポイントが有り余っている状態だ。

贅沢すぎる悩みだよね。

 

なお、剥ぎ取れたクレバスの手は生命力補充には役立たなさそうだったが、調合材料としては価値がありそうなので回収はする。

使い道ができるまで秘密基地にでも保管しておくとしよう。

 

 

それにしても、霧の森の領域についてざっと探検したが、母上の治療に役立ちそうだったのは、あの煎じ薬の材料だけか……。

まだ完全に探検しきったわけではないが、もう何回か霧の森を探検して成果なしなら、母上の治療については別のアプローチを取るしかないか、などと自室で考えていると、母上とヨハネスさんから話があると執事のグレイソンさんから連絡がきたので、2人のいる母上の執務室に向かうことにする。

何かあったのかな?

 


「アドリアン、来てくれてありがとう」

 

「アドリアン様、お呼び立てして申し訳ありません」

 

執務室で俺を待っていた母上と、琥珀色の眼と眼鏡が特徴的な王宮特使・ヨハネスさんから話を聞く。

どうやら俺が確認した霧の洞窟地下にあるレフガトの泉の根幹部についてヨハネスさんが母上から話を聞き、自分も根幹部について調査をしたいそうだ。

 

「現在も稼働する泉の状況を調査することで、枯れてしまった他のデルカル大陸の泉を復活させるヒントが見つかれば、と考えています」

 

なるほど、泉の復活か……。

ただ、泉について最大限単純化して言葉にすると、あれは神殿長ないし古代神の大規模な魔力溜まりに過ぎない。

色々付随機能はあるだろうけどね。

泉の復活には、神族による魔力の蓄積と古代神の許可がなければどうにもできないだろう。

 

とはいえ、魔力がなければ泉を復活させることはできないという点について、ヨハネスさん自身の納得は必要だろうから連れていくことは構わない。

ただ、守護動物と思しきレイモンドがいる以上、彼がこちらに仕掛けてこないよう距離を取ってあの場所を確認する必要があるな……。

ヨハネスさんに道中はこちらの指示に必ず従うこと、守護動物を刺激しない距離で遠目から根幹部を観察するに留めることを約束できるかを確認する。

 

「勿論です。流石に古代神の守護動物と衝突する訳にはいきません。当然、アドリアン様の指示にも従います」

 

それなら問題ないかな。

あと、ヨハネスさん自身は戦闘ができないから、可能ならヨハネスさんを道中専任で護衛をしてくれる人がいるといい。

今手が空いている人は……そういえばベリータさんが各地で集めた情報の報告にシューベトに戻ってきていたから、ちょっと頼んでみようか。

ヨハネスさんの護衛を依頼できそうなベリータさんに声をかけるので、彼女と調査の日程を調整させて欲しい旨を俺は母上とヨハネスさんに伝えておく。

 

「ええ、大丈夫よ。私とリーガルが頼んだ仕事で忙しくしていると思うけど……アドリアン、お願いね」

 

「こちらも問題ありません。お手数を掛けてしまいますが、よろしくお願いしますね」

 

2人から了承の返事を貰い、俺は母上の執務室を後にした。

 

ちなみに父上と母上が頼んだ仕事について、ヨハネスさんは危険地帯での素材採取・浄化剤作成と黒い魔力の石の対処を思い浮かべているだろうが、実際はそこに古代神の依頼対応(後継の育成補助)も含んでいる。

父上と母上には古代神や神殿長の計画について話を通しているからね。

 

それでは報酬を準備してベリータさんにヨハネスさんの護衛を依頼し、調査日程を調整しようか。

 


「うーん、フレア君に乗せてもらうと速い速い。それにアドリアン様と一緒に行動するのは久々ねー。じゃあヨハネス君、今日はよろしくね。君のことは、あたし達がしっかり守ってみせるわ」

 

「ありがとうございます、アドリアン様、ベリータさん。勿論、ここまで運んでくれたフレアさんも。改めて、今日はよろしくお願いします」

 

『では、私は見回りに行くとしよう。三人とも、気をつけてな』

 

ベリータさんに無事護衛依頼を受けてもらい、ヨハネスさんと俺の手が両方空いている日程を確保できた今日、俺達は早朝シューベトを出発し、行きはフレアに乗せてもらって霧の森の入り口まで辿り着いた。

そのままフレアは領内の巡回に行ってくれるので、帰りは歩きだけどね。

 

あと、森を進む際の基本的な隊列はヨハネスさんを先頭の俺・後方のベリータさんで挟む形で行くことにする。

皆の準備ができていることを確認したので、魔物に注意しながら霧の洞窟の地下まで進んでいくとしよう。

 


周囲を警戒しながら進んだが、今日は幸いなことに小さな霧ガマと大トカゲぐらいしか敵は出てこず、誰も怪我を負うことなく霧の洞窟の地下まで降りてこれた。

せいぜいヨハネスさんの息が少し切れたくらいだ。

 

地下領域では以前リザーディアンが出てきたので彼らを警戒しつつも進んだが、今回はリザーディアンも出現せず、割と簡単にレフガトの泉の根幹部を目に出来る所まで近づけた。

 

……いるな、レイモンドが。

気配からして、泉の根幹部の奥側のようだが……。

根幹部に最大限近く、かつレイモンドに気取られないだろう位置の岩陰を俺はヨハネスさんに指定し、そこから泉の根幹部を観察するよう指示する。

 

「分かりました。では……」

 

ヨハネスさんは岩陰から20分ほどじっくりと泉の根幹部を観察しつつ、メモを取っていた。

 

「あの地上に向かっている光の柱もおそらく魔力……。やはり神族に由来する力、即ち魔力が満ちなければ泉は機能しない、ということなのでしょうね……」

 

ヨハネスさんはそう呟きながら、メモを閉じた。

 

「ありがとうございます。充分確認できました。それでは、守護動物に気取られる前に急いで戻りましょうか」

 

「ええ。でも、余計な怪我はしないよう、帰りも慎重さは忘れずにね」

 

俺達三人は小声で撤収の意志を確認し合い、静かにその場から退散するのだった。

 


帰りも周囲に気を配りつつ進み、大トカゲに1度だけ襲撃されたが素早く撃破し、全員無傷で霧の洞窟の外まで出てこれた。

そのままヨハネスさんを守りながら霧の森の出口方面へ進んでいくが……あれ?

サクサクと俺達以外の人が草を踏みしめる足音が、霧の森の奥側からこちらに近づいてくる。

と、いうことは……。

 

案の定、近づいてきたのはアイールディだった。

……本当に遭遇率が高すぎないか?

氷の洞窟を探検しに行った時以外は常にこの子に会ってる気がするぞ。

 

「あ、アドリアン」

 

こちらを認識したアイールディに挨拶すると、彼女は俺達の方にスーっと近づいてきた。

 

「あら、なんてかわいい子なの!アドリアン様、もしかしてシェザール人の子ですか?」

 

ベリータさんが問いかけてくるので肯定する。

実際名前がなかった上、シェザール人と思しき人に育てられていたみたいだしね。

 

「アドリアン、この人達だれ?盗賊?」

 

アイールディが無表情でまたダークなことを聞いてくるので、霧の洞窟の地下について調査しにきた人で、俺とベリータさんはその護衛であることを伝える。

ただ、アイールディはその回答にあんまり反応しなかったけどね。

 

「アドリアン……これ、あげるね」

 

アイールディはそう言うと、金色に輝く小さな石を俺に手渡してきた。

 

「こ、これは、霊石……!それも、この透き通るような黄金色……浄化済みの霊石です!」

 

ヨハネスさんが驚きの声を上げる。

霊石……?

 

ヨハネスさんによると、霊石は黒い魔力の石を飲み込んだ魔物に人間が取り込まれた時にできる石で、そのままだと人間の霊魂を吸い込むが、浄化することで人間に生命力を与える力を持つという。

つまり、黒い魔力の石の加工品ということか……。

浄化方法ばっかり調べていたから黒い魔力の石の活用法は全然知らなかったな。

……いや、今重要なのはそこじゃない。

生命力を与える、いうことは……!

 

「アイールディさん、でよろしいですよね。この石は、どちらで見つけたのですか?」

 

「え、と…………。この前、泉の根の近くにアドリアンと一緒に行った時、倒れる前に拾ったの。これまで、渡すの忘れてた……」

 

「ふむ、それならば入手経路も大丈夫そうですね。この石なら、エステル様の治療が可能です。アドリアン様、おめでとうございます」

 

ヨハネスさんがアイールディに霊石の出所を質問し、アイールディは拾い物と回答しているが……多分、アイールディ自身が用意してくれたんだろうな。

貰った霊石を良く見ると、アイールディ自身の胸元にある石と同じ物みたいだし。

いずれにせよ、途轍もなく貴重な物を俺にくれると言っているのだから、彼女に対して俺がしなければならないことは一つだ。

俺はアイールディの手を握り、最大限の感謝を込めて彼女にお礼を伝えた。

 

「ん……」

 

アイールディは短く返事をしてくれているが、言葉のお礼だけというのもな……よし。

 

俺は脳内でこっそり転生特典用ポイントを支払い、アクセサリーを取得して鞄の中に呼び出す。

この効果なら異界法則の重複も気にする必要もないし、そう邪魔にもならない。

俺は特典で呼び出したミサンガをアイールディにお返しとして渡してあげた。

 

「うん……」

 

何時ものように反応が薄いが、受け取ってくれているだけで十分だ。

気に入らなければ鞄なり家の奥なりに放ってくれたっていい。

こういうのは気持ちが大切だからね。

 

「改めて、お力添えありがとうございます。それでは、エステル様の治療の件もありますし、シューベトに戻りましょうか」

 

ヨハネスさんに促され、俺達はアイールディに再度お礼を伝えた後、シューベトへと移動するのだった。

 


うーむ、シューベトに帰還したはいいが、母上と絶妙にすれ違いになってしまっているな。

ベリータさんと別れ、ヨハネスさんと自宅に戻った所、母上はシューベト城で父上の補佐に行っているとのことだった。

ヨハネスさんとも別れてそのままシューベト城に移動して父上の元へ行っても、今度はシューベト領内の農家の方々との打ち合わせに母上は向かってしまったそうだし。

 

ただ、やっかいなことに、こんな注意を父上から受けた。

 

「今日の朝、ジーヴ村のデルカル大陸支援隊から早馬で連絡があった。教皇がデルカル大陸に来ており、今日はシューベトに来訪するようだ。早朝からお前が出かけていて今まで伝えられなかったが……教皇の対応は私がするので、お前は万が一にも教皇やその直属の配下と顔を合わせないよう気をつけるように。理由は、言わずとも分かるな?」

 

はぁ、セルビス氏が来てしまうのか。

多分、魔女を捕まえられてないっていちゃもんを付けて、更に自派閥の勇士をデルカル大陸に送り込むつもりなんだろうな。

俺が会ったらまずいのはジーヴ村での強制検査の件もそうだが、黒い魔力の浄化剤を作ってしまったことで、セルビス氏のお株を奪ってしまっていることもあるからなぁ。

俺とセルビス氏はどうあがいても友好的な接触は不可能だと思う。

 

気落ちする情報を父上から受け取ってしまったな……。

それに、元々探していた母上は打ち合わせが終わるまでは会えないだろう。

 

しょうがない。

せっかく城に来たし、しばらく研究室で浄化剤を作っておくか……。

 




勝手に設定・アイテム

<お守りミサンガ>
アドリアンが霊石のお礼として
アイールディに渡した落ち着いた色合いのミサンガ。
所持しているだけで効果を発揮する。
一日に一度だけ、致命傷を負った時HP1で耐えることができる。
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