チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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原作屈指の心折ポイントである分、凄い反響でしたね……。
ちなみにあの場面の後、原作主人公は大事な選択肢が出てきます。

あと、執筆に影響が出るので、感想欄でのきつい言葉はご勘弁願います。
やる気が完全に削がれる前に、連続行動、もとい投稿です。


59話 教皇派拠点を調査しよう

俺は結構な時間引きずられていき、勇士ザファーの言葉通り、地下監獄に放り込まれた。

荷物は取り上げられたが、市販の物しかそこには入っていないから問題ない。

 

俺は物凄く頑丈そうな手枷、足枷が付けられているが、巡回中の見張りが近くに居ないことを確認してから転生特典用ポイントで「どんな鍵穴や扉でも開けられる鍵」を取得し、両方さっさと外す。

続いて「実体のある分身を作る異世界技能」を使用して枷を身代わり役として用意した分身に付けさせ、自分は秘密基地の入り口を監獄の壁に用意し、秘密基地に移動する。

 

『アドリアン、来たか。首尾よく拠点に潜り込めたようだな』

 

秘密基地では体を縮めたフレアも待っていてくれたみたいだ。

心配事だったアイールディ・ルーカス・エイリンの離脱だが、全員マリー神殿に送り届けることができたとのことなので一安心だ。

俺の方については、予めシューベトを離れることもあると前もって伝えているから、暫く家に戻らずとも大丈夫だろう。

 

『さっそく調査を進めていくのだろう?拠点から離脱する時は、必要であれば私が迎えに行くから言ってくれ』

 

うん、ありがとう。

脱出前には必ず声掛けするよ。

 

フレアと会話した後に監獄に戻り、分身に付けていた枷を俺に付け直す。

拷問を受ける以上体に跡が残ってないといけないから、そこは分身には任せられない。

分身は俺がマルチタスクで操作し、拠点調査・証拠集めに奮闘してもらう。

幸い分身でも秘密基地の入り口設置や基地機能の使用は可能だったからね。

 

分身に持たせるものは、取得したばかりの万能鍵と以前取得した「音や気配ごと透明化できる衣」、更に追加で取得した「対象を一定時間ごく自然に眠らせる杖」、「壁を自在に抜けられる腕輪」だ。

これらがあれば秘密基地の機能と合わせて証拠を押さえるのは容易い。

だけど、まずは教皇派拠点全体の情報を手に入れることを優先しようか。

 


1日かけて、教皇派拠点の全貌を概ね把握できた。

本体の俺が捕まっているのは地下1階・地上2階の教皇派拠点内で最も巨大な建物で、切り開かれた枯れた森の最奥に位置している。

とりあえず、この建物を「教皇派本拠地」と呼称しよう。

 

教皇派本拠地では地下1階に俺がいる監獄と拷問部屋が、地上1階は会議室・訓練場・倉庫など大小様々な部屋があり、ヨハネスさんは1階の一室に軟禁されていた。

加えて1階の最奥、入り組んだ通路を抜けた先に一番怪しい研究室と資料室も発見している。

 

地上2階は広々とした大広間がありこちらは多目的に使われているようだった。

更に天井の全面をスライドさせて空に繋がるようにもできる仕掛けが配置されている。

また、2階に勇士ザファーの部屋と思しきとても豪華な指揮官の部屋もあった。

やはり彼がデルカル大陸での魔女狩りの責任者なのだろう。

 

それと勇士ザファーの部屋にあった神族の力を抑えこむトラップや仕掛けのリストがあったので勝手に見させてもらったが、どうやら罠や仕掛けは教皇派本拠地周辺と地下監獄・拷問部屋だけにあるようだ。

仕掛けの作成には結構な費用か資源が必要だから、そこまで数が用意できないと見受けられる。

一応罠の位置は覚えておくが、次に拠点に攻め込む時は数や場所が変わっている可能性もあるから、当てにし過ぎないようにしよう。

 

それと教皇派本拠地の付近にも大小様々な建物群があるが、こちらは一般的な詰所や倉庫、炊事場、宿などが色々あり、恐らく重要情報に触れない勇士や勇士崩れが利用しているのだろうと判断できる。

どの建物も出入りが容易く、見張りが厳しいのは教皇派本拠地だけだったというのもその推測を後押ししている。

つまり、明日以降は教皇派本拠地を重点的に探索すればよいということだ。

 

後の懸念は、拷問を受ける本体の俺が勇士ザファーの嗜虐心を満足させられることができたかだな。

 

「ははは!楽になりたいならあの魔女共の居場所を吐きな!素直に言えば少しは手心を加えるのを考えてもいいぞ!」

 

今日はそんなセリフを吐きながら最後まで上機嫌で拷問部屋で俺を痛めつけてたから多分大丈夫だと思うが……。

あと、この人は俺が素直に吐いたとしても、考える振りだけでもっと拷問を苛烈にする気だよね。

 

勇士ザファーは鞭や針、熱した刃、電流、拳、黒い魔力の石を仕込んだ各種拷問器具などの様々な道具で俺の体を苛もうとしてきたが、異世界技能による闘気を調整してわざと拷問を受ける箇所を脆くしないといけなくてホント大変だったよ。

痛がっているように見せるために拷問に合わせて呻き声も上げる必要もあって面倒だったし……。

まあこれはこれで普段やらない形式で闘気を運用する良い修行になったけどさ。

 

まあとりあえず今日の行動は終了だ。

牢獄で仮眠を取り、明日以降から本格的な調査に取り掛かるとしよう。

 


教皇派本拠地での2日目以降、俺は分身を使って教皇派本拠地を重点的に調査した。

まず黒い魔力の石だが、1階の倉庫部屋複数に大量に収められていたので、これで教皇派拠点にて黒い魔力の石を集めているのはこれで確定した。

加えて黒い魔力の石の取引記録も勇士ザファーの部屋で発見したので、これを違法行為の証拠として押収する。

 

ただ、そのまま取引記録を奪ってしまうと誰かが盗んだとばれてしまうので一工夫を加える。

やることはまず証拠品のある部屋に秘密基地の入り口を作り、証拠品を一時的に秘密基地に放り込む。

次に秘密基地で新しく追加した超高性能なコピー機を使用し、証拠品のコピーを作る。

後は証拠品のコピーを元の場所に戻せば終了だ。

 

このコピー機、素材とかそういうのは増やせないけど、書類とか本とかは紙質とかも完全再現していくらでも増やせるし、コピー機を操作して自分が作ったコピーの書類を紙ごと消したりもできるので、とても使い勝手が良いんだよね。

 

……そうだ、首尾よく危険な実験の証拠を押さえた後になるが、このコピー機能を使ったセルビス氏への嫌がらせを思いついた。

集めた証拠書類のコピーを多めに作っておき、上手く時間を作って教皇城決戦の数日前に仕掛けるとしようか。

 

勇士ザファーの部屋から証拠品を押収した後、次は「黒い魔力の石を集めていたのはセルビス氏に渡して浄化するため」という言い訳をさせないために、違法実験の証拠を確保するべく1階最奥にある研究室と資料室を漁ったが……出るわ出るわ違法行為の証拠が。

 

金に困った勇士・失態を犯した勇士を素材に理性を失わないぎりぎりの黒い魔力の容量を調査(基本的にすべて失敗して闇の勇士化・外に放逐)、

黒い魔力の石を使用した魔力剣等の装備が実現可能かを実験(無理だったので拷問器具に転用)、

捕まえた魔物や魔物の死体にどれだけ黒い魔力を詰め込めるかの試験(勇士の死体を使って人間でも実験済み、もしかしたら俺が肉体ごと浄化した奴かもしれない)、

試作した魔物寄せの粉を使って人里に魔物の誘導をできるか実験(結果は黒い魔力で汚染された魔物のみ誘導可。ジーヴ村・リアート村に黒い魔力持ちの魔物が襲ってきたのはこれが原因だろう)など、一つでもやったら一発アウトな実験を試行錯誤している記録が資料室や研究室にばっちりと残されていた。

 

その中でも特に力を入れていたように思えたのは、黒い魔力に侵した魔物や魔物の死体をベースに様々な生体パーツを癒着させて作るキメラのような生物兵器の作製だった。

この研究は相当順調に進んでいると記録にはあり、癒着技術自体はほぼ完ぺきにできる状態に持っていけている上、研究者も理屈は分かっていないらしいが癒着させる生物の数・種類が増えれば増えるほど投与できる黒い魔力の量も増やせるそうだ。

 

素体として特に見込みのある大型生物の死体なり骨なりを手に入れたら、これまで集め続けた魔物等のパーツを素体にくっつけてありったけの黒い魔力を注ぎ込み、最強の生物兵器を作る心算らしい。

どうしても見つからない場合は確保してあるサイのような魔物であるレッグトリーノの死体か、大型飛行生物であるヌーク種の死体を黒い魔力で汚染して素体に使うようだが……どっちにしても絶大な危険性を孕んだ研究である。

 

……ゲーム的な発想になるけど、ここが最終決戦の場になるならこのキメラがラストバトルの相手になりそうだよね。

試練の関係で魔女狩りを事前に潰せない以上不可避となる教皇派本拠地での決戦時では、手荷物で持てる範囲になるけど黒い魔力の浄化剤を大量に持ってきておくようにしようかな。

 

ただ、目論見通り発見した違法研究の証拠だが、量が多い上、資料室・研究室共に研究者・勇士の出入りが激しいので、自然に眠らせる杖を適宜使った上でも証拠書類の回収に数日使ってしまった。

俺が居ない期間が一週間を過ぎる前には教皇派本拠地から離脱した方が良いから、そろそろ撤収の算段を練らないとな。

 

また、証拠押収中も本体の俺は元気に勇士ザファーの拷問を受けていたが、3日目辺りから俺を拷問部屋と牢獄へ運ぶ勇士達が治療を俺に施してくれるようになったんだよな。

彼らが驚愕と同情の目で俺を見ているのと関係してるだろうけど。

まあ俺の体は傷だらけ、血だらけ、火傷だらけ、針穴だらけ、鞭でぶたれた跡だらけだからさもありなん。

でも秘密基地の重力訓練や自分とのミラーマッチの方が勇士ザファーの拷問よりきついし痛いからなぁ。

勇士ザファーはあくまで痛めつけて苦しむ姿を見るのが好きというだけで、拷問のプロという訳ではないからかもしれないね。

長く楽しみたいからなのか、まだ顔を傷つけたり骨を折ったり肉や眼球を抉るような欠損は仕掛けてこなかったし。

 


証拠品の回収を済ませた俺は、見張りが付近からいなくなったタイミングを見計らって秘密基地のフレアと会話している。

 

『秘密基地に分身が出入りしていることを確認しているから無事なのは分かっていたが、違法行為の証拠を問題なく確保しきったようだな。それで、脱出はどうするつもりだ?ヨハネスがいるから私も行った方が良いとは思うが』

 

そうだな……ヨハネスさんがいるから転生特典のアイテムを控えて離脱するとなると……拠点内で立場の強い特殊部隊の勇士が身につける装備がある部屋で装備一式を拝借して変装し、拠点調査で判明している見張り・巡回の人員が少ない時間帯・ルートを選んでヨハネスさんを回収して脱出しようか。

見張りに全く見つからないよう進むのは今回は不可能なので、すれ違った相手は特殊部隊より格下の勇士なら高圧的な態度で引かせ、特殊部隊の勇士なら速攻で沈める、そういう方針で行こう。

 

フレアは出来る限り上空に待機してもらって、誰にもばれずに出られそうなら静かに、そうでないなら急降下で一気に俺達を運んでもらおうかな。

 

『分かった。では、明日の夜から教皇派拠点の上空に待機している。それに、デルカル大陸の南西部まで来れば心の繋がりでも会話できるだろうから、途中で予定変更があっても柔軟に対応できるだろう』

 

ありがとうフレア。

さーて、面倒くさい拷問の対応もあと一日。

やるべきことは済ませたし、サクッと離脱しないとね。

 


教皇派拠点にお邪魔する最終日、この日も勇士ザファーは俺に魔女の情報を吐けと宣いながら楽しそうに俺の事を拷問をしていた。

ただ、ちょっと気になったのが、今日の拷問が開始された頃、こちらを探るような気配をごくごく微かに感じたんだよな。

あの気配は覚えがある……記憶違いでなければ、恐らく古代神マリーだ。

加護があるから俺が生きていることは古代神達も認知してるだろうけど、俺に何か用があったんだろうか……。

演技しつつ拷問を受けながら理由を考えていたけど、結局分からなかった。

そのうち所定の時間……恐らく執務の時間が来て特殊部隊の勇士が恐る恐る声をかけると、勇士ザファーは一気に機嫌が悪くなって部屋から荒々しく出ていった。

やっぱり石の影響で欲望優先に寄っているのかもしれない。

 

拷問の時間が終わって牢獄に戻されてから少し休憩を取った後、俺は夜の脱出に備えて分身を装備保管所に送ってサイズの合う特殊部隊の装備一式、ついでに大したものは入っていないが自分の鞄を回収した。

そのまま自分のいる場所へ分身を戻そうとしたが……途中で姿を隠した分身越しにとんでもない情報を聞いてしまった。

 

「まさか魔女が直接此処に仕掛けてくるとはな……」

 

「白い肌の魔女だったか。いくら何でも無謀な奴だよなぁ。まあ楽に手柄が立てられることに越したことはないんだが」

 

「まんまと罠にかかって教皇様がお作りになられた執行者にぶちのめされて、そのまま監獄に叩き込まれたからな。いい気味さ」

 

来ちゃったのか、アイールディ……。

ここには絶対に近づいてはいけないって以前言った筈なんだけど……。

「絶対に押すなよ」の某芸人さんみたいなことはしないでほしかったなぁ。

でも、俺やヨハネスさんが不在なのを気にして目撃情報を辿れば、俺達がここに連れ込まれたのを調べることは可能か。

フレアを通して脱出の算段はついていることを皆に言っといた方が良かったかな……。

 

だが後悔しても時間は戻らないので、救助対象が2人になったことを受け入れよう。

アイールディはヨハネスさん以上に優先して回収しないといけないから、アイールディ→ヨハネスさん→脱出の流れで行こうか。

あの子は俺と同じ階層にいるみたいだから、その方が位置的にも効率が良いしね。

見張りと巡回が少なくなるタイミングにはまだ早いし、今のうちにもう一度分身を偵察に出してアイールディの位置を確認し、彼女の回収任務を追加して脱出ルートを練り直しておこう。

 

それにしても……捕まった振りではなく、こっそり潜入する方がこういったイレギュラーが少なかったかなぁ。

勇士ザファーが顔見知りで性格も知っている相手だったから、ちょっと勢いで動き過ぎたかもしれない……。

リアート村での対応も拙い所が沢山あったし、反省しよう……。




教皇派拠点の各種実験に関する要素は本作のオリジナルです。
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