チート転生アドリアン君 作:ブロンズ探検家
「ふう……」
私は数日ほど修練・素材集め・調合をこなしてモレルの神殿を探索する準備をした後に神殿に向かい、モレル神殿の仕掛けを解いてヴァヘンダーを手に入れた。
言葉にするとそれだけだけど……ただ、その過程がとてもきつかった……。
ヴァヘンダーを回収後に戻って来た自分の家で一息いれながら、モレル神殿での一幕を思い出す。
神殿の奥への扉を開くために、神殿内に備え付けられた2つの小さな泉それぞれで幻想を見せられたのだけど……。
命が欲しい、命をよこせって私に飛び掛かって来る死者の群れの夢……そして命を欲しがる邪念に攻撃され続ける夢……酷いものだった……。
幻想を見た後は神殿の奥に入れたけど、おばあちゃんが警告した通り、一対の白い翼を持ち、長柄の大鎌を携えた大型の人型人形・ヴァヘンダーと戦闘になった。
ヴァヘンダーはこれまで戦った相手の中で一番強かったけど……魔力剣・魔法・道具・これまでの道程で学んだ立ち回り……全てを活かしてヴァヘンダーの動きを止めることに成功した。
「強かで堅固だ。純白に輝き、磨き上げられた完全無欠のウツワ……。混ぜられてもおらず……数多くの経験が其方に刻まれている……。レフガトの新しいウツワよ、その目に道を映しているか……?」
戦闘を止めたヴァヘンダーが私に語り掛けてくる。
道……まさか、私の未来は、あの幻想で見た悪夢みたいになるの……?
ヴァヘンダーは、深く見通してよく考えろって言ってるけど、私にはまだ分からない……。
ただ、今気になっていること……私が進みたい道を進めるのか、つまり、私がアドリアンと共に歩めるかを彼に尋ねてみると……。
「全ての答えは其方のためのもの……次の答えはマリーにある……」
言っていることは難しいけど……次にどうすればよいかは答えてくれた。
……分かった。道があるなら、道の先に私の質問への答えがあるなら……行ってみよう、どこへでも。
「其方の歩む道は確かに正しい……。レフガトの加護が眠りしウツワよ。戦闘の神、このモレルも其方と共に歩もう……」
……私と話していたのは、ヴァヘンダーではなく、古代神モレルだったみたい。
会話が終わるとヴァヘンダー自身とモレルの魔力が私の中に入り込み……私の力の全てが大幅に引き上げられた。
そして、どの人形よりも多くの魔力を呼び水にする必要があるけれど、ヴァヘンダーを戦闘に呼び出すこともできるようになった。
回想を終え、私の中にあるヴァヘンダーに意識を向ける。
……ヴァヘンダーは消耗が大きい分、おばあちゃんが最高の作品と言うに相応しい強さだ。
加えて、私の中に溶けたモレルの魔力によって全ての能力が引き上げられている今なら、万全の状態であれば、私自身の力でも執行者の中で一番強そうな双剣持ちの子とも戦える。
これで、身を守るには十分な力を備えることができたと思う。
……体と心の疲れもとれたかな。
それじゃあ、次の答えがある場所……マリー神殿に行ってみよう。
ルーカスとエイリンの様子も見に行けるし、一石二鳥だ。
私は以前転移先に登録したマリー神殿に空間移動の魔法で移動した。
神殿の先っぽの方にルーカスとエイリンの魔力があるのでまずはそちらに向かう。
予想通り、神殿先端にはルーカスとエイリンがいて、2人で地上の大陸を眺めている。
あ、ルーカスも私に気付いてこっちをふり向いた。
「おう、アイールディか!」
うん、ルーカスは元気そうだ。大丈夫だった?
「ああ。変わったこと……という程でもないけど、一回フレアが物資を持ってきてくれたぐらいかな。でも、話す間もなく直ぐにいっちゃったんだよな。それと、どうもヨハネスがまだ戻っていないみたいだからこっちにいるんだけど、エイリンといつも一緒で前より楽しいよ」
それなら、この神殿に住んだら?人間達もここには来れないし。
「うーん、ここは長く住むにはつらいんだよ。寒いし、酸素も薄いし。修練にはもってこいではあるんだけどな。あ、エイリンはここでぼんやりしていてお前に気づいてないみたいだな」
古代神マリーも今俺達がいる神殿の先端で大陸を眺めながら気を休めてたらしいぜってルーカスは言いつつ、エイリンを起こしている。
「あ、アイ姉ちゃん!元気にしてましたか?私は最近、泉にもっていかれちゃった記憶が少しずつ戻ってきてるんですよ!真実の泉のヒントで思い出すことができたんです!」
エイリンはこの場所でヨハネスとよく会っていた、という記憶を思い出すことができたらしい。
でも、真実の泉……?
エイリンに詳しく聞いてみると、真実の泉に浸かると、自分が知りたいことのヒントを得られるらしい。
じゃあ、マリー神殿の真実の泉が、モレルの言ってた次の道ってことなんだろうね。
……でも、モレル神殿みたいな幻想だとちょっと……。
「ん?アイールディはモレル神殿にもう行ったんだ。まあ、モレルは戦闘の神で、あんまり優しくないって話だからなぁ。過激な幻想になってもおかしくないな。でも、マリーは傷跡を包み込む癒しの神だから、泉のヒントで癒しを得ることだってあるんだぜ」
……それなら大丈夫かな。
「多分アドのこと、聞きたいんだろ。フレアは捕まったとしても殺されることはないって言ってたけど、やっぱ心配だしな。俺やエイリンも、アドやヨハネスのことを真実の泉で見ようとしたけど駄目でさ。もし見えたら、俺達にも教えてくれよな!」
……うん、何か見えたらね。
「あ、そうだ、アイ姉ちゃん。マリー神殿には神族の修練場である忍耐の部屋って場所があります。祭壇を起動すると強い光に包み込まれちゃうんですけど、それが消えるまで耐え抜くと、新しい力がいっぱい入ってきます!忍耐したものへのご褒美として、マリー様が贈ってくれるんですよ~」
良かったらアイ姉ちゃんもやってみてください!ってエイリンが言っている。
新しい力……せっかくエイリンに教えてもらったんだから、先に忍耐の部屋での修練、やってみようかな。
エイリンに教えてもらった忍耐の部屋はどこまでも虚空が広がっている空間で、細い道の先に祭壇があった。
祭壇まで進み、魔力を祭壇に流して仕掛けを起動すると、強烈な光の柱に全身を焼かれ始める。
「う、うぐ……」
思わず呻き声を上げてしまうほどに強力な光だが、歯を食いしばって意志を振り絞り、身体を痛め付ける光に耐える。
15分ほど只管に光の苦痛を耐え抜くと、「エカールヴェルテル」という全ての体力と魔力を焚べて対象を燃やし尽くす魔法を身に付けることができた。
この魔法も切り札になる……。でも、一気に消耗する魔法でもあるから、使うタイミングは良く考えた方が良さそう……。
忍耐の部屋での試練を耐えた後は、体力が回復するまで暫く身を休めてから、元々目指していた真実の泉に向かう。
ルーカス達が居た場所とは反対側の神殿の端に、確かに小さな泉があったので、私はその泉に半身を浸していく。
……そうだ。アドリアンの現状を尋ねる前に、アドリアンはどんな人なのかを聞いてみよう。
……私は人間のこと、助けてあげただけなのに、魔女だって罵られ、見捨てられてしまった。
人間は、誰もが悪い心、弱い心を持つっていうのを身を以て思い知らされた。
でも……それでも、アドリアンはやっぱり他の人間と違う。
違うと確信が持てるけど、どう違うのかが私だと上手く言えない……。
……お願い、アドリアンがどんな人か、教えて……?
今のが、泉の答え……。
大陸の未来を照らす灯火……これは、アドリアンがデルカル大陸全体の為に頑張ってるってことを意味してると思う。
そして、私の道を照らす灯火……これも、分かる気がする。
アドリアンと共に過ごした日々、アドリアンに教えてもらったことは、どちらも私の中で褪せない光を放っている。
例えアドリアンが私の隣にいない時でも、彼から貰った光が私の手を引き、背中を押し、足を進める導となっている……うん、灯火。きっと合っている。
これが、私にとってアドリアンが特別な理由の一つなんだろうね……他にも理由があると思うけど……。
……あれ、泉の答え…まだ続きが……。
……!!一瞬だけど、アドリアンが私に今まで見たことがない杯を渡す幻想が見えた……。
私を最後に満たす……これはどういう意味か分からない……ちょっと不安になる……。
この幻想は置いておこう……。
あともう一つだけ、アドリアンが今どうしているか、元気にしているか教えて……?
………………何も映らない。
やっぱりルーカス達と同じで私も駄目なのかな……あ、凄くゆっくりだけど、また幻が出てきそう。
ちょっと待ってみようかな。
…………あ、ああ、アドリアン……!?
映った幻想は、アドリアンが鎖に吊るされて、鞭でぶたれて、針を刺されて、炙った剣で肌を焼かれてる姿……!!!
アドリアンは、アドリアンはどこにいるの!!?
デルカル大陸南西はマリーの森と枯れた森とジーヴ村がある。
葛藤を生む……つまり、魔女狩りをする人達が集まる場所……枯れた森にある教皇派拠点にアドリアンがいる!!
今すぐ教皇派拠点に行かないと……!
ルーカス達に一言だけ言って、直ぐに出発しよう……!
「アイールディ、どうしたんだ……?」
ルーカスが怪訝そうにしてるけど、今は本当に時間がない。
アドリアンが教皇派拠点で拷問されてることを大急ぎで伝え、空間移動の魔法でマリーの森へ飛ぶ。
「お、おい、いくら何でも一人じゃ!!」
おばあちゃんの人形も一緒だから、きっと大丈夫……!!
枯れた森前の勇士キャンプに陣取る勇士の集団を突破した後、私は枯れた森を全力でひた走る。
目指す場所は、以前フレアに乗って上空からデルカル大陸を眺めた時に見えた、枯れた森の一番奥にある大きな建物。
きっとそこに、アドリアンが捕まっている!
でも、あちこちの建物からどんどん勇士が出てきて戦闘を余儀なくされるから、魔力と体力を消耗してしまう……!
特に赤い鎧の勇士が手強い……強くなった私なら勝てるけど、それでも手傷を負ってしまう。
一番大きな建物前に辿り着く頃には、ヴァヘンダーを呼ぶ魔力が残っていないぐらい消耗してしまった……。
しかも、あの双剣の執行者が目指す建物を守るように立っている……。
でも、それでもアドリアンを助けないと……!!
体力と魔力をかき集めて双剣の執行者に仕掛けるも、勢い余って進行方向にあった丸いものを踏み抜くと、急に電流のようなものが体を駆け巡り、魔力の行使が阻害されてしまう。
罠!?しまっ……。
硬直した私の隙を見逃すことなく執行者が連続攻撃を仕掛け、何度も何度も思いっ切り打ち据えられた私は意識を失ってしまった。
目が覚めると、私は手枷を嵌められ、牢屋に囚われていた。
魔力を練ろうとするも、枷のせいで上手く魔力が扱えない……。
私を見て嗤っている見張りの勇士は「牢獄も特別性だから枷がなくても魔法はつかえねーんだぜ」なんて言っている。
……そうだとしても、ここにいる訳には行かない。
こうしている今だって、アドリアンが傷つけられているんだから……!
……?出口の方から来た牢獄の赤い全身鎧の勇士がイライラした感じの声を見張り達にぶつけてる。
そして見張り達は赤い勇士に急にペコペコして去っていってしまった。
赤い勇士は私の牢屋の近くで何かをした後、私の牢屋のすぐ前に来て、私のことを無言で見ている……。
多分、赤い勇士は教皇派の中でも強くて偉いのかもしれない……彼にアドリアンのことを聞いてみよう。
「ああ、シューベト領主の息子か……。彼は尋問で痛めつけられはしたが、命に別状はない。それに結局何も話さなかった。近々ここから放逐されるだろう」
ああ、アドリアン……。
彼がここから出られるのは良かったけど、あの幻想のように拷問されたのは本当だった……。
あんなに、あんなに酷く傷つけられて……。
……でも、本当に命が無事か、確かめないと。
駄目元でも、勇士に牢の扉を開けてもらえないか頼んでみる。
「出てどうするつもりだ。というより、そもそも何故ここに来た。ここが魔女にとって最も危険なのは、いくら何でも分かっていただろうに」
兜でくぐもった声で勇士が質問してくるけど、そんなの決まっている。
大好きなアドリアンに会って、彼と一緒に行きたいから。
寂しくて、真っ暗だった私の世界を彼が照らしてくれた……私の光を、アドリアンを絶対に失えないから……!
「……そうか。ならば取引だ。俺はこれから王宮特使のヨハネス殿を外に出す。彼もここにいつまでもいてはいけない人物だからな。ヨハネス殿の脱出を手伝うのであれば、そのついでにお前を望みの人物に会わせてやる」
ヨハネスもここにいる……。
彼を脱出させるのにも否やはない。勇士の言葉に直ぐに頷く。
すると赤い勇士は私の牢と手枷の鍵を手際よく外し、私の鞄を投げ渡してくる。
「取引は成立だ。すぐに移動するぞ」
……今更だけど、何でこの勇士は魔女狩りをしないんだろう……?
「俺は魔女狩りには興味ない。必要だからここにいるだけだ。さあ、無駄口は叩かずついてこい」
……分かった。変な勇士だけど、とても都合が良いからその通りにする。
魔力は……駄目だ。さっきの手枷のせいで魔力を流せず、魔法も魔力剣も使えない。
私自身での戦闘はまず無理だから注意しないと……。
赤い勇士の先導の元、私は建物を進んでいく。
彼は態と遠回りしたり小部屋に入って待機することもあったが、見張りの勇士が沢山いる場所を避けたり、巡回している勇士が通り過ぎるのを待つためだというのが分かる。
私達は誰にも見つからず、見張りが一人立っている部屋の前に辿り着いた。
「あそこにヨハネス殿がいるが……あの見張りは打ち倒す他ないな」
そう言うや否や、赤い勇士はスッと見張りに近づいていく。
見張りは突然近づいてきた赤い勇士に剣を抜こうとしたけど、赤い勇士は見張りの腕の動きをそのまま利用して見張りの向きを180度反転させた後、見張りの頭を思いっ切り揺さぶる。
そうすると、見張りはどっとその場に崩れ落ちてしまった。
……こ、の、動き……水が、流れているような……相手の、動きと力を利用する……ああ、もしかしたら……。
私の頭と心が感じ取ったままに赤い勇士へ問いかけると、彼は兜を取って素顔を見せてくれる。
……私が一番会いたかった、アドリアンがそこにいた。
やっぱり!アドリアン……!
良かった、また会えた……!!
魔力の痺れも気にならず、私は彼の元に走っていく。
「捕まった振りをして教皇派の拠点を調査していたんだ。でもアイールディ、今の動きだけでよく俺だと分かったね?」
うん。アドリアンと一緒にいた時のことを覚えてるから。
カルダリア洞窟でも氷の洞窟でもアドリアンの動きは見てたし、私にとってアドリアンと過ごした日々はかけがえのない宝物。
1人で寂しくて真っ暗だった霧の森での1年より、アドリアンと一緒に過ごした1日の方がずっとずっと大切だから……。
でも、アドリアン、体は大丈夫なの?
真実の泉で見た限りだけど、あんなに酷く痛めつけられていたのに……。
「大丈夫。こうして勇士を倒せるぐらいだしね。それに、これは元々計画していた脱出なんだ」
フレアも今日ここに来てくれるんだよってアドリアンは言っている。
ちゃんと計画、あったんだね。
「さあ、ヨハネスさんを部屋から出して、直ぐに出発しよう!」
うん、うん……!
ヨハネスと合流し、私達はアドリアンの案内の元、教皇派の建物を進んでいく。
2回ほど赤い鎧の勇士に遭遇しても、ヨハネスの部屋を見張っていた勇士と同じようにアドリアンはあっという間に勇士を気絶させていく。
やっぱりアドリアン、とっても強い。
全然力を入れていないようなのに、面白いぐらい簡単に赤い鎧の勇士が倒されていく。
そして私達は無事に簡素な扉から建物の外に出たけど、そこにはあの双剣の執行者と、ザファーって呼ばれていた偉そうな勇士がいる……!
でも、ザファーは黒いオーラに蝕まれているように見える……多分、黒い魔力の石に触っちゃったのかもしれない。
っ!あいつらも私達に気づいた。
アドリアンが赤い勇士が使う大剣を構え、双剣の執行者もザファーの前に立って戦闘態勢を取っている。
……うう、魔力はまだ使えない……!
でも、そこでザファーは衝撃的なことを言ってきた。
アドリアンは、体を痛めつけられただけでなく、黒い魔力の石を使った拷問まで受けていたってことを……!!
「大丈夫さ。寧ろ拷問で苦しむ演技をする方が大変だったんじゃないかな?」
アドリアン、いくら何でもそれは強がり過ぎだと思う……。
どう考えても無理があるアドリアンの言葉を聞いたザファーは、それなら黒い魔力を転用した拷問はどうしたんだって怒鳴っている。
人間のアドリアンが防ぎ切ったってことは、強い意志の力で持って撥ね除ける以外にはないと思うけど……。
「ああ、それはお前が度々魔女の情報を吐けって言ってたのを、絶対に受け入れないって心に誓ってたからね。お前がそれを口にする度に余計に気持ちを固める結果になるんだから、そりゃそっちも防げるさ」
……彼の返事を聞いて、体中に熱が駆け巡るような感じがした。
アドリアン……。私の、ためなの……?
そんなに……そんなに酷く傷つけられたとしても、私を裏切らないって……誓ってくれていたの……?
例え黒い魔力の石を使われても、違えないくらいに強く……?
私の心の中にも何とも言えない熱い気持ちが後から後から溢れかえっていくけど、突如状況は変遷する。
何と森の木陰から突如ルーカスが飛び出し、ザファーを攻撃していた。
でもザファーは炎魔法の奇襲を飛びのいて回避すると、煙を出す玉を地面に叩きつけ、双剣の執行者と一緒にこの場からいなくなってしまった。
そしてルーカスに続いて、エイリン・フィリア・パディも姿を現す。
皆、私達を助けに来てくれたんだね。
それにフィリア達は、拷問されたアドリアンのためにポーションも用意してくれたみたい。
アドリアンがフィリアの渡したポーションを飲み終え、走って息を切らせたエイリンが落ち着いてから、私達はフレアの待っている場所に移動し、彼に乗って全員教皇派拠点から逃げ出すことができた。
フレアの背に乗っている私は、いつものように、あるいはいつかのように、アドリアンの腰に手を回して、暖かくて安心できる彼の背中にぴったりくっつく。
……こうしてアドリアンとまた会うまで、なんだか凄く時間が経ったように感じる。
それに、状況がこれから一気に動いていく……そんな気がする。
あと、デルカル大陸で魔女狩りを終わらせるには、もう一度さっきの場所に行かなければならないはずだ。
でも、アドリアンと一緒なら大丈夫。
アドリアンはこの上ない信頼を私に示してくれて、私もアドリアンのことを強く信じている。
彼と一緒なら、私はどこまでも進めるから……。
マリー「拷問部屋は魔力の干渉を妨げる上、彼に渡した加護も心の奥深くに入ってたから、彼の状況を泉へ映し出すのが思ったよりずっと大変だったわ……」