チート転生アドリアン君 作:ブロンズ探検家
想定外の援軍であるパイベリーさんとルナさんを加え、決戦の日を迎えた俺達はアンシエントドラゴンの強襲に注意しつつも、枯れた森付近まで進軍している。
ちなみにアイールディと互角以上に戦闘力が高いだろうパイベリーさんとルナさんは、パディさんとルイスさんと同じ遊撃役をお願いしている。
両名なら執行者・ドラゴン・キメラのどれも問題なく対処できるだろう。
(……アドリアン。位置に着いた。そちらの進行ルートの反対側……教皇派本拠地西に私はいる。遠目で見る限り、勇士の部隊と距離を離しているが、確かに成体のアンシエントドラゴンが4体詰めているな)
心の繋がりでフレアが状況を教えてくれる。
よし、モネットの情報は正しいみたいだな。
一応教皇派拠点の防衛に付いていないドラゴンの援軍には気を付ける必要があるが、そちらは守備に回されているドラゴン達より弱い可能性が高いだろう。
(では予定通り、アンシエントドラゴン達に仕掛けるとしよう。相手に対応させる時間を与えないために、高機動形態を使って撃破するが、構わないな?)
勿論。
俺はフレアとの繋がりを通して形態変化の異世界技能を適用してフレアを変容させる。
(……よし。終わり次第、事前に伝えたように完了の合図として空に炎を打ち上げる。少々待っていてくれ)
言うや否や、フレアは攻撃を始めたようだ。
大分距離のあるこちらにも打撃音やブレスの音がいくらか聞こえてくる。
ルナさんが「フレアが凄く強いドラゴンっていうのは聞いているけど、1対4で大丈夫かしら……」って心配しているけど……率直に言って戦力面では何一つ心配していない。
待つこと約3分弱……あ、フレアから連絡が来た。
(終わったぞ。ドラゴン達は4体全て気絶させて、本拠地から離れた場所に運んでおいた。念入りに気絶させたから、すぐには起き上がってこない筈だ。ついでに目についた砂漠サソリの尾が生えたキメラらしき魔物も全て焼いておいた)
うん、アンシエントドラゴンですら今のフレアを阻むには完全に力不足である以上、まあ分かり切っていた結末だね。
(こちらも見える範囲に限られるが、建物の外に執行者は見当たらなかった。だが、闇の勇士が相当数いたから、事前に浄化剤を準備しておいて良かったようだな。現状伝えられるのはそれぐらいだ。では、炎を打ち上げるとするか。ドラゴンを見張りつつではあるが、私も引き続き援護するとしよう。そちらも首尾よく進むことを願っている)
ありがとう、こちらも注意しながら行ってくるよ。
お礼を伝え終わると、フレアは事前の打ち合わせ通り、空に炎を吹き上げた。
「はっや!!ちょっと、5分経ってないわよ!?どれだけヤバいのよあのマグリックドラゴンは!?絶対テーマルより強いでしょ!!」
「うわぁ……フレアが強いのは知ってるけど、大人のアンシエントドラゴン達も蹴散らせるって、もう桁が違うね……」
ルナさんが悲鳴交じりに驚愕し、パイベリーさんも遠い目をしている。
他の神族達もびっくりしているけど、アイールディとパディさんは落ち着いているな。
多分、フレアの強さを推測できていたんだろうね。
「「っ……!進軍開始!!」」
ラークさんとルイスさんの副官さんも合図が大分早かった所為で少々動揺していたが、号令をかけて自身の部隊を枯れた森へ侵攻を進め、遊撃班も本隊から少し離れて移動を始める。
さて、俺達本拠地侵入チームもそろそろ出発するとしよう。
「この狼や霧ガマやモレフに砂漠サソリの尾が付いた奴が例のキメラか。でも、フレアが倒してくれてるみたいだな。エイリン、俺らの出番は本拠地に入ってからだから、魔力は温存しとけよ」
「分かってるよお兄ちゃん。でも、フィリアがいるからそこまで気にしなくても……」
「気持ちはわかるけど、魔力を回復するポーションも無限にはないからね。闇の勇士も皆で持ってきた浄化剤で対処できてるみたいだし、まだあたし達はでしゃばらない方がいいわ」
俺達は本隊・遊撃班を追いかける形で枯れた森を進んでいる。
今の所頗る順調に本拠地に近づいている。
闇の勇士は力が強力だが、理性を失い周囲と協力が出来なくなる欠点があるので、きちんと連携できる部隊なら付け入る隙はある。
加えてこちらには黒い魔力の浄化剤もあるので、浄化剤をかけられ呆然として隙だらけになっている元闇の勇士を気絶させるという光景もあちこちで確認できる。
「……アドリアン、本隊が本拠地正門に構えている相手の部隊とぶつかった。私達も行かないと」
俺も自分の目と耳で確認しているが、アイールディが教えてくれた通り、本拠地に本隊が正門前に到着し、教皇派勇士達の守備部隊と戦い始めた。
ルイスさんが遊撃役として獅子奮迅の活躍をしているようだな……。
とにかくまずは勝手口方面に移動だ。
道を塞ごうと守備部隊の一小隊がこちらに近づいてきたが、パイベリーさんが小隊の背後から炎魔法を炸裂させて勇士達を吹っ飛ばしてくれた。
あらら、パイベリーさんこっちに向けて手を振ってるね。
俺達も手を振り返しながら先を急ぐ。
「こっちでもキメラがいっぱい焼かれている……。フレア君、すっごく頑張ってくれてるんだね」
「それに、勝手口までの地面が深く抉れてる。多分、あたし達がトラップにかからないようフレアが事前に対処してくれたのよ。後でお礼言っとかないと……」
思ったよりアンシエントドラゴンの数が少なかったので、その分フレアの援護が戦場に行き届いているようだ。
この分なら遊撃班も本拠地内部に踏み込むのは早いかもしれない。
そんなことを考えつつも、新手が来る前に勝手口から本拠地に入るとする。
「無事侵入できましたね……。それでは、僕達は1階の倉庫を中心にドラゴンの巣を探してみます。アドリアン様、そちらも領主様を首尾よく見つけられることを願っています」
「こちらで領主様を見つけた場合でも、ちゃんと外まで連れていくから心配しないでね。それじゃアドリアン様、どうかご武運を」
ヨハネスさん達と互いに無事を祈りつつ、ルーカス達5人がヨハネスさんの案内の元、倉庫が多くあるルートに向けて進んでいく。
「アドリアン、私達も行こう。どんな風にリーガルを探す?」
アイールディが父上の探す方針を尋ねてくる。
父上は傷ついていると聞いている……気配を探ると一階の端の方に微弱な気配を感じる。
こっちは確か、ヨハネスさんが軟禁されていた場所とは違うが、普通の部屋が並ぶ住居エリアだったな。
気配察知したことは口にはしないが、まず住居エリアから捜索することを俺はアイールディに伝え、彼女が頷いたことを確認してから移動を開始した。
道中配備された上級勇士や特殊部隊の勇士、闇の勇士をアイールディと協力して撃破しつつ先へ進む。
俺もこの段階においては装備を訓練用の剣ではなく、シューベターに変更している。
アイールディの試練としての側面もあるから、ある程度加減しつつ戦ってるのは変わらないけどね。
また、気になる点として、住居エリアまでのルートにも小さな倉庫がいくつかあるが、倉庫内を軽く確認すると、以前はあった黒い魔力の石が全て無くなっていた。
……恐らく、アンシエントドラゴンの骨をベースにしたキメラに回しているんだろうな。
おっと、狙っていた一室の前に手斧の執行者と特殊部隊の勇士達が2人守備についている……これは当たりだな。
「アドリアン、執行者は私が相手をする。他はお願い」
アイールディはそう言うや否や魔力で身体強化して飛び出し、聖剣アルメダークを振るって同じくこちらに勢いよく襲い掛かってきた手斧の執行者と激しく切り結び始めた。
特殊部隊の勇士も大剣を抜いて俺ににじり寄ってきているので、こっちもさっさと倒すとしようか。
一人目の勇士が振るう大剣を地面に誘導して空振りさせながらシューベターで切り落とし、続け様に側頭部を殴り飛ばして地面へ倒す。
いきなり味方をやられた2人目の勇士が慌てて大剣を振り回そうとする動きを利用して、俺は二人目の勇士の背面を取り、頭を掴んで揺さぶって気絶させる。
後は立ち上がろうともがく1人目の勇士を気絶させて撃破完了だ。
アイールディも魔力剣を用いた猛攻で手斧の執行者をどんどん追い詰めている。
俺も静かに執行者の背後に忍び寄り、この子の振りかぶった手斧にシューベターを添わせてアイールディとは明後日の方向に向ける。
完全に隙だらけとなった手斧の執行者にアルメダークの連撃が打ち込まれ、手斧の執行者は倒れ伏した。
執行者は黒い魔力による改造を施しているということだったので、執行者に浄化剤をかけるが……この子から黒い魔力が抜けると共に、体が崩れ去ってしまった。
「あ……助から、ないんだ……」
悲しそうな声でアイールディが呟く。
あの子は改造を受けてから4か月以上経っていたか……無茶な改造による寿命かもしれない。
亡くなった元執行者である神族の子に二人で祈りを捧げてから、勇士達が守っていた部屋に踏み込む。
中は少々家具が立派だが、普通の部屋で……奥のベッドに父上が眠っていた。
父上は重症ということで心配していたが、治療はきちんとされて……いや、きちんと止血はされているが、左足の足首から先が切り落とされている……。
きっと、逃走防止のためか……。
「リーガル……。治癒魔法、かけておくね……」
アイールディが父上に治癒魔法を使ってくれるが、それでも父上は眠りから覚めない。
致命ではないとはいえ、体を傷つけられて衰弱しているってことなんだろうな……。
ん?誰かがこちらに近づいてくる……ああ、この魔力の波長は……。
「アドリアン君、アイールディ、無事に領主殿を見つけられたのですね」
こちらの部屋に来たのは遊撃役のパディさんだった。
彼がここに来たってことは、本隊は大分優勢なのかな?
「ええ。フレア君がドラゴンの増援を警戒しつつですが、キメラや一部の黒い魔力で染まった魔物をほぼ単騎で殲滅してくれたので余裕ができました。ルイス隊長以外の遊撃役は本隊の援護をした後各々本拠地内に侵入し、内部の敵を倒して回っています。私も同じように動いていましたが、アイールディの魔力をこちらから感じたので、念のため様子を見に来ました」
パディさんの話の通りなら、相当に押し込んでいると見ていいだろう。
……そうだ、父上が大分弱っているようだが、パディさんから診ても大丈夫だろうか。
「……治療は適切ですね。ドラゴン達に命令する鍵であり、この方を決して殺す訳にはいかない以上、当然ではあるでしょうが……。負傷者の退避場所として利用している勇士キャンプまで、私が領主殿を背負って連れて行きましょう。私が勇士を倒していったルートを逆順に進めば、接敵も最低限に出来ますからね」
とてもありがたい心遣いだ。
パディさんにお礼を言いつつ、そっと父上を持ち上げてパディさんに受け渡す。
父上を背負ったパディさんは素早く、しかし父上に負担をかけないよう体を揺らさない絶妙な速度でこの場から離脱していった。
父上の救出はこれで完了したと看做していいだろう。
「アドリアン。後はドラゴンの巣だけど、どんな風に探す?」
そうだね……戦況について天秤が優位な方に傾いている現状、ここの制圧を目途に入れながら本拠地の捜索を進めた方が良いかもしれない。
倉庫が多いエリアを進んでいるだろうルーカス達と被らないルートで、指揮官であるザファーがいると思しき2階へのエリアを目指しつつ、各部屋で巣を探してみようか。
もし階段まで進んでも巣が見つからなければ、そのまま2階へ踏み込んで敵を撃破して回る、そんな方針で行くことをアイールディに伝える。
「分かった。じゃあ出発しよう」
アイールディも特に反対意見は無いみたいだし、俺が先導役を担いつつ再び移動を開始する。
ただ……あの手の呪いのアイテム染みた物って、一番強く求めている人か、全く欲しいと思っていない人のどちらかに渡る気がするんだよね。
今この戦闘に参加している味方は誰もが多かれ少なかれドラゴンの巣を見つけようとする意思を持つ以上……俺の直感が正しければ、巣を手にする人は恐らく……。
「ドラゴンの巣、見つからないね……」
2階のエリアまでのルートで通りがかった部屋を全て探しながら進んでいるが、ドラゴンの巣は見つからない。
ただ、こちらも以前黒い魔力の石が積んであった場所から石が消えている。
教皇派本拠地にある大半の黒い魔力の石が最強の生物兵器とやらに使われるのであれば、(俺やフレアが全力で相手をした場合は除いて)相応に手強い相手と思われる。
メタな視点ではあるが、それほど強力なボスであれば、アイールディへ課せられた試練の区切りとして相応しいのかもしれない。
勿論今後も大小の試練をアイールディがこなす可能性はあるが、俺から見ても十分に成長したであろうこの子なら、きっとそれらを乗り越えて自分の人生を豊かに生きていけるだろう。
紆余曲折もあったが、これで古代神の依頼も完遂と見ていい筈だ。
そんなことをつらつら考えつつも、とうとう2階への階段前に辿り着いた。
おっと、反対側の通路からパイベリーさんとルナさんも来ている。
「あ!アドリアンとアイールディちゃんだ!元気そうで良かったよ!」
「パイベリーとルナも、こっちに来たんだね」
「ええ。本拠地正門での戦いも大分こっちが有利だったから、とりあえずの目的地として2階へ繋がるこの場所を目指したのよ」
2人も教皇派の勇士達を倒しながら、ここまで辿り着いたみたいだ。
とりあえず彼女達にこちらの状況を共有しておく。
「アドリアンのお父さんは見つかったんだね。怪我してるのは心配だけど……」
「ドラゴンの巣は私達も探したけど、まだ見つけてないのよ……。確かに、一旦2階の敵を倒してそっちも探した方がいいかもしれないわね」
「アドリアン、4人でこのまま進む?私は大丈夫だと思うけど」
そうだね、戦力面でも不安がない……というか、(俺とフレアを除けば)今回の決戦に参加しているメンバーの中でも戦闘力トップ3が揃ってるんじゃないか?
流石にこれで対応不可能ということはないだろう。
俺もアイールディの言葉に同意し、2階へ踏み込む旨を伝える。
「よーし、じゃあ早速出発だ!」
「ちょ、ちょっとパイベリー!あんまり先行しない!」
おおう、二人とも駆け足で階段を昇って行ってしまった。
でも、パイベリーさんとルナさんは良いペアみたいだね。
俺達も2階へ向かうとしようか。
2階に上がり、大広間入り口前のエリアに来たが、そこでパイベリーさんとルナさんは既に戦闘に入っていた。
相手は双剣の執行者とモネット、そして特殊部隊の勇士達が複数……。
モネットがいる、ということは、大広間にザファーが居るという可能性が高いな。
大広間の方から強力な黒い魔力の波動を感じるから、きっとドラゴンの骨を使ったキメラを準備しているのだろう。
「お前たちか。加減はしないぞ!」
そう口にしたモネットはこちらに飛び掛かり、言葉通り全力で黒い大剣を横薙ぎに振るってくるが、俺もアイールディも身を翻して回避する。
双剣の執行者と他の勇士達はパイベリーさんとルナさんが押さえてくれているので、一旦モネットの無力化に集中するか。
アイールディと目線を合わせて意思を伝えあい、連携しながらモネットに挑むことにする。
「ぐっ……。神族が強いのは分かるが、お前の剣技はなんだ……。戦いにくい……!!」
俺は今回も受け流しの技法をベースに力をセーブして戦闘をしているが、どうやらモネットは柔の剣技を受けた経験はないようだ。
モネットはドラゴンの高い身体能力を活かしつつアイールディの魔力剣を捌いているが、俺の剣技には戸惑いが隠せていない。
それでもアイールディの攻撃の合間を縫い、モネットは力いっぱい大剣を俺に振り下ろしてきたが……それは悪手だ。
俺はモネットの大剣にシューベターを添わせて床に向けて斬撃の軌道を誘導する。
結果、モネットは自分から大剣を深く床に突き立ててしまった。
「し、しまった……!?」
「はぁっ!」
明確な隙を晒したモネットにアイールディの魔力剣による連続攻撃が叩き込まれ、彼女は倒れ伏した。
モネットもドラゴンである以上耐久任せに起き上がって来る可能性も考えられたので、追撃で彼女の頭を強打して完全に意識を落としておく。
「おお~!すっご~い!」
「見事な連携だったわ。パイベリーとジャスティスでも、ここまで上手に息を合わせられないかもしれないわね」
パイベリーさん達も既に相手を撃破していたようだ。
2人共、流石の強さって所かな。
双剣の執行者も勇士達共々地面に倒れている。
駄目元で黒い魔力の浄化剤を双剣の執行者にもかけてみるが……やはり、この子も黒い魔力は浄化されたが体が崩れ去ってしまった。
「ああ……この子も……」
「執行者にされちゃった子、きっと寿命、だったんだね……」
「教皇の奴……」
やはり、助けるのは無理だったか……。
少しの間だが、4人で執行者だった子のために目を閉じ、冥福を祈る。
……そろそろ、大広間に行こうか。
「うん……行こう。あと少しだから」
アイールディが返事をし、他の2人も頷いている。
大広間の扉を開けると、広間の奥には大量の黒い魔力を纏った巨大な存在が蹲っていた。
それは骨でできたドラゴンに見えるが、明らかにシルエットが異常だ。
勇士ザファーもいるにはいるが、巨大な何かのすぐ傍で倒れ伏している。
彼は既に黒い魔力に全身を侵されているようだ……。
「間に合った……間に合ったぞ……」
勇士ザファーが倒れたままそう呟くと、彼は自身を蝕む黒いオーラに一気に飲まれ……同時に巨大な存在が骨の口で勇士ザファーを喰らい、彼の持っていた黒い魔力を更に取り込んだ。
巨大な何かが全身を持ち上げると、その全貌がはっきりする。
それは骨でできた巨大なドラゴンに見えるが……頭と首が3つあり、いずれも黒い魔力が漲っている。
各ドラゴンの頭には稲妻を操るサイ・レッグトリーノの角が据えられている。
骨の尻尾には巨大な砂漠サソリの尾の先端が複数付けられ、黒い魔力を帯びた毒を滴らせている。
背にはヌーク種の翼が3対取り付けられているが、こちらも黒い魔力に完全に染まり切った闇色だ。
その他にも小型ドラゴンやモレフ、砂漠サソリなどのパーツが乱雑に骨の全身に取り付けられているが……おぞましさを際立たせているのが、全身に取り付けられたパーツに勇士と思しき人の腕や足も多数取り付けられている所だ。
癒着させる生物の数が増えれば黒い魔力を多く蓄えられる性質がキメラにあるらしいので、最大限黒い魔力を溜め込めるようにするために、この仮称ドラゴンキメラに人間のパーツも取り付けたと見受けられるが……これは余りにも……。
「う……」
「酷いわね……」
パイベリーさんとルナさんも顔をしかめている。
とは言え、こんなものを放置できない。
気を取り直し、あれを打ち倒すべく3人に声を掛ける。
「そうだね、アドリアン。パイベリー、ルナも。あれ、一緒に倒そう」
アイールディの言葉に2人も頷き、杖を構えている。
俺達は教皇派本拠地にいる相手で、恐らくは最強の敵……三つ首のドラゴンキメラと戦闘を開始した。