チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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68話 ヨハネスさんを説得しよう

俺達は教皇派拠点にある詰所に入り、中の会議室に集まっている。

ヨハネスさんと付き合いのある神族は「え?ヨハネスがアドリアンのお願いしていた説得の相手なの?……本当に?」という心境みたいだけどね。

しかし、ヨハネスさんはフレアの言葉を否定しなかったため、俺が根回しした神族は皆ちゃんと参加してくれている。

 

「……アドリアン様。僕の案に含まれる、3つの欠点というのは、いったい……?」

 

前置きなしでヨハネスさんが尋ねてくる。

正直早めに済ませたい話ではあるのでこちらとしてもありがたい。

ヨハネスさんがどこまで俺の指摘を認識していたかを確認しつつ、サクサク進めていこう。

 

1つ目の欠点は、泉の根本的な性質により、ヨハネスさんの案を実行して泉を復活させても、一時しのぎにしかならないということだ。

ヨハネスさんがレフガトの泉で確認した通り、神族の魔力が無ければ泉は稼働しない。

そこは言うまでもないという認識だけど……。

 

「ええ、それは僕も承知しています。だからこそ……」

 

神族を泉に落とすことで魔力を一気に大量にチャージさせ、泉を稼働させるつもりだった、ということだろう。

だが、泉はあくまで神族の魔力を溜めこむ器であり、無限ではなく有限の力である。

神族を肉体ごと泉に放り込んで泉を動かす規定量の魔力を満たせたとしても、泉を管理し、日々魔力を泉に溜める神族が居ない場合、枯れた土地への恩恵で溜まった魔力を使い切ればそれまで……再び泉は停止してしまう。

泉の管理者がいない状態で泉に魔力だけ溜めても、今俺達が抱えている問題を後世へ先送りすることにしかならない。

 

「……そ、それは……言われてみれば、確かに……」

 

1つ目の欠点についてヨハネスさんに説明したんだけど……え、その反応、まさか気づいてなかったの……?

 

俺はこの欠点の反論として、「それでもひと時の泉の加護が、リアート村とジーヴ村の未来を拓くにはどうしても必要なんです!」っていう判断をヨハネスさんがしたとばかり……。

流石に無いと信じたいけど、ヨハネスさんも「泉は一度稼働させちゃえば、神族さえ殺し尽くさなければ無限の魔力で土地を豊かにしてくれるぜ!」とか考えてたなんてパターンだとちょっと泣きたくなるぞ……。

 

……気を取り直して2つ目の欠点をヨハネスさんに伝える。

2つ目は例え神族を人柱に魔力をチャージできたとしても、神殿長や古代神の判断により結局泉の機能は回復しない可能性が考えられる点だ。

神殿長や古代神は自身が担当する泉に対しては、自分が泉からいなくなってしまった場合でも泉の機能を維持することも停止する事もできるという特徴があるからね。

神族を泉に叩き込む、というのはどう考えてもイレギュラーな泉の復活方法だ。

そんな乱暴な手段を神殿長や古代神が許可するとは思えない。

 

「…………」

 

ヨハネスさんは2つ目の欠点の指摘に顔を強張らせている。

ただ、こちらはヨハネスさんが想定していなくてもしょうがない。

 

「あの~。話の腰を折ってごめん。アドリアンは、どうやって泉の機能にそんなに詳しくなったの?」

 

パイベリーさんが俺の知識の出所を尋ねてくるので、マニル島の王立図書館に納められている、一般の人は閲覧禁止の古代言語で書かれた書物から学んだ事を素直に伝える。

ヨハネスさんが2つ目の欠点を知らないと判断したのはこれが理由だ。

 

「え゛。アドリアン、古代言語を読めるの?あれ、かなり読みにくいのに。ちょっと多芸過ぎない……?」

 

「パイベリー、貴方はもうちょっと勉強した方が良いと思うわよ?」

 

チートを使って身に付けたから全然誇れないけどね、と内心だけでパイベリーさんに返しておく。

 

そして、最後の3つ目の欠点……この欠点を語る大前提として、ヨハネスさんを含めて皆知っていることだが、神族の皆は各々波長が異なる魔力を持っており、互いの魔力が誰のものかを認識することができる。

 

つまり、神族を泉に放り込んで魔力の器である泉を一気にチャージすると、泉の管理者以外の神族が泉へ取り込まれたという状況は、他の神族に簡単に認知される。

加えて、泉への生贄にされた神族が知人であれば、誰が泉への人柱にされたのかも神族にとっては丸わかりだ。

 

仮に探知能力が無かったとしても、管理者による日々の魔力の補充がない所でいきなり泉に魔力が満ちれば、神族が誰かしら泉に捧げられたことは周知の事実となる。

そもそもこの情報は前置きに過ぎないが……。

 

「……?」

 

ヨハネスさんはまだ分からないか。

では、ここからは、根回しした神族の皆……まずはルーカスに俺の質問に答えてもらうとしよう。

 

「う、うん……」

 

これまでの話の内容の不穏さから、ルーカスは表情がちょっと硬いが構わず例を出すとする。

 

例えば、リアート村の近くにあるモレルの泉が突然魔力が満ち溢れ、稼働を開始する。

泉からはエイリンやフィリア、アイールディなど、自分の家族や友達である神族の魔力が感知されるので、家族か友達の誰かが泉への人柱にされたことは明らかだ。

 

さて、そんな状況で、人間の誰かしらがモレルの泉に神族の誰かを生贄に捧げたと判断できる状況で、リアート村の村人が魔物に襲われたから助けてくれ、とルーカスは頼まれたけど……どうする?彼らに力を貸す?

 

「…………は?ふ、ふざけるなよ!!神族を人柱にする奴らなんて、そんな奴らなんて、助ける訳ないだろ!!!」

 

ルーカスは、俺の問いに対して、本気で怒りを示している。

まあ、こんなの当たり前だよね。

 

では、エイリンはどう?

 

「い、嫌です!!お兄ちゃんやアイ姉ちゃん、フィリアやパディさん……皆を生贄にするような人達なんて……ぜ、絶対に嫌!!!」

 

(コクコク)

 

「……あ……」

 

……うん、アイールディも頼んだ通り、エイリンの言葉に頷きを返している。

そして、ヨハネスさんは二人……いや三人の反応から俺が何を言いたいのか、何が問題なのかを理解し始めたようだ。

……しかもヨハネスさんのこの反応、本当にこの欠点に気づいていなかったのか……。

内心ため息をつきながらもフィリアとパディさんにも同じ話を振る。

 

「え?勝手に死ねとしか、あたしは思わないんだけど。そんなの当たり前じゃない?」

 

「フィリア……。とはいえ、私の場合も、例え知人でなくとも神族を人柱にする人里からは、直ぐにフィリアを連れて離れる判断をするのは間違いないですね……」

 

「……ぁ……あぁ……」

 

フィリアとパディさんの返事を聞き、ヨハネスさんは顔を真っ青にし、体を震わせている。

 

……泉に神族を捧げる手法が孕む、俺が指摘したかった最後の欠点……それは神族達の心象が最悪になることだ。

自分達の家族・友達・知人・同族を生贄にする人間のために、彼らが力を貸したいなんて思う訳がない。

泉へ神族を捧げれば、生贄を捧げたことで復活した泉から恩恵を受ける人間は、今後神族の協力を二度と得られることはないと見て間違いない。

 

この指摘に説得力を持たせるため、俺は予め神族の皆にお願いをしていた。

内容は「危険な計画を企てている人を説得する際に皆へ質問をするから、素直な気持ちで、でも可能な範囲でいいから人間に厳しい形で回答してほしい」というものだ。

己の信仰の対象でもある神族から示された、彼の計画を実行した後に起こり得る状況に対する否定の言葉は、ヨハネスさんに深く突き刺さる筈だ。

 

ヨハネスさんは神族のことを「強大な力を持ちながらも無償で人間に施しを齎す素晴らしい存在」とばかり思っているのかもしれないが……彼らも俺達と同じように感情を持っていることは、決して忘れてはいけない。

ヨハネスさんはこのことにもう十分気づけているようだが……ヨハネスさんの手で神族の皆が生贄にされる未来を完全に潰すため、パイベリーさんとルナさんにも同じ質問をする。

 

「……ごめんなさい。友達であっても、他の神族であっても……神族を生贄に捧げるような人達のためには、あたしも多分戦えないよ……」

 

「断るに決まってるでしょう。そんな恥知らずな連中の頼みを引き受けるとか、頭がおかしいとしか思えないわよ」

 

パイベリーさんとルナさんも、想定通りの回答を返してくれた。

駄目押しとして、パイベリーさんとルナさんはバベリア大陸において次の神殿長と見込まれる人達でもあることをヨハネスさんに伝えておく。

 

「……ぁ……ぁ……」

 

ヨハネスさんは先ほどよりも更に激しく体をガタガタさせ、止めどなく汗を流している。

次期神殿長達からも自分の計画に対してNOを突き付けられたのは効果抜群だったみたいだ。

 

神族を生贄にして泉を復活させても一時しのぎにしかならず、そもそも古代神達によって阻止される可能性もあり、企みが成功しても今後二度と神族の協力を得られない……このデメリットについてヨハネスさんが納得し、かつデメリットを上回るメリットを彼が提示できない以上……説得は成功したと見て良い。

あとは、神族の心情に対して酷く無理解であることや、その他感じたこともろもろについてヨハネスさんにお説教しておくか……。

 


正味15分ほど、俺はヨハネスさんに対して懇々とお説教を続けた。

曰く、バベリア大陸の神族に泉の復活方法を確認する等穏当な手段がまだある状況で、何で過激な手段に走るんだ。

曰く、救荒作物の栽培や真水作りの手法を広げているのは、そもそも泉の枯渇や火山の噴火に備えての対策だということを忘れていないか。

曰く、先行きが厳しいデルカル大陸を心配しているのは分かるが、大陸の未来を案じるあまり、助けの手を伸ばしてくれた相手に誠意の欠片もない対応をするんじゃない。

曰く、神族を尊敬するあまり、彼らも俺達と同じように泣いたり笑ったりする心ある人達であることを見失うな、泉の魔力補充装置のような道具扱いするとか以ての外だろう等々……色々言わせてもらった。

 

そしてもう二度と神族を生贄にしようとはしない事、そして、自分が既にやってしまった事(エイリンを泉に突き落とした事)についてしっかり謝ることをヨハネスさんに誓わせた。

彼は大泣きしながらしっかり首を縦に振っていたので、これでまず大丈夫だろう。

年上のヨハネスさんにこんな当たり前のことをお説教する情けなさに、俺も途中から涙が出ちゃったよ……。

 

序でに謝罪が終わった後にヨハネスさんが生きていたら、計画阻止の為に色々な人へ負担をかけた件でも俺からも罰を下すので必ず顔を出すように、とも言っておく。

こちらの言葉にもヨハネスさんは頷いていたが、これは彼がエイリンへの謝罪の後に生き残ることができたらの話だな。

多分エイリンはヨハネスさんの命までは取らないと思うが、絶対ではないし。

 

説得がひと段落したと見たルイスさんとベリータさんはヨハネスさんを連れていく旨を俺達にジェスチャーで示した後、いまだ泣き続けているヨハネスさんを左右から支えて会議室から退出していった。

はあ、やっと終わった……。

椅子の背に持たれながらそんな感慨を抱きつつ、俺も涙を服の袖で拭っておく。

 

「……アドリアン、お疲れ様」

 

俺の隣に座っているアイールディがそう労ってくれる。

うん、本当に気疲れしたよ……。

 

「なぁ、アド……。もしかして、エイリンをマリーの泉に落としたのって……」

 

ルーカスもとうとうマリーの森で起こった事件の犯人に感づいたようだ。

まあ、やったことを謝るようにと言っている時点で気づかない方がおかしいか。

 

フレアがヨハネスさんの暴挙に気づき、しかし魔女狩り終結のためにヨハネスさんを排除できなかったので、ヨハネスさんが怪しい動きをしないよう皆と協力して見張り続けていたことを俺はルーカス達に説明する。

それと、この後ヨハネスさんがエイリンに謝りに来た際、その時彼をどう罰するかはエイリンに任せる旨も併せて伝えておく。

 

「……アド君。ヨハネスさんが、誰かに洗脳されてたってことは、ないのかな……」

 

話を振られたエイリンは、洗脳の可能性について尋ねてきた。

多分、執行者のことが頭にあったのだろう。

 

……エイリンの言葉に、少し考え込む。

始めマリーの森の事件について考察した時、その可能性については事件を起こす動機がヨハネスさんにあったから候補から外した。

だが……3つ目の欠点に気づけないのは(そんなことがあってはいけないが)神族の心情に対して無頓着だったからと言えるが、管理者不在の状態で泉を復活させる際に起こり得る1つ目の欠点に、頭の良いヨハネスさんがまるで考えの及んでいないようだったのは少々おかしい。

 

……そうだ、ヨハネスさんの件について相談した時にルイスさんが口にした言葉……視野狭窄に陥っている、というのがぴったり当てはまるように思える。

今改めて洗脳について思案すると、ヨハネスさん本人がやってもおかしくない範囲で思考が誘導されていたような……そんな印象を受けるのは否定できない。

直感では教皇派の連中が引き起こしたことではないと思っていたけど、こうなると洗脳までとは言わずとも、何かしらの仕込みや実験をヨハネスさんが気付かずに受けていた可能性は0ではないか……。

 

俺の考えをエイリンを含めた皆に伝えると、エイリンは頷きながらこう言った。

 

「うん。それなら、エイリンはヨハネスさんを許します!洗脳されていたのならヨハネスさんは何も悪くないし、例え、ヨハネスさんが泉の復活のために自分の意思で私をマリーの泉に落としたとしても……ヨハネスさんがエイリンにしてくれた親切の全てが、嘘ではないって思います!」

 

それは、とても尊い決断だけど……ヨハネスさんが泉を復活させなければと強く思っており、彼にはエイリンに対して凶行に及んだ確かな動機があったのは間違いない。

本当にいいの?

 

「そうだぜエイリン。ヨハネスがエイリンに優しくしたのは、泉に落とせるようになるぐらいまでエイリンの信頼を稼ぐため、っていう面もあると俺は思うぞ」

 

「もう、怖いこと言わないでよお兄ちゃん!魔女狩りが終わって、やっと勇士に怯えずに暮らせるようになるんだし、嫌なことは忘れちゃうようにするからいいの!」

 

うーん、そうやって言い切れるのは本当に凄いな……。

 

「……立派ね。エイリンは。仕返ししても誰も文句を言わないでしょうに」

 

「ええ。きちんと考えた上で、そんな決断をできる人は中々いないでしょう」

 

フィリアやパディさんもエイリンのことを褒めている。

 

 

「そうだ。皆へ迷惑かけたことで罰を与えるってアドは言ってたけど、何をするつもりなんだ?」

 

エイリンによる罰の可能性がなくなったので、俺がヨハネスさんに与える罰についてルーカスが聞いてくる。

他の皆もその件については気になっているみたいだね。

 

俺の回答はシンプルだ。

働かせる、これに尽きる。

 

「?」

 

流石にこれだけだと皆ピンとこないか。

 

もっと具体的に言うと、ヨハネスさんは国王陛下からの派遣人員としてシューベトに来ているが、同時にもし俺からの引き抜き要望があれば、要請を受け入れるよう国王陛下から仰せつかっている。

このままだと王宮特使の任期切れでヨハネスさんは王宮に戻ってしまうが、俺はヨハネスさんをシューベトの政務官として完全に引き抜き、デルカル大陸に暮らす全ての人々がより良い未来を掴めるよう、彼の全能力を振るってもらうつもりだ。

無論、真っ当な手段を使うことが大前提だけど。

 

ヨハネスさんは政務官としては優秀だからね。

魔女狩り対応中に神族を危険にさらそうとして皆の足を余計に引っ張ったツケを、皆のプラスとなる労働で返してもらおう。

あと、王宮特使から最も泉の加護が乏しい大陸の政務官になるのも、ある意味都落ちになるから罰の一種になるのかな……?

まあ、サボりも過労死に逃げるような事も許さなければ、それで十分罰になるだろう。

 

「今まで通りって聞こえるけど、多分、そこまで甘くないのよね……?」

 

フィリアがそう聞いてくるけど、そりゃそうだ。

この戦いの事後処理、教皇派の勇士達から大被害を被ったリアート村の補填、更なる救荒作物の栽培、ここでは言わないが転生特典で呼び出す予定の砂漠でも使えるような肥料の検証等々、この後シューベトでやらなきゃいけない仕事が沢山あり、ヨハネスさんにも全力で仕事を回すつもりだ。

自分のやったことに消沈する暇も懺悔する暇も与えない。

今ヨハネスさんの元で働いている政務官の育成も含めて暫くの間はひたすら働いてもらう。

過労死しないようきちんと休息も取ってもらいながらではあるが。

 

「お、おう。まあ、ちゃんと罰になりそうだから、俺はもうそれでいいよ……」

 

ルーカスがちょっと引きながら了承している。

多分、俺の抱えていた鬱憤が声に乗ってしまったからかもしれないな。

特典を使っていたとはいえ、ヨハネスさんの監視はストレス溜まったからなぁ。

 

「そうだ!アドリアン、デルカル大陸の泉を復活させる方法を、あたしがお母さんに聞いてきてあげるよ!」

 

パイベリーさんがそんな提案をしているけど……流石にそれはまずいだろう。

バベリア大陸の神殿長は今、(自分達の計画通り、マッチポンプではあるんだろうけど)魔女狩りによって最も傷ついたバベリア大陸の復興のための願いを最優先で対応している筈だ。

 

神殿長達に願いを伝える時に行う正規の手続き……確か「誓願を立てる」というんだったか……その誓願を経ずに、バベリア大陸の復興に忙しくしている中、他大陸の人間が裏技的なコネを使って神族の秘奥である泉について神殿長に問い合わせる……どう考えても、神殿長や他の誓願を抱えたバベリア大陸で暮らす人々からの印象が悪くなる行為だろう。

加えて、口にはしないが、エリシオン神殿長は娘のパイベリーさんすらも計画のために死地に送れる判断ができる人物……そんな方の怒りに触れそうな行為は慎むべきだと思う。

 

エリシオン神殿長のことを除いて俺の考えを伝え、パイベリーさんの提案を断っておく。

 

「ええ!?そ、そこまで気にしなくてもいいと思うけど……」

 

パイベリーさんは困惑しているようだが、決戦や今回の説得でもパイベリーさん達には十分力を貸してもらっている。

まだ人間側でやれることはあるし、実際に泉について尋ねようという方針に決まったら、その時改めて誰かしらが正式な手続きの元で神殿長に誓願を立てると思うから、本当に気持ちだけでいいと彼女に返しておく。

心からの願いを伝えるべきである誓願を立てる人間としても、自力で問題を解決できる俺は明らかに不適当だという事情もあるし……。

 

それに、これも言うつもりはないが、魔女狩りが終わった今、泉がなくてもデルカル大陸を人が生きていける場に変えていくべく、有り余っている転生特典獲得用のポイントを使って少しずつ大陸へ手を加えていくつもりだ。

初手はさっきも考えた通り、肥料面からかな。

 

さて、とりあえず説得もひと段落したし、そろそろ俺も事後処理を手伝わないと。

改めて神族の皆に教皇派拠点の制圧とヨハネスさんの説得に協力してくれたことに感謝を伝え、俺は詰所を出てラークさんの元に向かうのだった。

 


「ねえ、ルナ。アドリアンは気持ちだけでいいって言ってたけど……」

 

「分かってる。私はアラムート様へこの大陸の泉についてお伝えし、力になっていただけないか話してみる。パイベリー、貴方はエリシオン様に……」

 

「うん。やっぱりお母さんに相談しておくよ。……私達が心ある存在だって言ってくれて、私達のために涙まで流してくれる人に、私達が力を貸さない訳がないんだから!」




マリー「準備と言葉を尽くし、邪道を歩もうとしていた人を正道に引き戻す。とても素晴らしい行いではあるのだけど……」

モレル「我々が準備した、最後の満たしのきっかけを潰されてしまったか……このままでは……」

レフガト「計画の締めが行えないね……。ちょっと腰を据えて相談しようか……」


原作でもちょっと不可解で説明が足りない気がするヨハネスが凶行に及んだ原因は、本作ではこのような形とします。
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