チート転生アドリアン君   作:ブロンズ探検家

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7話 自分の強化と趣味に転生特典を使ってみよう

シューベト領内の作物捜索もひと段落し、俺は勉学や訓練の比重が多めの日々に戻っているが、

偶に復興作業で縁のできた人達や各種作物栽培でお世話になっている農家の皆さんを訪ね、近況を聞いたり人手が必要な作業の手伝いをしたりもしている。

ちょっとした小遣い(特典用ポイント)稼ぎになるし、領民やその子ども達と交流するのも楽しいしね。

 

巡回業務も作物を探していた時より頻度は落としながらも参加しており、何回かリアート村・ジーヴ村付近にまで行くこともあった。

村に直接入っていないが、両村ともに荒地が広がっている現状を遠目に見てしまい、デルカル大陸の厳しい環境にちょっとため息をつきかけたのは内緒だ。

 

だが朗報もある。母上の伝で救荒作物の提供を受けたリアート村・ジーヴ村の地主達は、流石にシューベト程の生育状況は望めないものの無事収穫まで漕ぎ着けられたそうだ。

これで泉の加護がない土地でもこちらが発見ないし呼び出した作物等は栽培できることが確定した。

ブルーベリーはどちらの村でも栽培できなかったとのことだが、泉の加護がない土地ではこちらが見つけたものを全く生育できない可能性も考慮していたから本当によかった。

後は少しずつ提供した作物の耕地面積を広げられれば言うことはないのだが、まあ焦りすぎてもしょうがない。

少なくとも良い方向に向かっているのだから、このままできることを堅実にこなしていこう。

 

ちなみに両村から提出された栽培記録を読むと、リアート村ではそばとさつまいも、ジーヴ村ではキノアとさつまいもが特に上手く育ったと記載されている。

当たり前と言われればそうだが、同じ荒地でも土壌や気候が違うみたいだ。

どちらの村の環境にも適応してくれたさつまいもは流石と言える。

ただ収量はリアート村の方が少ないようなので、次の食料面でのテコ入れは予定通りリアート村でいいだろう。

埠頭に面したジーヴ村はバベリア王宮からの支援が入りやすいしね。

検索機能も駆使して砂漠に合いそうな植物も既にピックアップできている。

現地に行ってリアート周辺野生の植物を調査・採取するタイミングに合わせて2つほど呼び出してみるつもりだ。

 

また、両村に提供していないマロンゴールド(仮称)だが、これはリーガル父上達に進言した通りシューベト特産品として外部にも売り出すことになった。

結果だけ言うと、もうバッチリ売れた。

通常のさつまいもを遥かに上回る味に加えて金色に輝く見た目の良さも相まって、富裕層にとても人気が出たのだ。

現在直球で黄金芋と呼ばれるようになったこの芋だが、父上から許可を取った上で復興作業時に縁ができた大陸渡りの行商人達に大陸外への輸出を依頼した結果、バベリア大陸の富裕層にも広まった。

バベリア大陸への航路はバベリア王宮のあるマニル島を必ず通るのだが、なんとバベリア国王がマロンゴールド改め黄金芋を口にする機会があり、その美味しさに驚いておられたそうだ。

そして国王が唸るほどの芋ということでまた黄金芋の評価が上がり、超人気商品に押し上げられたのである。

国王の件は転生特典の幸運が発揮された気もするが、リーガル父上は想定を超えたレベルの収入源がシューベトに生まれて驚きつつも上機嫌だし、行商人の方々からも素晴らしい商品を扱わせてもらえたと感謝されたから悪い事ではないはずだ。

魔女狩りが絶賛流行中であるバベリア大陸の情勢は注視する必要があるから、バベリア大陸の情報を持ってきてくれる行商人の皆さんとの縁はこのまま大事にしていこう。

 


さて、デルカル大陸での食料増産活動において1番重要なステップであるリアート村近辺での作物探索に取り掛かる前に、これまでの活動で大分溜め込んだ転生特典取得用ポイントをそろそろ自分のために使っておこうと思う。

勿論リアート村での作物呼び出し分のポイントは残した上で。

 

幾つか目星を付けておいたが、まず欲しいと思ったのは他の人に気を使わなくていい個人スペースと転生特典を自由に試せる場所だったので、「秘密基地の作成能力」を取得することにした。

 

ポ⚪︎⚪︎ンの「ひみつきち」みたいなイメージで取ったのだが、実際の仕様はそれより凄かった。

まず入口になる箇所を指定すればそこが基地への入口となるのだが、自分が許可した存在以外は入口を認識することも通過することもできないようだ。(自室で能力を試している間は部屋に鍵をかけたため、今回は自室にある衣装タンスの扉を指定した)

そして特典用ポイントを追加で消費することで基地の改装や追加機能の搭載ができるようになる。

ここまではまあイメージに近い形ではあったのだが、改装できる範囲や基地に付与できる機能がとても豪華だった。

電気や水道など前世で使用していたインフラを基地に完備させられるし、基地内の空間拡張も自由自在で秘密基地をマンションにも庭付き豪邸にも軍事要塞にもできるぐらいだ。

加えて秘密基地の出入口もポイントを支払えば増やせるため、基地を擬似的な転送装置としても使える。

 

また、相応にポイントは必要だったが、基地にいる間は外界の時間経過を遅くするトンデモ機能を基地内での老化防止と併せて追加できた。

「デメリットのないダイオ⚪︎⚪︎球か!」とテンション上がって思わず機能追加しちゃったよ……。

いつの間にかいくつかクリアしていた食料自給率向上のミッションで得たポイントがこれで吹っ飛んでしまった。

まだポイントに余裕があるから別にいいんだけどね。

時間経過を遅らせる比率については秘密基地の1日が外の2時間程となっており、ポイント追加で更に時間経過を緩やかにできるが現時点でも十分なレベルである。

 

考えてもしょうがないのかもしれないが、転生時に付与されているものはどれも想定を下回る効果だったことはないし、どことなくユーザーフレンドリーにも思える。(幸運だけは確認のしようがないが)

転生をさせている誰かか何かに転生した人の意志がフィードバックされてたりするのだろうか?

そんな益体もないことを思考しながら秘密基地の改装をひと段落させた。

とりあえず前世の自室に近い形で部屋を用意し、家具や娯楽用品を配置している。

また、予定していた転生特典を試すためのスペースとして、特訓場としても使える道場みたいな空間を設定し、破壊不可の機能も付与した。

ここまでやれば秘密基地の改装は一旦十分だろう。

 

前世の部屋を概ね再現できた俺は、新しい自室で久々に漫画を読んだりTVゲームを遊んだりしている。

才能強化のおかげか前世でプレイしたゲームなんかはしっかり思い出せるが、今もう一度遊んでもやっぱり楽しい。

現在プレイしているペル⚪︎ナ4Gは子どもの頃に何度もプレイしたお気に入りのゲームの一つだ。

自分の良くない所、目を逸らしたい側面も自分の一部だと向き合っていく主人公や仲間達の姿が子ども心に強く焼きついていたのを覚えている。

自分の悪い所も含めて自分自身なんだという考え方が俺の中で当たり前になっているのは、このゲームに影響されたからだろうなぁ。

 

キリのいい所までプレイし、次は同じくお気に入りのド⚪︎クエか⚪︎CT⚪︎PATH TRAVELERでもと思ったが、基地内での時の流れが緩やかではあってもそれなりの時間が経過したので、現実での自分の不在期間が長くなる前に基地から一度撤収した。

明日の夜にでももう一度基地に来て、今度は自分を強くするための能力や装備を獲得してみようかな。

 


翌日の深夜頃、俺は再び秘密基地に入っている。

基地内のベッドで仮眠を取り、持ち込んだ保存食を食べた後、改めてポイントを消費して装備や能力の取得を進めていく。

 

まず装備についてだが、今回は剣・リストバンド・マントを選択した。いずれも特殊効果があるものだ。

 

剣の方は切れ味は下級勇士の装備と大して変わらないが、携帯性に優れ決して折れないという特性がある。

見た目や色合いもある程度自分で選択できたので、市販で出回っている護身用の剣に近づけておく。

装備は特注品や特別な力が込められているもの以外は消耗品となりがちだが、この剣なら訓練時にも気軽に使えるだろう。

手入れ自体はキチンとするつもりだけどね。

 

リストバンドも特訓用で、装着者に重力負荷をかけてくれるという修行において定番の効果である。

同じような効果の装備のうち1番安いものなので最大負荷倍率はそこまで高くないが、負荷倍率の調整もある程度できるようなので購入してみた。

早速つけてみた所、最低倍率でも中々のずっしり感ではあるので良い修行になりそうである。

ただ、訓練による身体能力の伸びが更に向上しているから、あまり長持ちしない可能性もあるなぁ。

この前も元最高勇士のリーガル父上と模擬戦して一本取ってしまったし。

父上は俺の成長に喜んでいたから良いことではあるんだが、自分でも驚きの成長速度である。

物足りなくなったらもっと倍率が高い物を購入してみよう。

 

マントの方は某指輪のファンタジーに出てくるものを獲得した。

こちらもやはり市販のデザインに合わせ、色合いは黒に近いものにしている。

このマントは敵意のある存在から自分を隠してくれる上、環境に応じて暖かくも涼しくもなる。

リアート村近郊で活動する上でどうしても砂漠は回避できないため、環境適応の効果を当てにして用意した。

とはいえ想定される状況は小隊の皆との遠征である以上1人で砂漠に行く訳ではないから、一緒に活動するメンバーの体調には注意しなければならないだろう。

本当は全員分のマントを用意できればよかったが、予定している能力取得に相当なポイントが必要なので節約したかったという事情に加え、1つならともかくこのレベルの装備を丁度人数分入手したというのは、大陸渡りの行商人達から購入したという言い訳でもやや無理があるので諦めた。

行商人の人達、魔法のような力がある物品も掘り出し物として取り扱ってるから言い訳として使いやすいんだけどね……。

心苦しいが、砂漠の環境で体調を崩した小隊メンバーが出た際はマントを貸し出す方向で行くことにする。

 

ちなみにこのマントも魔力が込められてそうだが、神族の魔力を探知する魔力探知機ではおそらく反応しないだろう。

というのも、以前母上に渡した活力を与えるブレスレットの他、あからさまに魔力の籠った石を特典で獲得してシューベト城にサンプルとして置いてあった探知機に反応するかそれぞれ試してみたが、完全に無反応だったからだ。

魔力探知機で調査できるのはあくまで神族の魔力に限られるということなのだろう。

 

そういえばこの魔力探知機ってもの凄い危険物を使ってるんだよな……。

確か『黒い魔力の石』と呼ばれていたものだ。

人間が直接触れてしまうと力を求める欲望に突き動かされ、理性を奪われて破壊衝動の塊になってしまうんだったか。

核汚染並みかそれ以上にやばい代物である。

 

ただ、危ない物だと十分意識しているにも関わらず、自分が魔力探知機内の石を見ても「その石はあって当然」だと思えてしまい、特に危険だと感じられなかったのはどうしてだろう……?

前世と比較にならないぐらい強くなったから危機管理が薄くなっちゃってるのかなぁ。

気をつけないといけない。

 

ちなみに現在は教皇セルビス氏だけが石の浄化を可能らしいので、今はセルビス氏が市販での流通を禁止して回収・管理しているらしいが、そんな危険物なら魔女狩りをさせる勇士に持たせる探知機何ぞに使うんじゃないと言いたい。

黒い魔力の石を探知機に使っている以上、セルビス氏が他の用途に石を使っていてもおかしくないだろうし、何処かのタイミングで自分でも黒い魔力の石を浄化する手段を探した方が良いな。

 

黒い魔力の石の件でちょっと思考が横道に逸れてしまったが、今は特典活用の方が大事だ。一旦仕切り直そう。

魔女狩りが発生している状況では特典で魔法を取得するのは危険だと思っていたが、この特典の仕様なら魔法を覚えても自分が魔女扱いされる可能性はそこまでないだろう。

今回は魔法を覚える予定はないが、食料増産とは別に自分がやろうと思っていた「泉の加護以外での真水の確保」に必要なものを集める時、命綱代わりとなる魔法を覚えるか割と真剣に悩んでいる。

魔法を取得することに決めた場合は言うまでもなく使用する状況に細心の注意を払う必要があるし、一緒に魔力を外部に漏れないようにする装備も合わせて手に入れるつもりだ。

 

……ただ1つでも魔法を覚えたら、きっと他の魔法も使いたくなる欲が出るかもしれないなぁ。

ミッションにも「魔法力を鍛えよう」みたいのが出てくるだろうし。

魔法を覚えることに決めてかつ予想通りのミッションが出てしまったら、魔法関連は秘密基地の中だけで特訓するようにしようか。

 

さて、自身の強化用に今回取得する能力だが、リアート村探索までにある程度身につけておきたかったため、今習得している技術に近いものなら別世界の能力も習得しやすいと見込み、現在学んでいる剣や格闘に連なるものをチョイスした。

具体的には異世界の剣術2種類と体術1種類を選択している。

内訳は某竜を探すRPGの漫画に出てくる勇者の剣術、某英雄の伝説シリーズに出てくる7つの型と1つの体術からなる剣術、受け流しやカウンターに重きを置く柔術である。

これでリアート村での作物取得以外のポイントは大半を使ってしまったが、その分期待が持てる。

 

それでは自分を強化する能力を獲得した際の仕様について、秘密基地の訓練スペースで順番に見ていこう。

 

……確認した所、どうやら能力を取得した時点で最低限得た技術を扱えるようになるようだ。

取得直後に「大⚪︎斬」とか「緋⚪︎斬」を扱えるようになったのでほぼ間違いない。

全く技を磨いていない今でさえこれまでとは段違いに斬撃の威力が引き上げられており、覚えたてでこのレベルなのかと思ってしまう。多分現時点でも下級勇士の剣で家とかを両断できるのではないだろうか。

ちなみに手持ちの短剣で技を繰り出せることを確認できたので、ある程度武器が異なっていても問題なく技を扱えるようだ。

 

また、習得した剣技や体術の熟練度のような一覧を表示できるようになっていた。

能力を獲得することで技を使えるようにはするが、使いこなすのならちゃんと訓練しなさい、ということだろう。

だが、取得した剣技や体術の磨き方や現時点でのおすすめの特訓方法とかを検索・ソートできるようになっているから、鍛え方が分からないという事態にはならないだろう。

 

武器の融通がある程度利く所とかもそうだけど、やっぱりユーザーフレンドリーな仕様だな……。

ミッションも「〇〇の熟練度を10まで上げよう」なんて内容がいっぱい追加されており、以前も思ったけどまんまゲームみたいである。

案外この世界も何かのゲームを元にしてるのかもしれないが、まあそこは流石に調べられないだろう。

今第二の人生を結構充実して歩めている。それで十分だ。

自分を転生させた何かか誰かだけでなく、父母や自分を支えてくれている多くの人達に感謝しながら生きていけばそれでいいだろう。

 

首尾よく手に入れた能力の鍛え方も分かったので、獲得した技術について現時点の状態を直接確認するため、取得した技を一通り訓練室で試してみたがいずれも問題なく体が動くことを確認した。

今後の特訓方針を頭の片隅で練りながらもそろそろ帰ろうかなと思ったが、最後に一つ思い付きを試してみることにする。

やることは単純で、取得した剣術や体術を同時に使ってみようというものだ。

多分失敗するだろうけど上手く同時使用できれば儲け物程度の気持ちで手持ちの短剣を使って実際にやってみたが、予想の斜め上を行く結果となった。

 

具体的には別技術の技を全て複合して撃てた上、威力が馬鹿高くなった。

訓練スペースは破壊不可の筈なのに、飛ぶ斬撃が壁に当たったら轟音と共に基地全体が揺れたぞおい……。

 

もしかして、別々の異世界由来の技術を同時に使うと効果が跳ね上がるのか?

疑問を解消するため、新しく特典で獲得した壊れない剣で同じ様に複合技を試してみた所、短剣との差分では説明できないレベルで斬撃の威力が劇的に向上したので、多分この想定で間違いないだろう。

……とりあえずこの現象は安直だが「異界法則の重複」とでも呼んでおくか。

 

これで再びシューベトがアンシエントドラゴンに襲われた場合も対処できる算段はついたけど、

自分の身体能力上昇ペースと獲得した剣術等の熟練度向上を想定して威力算出をした場合、自分の成長後に繰り出す異世界技術全部盛りの斬撃はどれだけ控えめに計算しても威力過多である。

例えば成長した自分が大地に向けて技を放った場合、比喩ではなく文字通り大陸を両断しかねない。

 

強くなっていくのは楽しいしポイントも貯まるから訓練は続けるけど、力の制御はより一層励むようにしよう……。

ただ、身につけた力は必要な時、必要な分だけ使うよう心掛けないといけないなぁ……。




幸運「ちゃんと働いてるよ」

本作の仕様として、別々の異世界の技術を同時に使用すると効果が上昇するものとします。
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