リザードレイドの鉤爪がブラックルミナスへ差し迫る。そんな中、1発の銃声と共にリザードレイドが彼女から後退すると思わずリザードレイドが振り返った。
「だッ、誰だ!?」
「無事ですか!ブラックルミナス!!」
「ロ…ロインさん!?何で…しかもその格好…!」
彼女の格好は手足や胸部の装甲は白く、青いラインが所々に通っている上にスーツもまるでレオタードの様な姿だった。腹や太腿周り、脇腹が露出しているのもブラックルミナスも似ている。その彼女の手には銃が握られていた。
「貴様…よくも俺様の邪魔をしやがったなぁ!?」
「…私はホワイトルミナス、悪魔でも仮ですが!!」
そして再び発砲しリザードレイドを怯ませると合図し、ブラックルミナスへ逃げる様に促す。
彼女は自力で立ち上がって後退するとホワイトルミナスの後ろへ回り込んだ。尚も立ち向かって来るリザードレイドの攻撃を軽々と避けて行く。
「…ッ…スーツのリミットが…!?このッ!!」
ロインはスーツの限界を感じ、咄嗟に煙幕弾を投げ付けると爆発し灰色の煙が周囲に撒かれるとブラックルミナスの手を引いてその場から撤退、事なきを得たのだった。
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「…話はコヨミさん達から聞いています。学校で無茶されたそうですね?」
カナの家へ帰宅すると真っ先に2人はカナの部屋を通して造った秘密基地へ入る。
カナが椅子へ腰掛けると彼女は無言で頷いた。
「…何故あの様な真似を?」
「ほっとけなかった…それだけ。他に理由なんて無いよ。」
「貴女はアンチテリアと戦うヒーロー、ブラックルミナス。貴女が倒れれば他に誰が戦うんですか?貴女に世界の平和が…!」
「解ってるよそんな事ッ!!解ってる…ッ!痛い程解ってる……でも…ほっとけなかった…しょうがないじゃん…ッッ!」
カナは叫ぶと俯きながら歯を食い縛っていた。
それに対しロインは小さく頷くと話し出す。
「…カナさん…理由はどうあれ、満身創痍のトランスは戦闘に支障を来たします。今は兎に角…ゆっくり休んで下さい。」
ロインは白いライクギアを外すとテーブルの上へ置いた。そしてカナが「お休み」と一言話すと彼女は部屋を出て行く。ロインも返事をし、残された彼女は白いギアを見ながら首を傾げる。
「2人目の適格者…直ぐに見つかれば良いけど。」
カナは1人で戦い、2体のレイドリアンを葬っている。そして3人目として姿を現したリザードレイドは中々の強敵だと昼間の時点で解った。
一度撤退しているという面から考えると時間は少ない。早い段階で2人目を見つけなくてはならないのだ。
-カナの様に何かを特別に愛している人物を。-
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次の日、カナは大事を持って欠席。
代わりにロインが登校して校内を探る。
とは言えそう簡単に見つかる訳ではない…カナの時は極めて稀なレアケースだった事から本来なら有り得ないのだ。
「…やはりこの学校ではなく、他の所?」
うーんと悩みながら歩いているとコヨミに声を掛けられる。ロインは頭を下げると彼女と少し話しをする事になった。
「…そっか、カナお休みしたんだ。」
「ええ…、お母様が安静にしてた方が良いと。ところで…貴女はカナさんとは長いお付き合いらしいですが…何かご存知ですか?カナさん、凄く思い詰めてましたから……。」
コヨミへ問い掛けると彼女は少し考えてから
話そうとする。アイリもまた偶然近くを通った為、足を止めていた。
「…実は…カナも昔、小学校と中学校の時に虐められてたんだ。男の子が好きな物のを女の子が好きになってたからってとても些細な事だった…。休み時間もずっと一人ぼっちでグループからも外されててさ…。ある時、偶々私が声を掛けたの…話してたらいつの間にか仲良くなってたんだ。そしたらカナがね、コヨミはあたしにとってのヒーローだって言ってくれたんだ…。だからかな、三原さんの件も親身になって考えてるの…あの時の自分と三原さんを重ねてるのかもね…。」
ロインは話を聞いて無言で頷く。
アイリもまた拳を握り締めて小さく頷くとその場から立ち去って行った。
「つまり…コヨミさんはカナさんにとっての仮面ソニック…。ありがとうございます、貴重なお話を聞かせて頂いて。」
「ううん大丈夫。私次、移動教室だから…また後でね。」
そう話すとコヨミは立ち去って行った。
ロインが取り残されると彼女は再び校内を歩き始める。すると彼女の携帯が鳴り、見てみると[レイドリアン出現!]と表示されていた。それに場所はかなり近く、阿澄高等学園からもそう遠くは無い場所。
「なッ…!?もうアイツが…カナさんッ…!ダメッ、カナさんは…ッ…!」
急いで見つけるしかない…走って校舎内を探し回る。持っている端末にはエネルギーの規定値を超えると鳴る機能が有るのだが未だに鳴る気配は無い。
そうこうしている間にもリザードレイドは暴れ回っているのだ。すると階段の踊り場から怒声が聞こえ、覗いてみる。そこにはカナから聞いていた3人組とアイリが居た。手を出そうとしたものの、ロインは何かを感じ取って止める。
「生意気な…もう1回言ってみろ、オタク女!」
「止めて…止めてって…そう言ってるの!私は貴女達の…ッ!」
胸倉を掴まれてもアイリは真っ直ぐ見つめ、威圧する。するとロインの端末から音が少し鳴ったのだ。
思わずその視線の先を2度見し首を傾げる。
「お願いだから…止めて…!!私の趣味で誰かを傷付けたり、悲しい思いをさせた?私の趣味が誰かに迷惑を掛けた?違う…そうじゃない……全部、言い掛かりだ…私の事はどう言っても構わない…でも!私の趣味を…好きな事を……私から取らないで!!私は絵が描きたい、玩具も集めたい…可愛い女の子が戦う姿を見たい…それだけなの!!それが私の好きな事だから…誰にも奪う権利なんてない!!」
「此奴…ッ!!」
トキメが振りかぶって殴ろうとした途端、彼女は少し悲鳴を上げて気を失ってしまう。
何が起きたか解らずアイリが慌てていると仮面ソニックのお面を付けたロインが立っていた。
「誰…?」
「仮面ソニック…いえ、ブラックルミナスの知り合いの者です。」
アイリへ近寄ろうとした時、2人の取り巻きがロインへ襲い掛かるが彼女はしれっと2人も同じ様に倒してしまった。
「ね、ねぇ…何したの!?死んでないよね!?」
「大丈夫、軽い電気ショックを与えただけです。やっと見つけた…2人目の適格者!!」
「テキカクシャ……?私が?」
すると突然叫び声と悲鳴が聞こえ、2人は階段を上がって外を見る。そこにはレイドリアン…リザードレイドとウバーウが校門付近へ来ていた。
「此処なら…キライザー様の言ってたスキとやらを奪えそうだな…さぁ貴様らのスキを俺様に寄越せ!!」
生徒らの悲鳴や職員らがザワザワと騒ぎ立てている事から余計パニックになっていた。
特撮物の作品で見掛ける街中でのパニックとは程遠いがそれでも充分だ。理由は簡単、突然トカゲの化け物がこんな場所へ現れたのだから。
「…時間が無いので簡潔に説明します。先ずはコレを左手首に嵌めて下さい。」
取り出したのは白い腕輪。それを受け取ったアイリは嵌めると不思議そうに見ていた。
「コレで…どうするの?」
「…起動時の掛け声はトランス・イグニッション、そう叫べばギアが起動します!」
「出来るかな…私に…。」
「大切なのは1歩前へ踏み出す勇気です!さぁ行って!」
トンッと背中を押され、アイリは走り出す。
そして人混みを掻き分けて彼女は何故か屋上の方へと向かって行った。そして外へ出ると右手首のギアを見ながら立ち止まる。
「大切なのは…1歩前へ踏み出す勇気…トランス・イグニッションッ!!!」
右手を横へ振り抜いて再度引き戻すと拳を強く握り締め、そして叫んだ。すると眩い光が包み込み、アイリの着ていた服を全て消して裸にする。
頭、胸から下、そして左右手足の順に変化していくと腹が出たレオタードの様な服と腰周りを覆う様な白いマントが出現する。両足には膝辺りまで白い装甲と一体化したブーツ、そして両腕も肩から二の腕の近く迄を装甲が覆い、青いラインが駆け巡る。
左右の頭部にヘッドギアが装備されて変身完了。
光が放たれると彼女は姿が変わった。
「これが私…?…本当の私…!」
タンっと地面を蹴って校舎の真上へ立つ。
そして彼女は叫んだ。
「止めなさいッ!!」
彼女の声に気付いたリザードレイドは上を見上げて
睨み付ける。そこには人型の何かが立っているのが解った。
「誰だお前は!!?ブラックルミナスか!?」
「違う!私はホワイトルミナス…皆の勇気と希望の守護者だ!!」
彼女は飛び降りると華麗に着地しリザードレイドを睨み付ける。風が靡くと彼女の銀髪が揺れ動いた。
「やれッ!ウバーウ!!」
「「「ギギギーーッッッ!!!」」」
一斉に声を上げたウバーウを前にホワイトルミナスは構える。すると通信が入り、応答すると先程の彼女の声だった。
[サポートします、右手を太腿へ翳して下さい!そうすればルミナスシューターが使えます!]
「…こう?」
言われた通りに行うと白い拳銃の様な武器が姿を現す。それを器用に指先で回転させて狙いを絞り、発砲するとウバーウが次々と倒れていった。
「やぁああッ!!」
接近され、間合いが詰められると攻撃を避けて発砲し撃退する。槍を繰り出されようならそれを左手で跳ね除けて腹部を狙って撃つとウバーウが背中から倒れ込んだ。リザードレイドはウバーウ達を跳ね除けて一直線にホワイトルミナスへ襲い掛かり、鉤爪を振り翳して来た。
「調子に乗るなよ、小娘風情がぁッ!!」
「ッ…!本丸のご登場って訳ね!!」
鉤爪を避けて発砲、エネルギー弾がリザードレイドへ命中したが装甲に当たって火花が散る位だ。
撃たれても怯む事無く立ち向かって来ると左右の手の鉤爪を何度も振り翳し襲い掛かる。
「ほら、どうした!!避けてばかりじゃ話にならんぞぉッ!?」
「解ってるわよ…言われなくてもッ!!」
空を切る音と共に鋭い鉤爪が振り翳されていく。
間合いを取ると再び通信が入る。
[ホワイトルミナス、ルミナスシューターをブラスターモードへ切り替えて下さい!]
「それ、どうやるの?」
[音声認識です!ルミナスシューターへブラスターモードとコールして下さい!!]
「解った、やってみる!!」
すっとルミナスシューターを顔の近くへ持って来ると彼女は叫んだ。
「ルミナスシューター、ブラスターモード!!」
するとハンドガン形状から更に変化し、小型のライフルの様な姿へ変化する。それを握り締めるとホワイトルミナスは頷いた。
「な、何!?形状が変化しただとぉ!?」
「次は…私の番ッ!!」
ホワイトルミナスは掛け出すとブラスターを発砲、凄まじい威力の弾がリザードレイドへ数発飛んで行く。対する相手はそれを避け、今度は接近し尻尾を振り翳してホワイトルミナスへ攻撃を放った。
「…甘いッ!!」
ホワイトルミナスはそれをスライディングで避けると素早く振り向いてリザードレイドへ発砲、着弾すると同時に吹き飛んで倒れた。
「ぐぉおお…ッッ!?」
「コレで…ッ!!」
再びロインから通信が入り、最後のアドバイスが来る。
[今度はルミナスシューターへポインターモードとコールして下さい!そうすれば必殺モードへ変わります!!]
「解った…ルミナスシューター、ポインターモード!」
そう叫ぶと彼女の右足へルミナスシューターが装備され、足を振り上げると共にレーザーサイトが照射されると狙いが定まる。そして掛け出すと彼女は飛び上がって右足を思い切り突き出した。
「シルヴァニックゥウウ!!ジャッジメントォオオオッッ!!!」
白いエネルギーが彼女を包み込むとそのまま突撃する。対するリザードレイドは両手を突き出してそれを止めようと目論む。そして接触すると押し合いへと突入する。
「こんな…ヒヨっ子如きに…俺様が…負ける訳が…あああッッッ──!!?」
そして突き抜けるとホワイトルミナスの背後でリザードレイドが爆発四散し煙と炎が立ち昇った。
振り返ると彼女の足元に何かが落ちているのに気付く。それは赤い石の様な物、拾い上げるとそれを握り締めた。
「やったよ…私にも出来たよ…ブラックルミナス…!」
そう呟くと途端に歓声が湧き上がり、彼女へ向けてありがとうや助かった等の声が寄せられる。
振り返って上を見ると他の生徒らが顔や身体を乗り出して手を振っていた。ビクッとするも手を振りながら彼女は立ち去ると人気の無い場所で変身を解いて校舎の裏口から戻るのだった。
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「2人目、見つかったって本当!?」
カナは明るい笑顔でロインに詰め寄ると目をキラキラさせていた。
ケガもだいぶ良くなった事から今では顔に絆創膏を貼った位で済んでいる。今日は休日である事からカナは朝から自宅の秘密基地に入り浸っていた。
「見つかりましたよ、とっておきの子が!いやぁ…コレで暫くは安泰ですね。私も落ち着いて研究に没頭出来ますよ…それとコレありがとうございました。」
ロインがカナの前へ仮面ソニックのお面を置くと微笑み、受け取ったカナは静かに頷く。
「ロインさーん、2人目って…誰?」
「そろそろ此方に来ますよ。」
鼻歌交じりに彼女がコーヒーを飲んでいると外に備え付けているカメラに姿が映る。そして彼女が家の中へ入って来ると和室の戸がノックされ、ロインが迎えに行く。そして秘密基地のドアが開かれるとそこにアイリが立っていた。
「え…2人目って…三原さん!?」
ゆっくりとアイリが近寄るとカナも立ち上がり、向かい合った。
「…私が2人目の戦士、ホワイトルミナス。宜しくね、津上カナさん…ううん…カナ!」
「…!宜しくね…三原アイリさん…アイリ!一緒に戦おう、アンチテリアを倒す為に!!」
「ええ、勿論!」
雰囲気が変わったアイリを見てカナは嬉しく思っていた。こうして2人目の戦士、ホワイトルミナスこと三原アイリが加わった事で戦力の増加に成功したのである。
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異次元空間に存在する黒い城。
此処がアンチテリアの本拠地である。
厳つい鎧の人物が1人、椅子に腰掛けながら考え込んでいた。
「バッタレイド…エレキレイド…そしてリザードレイドも敗れ去った……。ブラックルミナスだけでなく…まさかホワイトルミナスも現れるとは…一体誰がこんな…ッ…!」
強めに拳を握り締める。
本来なら3枚目のカードを切らずとも楽に侵攻作戦は進んでいた筈だった。しかし切らざるを得なかった……それ程予想外の事態が起きているという事だ。
「…どうするの?リザードも死んだけど。」
「お前か…ふん、何だ戻っていたのか?事もあろうに勝手にブラックルミナスと戦いおって…!」
「…私はアンチテリアの一員では有るが、レイドリアンの仲間じゃない。あんな異種族と一緒にしないで欲しい。」
「ちッ…まぁ良い…。ライクリアエネルギーを奪う別の方法を考えるしか有るまい。人間の趣味や嗜好を狙ったとて埒が明かない。」
「好きには色々有る…趣味以外にも別の好きとか。それを使う気?」
「それは悪魔で最終手段だ…ブラックルミナス、そしホワイトルミナス…次はそうは行かぬ…!!次に送り込むレイドリアンはアイツにしよう…アイツならやってくれる…!!」
不気味に笑うキライザーの目が赤く光り輝いた。
アンチテリアもまた2人を倒そうと凡ゆるレイドリアンを送り込んで来る。地球に安寧の日が訪れるのはまだまだ先の話だ。