阪神側のホームで行われる開幕戦。
今回は都合的に甲子園球場ではなくドーム球場なのだが、それでも関西圏ということもあって、神奈川からしたら完全アウェーな環境だ。
しかも開幕戦でもあるから、双方のエースが登板する。
恐らく、ひとつのミスも許されない綱渡りのような投手戦となるだろう。
テレビ中継から見ていても、独特な熱が伝わってくる。
静けさの中にある熱狂。
阪神側のホームとはいえ、異様な盛り上がりを感じられる。
こちらの先発はもちろん昨季13勝6敗の若きエース、斉藤。
対して、阪神のエースはベテランだ。
昨季も安定した活躍をしており、30代半ばでもまだまだ衰え知らずのピッチングを見せる。
だからこそ、この開幕カードにおいて障壁となるのは、間違いなくその阪神のエースだろう。
昨季の阪神は強打者が三人ほど打線に並んでいたが、今ではひとりのみ。
ではふたりはどうしたかというと、ひとりはFA権を行使してパ・リーグの球団に移籍していたり、もうひとりは大怪我を負って離脱中である。
正直、この開幕戦での阪神打線は昨季ほど怖くはない。
しかし自慢の投手陣は健在で先発、リリーフどちらもかなりのものが揃っている。
今季の阪神は、恐らく守り勝つような野球を仕掛けてくるはず。
まあ要するに、投手力で抑えまくって押し潰そうとしてくるわけだ。
だが、こちらも負けてはいない。
1番の山田がバッターボックスに入る。
場内の雰囲気がさらに強張っていく。
山田に投じられた第一球。
それを、山田は強い当たりで弾き返した。
ボールはフェンスに直撃し、山田は二塁ベースにまで進出。
いきなり迎えた得点のチャンスに、思わず目を丸くする。
まさかハナから叩けるとは思っていなかった。
テレビに映し出された阪神ベンチに目を向けると、阪神監督が顔を強張らせていた。
続く2番小坂。ひとつヒットを打てるだけで得点できるこの場面。阪神の守備陣はバントを警戒しているみたいだ。
ワンボール、ツーストライクでの4球目。
小坂が外角低めのボールを二遊間へ弾き返した。
二遊間からセンターへ抜けていった隙に山田は三塁、小坂は一塁へ。
これで無死一・三塁となった。
初回から阪神のエースを打てているのはかなり大きい。
というか、昨季から活躍してはいたが、今年もかなりの活躍を期待できそうだ。
と、3番打者の高卒ルーキー、秋山がバッターボックスに。
ここで打てれば得点という状況で、秋山はなにかを見据えたように待ち構えている。
投じられた1球目。秋山は大きく振りかぶって。
快音とともに、ボールはレフトスタンドへ。
飛距離141mの、文句なしのスリーランホームラン。
秋山はホームベースを踏む直前、バク宙をして生還。
場内は歓声とどよめきで満たされていた。
一方、マウンド上の阪神のピッチャーはレフトスタンドを何度も見向いている。
あんなに飛ばせるのかとでも言いたげな表情だ。
だがまだノーアウト。このイニングは終わっていない。
バッターボックスには無精髭がトレードマークの4番、小笠原。
侍が刀を構えているような立ち姿のまま、小笠原はただただ相手投手を見つめる。
1球目、2球目を見送り、ツーボールとなって。
3球目、深く落ちる球が投じられた、次の瞬間。
小笠原はそれを軽々掬い上げるように、ライトスタンドへかっ飛ばした。
バットを放り投げ、悠々とベースを回っていく。
飛距離147m。豪快な一発だった。
阪神にとっては決勝点とされてもおかしくない、2者連続ホームラン。
それをまさか、あのベテランエースから打てるとは。
だが5番、6番、7番は普通に凡退。
上位打線がちょっとおかしかっただけのようだ。
9回裏、阪神の攻撃。
打順は7番から。その打者を斉藤はマウンドで待ち構える。
ここまで阪神打線を2安打だけに抑え込んでいる斉藤は、この7番を見逃し三振に切って取り。
8番打者を切れ味鋭いスライダーで空振り三振。
9番も楽々とストレートで空振り三振に討ち取り、ゲームセット。
阪神打線を完全に制圧していた、圧巻の完封勝利だった。
キャッチャーどうするべ、と現在悩んでます。