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6月に新外国人――リンディ・バースを獲得した神奈川は、早速その新戦力を見定めるため、彼を5番ファーストに配置。
初っ端からスタメン起用となったことを伝えると、驚愕したように口を開いていたが、直後に口角を上げ、
『期待に応えられるよう務めるよ』
と返していたので、心配は不要と見ていたが……。
バースの日本デビュー戦となった阪神との対戦カード。
そこでバースは、強力な阪神投手陣相手に大活躍。
1戦目ではいきなり来日初打席でヒット、その後も4打数4安打という安定っぷり。
2戦目では5打数3安打、3戦目では2打席連続ホームランを含む5打数4安打。
流石にここまでの活躍は予想できなかった。
当初は安物の外国人野手ということで『神奈川ブルーホエール、外国人獲得は貧乏くじか』などとメディアで揶揄されていたが、そのメディアも、今では清々しい手のひら返しでバースを称賛している。
7月のオールスターこそ出場は叶わなかったが、7月終了時点で打率.399、19本塁打、66打点。
こんな好成績を一ヶ月半とはいえ記録されたら、来季も期待しないほうがおかしい。
ちなみにだが、今年のオールスターゲームではツーアウト、ランナーなしの場面で、
『バース出せ! バース出せ! バース出せ! バース出せ出せ! バースを出せ!』
なんていうコールも聞こえたほどだ。
まあ確かにランナーなしのビハインドの場面、よくかっ飛ばしてチームを救っていたが、ここまでの愛されっぷりは度肝を抜いた。
サインには常に笑顔で応じる、怠慢的なプレーは一切しない、ファーストの守備でも怪我を恐れずライト線に飛び込んでいく……振り返ると、この外国人選手がファンから愛されるのも納得だ。
某フライドチキン店の創設者にもそっくりの髭がバースだとわかりやすいのもあるのだろう。
神奈川のホーム球場にはバース目当ての客も現れるほどだ。
一部ではすでに『神様仏様バース様』と、俺には聞き覚えしかない言葉すら出回っている。
8月になり、夏がさらに深まってきても、神奈川打線の勢いは衰えることがなかった。
特にバースに関しては、バテるどころか調子を上げてきている。
8月の最終盤では4打席連続ホームランを放つなど、とにかくホームランを生み出しまくった。
三振数も非常に少なく、8月に喫した三振はわずか11個と、さらっととんでもない記録も残している。
その無双っぷりのせいである解説者からは、
「あの打者を討ち取るなら、徹底的に打ち損じを狙うしかありませんね」
などと苦笑されてしまった。
またバース本人も、
『160km/hより上の球以外なら、なんでも受けて立つよ』
と言い張っていたから、よほど選球眼に自信があるのだろう。
よく考えなくても、とんでもない化け物を獲ってきてしまった、と笑みを深めるばかりだ。
神奈川の大活躍を尻目に、俺自身はというと、外国人選手の次は今年のドラフトでの指名選手の絞り込みだ。
今年はやたら高卒ルーキーが豊作だ。夏の甲子園が大盛況だったと耳には入れていたが、スカウトの報告書を纏めてみて、納得するしかない。
ドラフトで間違いなく上位指名される選手をひとり挙げるなら、
夏の甲子園こそ最後の最後に相手エースにサヨナラタイムリーを食らい、涙を呑んだものの、その実力は非常に高く評価されている。
他にも有力選手は多数いて、もう挙げきれないぐらいだ。
正直、今までにないくらい頭を抱えている。
7月にある
幸いなのは、その捕手が他球団からほとんどノーマークなこと、またどの指名順位でもよさそうなことか。
「あれは指名確定として、どうしたらいいんだ……」
スカウトの報告書には他にも広島、大阪、奈良などに有力そうな選手がいるとのことで、ここらの調査を推奨している。
さてどうするか。
ドラフトまでの日程が、遥か遠い日のようだった。