魔国の守護獣   作:アキ1113

14 / 14
 今回は前回の続きで、オーガたちの名付けの話をやっていきます。

 それでは、どうぞご覧ください。


第14話 オーガたちの進化

 

 side:リムル

 

 宴会の翌日、俺は宛がわれたテントの中でオーガの若様を見据えていた。そして……

 

 「オーガの一族は戦闘種族だ。人に仕え、戦場を駆けることに異存はない。主が強者ならなおのことだ」

 

 そう言って俺の前に膝を突いた。

 

 「昨夜の申し出、承りました。我らオーガ一同、貴方様の配下に加わらせていただきます」

 

 「……分かった。他のオーガたちをここに呼べ」

 

 「はっ!」

 

 そう返事をした後、若様は仲間を呼びにテントの中から出ていく………もっと、こいつの気持ちを汲んでやるべきだったか……今すぐにでも敵を討ちたいところを、その気持ちを抑えて仲間のためにこの決断をしたのだろう。俺にしてやれることは、この選択を悔いのないようにしてやることだけだ……。

 

 『リエン、今から俺のテントに来れるか?』

 

 『いいけど……何かあるの?』

 

 『オーガたちが配下に加わることになってな?これから名付けをするから、お前にはそれの見届け人になってほしいんだけど……』

 

 『なるほどね……分かった。すぐに行くよ』

 

 俺はリエンを思念伝達で呼んだ。それから少しして……

 

 「リムル様、失礼します」

 

 オーガの若様が他の仲間を連れてテントに入ってきた。

 

 「少し待っててくれ、リエンも来るからさ」

 

 「リエン様も?」

 

 すると、数秒もしない内に……

 

 「リムル、お待たせ」

 

 『!?』

 

 俺の後ろから、突然リエンが現れたのだ。

 

 「お前、一体どこから……?」

 

 「霊体化して来たんだよ。これならわざわざ遠回りする必要もないしね」

 

 霊体化……スキルの名前らしいけど、今のは多分テントの幕をすり抜けてきたのだろう……というか、リエンって俺に隠し事が多い気が―――おっと、今はそれよりも……

 

 「気を取り直して……配下となった証として、お前たちに名をやるよ」

 

 『!?』

 

 俺の言葉に、オーガたちは驚いたような表情をする。

 

 「俺たちに、名を……?」

 

 「お、お待ちください!名付けとは本来、危険な―――」

 

 「大丈夫だって」

 

 姫様の心配は最もだが、名付けで魔素を消費し過ぎるとスリープモードになることは既に分かっている。それに、今回は今までよりも数も6人と少ない……つまり、心配する要素は何もないのだ!

 

 「それとも、俺に名を付けられるのは不満か?」

 

 「!そ、そういう訳では―――」

 

 「異論はない」

 

 「お、お兄様!?」

 

 「ありがたく頂戴する」

 

 どうやら話はまとまったようだ。

 

 「じゃあ、見届け人もいることだし、早速始めるぞ」

 

 実を言うと、見た時から付ける名前は決めていたんだよな。さて……

 

 「お前は―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side:リエン

 

 配下となるオーガたち6人に名付けをしたリムルであったが、それをした直後にスリープモードになってしまった………僕は見届け人として、オーガたちの名付けに立ち会っていた。今回は6人だけだから、スリープモードとかの心配をする必要はないと思っていたんだけど……。

 

 《解。名付けには、個体に見合った量の魔素を消費します。》

 

 見合った量………オーガはゴブリンよりも格上の魔物だから、6人だけの名付けで全ての魔素を持っていかれてってこと……?

 

 《解。その通りです。》

 

 そういうことか………完全に想定外だったな……。

 

 「り、リムル様!?」

 

 突然スリープモードになったリムルを見て、驚くオーガたちだったが……

 

 「大丈夫、魔素を消費して寝てるだけ。3日したら目が覚めるよ」

 

 「そ、そうなのですね……」

 

 僕がリムルを持ち上げながらそう言うと、すぐに落ち着いてくれたようだ。

 

 「それよりも、今日はみんな休んだ方がいいよ。多分だけど、進化すると思うから」

 

 リムルに名付けられた魔物たちは、基本的に進化してきた………オーガたちも、これから進化を遂げるのだろう。

 

 「分かりました。では、俺たちはこれで」

 

 そう言って、オーガたちは自分たちに宛がわれたテントへと戻っていくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 リムルがオーガたちに名付けた翌日、いつものように弓の鍛錬をしていた僕は、思念伝達でリグルドに呼ばれ、リムルのテントへと来ていた。そこには………

 

 「!リエン様……!」

 

 オーガから進化した鬼人たちが待っていた。名付けられた影響か、全員の容姿が大分変化していた。オーガの頭領が紅丸、姫様が朱菜、紫髪が紫苑、青髪が蒼影、白髪が白老、黒髪が黒兵衛と名付けられている………一体、何の用だろう……。

 

 「どうかしたの?リムルはまだ目覚めてないけど」 

 

 僕がそう訊くと……

 

 「リエン様、改めてご挨拶を」

 

 「あ、うん……」

 

 あぁ……配下になった挨拶的なものかな。そういうのは、僕よりもリムルに言ってほしいんだけど。

 

 「この度、リムル様より名を承りました。ベニマルと申します」 

 

 「……うん、よろしく」

 

 そうして他の鬼人たちからも同じように挨拶された………クロベエはオーガの里でも鍛冶師をやっていたらしく、ベニマルたちの刀もクロベエが作ったものらしい。もしかしたら、僕の刀も打ってもらえるかもしれない……まぁ、僕の刀は最後になるだろうけど……。 

 それに加え、ハクロウはオーガの里で鬼人たちを鍛えていたという………もし、ハクロウの剣術を教えてもらえるとしたら、もっと―――

  

 「リエン様」

 

 「!どうかした?」

 

 「昨日は、我らの名付けを見届けてくださり、ありがとうございました」

 

 そんなベニマルの言葉に続いて、鬼人たちは頭を下げた。

 

 「大袈裟すぎだよ……僕はただ、見ていただけだから」

 

 「それでも、主の一人にそれを見届けてもらえることは、ありがたいことなのですよ?」

 

 「そう……なんだ……」

 

 鬼人たちも僕のことを『主』と………一応、鬼人たちにも言っておこうか。そう思った僕は、6人に目を向け……

 

 「あらかじめ言っておくけど、僕は君たちの主というわけじゃない。でも、リムルと同じようにオークたちを討ち果たすのに協力する……それまでは、どうかよろしく頼むよ」

 

 『はっ!』

 

 そう告げておくのだった……。 

 

 「………僕とは違って(・・・・・・)、敵を討てることを願っているよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side:リムル

 

 オーガたちに名付けをしてから3日後、俺はスリープモードから目を覚ました。そこにいたのは、オーガから進化を果たした鬼人たちだった………ほとんどがイケメンや美少女、美女、ロマンスグレーになっていたのには驚いたが……。

 目覚めた俺は、鬼人たちにそれぞれ役割を与えた。ベニマルには、リグルたち警備隊と一緒に街の警備を、ソウエイには、隠密が得意だということなので、街の周囲の偵察を任せた。シオンには、俺とリエンの手伝いをしたいとのことだったため、秘書兼護衛の役割を与えた。ハクロウには、里でベニマルたちを鍛えていたということなので、剣術の指導役を任せ、クロベエには、オーガの里で鍛冶師をしていたということなので、カイジンたちと一緒に武器製作などをしてもらうことにした。そして……

 

 「もうこんなに出来て……流石だな!」

 

 「あっ!リムル様!」

 

 俺はシュナのいる工房へと訪れていた。シュナには織物などの製作と、ゴブリナたちへの指導も頼んだ。

 

 「いらして下さったのですね?」

 

 「あ、あぁ!衣類の製作は順調そうだな?」

 

 「はい!カイジンさんたちが作ってくれた織機のお陰です!」

 

 なるほどな……流石はうちの職人たちだ。

 

 「あっ、ところで……シオン、リムル様とリエン様のお世話は、ちゃんと出来ているのですか?」

 

 「えぇ、もちろんです」

 

 実際シオンは、俺の与えた役割の秘書兼護衛をしっかりとこなしてくれている。すると……

 

 「そうですか……シオン?私がリムル様とリエン様のお世話をしてもよいのですよ?」

 

 「いいえ姫、それには及びません」

 

 何故か張り合い始めたのだ………あ、ちょっと、引っ張らないで……!

 

 「さてリムル様、そろそろ行きましょうか。お昼が冷めてしまいます」

 

 「っ!?」

 

 「それに、リエン様も呼びに行きませんと」

 

 「そうだな……じゃあ、また来るな?」

 

 「!は、はい、お待ちしております……」

 

 そう言って、シオンは俺を抱えてシュナのいる工房を後にしたのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 side:リエン

 

 リムルがシュナの工房を訪れる前、僕はいつものように弓の鍛錬をしていた。すると……

 

 「……」

 

 「お見事ですな」

 

 「!ハクロウ……」

 

 僕の後ろから、ハクロウが現れたのだ。

 

 「いや……僕なんてまだまだだよ」

 

 それこそ、師匠に比べたら―――

 

 「御謙遜を……」

 

 「いや、謙遜してるつもりは―――」

 

 「儂は若たちよりも長く生きてはきましたが、リエン様ほどの弓の使い手は、今まで見た事がございません。もっと、自信をお持ちください」

 

 「あ、ありがとう……?」

 

 事実を言っただけなんだけどな……。

 

 「えっと……ハクロウは、何でここに?」

 

 「儂もリエン様と同じですぞ。まだ進化して日も浅いですからな」

 

 どうやらハクロウも、僕と同じように鍛錬に来たみたいだ………よし。

 

 「……ハクロウ、頼みがあるんだけど」

 

 「頼み、とは……?」

 

 そして、僕は……

 

 「僕に、ハクロウの剣を教えてくれないかな」

 

 ハクロウに向かい、剣を教えてほしいと頼む。

 

 「それはもちろん構いませんが……リエン様は、弓を主な武器としているのでは?」

 

 「そうだね………もちろん、弓が一番得意だけど……僕は、もっと強くならなきゃいけない。だから剣の腕も、もっと磨きたいんだ」

 

 強くならないと、またあの時みたいに失うことになる………そんなの、二度と―――

 

 「承知致しました。このハクロウ、リエン様にお力添えしましょうぞ」

 

 「!……ありがとう」

 

 「では一度、リエン様の実力を見せていただけますかな?」

 

 「分かった……よろしくね、先生」

 

 「ほっほっほ………では、どこからでもかかってきなされ」

 

 こうして僕は、ハクロウに剣を教えてもらうことになるのだった……。

 

 

 

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。

 今回は、リエンがハクロウの弟子になりました。ここからどのように、リエンは強くなっていくのか……。

 それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。