魔国の守護獣   作:アキ1113

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 今回は、リムル視点から始めていきます。タイトル通り、今回はあのキャラと出会います。

 それでは、どうぞご覧ください。


第3話 脱出と最初の出会い

 

 side:リムル

 

 俺の名はリムル=テンペスト、一匹のスライムである。実は元人間の転生者で、通り魔に刺されて死んで、気が付いたらスライムに転生していた。そんな俺は、現在……

 

 (水刃!)

 

 俺とヴェルドラの弟となったリエンと共に、洞窟の出口を目指して進んでいた。

 

 (よし、捕食!)

 

 俺は手に入れたスキルの水刃で魔物を倒しまくり、それを捕食者で捕食することでどんどんスキルを獲得していた。一方で…… 

 

 (!左右から一体ずつ来るよ)

 

 (了解だ!)

 

 リエンは索敵を担当してくれていた。俺も魔力感知を持っているので、索敵はできるのだが………リエンの方が魔物を早く見つけ、こうして俺に知らせてくれている。どうやらリエンは『霊眼』という特殊な目を持っているらしく、ヴェルドラ曰く魔力感知のようなスキルらしい。その精度は魔力感知と同等かそれ以上らしく、俺としても戦いの方に集中できるので、とても助かっていた………が、当の本人は…… 

 

 (……) 

 

 何故か浮かない顔をしていた……。

 

 (……さっきから黙り込んでいるけど、どうかしたのか?)

 

 (!いや……何だかリムルに戦闘を任せきりにしてるなって……)

 

 あぁ……なるほどな……。

 

 (兄が弟を守るのは当然なんだから気にするな!むしろこっちも、索敵してくれて助かってるぞ)

 

 (!そ、そう……)

 

 俺がそう言うと、リエンは少しばかり戸惑った反応をしていた……。

 

 (でもせめて……武器か何かがあれば……)

 

 (?前世で何かやってたのか?) 

 

 (うん、剣術と弓術……あとは体術もね)

 

 なるほど、それが使えれば……なら、早く武器を持たせてあげないとな。それに本人が体術を使えるとは言え、いつまでも丸腰というのはこっちが心配になる………それに加え、リエンは男だというが外見は獣人の美少女だ。兄としては、そっちの心配も―――

 

 (あのさ、次は僕にやらせてくれない?少し試したいことがあるんだ)

 

 (えっ?それはいいけど……危ないと思ったらすぐに逃げろよ?)

 

 (分かってるよ)

 

 リエンは何かを思いついた様で、次に遭遇した魔物を自分が倒すと提案してきたのだ………正直、リエンが戦うところを見たことないから心配だが、経験は必要だろう………まぁ、俺がここまで率先して戦ってきたというのもあるが………その時、

 

 (!……来た)

 

 (これは……!)

 

 俺たちの前に、大きい蜘蛛の魔物が現れた………そしてその蜘蛛は俺の方を見た後で、リエンを視界に入れる。すると、すぐさま反応して襲いかか―――って、何か俺の時よりも魔物の反応が早くね!?

 

 (リエン!避け―――)

 

 俺は蜘蛛に向かって水刃を放とうとするが……

 

 (……風刃)

 

 (!)

 

 それより前に、リエンが冷静に手から風の刃を放つ……それは向かってきていた蜘蛛へと命中し、蜘蛛はリエンに攻撃を当てる前に、真っ二つに斬られていたのだ。

 

 (リエン!けがはないか?)

 

 (うん、全然平気だよ)

 

 それにしても、何で急に魔物の動きが………ん? 

 

 (なぁリエン、それっていつ覚えたんだ?)

 

 (!えっと………リムルの水刃を見て(・・)覚えた後にね)

 

 (え?俺の?)

 

 み、見て覚えた……?一体どうやって……

 

 《解。個体名:リエン=テンペストの所持するスキルによるものと推測。》 

 

 リエンのスキルといえば……霊眼のことか………!もしかして、俺が捕食をしてスキルを獲得するのと同じように、リエンは霊眼で見ることによって、スキルを獲得しているってことなのか……?

 

 《可能性としては高いと推測。なお、先ほどの攻撃から、個体名:リエン=テンペストは風属性の魔法への適性が高いと見られます。》

 

 なるほど、だから水刃からあのスキルを派生させて………てことは、魔物を解析すればリエンにそのスキルを獲得させることができる……?

 

 (!リエン)

 

 (?どうしたの?)

 

 (お前ってもしかして………目で見てスキルを手に入れてたりしてるのか?)

 

 (!うん、まぁ……ね)

 

 やっぱりか……。

 

 (それって魔物とかも見たら、スキルを獲得できるんじゃないか?俺もすぐには捕食しないようにするから、試しにやってみろよ) 

 

 (!うん、そうさせてもらうよ)

 

 その後は、俺とリエンで魔物を倒していき、見たり捕食したりを繰り返しつつスキルを手に入れているうちに……… 

 

 「ワレワレハ、ウチュウジンデアル」

 

 「!喋れるようになったんだ」

 

 蝙蝠の魔物を捕食したことで獲得したスキルで、俺は発声出来るようにもなったのだ。そして、リエンも……

 

 「……」

 

 「……」

 

 「っ!」

 

 「おぉ!命中だ!」 

 

 俺と同じく魔物のスキルも順調に手に入れていたが、他にも風を操るスキルや風を思い通りの形に変化させるスキルを手に入れた様で、今は風を弓の形に変えて蝙蝠の魔物を倒したところだ。

 

 「それにしても、見事に急所だな……」

 

 「でも、もっと精度を上げないと……」

 

 そんなことをしながら、洞窟の中を進むこと数十日………

 

 「おっ?」

 

 「これって……」

 

 俺たちの前に、巨大な扉が現れた………これがおそらく……!

 

 「さて、どうするか……」

 

 すると、リエンが扉に近づいていき……

 

 「じゃあ、僕が試しに―――!」

 

 「えっ?ちょ――」

 

 開けようとしてくれたが、何かを感じたのか急に俺を抱えて岩陰に隠れたのだ。

 

 (り、リエン……?)

 

 (……)

 

 それから十数秒後……

 

 ((……!))

 

 「ふぅ、やっと開きやしたぜ……錆びついちまって鍵穴までボロボロでやす」

 

 「仕方ないさ。300年もの間、誰も中に入ったことがないんだろう?」

 

 「いきなり襲われたりしないですよね……まぁ、いざとなればエスケープ使いますけど……」

 

 扉が開き、3人の人間が洞窟の中に入ってきたのだ………身なりからして、冒険者か……?

 

 (……)

 

 (リエン?大丈夫か?)

 

 (……)

 

 (リエン……?)

 

 ……リエンがさっきから黙り込んだままなのが気になるが、一体どうしたんだ……?っていうか俺、何で異世界の言葉が分かって―――

 

 《解。意志が込められている音波は『魔力感知』の応用により、理解可能な言葉へと変換されます。逆に思念を乗せて発声すれば会話も可能です。》

 

 おぉ!あ……でも俺、今スライムだし……話し掛けてもいきなり攻撃されるんじゃ………それにリエンもいるし、人間とは是非話してみたいが、ここで出ていくのは止めた方がよさそうだ。

 

 「じゃあ、あっしの隠密技術を発動させやすよ」

 

 (……?)

 

 1人の男がそう言うと……

 

 (おぉ!)

 

 3人の姿が消え、そのまま洞窟の中へと進み始めたのだ。あのスキル『隠密』って言ってたっけ………にしてもけしからん!後で友達になる必要が―――っと、そろそろ……

 

 (リエン……リエン?)

 

 (!)

 

 (大丈夫か?)

 

 (うん、大丈夫だけど……)

 

 (ならいいけど……さぁ、早く外に出ようぜ!)

 

 (……うん、分かった)

 

 リエンはそう返しながらも、俺を抱きかかえたまま駆け足で外に出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから俺たちは森の中を進んでいったが……

 

 「……平和だな」

 

 「まぁ、洞窟の中と比べたらね」

 

 洞窟の中のように魔物に遭遇することもなく、平和に進んでいた。すると……

 

 『……』

 

 (?あれって……)

 

 そこで、緑色の肌をした人型の魔物に出会った………あれは……ゴブリンか……!

 

 「つ、強きものよ!」

 

 「「?」」

 

 「この先に何か、用事がおありですか?」

 

 その集団の先頭にいる頭にバンダナを巻いたゴブリンに、そう話し掛けられる……。

 

 (強きもの……?リエン、何のことか知ってるか?)

 

 (いや……僕にも何のことだか―――あ)

 

 (何か分かったのか?)

 

 (多分……リムルのことだよ、それ)

 

 「え?俺?」

 

 俺は思わず声を出して驚く。

 

 「……俺?」

 

 「!」

 

 ……何だか先頭のゴブリンも頷いてるし………そうだ!確か思念を乗せて発声すれば……

 

 「えーと!初めまして!」

 

 『っ!?』

 

 「俺は!スライムの!リムルと言う!」

 

 「ちょ、リムル声抑えて……!」

 

 「えっ?」

 

 「つ、強きものよ!あなた様のお力はよく分かりました!どうか声を鎮めてください!」

 

 「あ……」

 

 ふむ……思念が強すぎたのか。なら……

 

 「で、俺に何か用?」

 

 今度は思念を弱めて発声してみる………今度は大丈夫そうだな。

 

 「はい、強力な魔物の気配がしたので、警戒に来た次第です」

 

 強力な魔物の気配……?

 

 「そんな気配、俺は感じなかったけど……?」

 

 「御冗談を!そのようなお姿をされていても、我々は騙されませんぞ!」

 

 「……」

 

 やっぱリエンの言う通り、俺のことを言っているみたいだ……。

 

 「強きものよ。あなたを見込んでお願いがあるのですが……」

 

 「……?」

 

 「そちらのお方も、どうぞご一緒に」 

 

 「あ、はい……」 

 

 こうして俺たちは、ゴブリンたちの村へと案内されることになるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。

 以下が、今回リエンが獲得したスキルです。



 風刃:水刃の風属性版のスキル。

 風操作:文字通り、風そのものを操るスキル。風刃の軌道を変えることも可能。

 風変化:風を様々な形に変化させるスキル。剣や弓、他にも様々な形に変化させることが可能。



 次回からはまた、リエン視点に戻っていきます。

 それでは、次回の話もよろしくお願いいたします。

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