夢叶って画家になれた転生主は、ともかくブルアカ本編に関わりたくない 作:木暮鬼一
「それで、作戦はどうするの?」
数名の社員がトラックに積み荷を運んでいる光景を眺めながら、鬼方カヨコはスカートのポケットに手を突っ込みそう口にします。
それに対し栢間エスミは肩をすくめながら自信なさげに返事を返しました。
「ひとまず、典型的な囮作戦を試してみようかな」
「つまりわざとトラックを襲わせるの?」
「私たちは向こうの事よく知らないからね。どんな襲撃をしてくるのか、どれくらいの人数構成なのかもサッパリ分からないし。せめてどう襲撃して来るのか把握しないと対応は難しいと思う」
「まあ、それもそうだね」
「鬼方には申し訳ないけど、場合によってはきつい銃撃戦を覚悟してほしいかな」
囮作戦ということで実際に積み荷を載せているトラックを襲わせる訳ですから、被害を食い止めるためにエスミとカヨコがそこに介入するのは必然。
とはいえ圧倒的な人数差を前にして無謀にも正面から戦いを挑むわけにはいきませんし、相手がどれほどの数で襲撃してくるのか慎重に判断する必要があります。ブルアカ本編では大変有能なカヨコですが今はまだ高等部1年生です。その実力は確かなものですが、あまり過信してはなりません。
エスミは心配そうな表情でカヨコに視線を送りますが、対してほぼ表情に変化のないカヨコは小さく息を吐きました。
「私の心配よりエスミは自分のことを考えたら? 右手が不自由な分、利き手じゃない方の左手で銃を扱って大人数を相手にするのはあまりにも無謀だし、いざという時は私に全て任せて何処かに隠れていて良いから――」
「それは駄目」
彼女の言葉を途中で遮り、エスミは強く拒否します。
「これは全て派閥争いに夢中なトリニティの連中が始めた問題で、今回ゲへナは被害者なんだから君だけが無理をする必要は全くないよ。騒動の火種を付けたトリニティ総合学園に通う1人の生徒として、その火消しをする義務が私にはある。それに、大好きな美術を汚す行為をこれ以上黙って見ているつもりは無いから」
「……そっか。エスミらしいね」
美術という分野に対するエスミの異常なまでの愛は、あの5日間の出会いで十分理解しているカヨコ。
他の生徒との交流を積極的に深めようとはしない彼女が、こうして自らカヨコに手助けを乞い、しかも忌避しているトリニティの派閥争いに介入しようとしているのです。好きではなく〝愛〟という強い想いを抱かない限り、これらの行動は起こせない事でしょう。
ハッキリ言って、エスミの美術愛はやはり狂っていました。
(たった5日間の出会いなのに、そんな彼女に躊躇いもなく手を貸す私も人の事は言えないけどね)
強烈な出会いをした訳でもなく、運命的な繋がりがあった訳でもない。
ただスケバン集団に絡まれていた彼女を勘違いから助け出し、それをきっかけに不安から5日間だけ行動を共にしただけの仲のくせに、彼女からの助けにあっさりと了承したカヨコもある意味では狂っていると言えるのかもしれません。
それこそ2人が所属している学園は未だに相容れないゲへナとトリニティです。
双方の生徒が仲睦まじく一緒にいるだけでも貴重と言える中、今度は共に協力し合うというのですから、周囲の者が聞けばまず『本当か?』と疑いたくなることでしょう。
生憎とカヨコ自身はトリニティに対する嫌悪感や拒絶反応は無に等しく、助けを乞うてきたのがエスミで無かったとしても引き受けた可能性は正直あります。
しかしそれでもカヨコにとって、あの短い5日間を共にしたエスミの存在は少々特別でした。
「エスミ。貴女の覚悟はちゃんと受け止めたけど、それでも身体に問題を抱えているのは事実なんだし、もしもの場合は貴女を守ることを最優先にするからね?」
エスミに近寄りその問題を抱えている右手に触れたカヨコは、そのまま彼女の右手を優しく握ります。
「だから危ない時は躊躇わず私を呼んで。1人で身勝手に行動もしないで。このゲへナ自治区にいる以上は、ゲへナ学園の生徒として客人の貴女を傷一つ付けないでトリニティに帰すから」
「……私、こう見えてお姫様扱いは嫌いなんだけどね」
「なら今回だけは我慢するしかないね。いつか、私に守る必要を感じさせないぐらい立派に成長してくれたら、考えてあげても良いけど」
「それはなんと言うか……君みたいな腕利きを納得させるのは中々骨が折れそうだね」
微笑して握られている右手にそっと力を籠めるエスミでしたが、やはり握力が低いのは事実のようで強く握られても全然痛みを感じません。よくこれで面倒ごとに首を突っ込めるなと内心で呆れつつ、それだけ今回の件には憤りを覚えているのだろうとカヨコは納得しました。
「……そろそろ積み荷の搬入が終わりそうだし、私たちも準備しようか」
エスミの言葉に釣られて視線をトラックに向けてみれば、確かにあと数分もしないうちに積み荷は全て詰み終わりそうです。
そっとエスミの右手を手放したカヨコは『ちなみに私たちの準備って?』と疑問の声を上げると、タイミング良く彼女の胸元に大きな紙袋をエスミに押し付けられました。
「……なに、これ?」
「変装するための服だよ。鬼方ってゲへナ学園の制服を着ているけど、出来ればお互い学園の存在は相手にバラしたくないからね。最悪、感付かれて逃げられる可能性もあるし」
「ああ、なるほど。それでエスミも以前と同じ格好ってわけなんだ」
「そういうこと。ちなみにその服は必要経費として私が勝手に調達したものだから返さなくて結構だよ。鬼方のその目立つ角も隠せるように私なりに考えた服だけど、良さそう?」
「へえー。エスミが私のために考えて買ってくれた服か……うん、良いね。そのうち私もエスミの為に服を選んであげるよ」
「……出来れば庶民向けの服でお願いします」
「むしろ庶民向けの服しか知らないんだけど?」
流石に富裕層向けの洋服からは離れたいのか、生涯の頼みと言わんばかりに顔をしかめて懇願するエスミでしたが、割と普通の女子高校生らしい価値観しか持たないカヨコは困惑した反応を返すのでした。
《1―2》
「目標捕捉。ターゲットまでの距離、およそ4キロ」
「分かった。よし、各自準備しておけ」
ここはゲへナ自治区から少し離れた郊外。
主に物資や人員をメインに輸送する為に作られた道路がポツンと存在し、あとは何もない荒野だけが広がるこの大地で、銃器で軽武装した集団が何かを待つようにして道路傍で固まっていました。
ところで彼らはみんなして同じ顔をしており、背丈も体格も同じと言うやけに不気味な存在感を放っているのですが……何てことはありません。ブルアカ本家で嫌と言うほど見慣れた、単なる汎用NPCの外見をした大人達です。
ゲームのNPCと多少違うのはスーツ姿ではなくジャケットやジーンズといった格好をしているぐらいで、後はゲームの方と大して変わりはありません。手にはサブマシンガンであったりショットガンであったりと統一感は全くなく、リーダー格と思われるNPCに関しては肩パッドまで付けているので、場所が場所だけに世紀末を感じさせる集団でした。
もっともそんな雰囲気を丸出しにしている彼らがただのコスプレ集団である筈がなく、ここ近年ゲへナ自治区内外で数多の企業の積み荷トラックを襲撃しては金品と商品を強奪するという犯罪を平気で犯しているヤバい集団です。
そして今日、いつもと同じく画材メーカーの積み荷トラックが向こうからやって来たのを確認し、全員で10人以上はいるジャケット集団はそれぞれ襲撃準備に取り掛かりました。
ハッキリ言ってトラック一台を襲うにしては過剰戦力ですが、犯罪に事細かく決められたルールがある訳ではないので関係ありません。
「リーダー。今回のトラックですけど、何か余計なのが付いてますね」
「どういう意味だ?」
「トラックの100メートルぐらいの後ろに車が一台付いてます。一般車にしてはトラックを追い越しする気配も見せないので何だか妙ですね」
「確かに、妙だなそれは」
リーダーは表情を険しくさせて手元にあるタブレットを覗き込みます。
その画面には、ここから十数キロ離れた所にある物資を一時保管する物流センターが表示され、そこを中心としてあらゆる自治区に繋がる道路が集結していました。
また道路の一つ一つに色付きのマーカーがされており、まるで地下鉄路線図を眺めているような気分になりながらリーダーはタブレットを凝視しました。
「……タブレットで確認してみたが、あのトラックが走っている道路は一本道だ。このまま一般車が追い越したところで行き着く先は物流センターしかねぇ。一般車が物流センターに行くとは思えないな」
「……じゃあ、あの車両はただの一般車じゃ無さそうですね」
「あのトラックのメーカーが襲撃に備えて用意した警護車両ってところだな。トラックの後ろを走っているのは少し気がかりだが、ガトリングでも積んで無いなら俺たちの武装でも十分追い払えるだろう」
「そうですね。望遠鏡で見たところ目立つ武装は無いですし、乗っているのは少女達だけみたいです」
少女、という単語を聞いてリーダーは眉をひそめます。
「おい、そいつらの格好は? もしゲへナの風紀委員会だったら少し面倒になるぞ。最悪逃げるに限る」
「人数は2人ですね。格好はこの距離だと少し判別は難しいですけど、どっちもゲへナの服は着てないです。どっかの学園の子ですかね? 運転席にいるのはやけに清楚っぽい見た目をしていて、助手席にいるのはパーカーを着込んでます」
「一般車に見えるよう変装のつもりかもしれないが、あのちびっこいゲへナの風紀委員会共がそんな両極端すぎる変装が出来るとは思えないな……お前の言う通り他の自治区から雇った傭兵か何かだろう」
ひとまずゲへナの風紀委員会が絡んでいる訳では無いと分かってホッとしたようで、リーダーは部下に『よし計画通り始めるぞ』と指示を出しました。部下は『了解です』と応えて片手を大きく上に上げると、彼らの背後で数台のバイクと1台のバンがエンジン音を震わせます。
「トラックまでの距離残り1キロ。タイミングはいつでもどうぞ、リーダー」
「よし、俺の合図をきっかけにバイクの班はまずトラックのタイヤを破壊しろ。タイヤを破壊してトラックを止めたら、後ろの車両の足止めに専念して時間を稼げ。俺とバンの班はトラックを止めたら運転手の動きを封じて、急いで積み荷を強奪するぞ。依頼人から高額の報酬は出るがせっかくだ、小遣い稼ぎとして現金も頂く。金庫らしいものがあれば、それも強奪だ」
リーダーは一台のバイクにまたがり、サブマシンガンを手にするとエンジンを大きく震わせました。
「いいか、いつもと同じでこれは時間との勝負だ‼ 面倒なゲへナの風紀委員会が到着する前に依頼人から指示されているモノは全て奪うぞ‼ 準備は良いかお前ら!?」
「「「オオオー‼」」」
先ほどから双眼鏡を手にトラックを確認していた部下も気付けばバンに乗り込んでおり、手には武器を持ってリーダーの掛け声に応えていました。
そして彼らのいる位置から目視でトラックの姿が見えるようになると、リーダーはバイクを発進させます。
「さあ奪うぞ者共ー‼」
道路の傍に待機していた彼らはリーダーの叫びと共に一斉に車道に乗り上げると、全速力でトラックへと突っ込んでいきます。
このような周囲に何もない荒野のど真ん中で現れたバイク集団(おまけにバン)を前にしても、トラックの運転手は特に慌てることはなく車両を停めずに走らせました。体当たりでもする気なのか進路方向を変える素振りすら見せません。
普通なら危険を察知して進路を変えたりスピードを早めたりするのですが、背後に控えている車両の助けをあてにしているのか特にアクションを起こさないトラックに変な疑問を抱きつつ、リーダーは片腕を上げて『やれ‼』と強く叫びます。
するとバイク数台がそのまま速度を上げてトラックに突っ込んでいくと、それぞれ手に持っているソードオフショットガンの銃口をトラックのタイヤに目掛けて発砲しました。何度も似たような手口で襲撃を行っているせいか、手慣れた彼らの射撃はものの見事にタイヤに命中し、あっという間に4輪全てが破壊されました。
そうなるとハンドルによる制御が全く難しくなるため、運転手はトラックが横転しないようブレーキを徐々にかけながら緊急停止させます。これでトラックはもう走れなくなりました。
後はリーダーの指示通り、背後に控えている車両へと攻撃のターゲットを切り替えたバイク班はそのままショットガンを撃ち始めます。車両は窓ガラスが割れるなどの損害を受けましたが、こちらはタイヤが破壊される前に車を停めており、乗っている2人の生徒がすぐに応戦を始めます。
とはいえ多勢に無勢とはこの事で、バイク班の撃退に苦労しているのが見えました。
「よし、それぞれの足止めに成功したな‼ ここからが時間との勝負だ、お前ら急げ‼」
さあ残すはトラックに積んでいる画材の強奪と、ついでに現金を頂く任務です。
リーダーは停まっているトラックの前でバイクから降りると、サブマシンガンを運転席に向けながら降伏を促しました。当然、武器を持たない運転手は言われた通り両手を上げたので『鍵を寄越せ』と続けて命令すると、運転手は素早い動きで後ろのリアドアの鍵を手渡してきました。
彼は受け取った鍵を一瞥し、そのままバンから降りてきた部下にそれを渡します。
「余計な手出しをしてこないよう運転手の方は俺が見張っておく。お前らは急いで中の積み荷を奪え」
「分かりました」
部下はバンから降りてきた数名の仲間を引き連れると、未だに車両との激しい交戦を続けているバイク班に視線を向けながらトラックの後方へと移動します。
そしてしっかりとロックの掛けられているリアドアに辿り着いた部下は、仲間たちに積み荷の画材をいれる袋を用意させ、自身は武器を片手に鍵をリアドアの鍵穴に力強く差し込みました。
カチャッ、とこの荒野に響く甲高い銃撃音に比べれば遥かに小さい音が耳に届き、獲物とのご対面を間近にして部下はつい笑みを零しました。
「さあ開い――ぐばっ‼」
だがその笑みは一瞬にして強い衝撃と共に崩れるのでした。
彼の傍にいた仲間たちは一瞬何が起きたのかと驚愕しましたが、簡単な話……リアドアが開いたのです。
ですが彼が開けた訳ではありません。唐突に中から蹴り飛ばされたのか勢いよくリアドアが開かれ、鍵を差し込むためドアの至近距離にいた彼はその扉の衝撃をもろに顔面に浴びてしまったのです。一瞬で気絶という行動不能に陥った彼は、情けないことに大の字になって地面に倒れることとなりました。
無論、仲間たちは急いで彼の介護をしようと思い立ちましたが、その動きを封じてしまう程の光景がリアドアの向こうにはありました。
「いやー、トラックの荷台に乗るって言うのは初めての体験だったな」
「いつもは列車ばっかだったし、こういうのも悪くはないけど揺れは結構酷かった」
「そう? エスミちゃんの頼みだったけど、私はこれ最高だったよ‼」
「……車酔いした……気分が悪い……ストレス発散代わりにこいつらを叩きのめす」
リアドアの向こうにいたモノ……それは6人の少女たちでした。
もちろん只の少女と言う訳ではありません。トラックの後ろを走っていた車両の2人組に比べれば、こちらの6人組は彼らも見慣れている格好をしていました。しかしその見慣れている格好が何よりも問題だったのです。
「ス、スケバンだと!?」
驚愕のあまり仲間の1人がそう声を出すと、運転手を見張っていたリーダーはもちろん、車両の2人組と交戦していたバイク班も全員驚きの表情を浮かべます。
「なん、だと。スケバンの連中が荷台に……一体どういうことだ!?」
ゲへナ自治区には数多くの不良生徒がいる訳ですが、中でもスケバンの存在感は極めて強く、グループによって個人差はあるものの無法地帯のゲへナで活動しているだけあって実力はかなりのものです。僅か3人のスケバンに意気揚々と喧嘩を挑んだ大人十数名があっという間にボコボコにされたとすら言われている程なのです。
それが6人、ビッグサプライズとばかりにトラックの荷台から姿を現した訳ですから驚かない訳がありません。
しかしなるほど、トラックが荒い運転をする事も、スピードを上げる事もしなかった理由は彼女たちを荷台に乗せていたからだったのでしょう。いわば後方にいた車両は彼らの意識を向けるための囮だったのです。
まあそもそも不良生徒であるはずの彼女たちがなぜ画材メーカーの荷台に乗っているのか、という最大の疑問が彼らの頭にはあるのですが……。
「ど、どうしてお前らがここに!? なんで画材を積んでるトラックなんかに乗ってるんだ!?」
「ああっ? そんなの決まってるだろ」
スケバン6人組の中で恐らくリーダー格と思われる少女は、面倒そうな表情をすると片手に持つアサルトライフルを真っすぐ彼らに向けこう言いました。
「アタイらの〝ダチ〟からの頼みだからな、加勢に来たんだよ」
直後、6人全員が手に持っている武器で発砲してきました。まさに一斉射撃です。
喧嘩上等を口にしているだけあって、強盗をメインとする大人達とは違い彼女たちが手にしているのはアサルトライフルやサブマシンガン、機関銃など火力が高い武器ばかりなので、抵抗する間もなくバンの班はあっさりと全身に銃弾を浴びて鎮圧されてしまいました。
「ようし、残りも叩き潰すぞ‼」
「喧嘩だ決闘だ、覚悟しやがれ大人どもめー‼」
「エスミちゃんに良い所みせるぞー‼」
「くたばれ‼」
スケバン達は弾切れになった銃を手早くリロードしつつ、各々トラックの荷台から飛び降りて周囲に散らばっていきます。撃ち合いを所望なのでしょうか、随分と目が殺気だっています。普通に怖いです。
とはいえ場慣れしているのは襲撃犯も同じ。かろうじて彼女たちの攻撃を免れていた襲撃犯たちは急いで応戦を開始し、残りは冷静にもリーダーの指示を仰ぎました。
「ぐっ、計画に変更は無い‼ 急いでそいつらも撃退するぞ‼」
思わぬ援軍登場に動揺していたものの、直ぐに立ち直ったリーダーはそう仲間に指示を下し、自身もサブマシンガンを手にしてスケバン組の方へと突撃を開始しました。
対してバイク班の方は助太刀として半数をリーダー達の応援に向かわせることを選び、残りの人数で車両の2人組に攻撃を続けましたが、人数が減って火力が半減したことにより車両組のほうが遂に動き出しました。
「エスミ。援護を」
「任せて」
車両2人組、正確には鬼方カヨコと栢間エスミの両名は車を盾にしてしばらく銃撃戦を続けていましたが、スケバンチームの登場で状況が一変したのを合図に反撃に転じます。
まずエスミは左手でリボルバーこと愛称名ニキを扱い、何発かバイク班の方へ威嚇射撃を行うと、その攻撃で生まれた隙を逃さずカヨコがP30Lことデモンズロアを手に突撃を行います。
一応エスミ達のいる場所からバイク班の所までそこそこ距離は離れているのですが、機動力が他より群を抜いているのかカヨコはあっという間に到達して見せました。
「うわっ、いつの間に!?」
すると先ほどまで防戦一方だった敵がいきなり突撃してきたことに驚いた1人が、慌ててショットガンの銃口をカヨコへと向けましたが、それを彼女は容赦なく片足で大きく蹴り飛ばすとすかさず胴体に数発弾丸を叩き込みます。
「うぐっ、こ、この‼」
しかし流石は身体の頑丈なキヴォトス人。
この程度の攻撃で倒れることはなく、痛みを我慢して忍ばせていたもう一つの銃を手に反撃を試みましたが、今度はカヨコが回転蹴りを素早く頭部にお見舞いした事であえなく撃沈しました。あれは痛いでしょう(銃弾の方が何百倍も痛いとは思いますが)。
だがカヨコのその一瞬の無防備をついてもう1人の仲間が早くも銃を構えてきましたが、そうはさせないとエスミが躊躇いも無く発砲を開始しました。銃弾は彼の利き腕に命中し、持っていた銃を落としてみせます。
「まずは腕」
「がっ‼」
「次に胸」
「ぐおっ‼」
「最後に頭」
「おあっ!?」
口に出した箇所に的確に弾を当て、最後は頭部に命中させて相手を行動不能にします。反撃の隙を生まない連射ではありましたが、彼女もそこそこ離れた距離からの射撃でよく命中させました。感心するようにしてカヨコは『お見事』と呟きます。
するとエスミは満足そうに息を吐いてニキのリロードを始めると、ゆっくりとカヨコの下へと歩み寄ってきました。
「利き腕はろくに使えないけど、左手でも十分銃の扱いが上手いでしょ、私」
フフンッと笑みを浮かべてそう口に出した彼女に、カヨコは呆れた表情と共に肩をすくめて溜息を吐きました。
「見た目のわりに、随分と可愛いところがあるよね。エスミって」
利き腕が不便でも戦えるぞという証明のためか、それとも単純にカヨコに対する対抗心と言うべきか。
誰もが見惚れそうになるほどの美少女のくせに、こういう所は男みたいに無邪気な笑みを浮かべるエスミ。こういうギャップも彼女の魅力の1つなのかもしれないと、彼女から貰った無地のパーカーを着こなすカヨコは微笑を浮かべました。
その後、カヨコとエスミ両名の奮闘に加え戦いに飢えたスケバン6人組の加勢により、ジャケット集団は襲撃開始から僅か20分で、あっという間に壊滅されるのでした。
栢間エスミの秘密・10
・前世では免許持ちだったので普通の車両程度なら運転は出来る。
ただし右手に問題を抱えているので、周囲が絶対に1人で運転させようとはしないし、どうしても運転したい時は同伴者が必要となる。
今回はカヨコが運転してくれたが、それが不満なのか頬を膨らませて助手席に座るエスミの姿があったとか無かったとか……?
カヨコだけが知る秘密である。
もしも仮にブルアカ世界に転生して生徒になれるなら、どんな武器を所持して愛用したいですか?(※作者は愛用するならリボルバーしかあり得ません.)
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拳銃(M1911,グロック等)
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リボルバー(SAA、コルト・パイソン等)
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自動小銃(HK416、AK-47等)
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短機関銃(M1921、MP5等)
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小銃(M1ガーランド、Kar98k等)
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散弾銃(ベネリM4、AA-12等)
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機関銃(MG42、M249等)
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対物ライフル(AW50、ヘカートⅡ等)
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擲弾発射器(M79、ダネルMGL等)
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素手