夢叶って画家になれた転生主は、ともかくブルアカ本編に関わりたくない   作:木暮鬼一

14 / 54

先週に引き続き、今週も病院に赴いて手術を行うので、それに伴い仕事の多忙が重なるため今月は少し更新頻度が遅くなると思います。

ひとまず今週は12月20日(金)午前0時にもう一本の話を投稿出来るよう頑張りますが、もし予定に変更等があれば前回同様に活動報告にてお知らせいたします。




栢間エスミについて2

 

 

 画家……もとい芸術家が政治の世界に関わるというのは、実のところそう珍しい事ではなかったりする。

 

 

 

 実例を挙げるのなら、私が前世で短い人生を過ごさせてもらった日本では過去に『黒田清輝』と呼ばれる日本人画家がいた。

 彼は外光派のフランス人画家ラファエル・コランを師匠に持ち、日本人でありながら洋画家かつ美術教育者として活躍をした後、死去した親の後を継いだことで子爵を預かり53歳の頃に貴族院議員に就任している。

 

 他にもアルバニア共和国の第33代首相を務めている『エディ・ラマ』も黒田清輝と同じく画家から政治家にジョブチェンジした一例の1人だ。

 こちらは生粋の芸術家系で生まれ育った方で、若い頃から画家として活躍しつつ、やがて政界入りしてティラナ市長や文化大臣を歴任した後に首相へと抜擢される事となった。

 前世で私が生きていた時はまだ現役の政治家だったけど、私の死後はどうなったのかな?

 

 またイギリスには第61・63代首相を務めた『ウィンストン・チャーチル』がいる事を忘れてはならないね。

 彼は第一次世界大戦真っ只中の1915年に海軍本部の初代卿として挑んだ【ガリポリの戦い】で敗北した際、その一因となった作戦の立案者として失脚した後、うつ病で苦しんでいた所を義姉の勧めにより絵を描く事になった。

 当時40代だったチャーチルは以降、政治家としてどこに出歩くにしてもキャンバスを持ち歩くようになり、1965年に90歳で亡くなるその日まで絵を描く事への情熱を常に持ち続けたという程だから、素直に尊敬に値する。

 余談だけどチャーチルが生涯で生み出した作品は何とおよそ500点……私もそれぐらい描きたい。描けるだろうか?

 

 ところで印象派として風景画を中心に画家活動を続けたチャーチルだけど、彼は存命中に『Painting as a pastime』と呼ばれる本を出版していたという事はご存知かな?

 この英題をざっくり日本語に訳すと『娯楽としての絵画』。

 まあいわゆる美術に関する熱い想いや彼なりの哲学が詰め込まれたエッセイのような物である。ご丁寧にも彼が描いた作品の何点かが本には載っているし『散歩や読書よりも絵を描くことを勧めるぜ‼』と原文ではほぼド直球に主張している癖の強い本だ。

 

 ちなみにこの本に出会った事で文字通り娯楽として美術にハマった政治家が後のアメリカで実際にいる。

 

 第43第アメリカ大統領を務めた『ジョージ・W・ブッシュ』その人である。

 一応言っておくけど、第41代大統領のパパ・ブッシュ(ジョージ・H・W・ブッシュ)じゃないよ、子ブッシュの方だからね?

 でも彼の場合は大統領の任期が終了した後、偶然にもチャーチルの例の本を読んだことで趣味の絵画に目覚めた人物だから、決して画家から政治家になった訳では無いけど……。

 

 

 

 さて、いきなり美術に関する雑学を披露する所から始めてしまったけど、ようは『別に政治に関わる事になったけどあまり悲観はしていないよ』と言いたいのだ、私は。

 ちょっと美術オタクとして厄介な語り癖が出てしまったね、反省反省っと。

 

 ではここで今日までの話を軽く振り返るとしよう。

 

 まず始めに嫌がらせ目的のためだけに大好きな美術を悪用された事に腹を立てた私は、トリニティ総合学園の大名物こと派閥間の権力争いに拳を振り上げ自ら介入する事となった。ようは殴り込みである。

 有名な童話を引用させてもらうなら『エスミは激怒した。必ず、かの邪知暴虐のサンクトゥス分派を除かなければならぬと決意した』と言った所だろうか?

 ただ別にサンクトゥス分派を壊滅させる気は私には全然無いし、そんな事をしてしまえば原作本編がスムーズに始まらない訳で、私としては分派に少しだけ痛い目を見てほしかっただけである。

 

 ところがどっこい。威力にして100ダメージちょっとのパンチを与えたつもりが、どうやら100倍程の威力でお見舞いする事になったようで……ぶっちゃけ、サンクトゥス分派を崩壊寸前まで追い込んでしまったらしい。あれだけ犯罪や腐敗に染まりきった生徒が分派にいたのだから、組織として一度内部の掃除をする事になるのは当然と言えば当然ではあるのだけれど。

 

 まあしかし、その辺はサンクトゥス分派のトップを務めているツクスさんが上手いこと対応してくれたので問題は無くなったけれどね。

 流石はティーパーティーの元ホストを務めただけある優秀なお人だ。周りからは1年や2年は掛かると言われたサンクトゥス分派の立て直しをたったの半年程度で終わらせてみせたのだから。

 

 けどその代わりサンクトゥス分派に大混乱を引き起こした犯人である私は、一部の派閥生徒から危険人物としてマークされる事になったので、ツクスさんの助言に従って自分の身を守るため情報屋活動を始める事となった。つまりは副業である。

 

 うーん、まるで映画やアニメに出てくるキャラみたいな兼職だね……画家でありながら情報屋としての活動もしているだなんて。

 これでも私の本業は画家なんだけど?

 

 とはいえ私としても随分と目立つ行動をしてしまった自覚はあるわけで、損得勘定が働く理性のある生徒ならともかく、直感で動いてしまうような過激な生徒からいつ襲われてもおかしくはない立場に立ってしまったのは事実。

 

 ツクスさんが在学中はまだ何とか安泰だろうけど、彼女が卒業するまで残り数か月しか猶予が残されていない。

 そこで私は『自分の身は自分で守れる』完璧な情報屋という立場を築く為、死にもの狂いでトリニティ自治区を動き回った……それはもう。毎日毎日ともかく全力だ。

 迂闊に口を割らない信頼できる人材を見極めたり、信憑性の高い情報を提供してくれる生徒との親交を深めたり、挙句にはかき集めた情報が漏洩しないよう厳重に管理したりと本当色々と頑張ったのだ、これが。

 

 ただ生憎と私の立ち位置が危うくなろうが無かろうが、1人の生徒として学業は放棄してはいけないし、ようやく掴んだ夢である画家としての活動も止めてはいけない訳で、一時期ブラック企業で働いていた頃の記憶を思い出しそうになるレベルで休む暇が全く無かった。

 

 結果、そんな苦労の甲斐もあってか予定より随分と早い段階で情報屋活動をスタートすることが出来たものの、月日にしておよそ数か月間は絶え間ない疲労とストレスに私は悩まされる事となってしまった。

 

 ちなみにこの期間中、めでたく誕生日を迎えたナギサをミカと共にお祝いをした訳だけれど、上記で話した通り既に疲労度とストレスが上限に達していた当時の私がまともな思考をしていたはずがなく、あろう事か私はナギサが喜ぶだろうと自宅に彼女を誘ってしまったのだ……うーん。私はバカか? 大バカ者なのか?

 

 まったく、なるべくブルアカキャラとの仲は深めないとか何とか言っておきながら、気付けばナンパ野郎もビックリなストレートアタックしているようじゃ駄目だろ私!! 自制はどこに置いてきた!?

 

 しかも当時のナギサも悪い!! あっさりと私の誘いを受け入れたんだぞ!! 断ってよ、君の貞操の危機なんだぞ!? 誕生日の主役を持ち帰ろうとする美少女芸術家なんてブルアカ世界にいてたまるか!!

 

 と、まともに思考が働く今ならそういう感情がすぐに働いて即座に失言と過ちに気付いたことだと思う。

 けれど再度言うように当時の私はともかく正常では無かったのだ。しかもその最悪の瞬間に立ち会っていたミカが悪乗りして送迎とか寝泊りの服なんかを用意して来る始末……。

 

 まあ結局のところお互い多忙で疲れていた事もあってか、私の自宅に着くやナギサと一緒にシャワーを浴びてすぐに寝たんだけど。残念ながら皆が期待するような百合全開の〝にゃんにゃん〟的な行為は一切していないよ?

 

 正直自分だけ家に着いてからの記憶がきれいさっぱり無くなっているのは心底怖いけど、私としては超えてはいけない一線を踏みとどまった当時の自分を褒め殺したい気分だ。

 念のため朝食中にナギサに色々と昨夜の件について尋ねてみたけど、凄い良い笑顔で『何もありませんでしたよ?』と即答してきた程だからまず間違いない……私は勝ったのだ、己の愚行に!!

 

 ちなみに余談だけど、私からはナギサへの誕生日プレゼントとして画材一式を贈らせて頂いた。どうやら私に触発されてナギサも趣味で絵を描き始めたらしく、近々彼女のために美術の講義をする予定だったから丁度良いと思ってね。

 けど、肝心のナギサはプレゼントよりも私と一夜過ごせたのが何よりも嬉しかったらしい……せっかく私なりに彼女が喜ぶ物を考えて〝初めて〟人にプレゼントしたというのに。

 ちょっと納得がいかなくてナギサの頬を強引にも抓った私は正しいと思う……うん。

 

 

 

 よし、じゃあここで話を変えるとしよう。

 

 ここからは私が2年生に進級するまでの間に起きたことをざっくりと説明するよ。

 

 まず始めに情報屋活動を無事に開始することが出来た私は、散々動き回っていた自分への労いを込めて連休中に1人で砂漠に行ってくる事になった。

 

 おっと、砂漠に行くなんて何血迷った事をしているんだと思うだろうね。

 

 安心してほしい。場所はブルアカ原作でも度々登場したアビドス砂漠。年々砂漠化によって被害は増え続けているけど、かつてはトリニティやゲへナにも匹敵するほどの繁栄を築いた自治区だったという事もあってか、意外と芸術的価値のある遺跡や美術作品の多くが砂漠に埋もれていたりする。

 

 流石に砂から掘り起こすことはしないけど、かつての情景に想いを馳せて創作のインスピレーションを得ようと私は考えたのだ。ようは観光という事だね。

 ちなみに砂の混じった強風が度々吹くので屋外で絵を描くのはほぼ不可能。よって屋内用の画材を手にしての観光である。滞在日数は3日間(某ライトノベルのバイク乗り旅人の物語に憧れがあったので)。

 

 そして美術の追求に磨きが掛かることを期待して現地に着いた私は…………早速ながら、詐欺にあっているやや長身のアビドス生徒を助ける事になった。

 

「何してるの?」

 

 実のところ、私はもうアビドスに関する物語の詳細はほぼ完全に抜け落ちてしまっている。だから今目の前で起きている光景が実際にあった話なのか、やけに胸がデカくて気弱そうな表情をしているこの薄い水色をした髪の生徒が一体誰なのか全く分からなかった。

 

 だから不要に関わるつもりは無かったものの、見るからに怪しい絵画の買い取りをしている所を見てしまえば無視はできない。こんな借金まみれのアビドス自治区で、学者でもない人が美術品の扱いをしているのは明らかに不自然だった。

 

「その絵、見るからに版画だね。この複製の出来を見ると〝シルクスクリーン〟と言った所かな? 原画に比べたら遥かに安値で販売されるのがシルクスクリーンの特徴の一つだけど、貴方がこの生徒に提示していた額は相場のおよそ10倍。正直、この生徒が絵を購入して市場で売りに出したとしても大した額にならないよ」

 

 前世では画廊で働いていた経験もあるだけに、原画の複製品である版画の見分け方ぐらい簡単だ。

 中でもシルクスクリーンは広く普及されている印刷技術の1つであり、限りなく原画に近づけることの出来る版画としても有名だけど、その代わり美術作品としての価値はかなり低い。

 せいぜい20万から40万の値段で売られているのがほとんどで、原画でもない限り100万近くの値段で売られる事はまず無い。

 

 故に買い取りに出したところで安い値を言い渡されるか、そもそも引き取って貰えない事例があるので、よくある悪徳商法の1つとしてこのような絵画商法が含まれている。

 まあ状況から考えるとアビドス自治区の借金返済を手早く済ませるために、この絵を購入して高値で買い取ってもらえれば良いとでも説明していたんだと思う。流石は大人、やる事が汚い。

 

「私にはこういう絵画商法に詳しい商人がいるから、もし私の言葉に疑いを持つなら今すぐにでも問い合わせをするけど……どうする?」

 

 美術品を利用する利用しないはともかく、そもそも詐欺を含めた悪徳商法はれっきとした犯罪だ。

 それにアビドス自治区の借金がこれ以上増額するのは避けるべきで、ブルアカ原作でまず始めに触れることになるストーリーの中身をなるべく変えてはいけない。

 私が助け舟よろしくアビドス生徒を救ったのはそうした未来改変を恐れているからだ。

 

 さて結果的に私に恐れを抱いたか、もしくは分が悪いとでも思ったのか、アビドス生徒に絵画を売りつけようとした悪徳商人は冷や汗をかきながら慌てて退散してくれたので、私の不安の種が1つ消えたのは言うまでも無いと思う。

 

「君、今後からああいう胡散臭い悪徳商法には気を付けて。アビドスの借金をさらに増やすはめになるよ」

 

 物事も無事に解決し、未だポカーンと呆気に取られている様子のアビドス生徒にそう忠告した私は、予定が狂ったと目的の観光を開始するためにその場を離れようとした…………のだが、そのアビドス生徒に突然抱き着かれて感謝の言葉を受ける事になった。

 

「……いや何で?」

 

 感謝されるのはまあ当然として、ハグは必要なのか? いらないよね?

 しかも私がアビドスに観光目的でやって来たのを知ったこの生徒は、それはまあ目をキラキラと輝かせて自ら案内を申し出てきたのだ……ハグしたまま。

 キヴォトスの住民らしく整った顔をしているけど、流石に顔が近いし吐息が当たるから離れてくれ。

 

 とはいえ現地民に観光名所を案内されるのはどの世界でもごくごく当たり前の事とはいえ、流石にああした詐欺に騙されかけていた生徒のお世話になるのは少し……躊躇うのも事実。

 するとそれが顔に出ていたようで『大丈夫だから。私に任せて!!』と、これまた強引に迫ってくるのだ。だから顔が近いって!! 

 助けて貰った恩返しをしたいと興奮しているのか、どうも聞く耳を持ってくれない。下手をすれば唇同士が触れ合うレベルで彼女は迫っているので、私は顔を逸らしながらも常に耳が真っ赤だった。

 

 あと私の胸は同年代に比べれば十分大きいけど、彼女の場合はもっとデカい。それが密着して私の胸を押しつぶしてくるのだから正直息が苦しくてたまらなかった。彼女の肩を掴んで引き剥がそうとしたものの、どういう訳かこれがビクともしない。見れば傍に大きな盾が置いてあったので見た目に反して彼女は力が強いのだろうか? ミカかな?

 

「分かったから……離れて。流石に苦しい」

 

 まあだからと言って呑気にしていられるはずが無く、私は諦めて彼女の申し出を受ける事にしたのだった。窒息しかける危険を考えたら早々に諦めるほうが良い。

 

「ありがとう、絶対に後悔はさせないから!! このアビドスにはね、魅力的なところが沢山あるんだよ……たぶん!!」

「最後の一言で物凄く不安になってきた……噂には聞いているから特に驚きはないけど」

「でもわざわざ遠い所からアビドスに来てくれたんだよね、嬉しい!! あっ、そういえば自己紹介がまだだったね!!」

「いや別に名前は知らなくても――」

「私はユメ。梔子ユメだよ!!」

「……人の話を聞いて…………はぁ、まあいいや。私の名前は栢間エスミだよ」

「エスミちゃんって言うんだね!! 素敵な名前だね!!」

 

 名前が知れて心底嬉しいのか、私の手を両手で握りながら『梔子ユメ』と名乗った少女は満面の笑みと共に大はしゃぎするのだった。あまりにも明るすぎる。

 

 けどその後、自治区内を案内してもらう最中で住民の困りごとに首を突っ込んで私も手伝わされたり、やけに手帳に私の性格とか好みとかを書いていたり、挙句にはちゃっかり私の写真まで撮られた……本当に案内人の仕事してる、君? 普通に観光名所に遊びに来た生徒みたいな立ち振る舞いしているけど、一応この自治区の生徒なんだよね? 

 

 しかしまあ……ほんの3日間程度の付き合いだったけど私もそこそこアビドス自治区は楽しめたし、意外にも創作のインスピレーションを得ることが出来たので『終わり良ければ総て良し』という事にしようかな。

 

「来週もまた遊びに来てね!! 絶対だよ!?」

「いや行かないから。私そんなに暇じゃないし」

 

 と、別れ際にそんな言葉をかけられるほど、どうやら私は彼女に気に入られたらしい……成り行きで出会った記念に、彼女の肖像画を描いてプレゼントしたせいだろうか。たぶんそれが美術的価値になるには私の死後数百年経たないと意味が無いと思うので、今の時点で買い取って換金するのはお勧め出来ない。

 

 なので『頼むから君は今後ともアビドス自治区の借金返済に集中してくれ』と口にしながら、私のアビドス観光はこうして終わりを告げるのだった。

 

 

 

 それからの日々だけど特に変わった様子もなく、無事にサンクトゥス分派を立て直して見せたツクスさんとプライベートで美術談話をしたり、カヨコに連れられてバンドのライブを見に行ったり、本業の画家活動に専念するなどして気付けば私はあっという間に2年生へと進級した。

 早い。あまりにも年月が経つのが早すぎる……人間、特に苦労も多忙もなく過ごすと思っていたよりも時間の進みが早くなるらしい。

 

 しかし2年に進級したという事はつまり、これからはナギサやミカだけじゃなく更に多くのブルアカキャラに出会う事を意味する。

 

 出来れば交流は浅めに、せいぜい知り合い程度の関係になれるよう私は努力しないといけない。だいぶブルアカ世界で過ごして年月が経っている分、もはやヒント無しでは前世での原作知識が思い出せなくなっている所もあるので、情報屋としての活動も生かしていくことを胸に誓い私は今日もトリニティ総合学園へ通うのだった。

 

 ああ……ところで2年生に進級した私だけど、ここに来て弟子を取ることになったよ。

 

 いわば美術好きの同志を得たのさ、最高だね。同じ分野を愛する者同士、すぐに意気投合してしまう程に私たちの波長は合っていた。ちなみに私が弟子を持つことになったのは、単純にナギサからの紹介がきっかけだったりする。

 そんな気になる弟子の名前はチェリ。小樽チェリと言うらしい。可愛らしい名だ。

 どうやらナギサの実家である桐藤家がパトロン契約を結ぶほど才能を期待されている有望株らしく、その噂通り彼女の画家としての才能は同年代に比べて遥かに群を抜いている。私から言わせて貰えれば、もはや天才と呼ぶに相応しいほどの美術センスを持つ後輩だ。

 

 だけどこの弟子…………その優れた才能とは裏腹にだいぶキャラが濃い。濃すぎる。原作にはいなかったネームドキャラだけに、私もどう対応すれば良いのか分からないほどだ。いわば取扱説明書が不在の新商品を手に入れた感じと言った所だろうか。

 

 ふむ、一体どういう事なのかって?

 それは次の私と彼女のやりとりを見たら分かることだろう。

 

「やっぱり師匠とナギサ様って結ばれるべき仲ですよ‼ むしろ、お互いを必要とする半身のような存在!! フィリウス分派の付き人としてナギサ様に従事する者として、またかの有名なエスミ様の下で絵を学ぶものとして、これほど幸せなことはありません!!」

「……そう。ひとまず、落ち着いて?」

「落ち着けません!! 私の望むカップリングが、今まさに目の前で広がっているんですよ師匠!!」

「……カップリングの話はなるべく本人の前では控えて……それ、ナマモノだから」

 

 やれやれ……おわかりいただけただろうか?

 

 実は彼女、私とナギサが結ばれることを切に願うナマモノ限定のカプ厨オタクなのだ。それもかなり重度な。

 しかしどうして私とナギサのCPに夢中なのか、その理由は全く知らない。教えて貰えないのだ……私、これでも師匠なのに。

 まあ人なら誰しも特殊な性癖の1つや2つは持っている訳だし、あまり私が不快に感じない程度であれば自由にして貰っても構わない。心配なのは、まだ画家見習いのチェリはこう見えてナギサの専属付き人である。

 出来れば周囲に迷惑をかけないで欲しいのだけれど……その辺はナギサが上手いこと舵を取ってくれると信じるしかない。

 

 ひとまず、なるべく本人の前でナマモノを熱く語るのは控えるようにとチェリに忠告をして、私は今日も今日とて絵を描く時間に移行するのだった。やっぱり美術の時間は至高だ。現実逃避するにも適しているからね。

 

 出来たら、2年生の時期ぐらいは平和に過ごしたいな。

 

 

 

 けどこの後、私の下に大量のお菓子を手にミカが突撃してくる事になるのだが……流石の私もその時ばかりは平穏が壊されて涙目になったと思う。

 ちなみに菓子はミカの手作りで物凄く美味しかった……。

 






一応、作者も美術系の学校に通いかつ画廊で働いていた事もあるので、その経験を下に美術関連の用語や出来事を説明している部分がありますが、必ずしも全ての画廊や美術に当てはまる訳ではないのでご注意ください。

ちなみに東京の銀座ではそこそこ画廊が多いですが、中には客引きを実際に行っている店も少なからずあります。
人によっては誘いを断れず店に入ってしまう事もあると思うので、遠目の方で何やら怪しい光景があった場合は、なるべく距離を置くか、断固として拒否してください。最悪、警察に相談すると良いかもしれません。

余談ですが、作者は客引きをする側される側ともに経験済みです。
(ちゃんと警察に正式な手続きをしている上での客引きですが、普通に気分としては最悪です)

もしも仮にブルアカ世界に転生して生徒になれるなら、どんな武器を所持して愛用したいですか?(※作者は愛用するならリボルバーしかあり得ません.)

  • 拳銃(M1911,グロック等)
  • リボルバー(SAA、コルト・パイソン等)
  • 自動小銃(HK416、AK-47等)
  • 短機関銃(M1921、MP5等)
  • 小銃(M1ガーランド、Kar98k等)
  • 散弾銃(ベネリM4、AA-12等)
  • 機関銃(MG42、M249等)
  • 対物ライフル(AW50、ヘカートⅡ等)
  • 擲弾発射器(M79、ダネルMGL等)
  • 素手
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。